紫咲シオンのイベントを20個以上クリアしている。
【ファンタジー】の第2の町にある商店街を歩くと稀に発生する。
「はぁ~
暇だなぁ」
俺は今【ファンタジー】の第2の町にいる。
なぜこんなところにいるかと言うと、ま、暇だからだ。
え?言ってたって?
ま、そうだな。
そう、今日は所属ギルドでの活動もないからなぁ。
たまには食べ歩きも良いかと商店街を歩いている。
パク
う~ん、このコロッケはなかなかサクサク感があって上手いわ。
次は肉でもいくか?
お、あの串焼きが上手そうだな。
俺は残りのコロッケを口に放り込むと、串焼きの露店に向かった。
「毎度あり」
串焼きを一本受け取り、代金を渡す。
(エルダーパイソンの肉か)
パク
(ん、歯ごたえがあってすぐには飲み込めないが、噛めば噛むほど味が出る。
噛む事に飽きがこないな。
これも上手い)
俺は串焼きを食べながらまた歩き始める。
(ん?)
しばらく歩いていると、建物の影から誰かを覗いている黒い服の女性が見えた。
(何してるんだ?)
他の人には見えないのか、それとも関わりたくないのか、誰も声をかけない。
俺はゆっくりとその人物に近づいた。
「何してるんすか?」
「ひゃ!!」
俺の声に変な声を出してビクッとなる女性。
女性がこちらを向く。
「あ!」
「え?
何で見えてんの?
や、やば!」
俺が驚いた声をあげると、その女性は慌ててどこかに行ってしまった。
(あれってシャチの人?)
俺は女性が見ていた方を見る。
と、そこにはクレープの屋台の側でクレープを食べてる紫咲シオンちゃんがいた。
「え?
なんでこんなところにいるんだ?」
俺はこう見えてもシオンちゃん最推しの1人。
このチャンスは逃せない。
俺はゆっくりと早く(矛盾)シオンちゃんの元へ向かった。
「あ、えっと、こ、こんにちは」
(緊張する~)
「ん?」
俺の声にクレープをパクついているシオンちゃんが顔を上げた。
「え?◯◯◯?
どうして、見えてんの?」
シオンちゃんはそう言って口の中の物を飲み込む。
「たぶん、何かのイベントですかね?
それより、シオンちゃんってこんなところで買い食いするんですね」
「あのねぇ、いつもあの【迷いの森】の奥に引きこもって魔女みたいに鍋回してる訳じゃないんだよ」
「い、言えそこまでは…」
不機嫌になるシオンちゃんに俺は慌てて弁解する。
「ま、いいけど。
それより、なんでシオンが見えたか教えてくれない?」
(そう、どうしてシオンちゃんが見えたのか…
思い当たる事は1つだけある)
なので俺はそれをシオンちゃんに、伝えることにした。
「なるほどねぇ」
シオンちゃんは俺の話を聞きながらクレープを食べ終わる。
「それでそのシャチはどこ行ったの?」
「それが声をかけたらすぐにどこかに行ってしまって」
「ふぅ~ん」
シオンちゃんは辺りを見渡す。
「ま、いいや。
それより、今から行かないといけないし」
シオンちゃんはすくっと立ち上がった。
「どこかに行くんですか?」
「ん」
シオンちゃんは俺を見る。
「はぁ、知ってる人か」
「?」
「魔女っ子…」
「あ!」
シオンちゃんのボソッと呟いた単語に俺は声をあげる。
「ま、まさか。
そ、そっちの仕事ですか!」
魔女っ子。
シオンちゃんのイベントの中に魔女っ子シオンシリーズというものがある。
シオンちゃんが魔女っ子になって困った人を助けるといったイベントだ。
「はぁ、なんでそんなイベントあるんだろ」
シオンちゃんはため息混じりで言った。
「それで、今から行くって言ってましたが?」
「そ、これね」
そう言ってシオンちゃんが俺に1枚の紙を見せてくれた。
そこには何か暗号のようなものが書かれている。
「難解な暗号ですね」
「いや、普通に本人は書いてるだけだと思う」
「へ?」
シオンちゃんはその紙に手を当てる。
「読めない時はこうやってやればいいのよ」
シオンちゃんが手をどけると文字?が光だした。
そして、「助けてください」
(喋りだした?)
合成音声だから、誰なのか分からないけど、確かに紙が喋り始める。
「魔力でこういう事もできるよ」
シオンちゃんはいたずらっ子のように笑う。
それで内容はこうだった。
その誰かは何故か分からないが狙われていて、追われているらしい。
そして、逃げるのにも限界が来ており、ある場所で隠れているので助けてほしいとの事だった。
「罠じゃないんですか?」
「かもね。
でもねぇ、このマークがついてるから」
シオンちゃんが紙の端を指差す。
そこには可愛らしい魔女の帽子の判子が押されていた。
「これは?」
「例のイベント関係の内容の時はこの判子が押されてる」
とまたため息混じりで言うシオンちゃん。
「なら行かないといけないですね」
「そ」
シオンちゃんはそう言って箒に跨がる。
「あのう、もしよかったら手伝わせてください」
箒に跨がったシオンちゃんに俺はそう伝える。
「いいの?」
「はい。
それにこのイベントが発生したのは俺のせいかもしれませんし」
「わかった。
乗って」
「いいんですか?」
「いい」
俺はシオンちゃんの箒に跨がる。
その直後、急に寒気がした。
「うわぁ」
「え?
どうしたの?」
「何か寒気が」
「…あ、たぶん、気のせいよ」
シオンちゃんは肩を少しあげて「ふぅ」とため息をついた後、俺達は空へと舞い上がり、指定された場所へと向かった。
「ここ、ですか?」
殺風景な山にある広場。
そこはまるで戦隊モノの戦闘で使われる場所に似ている。
「よく来たな!」
声のする方を見ると黒ずくめ(全身タイツ)の男が立っていた。
「だれ?」
シオンちゃんが聞くと男はニヤリと笑ったように見えた。
(仮面を着けてるから表情読みづらいなぁ)
「我らはシャーチ怪盗団」
「シャーチかぁ」
シオンちゃんがボソッと呟く。
「お前の大切なものは預かっている」
そう言って、他にもいた黒ずくめがある人物を連れてくる。
(でしょうね)
シオンちゃんを見ると俺と同じように「やっぱりね」という顔をしていた。
「助けてください、シオン先輩~」
儚げに叫ぶ女性は言うまでもなくシャチの人。
沙花叉クロヱちゃんだった。
(ま、あの字を見ればね)
ふと、そう思ってしまう。
(それよりあれって)
「自分で抜けれない?」
シオンちゃんがクロヱちゃんに言う。
「え?
無理ですよ。
見てください。
がっちり縛られてるでしょ」
そう言って自分から背後を向き、縛られた手を見せる。
ふと、周りの怪盗団を見ると何か罰悪そうな目でクロヱちゃんを見ていた。
「なので早くシオン先輩。
魔女っ子に変身お願いします」
完全に流れを伝える人になってきているクロヱちゃん。
(捕まってる割には目が生き生きしてんだよなぁ)
「はいはい、分かった。
◯◯◯、シオンの合図でさっき渡した物を地面に叩きつけて」
「分かりました」
シオンちゃんは小声で俺に言った。
俺はここに来る途中に受け取ったある物を握りしめる。
「それじゃ、いくわよ」
俺はシオンちゃんの合図で、足元に受け取った物を投げつけた。
ばふっと投げつけたものが割れてすごい量の煙が出る。
(しかし、煙たくないなぁ)
煙の中でシオンちゃんが魔女っ子へと変身していく。
「ああ!
煙邪魔ぁ」
クロヱちゃんはこっちに突っ込んで来る勢いになっているのを数人の黒ずくめの男達が紐を引っ張って抑えていた。
(大変だなぁ、シャーチ怪盗団)
俺はその姿を見ながら怪盗団に同情する。
「じゃ、ちゃっちゃっと片付けちゃうよ」
煙が晴れて魔女っ子シオンちゃん登場。
変身中の姿は見れなかったが、そのシオンちゃんの姿を見てクロヱちゃんは無事その場に倒れた。
「…」
「…」
シャーチ怪盗団と俺達は黙ってにらみ合う。
「すいません、適当にやっつけていただいてよろしいでしょうか?」
黒ずくめの男は丁寧にシオンちゃんに言ってきた。
「了解。
◯◯◯。
あまり痛くないようにやってあげて」
「了解です」
そして、俺達はシャーチ怪盗団の討伐にかかった。
イベント中(シャーチ怪盗団への攻撃。向こうは派手にやられたフリをして倒れる)
「大丈夫?」
「ん、あ」
シオンちゃんの声でクロヱちゃんが腕の中で目を覚ます。
「シオン先輩~ってなんで!」
(ま、そうだよなぁ。
俺の腕の中だもん)
俺の背後でシオンちゃんはニコニコしている。
「なんでシオンが抱き抱えてあげないといけないのよ」
「うう」
シオンちゃんに言われてクロヱちゃんは唸る。
「あと、無理言って付き合わせた飼育員さんに謝っておきなよ」
派手に倒れていた黒ずくめの男達はシオンちゃんに向かって、倒れたまま何度も頭を下げていた。
「は~い」
クロヱちゃんは立ち上がり、飼育員さん達の方に向かっていき何やら話している。
「ごめんね。
なんか茶番に付き合わせたみたいで」
「いえ、シオンちゃんと一緒の時間を過ごせたのでよかったです」
「な、何言ってんのよ」
そう言ってシオンちゃんは俺から顔を反らす。
俺はそんなシオンちゃんを見て笑みがこぼれた。
「お礼はするから」
シオンちゃんは顔を背けながらそう言った。
後日、シオンちゃんからお礼のメッセージカードとアイテムが送られてきた。
アイテム【1日魔女っ子になれる券】をゲットした。
(自分がなるんかい)
お待たせしました。
今回は紫咲シオンちゃんのイベントになります。
魔女っ子シオンシリーズの詳細はゲーム内で、プレイヤー皆さんに確かめてもらうという事でよろしくお願いします。
今回は特別にクロヱちゃんも絡んでくるイベントになります。
任務?の為には手段を選ばない、それが掃除屋のクロヱちゃん。
本人は何か不満みたいでしたが…
それでは、また新しい情報が入りましたら更新します。