運が60以上ある。
【近未来都市】へと続く砂漠で蟻地獄に落ちると低確率で行ける地下空洞を探索する。
「すごい、こんな場所があったんだ」
私は空気の澄んだ空間を1人歩いています。
所属ギルドで定期的に行われる【近未来都市】への大砂漠横断イベントに参加した私は、途中キングワームの出現で仲間からはぐれてました。
無我夢中で走っていた私は後ろばかり気にしていて、足元を確認していませんでした。
そのせいで私は目の前にあった、砂漠に住む大蟻地獄の巣に落ちてしまったのです。
私は大蟻地獄に捕まり無惨に食い殺されリスポーンしてしまうと恐怖しましたが、運が良かったのかその蟻地獄には主がおらず、私はそのまま蟻地獄へと落ちていきました。
そして、気づいたらこの不思議な空間。
とても静かで遥か上にある天井からサラサラと砂が落ちる音しかしません。
幻想的ですごく心が落ち着く。
「あ、ギルドに連絡しないと」
私はステータス画面からギルド画面を開き通信しました。
しかし、通信は繋がりません。
「メールもダメか。
ここは完全に外界と離れた場所なのかも。
これからどうしよう」
一応、大砂漠を横断する為、食料は買い込んでいるのでお腹が減る事はありません。
「ここにいても始まらないし、探索しよう。
いざとなればGMコールがあるし」
そう、この【ホロライブワールド】には自殺行為は出来なくなっている為、変なエリアに入ったり、どうしてもつまってしまった時はGMコールをすれば、GMが駆けつけてくれ近くの町まで連れていってくれます。
なので、私は少し安心しながらこの不思議な地下を探索する事にしました。
所々天井へと伸びる岩の柱。
たぶんこれが天井を支えているのかもしれません。
地面に敷き詰められた砂はきめ細かく、ぎゅっと握るとキュキュっと音がします。
モンスターもプレイヤーもいないこの空間、本当になんなのだろう?
するとどこからか水の流れる音が聞こえてきました。
この空間に来て砂の音以外で初めて聞く音、私は急いでその音がする方に駆け出しました。
「すごい」
少し先で天井から水が流れ落ちるのが見えました。
大量にとは言えませんが、人1人ぐらいの太さはあります。
私はその滝を目指しました。
そして、目の前に地底湖が現れました。
すごく澄んだ水。
濁りが一切ない。
私はその滝の方を見ました。
すると、何か影が滝の中で揺らいでいます。
(誰がいる?)
私はそう思って滝に近づきました。
そして、私が滝のすぐ側まで来た時、その影が滝から姿を現しました。
「あら?」
「え?」
それはまさにビーナスの絵のようでした。
差し込む光と流れ落ちる水のせいで隠れていましたが、その姿から卑猥な感じはなく美しいと思える1枚の絵のよう。
「はは、さすがに同姓でも見られると恥ずかしいかな」
「え、あ、ごめんなさい」
私は慌てて後ろを向きました。
「いいよ、まさかここに人が来るなんて思わなかったし」
私の背後で体を拭く音が聞こえます。
「あ、あのう、すごく綺麗でした」
(って何いってるの私)
「え?
あ、ありがとう」
背後の相手は笑いながら答えてくれました。
「もう、大丈夫」
「あ、はい」
そして、私は振り返ります。
「ってタオル1枚じょないですか!」
私は慌てて目を隠します。
「いや、体乾かしたいし、それにきちんと隠すところは隠れてるでしょ」
と笑う女性。
「もう、そういうキャラだったんですか?
アキちゃんは」
「たまには羽目はずしたいから」
そう言って笑うアキちゃんと私も一緒に笑いました。
アキ・ローゼンタールちゃん、1度だけカジノのダンス大会でその姿を見た事があります。
まさか、こんなところで会うなんて思わなかったです。
「それで、どうしてここに?」
アキちゃんは岩に座りこちらを見ています。
「実は…」
私はここに来た理由を伝えました。
「そっかぁ、まさかそんな方法でここに来れるんだ」
アキちゃんは少しびっくりしたように言った。
「ここはね、【流砂の墓場】って呼ばれてる場所。
モンスターや環境生物もいないエリア。
普通はある門を通ってしか来れないんだけどね」
そう言ってアキちゃんは微笑みました。
「アキちゃんはどうしてここに?」
「今、旅をしている最中でね。
たまにここに水浴びにくるんだ」
アキちゃんはそう言って岩から降ります。
そして、来るんと一回りすると一瞬でいつもの服装に変わっていました。
「せっかくここで出会った事だし、出会った記念に少し時間もらえる?」
アキちゃんは、ゆっくりと地底湖に向かっていきます。
「はい、どうせここから出る方法も分からないので」
私がそう言うとアキちゃんはにこっと笑いました。
地底湖の上を歩くアキちゃん。
地底湖と言っても深さは足首ぐらいしかないようで、普通に歩けるようでした。
そして、地底湖の中心に来ると、アキちゃんはこちらに向かってお辞儀をしました。
ゆっくりとした動きで体を動かしていくアキちゃん。
音は砂の落ちる音と水の落ちる音だけ。
でも、その音に合わせてアキちゃんはその体を動かします。
まるで水上を滑るように、しなやかに。
私はそのダンスから目が離せませんでした。
時間がたつのも忘れて見とれていた私。
そして、アキちゃんのダンスが終わりました。
パチパチ
私の拍手は静かなこの空間に響きます。
アキちゃんは少し恥ずかしそうでしたが嬉しそうにお辞儀をしました。
「さ、出口まで案内してあげる」
「ありがとうございます」
私はそれからアキちゃんに連れられて門へと行きました。
門をくぐるとそこ何もない平原。
後ろを振り向くとそこには門はありませんでした。
「あの門はある条件がないと現れないから」
アキちゃんが教えてくれます。
「それじゃ、またどこかでね。
おつたーる」
アキちゃんはそう言って手を振りながらどこかに行ってしまいました。
私もその姿を見送りながら手を振りました。
(蟻地獄に落ちてまさかこんな体験が出来るなんて、私は運がいいのかな?)
私はそんなことを考えながら、ギルドメンバー達に連絡をしました。
お待たせしました。
今回はかなり短めの情報です。
アキちゃんのイベントで新エリア【流砂の墓場】で起こるようです。
このイベントですが、他のエリアでも起こるようで、そのトリガーがこのイベントのようです。
ちなみにイベントを起こすには蟻地獄に落ちる事が条件ですが、運が悪いと普通に蟻地獄の主に補食されるので、それがトラウマにならないようにイベントを受ける方は気をつけてください。
では、また新しい情報が入りましたら更新します。