潤羽るしあからの称号【永遠の思い】を所持している。
不知火フレアからの称号【忘れぬ気持ち】を所持している。
白銀ノエルからの称号【遠くない未来】を所持している。
宝鐘マリンからの称号【届けこの絆】を所持している。
【ファンタジー】の海に浮かぶ孤島【崩落した円形劇場】にプレイヤーを一万人以上集める。
そのイベントは【ホロライブワールド】史上5本の指に入るであろう最難関のイベントと言われていた。
なぜそのイベントが最難関と呼ばれるのか。
それは単純にイベント条件が厳しいからだ。
そして、今そのイベントにあるプレイヤー達が挑もうとしていた。
【ファンタジー】第3の町にある、とある酒場。
今日はこの酒場は貸しきられていた。
酒場の前には屈強な男達が数人門番のように立っている。
「おい、あれ、野兎軍団のNo.2じゃないか?」
「まさか、潤いの羽のNo.2もいるぞ」
道行く人は門番をしているプレイヤーを見て驚く。
野兎軍団は兎田ぺこら推しが集まる有名ギルド。
潤いの羽は潤羽るしあ推しの有名ギルドだ。
推しポイントでしか手に入らない専用装備を身に纏って店の前に立っている。
「な、何が始まるんだ?」
「ちょ、ちょっと、あれ」
通行人が前から歩いてくる2人組を指差す。
「おいおい、どうなってんだ?
あれは魅惑の宝船のNo.1とNo.2じゃないか」
「こっちからはエルフのゆりかご?」
「まてまて、白銀の剣までいるじゃないか」
「どうなってんだよ。
第三世代組各々の推しで集まる有名なギルドのトップが集まって何が始まるんだ」
各々の代表が酒場に入っていく。
そして、5人のNo.2が店の前でNo.1を待つように立っていた。
ちなみにギルドとはプレイヤーが独自に立ち上げるコミュニティだ。
ホロメンが【大召喚】で呼び出すファンの団体とは異なる団体である。
「おう、久しぶりじゃないか、兎。
相変わらず酒か?」
テーブルに先に座る1人に後から入ってきた男が言った。
「うるさぇな、宝の。
ぺこちゃんの酒だぞ?
俺の愛用酒だよ」
「ほら、いきなりの挨拶がそれだと困るよ」
「私も潤に賛成だ。
こんなんだと先が思いやられる」
『なんだと!』
「まぁまぁ、2人も落ち着こう、エルも」
最後に入ってきた巨漢の男が可愛らしい声で仲裁に入る。
「相変わらず声と体があってねぇな、白」
宝と呼ばれた男に言われて白は「あはは」と笑った。
席につく5人。
男3人に女2人のこのメンバー
巷では有名ギルドのNo.1だが、昔は共に冒険していたパーティーメンバーだった。
今はギルドを立ち上げそちらの運営に力をいれており、なかなか一緒に冒険する事もなくなった。
兎と呼ばれた男は熟練のシーフ。
潤と呼ばれた女性が熟練の僧侶。
宝と呼ばれた男性は熟練の戦士。
エルと呼ばれた女性が熟練の魔法使い。
最後に白と呼ばれた男性は熟練のナイトだった。
「それより、やっと俺達の夢が叶えられるな」
兎は4人に言った。
「ああ、この日をどれだけ待ち望んだか」
宝が頷く。
「ごめんね、僕がなかなか称号を得られなくて」
白が深くため息をついた。
「それは言わない約束。
各々リアルがあるんだから」
エルは隣に座る白の背中を優しく叩いた。
「そうですよ。
それはこの夢を叶えると5人で決めた時に約束した事ですから」
潤も頷く。
「ま、なんにせよ。
俺達はやくやったよ。
まさか、目的の称号を得るにはそのホロメンのイベントを100種類もクリアしないといけないとはな」
「確かに最後の方は探すのに苦労しました」
「たまに一瞬で終わるようなイベントもあったし」
「かと言えば、フルパーティー組んで長時間なんてイベントもあったもんな」
「あったあった」
5人は称号を得る時の苦労話に花を咲かす。
「まぁ、苦労話はここまでにしようか」
兎はそう言って4人を見る。
「称号は今ここに5つ集まった。
次の条件。
【崩落した円形劇場】の場所だが…」
「それは俺達で見つけた」
宝が飲んでいた杯を置き、胸元から1枚の地図を取り出す。
「これは船長のイベントで手に入れた海図だ。
この中に【崩落した円形劇場】の場所が記されていた」
宝は海図のある場所を指差した。
「なるほどね、称号を得る為にイベントをクリアしていると自ずと分かるって事」
エルが海図を見ながら頷く。
「後はどうやって一万ものプレイヤーをその島に移動させるかだね」
潤が海図を見て言った。
この第3の町からだとかなり距離がある。
船で行くとしてもかなりの数の船が必要だ。
「その点は抜かりないよ」
白は笑顔で懐からいくつかの笛を取り出した。
「おい、これって」
それを見て驚く兎。
「そう、飛竜を呼ぶ笛。
それも大型飛竜だから、1度に500人のプレイヤーは運べる」
「どうやって集めたのこのアイテム、かなりのレア物でしょ?」
エル達が驚く。
「団長のイベントで、霊峰 封神山に登るのがあって、そこで飛竜の卵を見つけられたんだ。
それをギルドメンバーで育ててた」
「マジかよ」
白の言葉に宝が笑う。
「それで称号を得るのが遅くなってたんだな」
兎の言葉に白が頭をかきながら笑う。
「それと俺が集めた船」
「私も何隻か確保してるわよ」
「私も」
宝とエル、潤の言葉に頷く兎。
「よし、これで移動手段は確保できた。
後はプレイヤーの集まりだが」
兎は4人を見る。
「1ギルド目標の20万人だがいけたか?」
兎の言葉に沈黙する部屋。
そして、4人はみんな笑顔で各々OKを出した。
「もちろん俺もだ。
これでイベントが発生する」
「日時は事前に打ち合わせした日でいくね」
潤はカレンダーを表示する。
次に潤は【ファンタジー】の全体マップを表示する。
「集合場所だけど、全ワールドからプレイヤーさん達が来ると思うので、各ワールド間の門の前で白のギルドが飛竜と共に待機。
第3の町までこれるプレイヤーは、港に集合するように伝えて。
兎のギルドは【崩落した円形劇場】に前日入りして安全確保とエリアの準備を」
頷く兎と白
「私とエル、宝のギルドは港がかなりの人混みになるだろうから、列の誘導とトラブルがないように監視する役を」
宝、エルが頷いた。
「よし、それじゃ、イベントまで時間がない。
各々のギルドが協力して事に当たるぞ」
「わかった」
兎は杯を手に取り持ち上げる。
4人も各々の杯を手にした。
「我らの夢を叶える為に」
『我らの夢を叶える為に』
カチンと杯を合わせ中身を飲み干した後、5人は各々の行動にうつった。
程なくして、全エリアの各ギルドから告知を受けたプレイヤーに1通のメールが届く。
内容は【崩落した円形劇場】でのイベント参加の要請だった。
集合場所も明記されており、プレイヤー達は期待に胸を弾ませながらイベントの日を待った。
そして、イベント当日。
その日、【ホロライブワールド】史上初めて運営が慌ただしい日となった。
「第3の町、港周辺にプレイヤー集中。
処理落ちが所々出ています!」
運営のゲーム管理部の社員達が慌ただしく叫ぶ。
「【ファンタジー】の各ワールドに行く門にもプレイヤーが集中しています。
このままだと【ファンタジー】のワールドに異常が発生する可能性があります」
「【ホロライブワールド】からも警告が出ており、ワールドブーストの要請が出されています。
どうしますか、部長」
ワールドブーストとは通常決められた領域で運営している【ホロライブワールド】に対して予備に用意されている領域を追加で使う事である。
大規模イベントで人数が集中する際などに用いられるが、滅多な事では発動しない。
それもプレイヤーが起こすイベントで【ホロライブワールド】がこれを要請するのは今回が初めてだった。
部長と呼ばれたメガネをかけられた女性が【ファンタジー】の全体マップを見ている。
先程報告のあった場所が赤く染まっている。
(まさか、あのイベントを起こすつもりですか?
Aちゃん神から報告にあったあの5人。
とうとう、夢を叶えるんですね)
「直ちにワールドブースト発動。
【ホロライブワールド】に第一種緊急事態を通告。
【ファンタジー】の領域を増大。
それと、【崩落した円形劇場】のエリアに限定で領域を大幅に増やして」
「【崩落した円形劇場】をですか?」
部長の言葉に驚く社員。
「ええ、そう。
【ホロライブワールド】で高難度と言われてる、あのイベントを起こそうとしているプレイヤー達がいるわよ」
『ええ!』
社員達は驚き、そして、嬉しそうな悲鳴をあげる。
(お膳立てはこっちがしてあげるから頑張りなさい。
私達にもあの伝説をもう一度見せて)
部長は各エリアのズームアップ画面を見る。
そこには5人の有名ギルドの長達が忙しく動き回っていた。
「失礼します」
【崩落した円形劇場】の近くに作られたテントに慌ただしく1人のプレイヤーが入ってきた。
「魅惑の宝船、潤いの羽、エルフのゆりかごのプレイヤー移動まもなく完了です」
「失礼します」
もう1人のプレイヤーが入ってくる。
「白銀の剣。
プレイヤー移動終了しました」
「分かった。
下がっていいぞ」
『はい』
2人のプレイヤーがテントから出ていく。
1つのテーブルを囲む5人の目の前にある数字はカウントを続ける。
「あと少し」
目標の一万人までもう目の前だった。
そして、数字は目標の数を越えた。
『イベント【伝説の第三世代組】の条件達成を確認しました。
これよりイベントを開始します』
5人同時に機械音声が流れる。
「や、やった~!」
叫ぶ兎。
涙する潤、エル。
バシバシと白の背中を叩いて喜ぶ宝。
白は腕で目元を拭っていた。
「おい、行くぞ」
兎は4人に言う。
4人は頷き、5人はテントを出て【崩落した円形劇場】の裏へと向かった。
そこには崩れかけた門だけがあった。
しかし、扉は一切の損傷もなく閉ざされている。
5人がその門の前にくると、門に刻まれた5つのマークが光出す。
それはある5人組のマークだった。
開くはずのないその扉がゆっくりと動き始める。
扉の反対側には何もないはずなのに、門からは光が溢れ出してくる。
そして、門が完全に開いた。
門の奥は目映い光で溢れていた。
「まさか、本当にこのイベント条件を満たすプレイヤーが現れるなんて」
誰かがその光からゆっくりと現れる。
「驚きぺこよ」
現れた兎耳の女性は満面の笑顔で兎の前に立つ。
「宣言どおりって事ぺこか?
兎」
「はい、お待たせしました。
ぺこらちゃん」
兎は片膝を地面につけ頭を下げる。
「そんなかしこまらなくていいぺこよ。
いっつも固いんだから兎は」
ぺこらは兎を見て微笑む。
「潤。
約束を果たしてくれたのです」
続いて現れた小柄な女性は、潤の前に現れる。
「はい、るしあちゃん。
今日は目一杯楽しんでください」
潤は涙目でるしあを見ている。
「ありがとう。
いつもあのドームの中でみんなと会えないから、この日をすごく楽しみにしてたです」
そう言って隣のぺこらを見るるしあ。
ぺこらは照れくさそうにるしあを見た。
「ご苦労様。
エル、夢を叶えられたんだね」
ゆっくりと門から現れた1人のエルフがエルの前に現れた。
「いえ、まだ私達の夢はこれからですよ。
フレアちゃん」
「確かに、まだイベント始まってないものね」
エルの言葉にフレアが笑う。
「やっと、この日が来たかぁ。
船長待ちくたびれちゃったよ」
次に現れたのは海賊服の女性、宝の前で微笑む。
「すいません、船長。
大変お待たせしました」
宝がマリンに頭を下げる。
「ま、別にいいんですけど」
「何、プレイヤーさんに文句言ってるのあんたは!」
素っ気ない態度のマリンにぺこらが言った。
「べ、別に文句なんて言ってませ~ん」
「そうだよね、マリンは照れてるだけなのです」
「な、照れてません!」
るしあに顔を赤くしてマリンは答えた。
「お疲れ様。
そして、本当にありがとね」
最後に門から現れた女騎士は白の前に進み出た。
「だ、団長~」
「ほらほら、泣かないで白はギルド長なんだから」
ノエルは白の肩をポンポンと優しく叩いた。
「こうやってまた5人で何かをやれるのって本当に久しぶりだから。
団長本当に感謝してるよ」
ノエルの言葉に第三世代組は頷く。
「さ、あんた達は席に戻りな。
これからの進行はぺこら達が受け持つぺこですから」
ぺこらの言葉に5人は頷き、席へと向かった。
「本当にこのイベントが出きるとは思っても見なかったぺこ」
ぺこらの衣装が変わっていく。
「るしあもこの時を楽しみにしてたです」
るしあの衣装も変わる。
「自由と言ってもなんだかんだで、オリジナルAIの船長達って揃わないですからねぇ」
マリンの衣装も変わっていた。
「本当にるしあには寂しい思いさせてしまってるね」
フレアの言葉にゆっくりとるしあは首を横に振る。
フレアの衣装もあの懐かしい衣装になっていた。
「今日はせっかくここまで用意してくれたんだし、みんなで楽しもう」
ノエルもあのライブ衣装に身を包み4人に言った。
頷く4人。
そして、5人は【崩落した円形劇場】へと向かう。
一万人のプレイヤーが見守る円形劇場にはまだ明かりはついていなかった。
静まり返る円形劇場。
そんな中、一筋の光が空から降りてきた。
光が舞台に当たり、その中から女性が現れる。
次々に降りてくる光。
合計5本の光から現れた女性が舞台の中央に集まると。
光は1本の大きな光となった。
「あぁ~」
誰かがその光景を見て震えた声を出す。
まさしくその5人組の姿は夢にも見たあの衣装の姿だった。
「ずいぶん、またしちゃったぺこな」
「これから一時の時間だけど」
「船長達が君たちに最高の夢を見せてあげる」
「だから、最後までついてきて」
「団長達は絶対に止まらない!」
「まずは1曲目いくぺこよ!
せ~の」
『いんたらくとふぁんたじあ~!』
わぁ~!
大歓声が【崩落した円形劇場】を包む。
この日【ホロライブワールド】にあの伝説が甦った。
お待たせしました。
第三世代組のメンバーイベント紹介となります。
このイベントは始めでも書いているとおり、条件がかなりきついイベントとなっております。
到底1人ではやりとげられないイベントで、このイベントを起こした5人はパーティーを組んでいた時から、長い時間をかけて準備をしたそうです。
各目標を決め、新たな同志を集めて頑張った先にできたイベント。
参加したプレイヤー達はとても楽しめたと思います。
この他にも後2つこういったイベントがあると噂で聞いた事があります。
もし、そのイベントの情報が入りましたらまた更新させていただきます。
それでは、次回もお楽しみに