「よし」
俺は鍋の中にあるスープを一口飲み頷く。
思っていたより上手く出来た感じだ。
俺は鍋に蓋をして、取り出していた道具や材料をアイテムボックスに入れる。
(こういうところはリアルと違って便利だよな)
アイテムボックスに入れた食べ物は入れた時のまま保存される。
なので食料が腐ったり痛んだりはしない。
(しかし、色んな鳥の鶏ガラを使ってみたが、やっぱり現地の物を使うのが1番だな)
俺は今、【霊峰 封神山】に来ている。
そこにいる岩鳥と呼ばれるモンスターを狩って、鶏ガラスープを作っていた。
「あと、運良く手に入ったロング昆布、それにニンニクに生姜を入れた鶏ガラスープ。
これなら勝負できるはず」
目指すは【霊峰 封神山】の山頂にいるココ会長の元。
俺は気合いを入れ直して山を登り始めた。
今回、情報屋に情報を流す代わりにいくつかあったレシピの中でどれがいいか相談してみた。
しばらく時間がかかったが、ぼたんちゃんからもらった、【ラーメン風こってりパスタ】のレシピがいいのではないかという事になった。
それから俺は材料と道具を買い揃えて前回のイベントの続きに挑戦している。
ココ会長からの試練を上手くクリア出来たら、俺ははれて【ドラゴンナイト】になれる。
あれから自分なりにぼたんちゃんのレシピを研究していろいろと手を加えたりしてみた。
自分なりに上手くいっていると思うのだが、まだ、誰にも試食してもらってないのが心配だ。
ま、今はそんな事を考えていても仕方ない。
ここまで来たんだやれるだけやる。
それから夜になり、俺は一旦ログアウトした後、登山を再開した。
そして、昼前に目的の場所へと着いた。
「ん?
ああ、待ってました」
山頂にある巨大な岩の前で座っていたココ会長がこちらに気付き声をかけてきた。
「お待たせしました。
試練を受けさせてください」
「ええ、楽しみです」
ココ会長はそう言って指を鳴らす。
すると俺の目の前にキッチンが現れた。
「では、作ってください。
ちょうどお昼時ですし」
いつの間にかテーブルと椅子が現れ、ココ会長はそこに座っていた。
「分かりました」
俺はアイテムボックスから材料と道具を取り出す。
さぁ、試練の開始だ。
(まずは材料だ)
俺はアイテムボックスからじゃがいも3個、ニンジン半分、玉ねぎを1個取り出す。
じゃがいもはよく洗って皮を剥き芽を取る。
そして、輪切りにした。
次にニンジン。
洗った後、皮を剥きこれも輪切りに。
続いて玉ねぎ。
これも皮を剥いてから輪切りにした。
「さて」
俺はアイテムボックスから岩鳥の肉を取り出す。
一口サイズに切り分けた後、フライパンにオリーブオイルをひき肉を焼く。
鶏ガラスープの鍋に焼いた鶏肉と野菜を投入。
フライパンの半分ほどに鶏ガラスープを移した後、鍋を火にかける。
(さて、次だな)
小皿に岩鳥の卵の黄身を2つ取り粉チーズを振りかけ混ぜる。
そして、ラーメンどんぶりに醤油だれを作る。
醤油、砂糖、塩を入れて鶏ガラスープを少し加え調味料を溶かす。
鶏ガラスープの中の具材をチェック。
(よし、柔らかくなってきてるな)
火を止め少し粗熱を取る。
フライパンの方に火をつけ、パスタを投入。
このパスタははや茹でできるパスタで麺に小さい切れ目が入っている。
そのお陰で鶏ガラスープで茹でると麺にも味が染み込む。
俺はパスタを茹でながら今回の料理の最難関に挑む。
鶏ガラスープの鍋に蓋をする。
そして、俺は風の魔法を鍋の中に発生させ中で小さな竜巻を起こした。
鍋の中の具材が魔法によって切り刻まれていく。
「へぇ~」
ココ会長の声が聞こえたけど、意識を集中しておかないと、魔法で鍋まで切り刻んでしまう。
ハンドブレイダーがあればこんな作業は簡単だろうけど、俺が行ったお店にはそれがなかった。
そして、俺は苦肉の策として得意な風魔法を使う事にした。
ある程度風魔法を使った後、蓋を開けて中を見る。
(よし)
具材がポタージュのようになっている。
成功だ。
俺は鍋をかき回しながら先程の混ぜた黄身を回しいれていく。
その後よくかき混ぜ、弱火にかけた。
「さて、パスタは?」
パスタを一本取り、味見をする。
(うん、茹で上がってる。
さぁ、仕上げだ)
まず、醤油だれにとろみの付いたポタージュ状のスープを合わせる。
その後、パスタを取り出しスープに絡ませる。
そして、先に焼いてアイテムボックスに入れていた厚切りベーコンと茹でたほうれん草をトッピングすれば、【ラーメン風こってりパスタver.俺】の完成だ。
「出来ました」
俺はラーメンどんぶりをココ会長の前に置く。
箸とレンゲを一緒に出した。
「ラーメンみたいですね」
ココ会長はそう言って手を合わせた。
「いただきます」
まずはレンゲを手に取るココ会長。
(うう、ドキドキする)
ココ会長は一口スープを飲む。
「ドロッとスープですが、野菜がメインのお陰かスッキリと飲めます。
鶏ガラや鶏肉のお陰で濃厚さも出てますね」
それからベーコンをがぶり。
「うん、厚みのあるベーコンで食べ応えがあります。
ほうれん草もただ茹でただけのようですが、このこってりとしたスープが絡んで逆に味つけなしでいいです。
では、麺を」
どんぶりから取り出された麺にドロッとしたスープがよく絡んでいた。
モグモグ
「うん」
ココ会長がゆっくりと箸を置いた。
(一口だけ…
ダメだったか?)
「さて、採点をしましょう。
◯◯◯。
あなたにはこれを」
ココ会長はどこからかダチョウの卵より一回り大きな卵を取り出して机に置いた。
「こ、これは…」
俺はその卵を見て少し驚く。
「はい、【ドラゴンエッグ】です」
ココ会長はそう言うとニコッと笑った。
「という事は」
「◯◯◯、合格です」
「や、やった~!」
ココ会長の言葉に思わず叫んでしまった。
「まだまだ、改良の余地がありますが、あなたはこのパスタを一生懸命に作り上げた。
レシピ通りではなく色々と研究して作り上げたのが分かります。
だから、この卵もあなたのその一生懸命さで育ててください」
「は、はい。
ありがとうございます」
俺は机から卵もかかえて、ココ会長に頭を下げる。
ココ会長はそれを見てクスッと笑った後、俺の作ったパスタを完食してくれた。
俺はその後、ココ会長と別れて下山した。
これからドラゴンの赤ちゃんを育て立派な成竜にすれば俺ははれて【ドラゴンナイト】になれる。
これからが本番だ。
俺はそう自分に気合いを入れて卵を優しく抱きしめた。
大変お持たせしました。
桐生ココ会長のイベントの続きとなります。
今回はぼたんちゃんルートになりましたが、様々なルートが存在する事は解析で明らかになっています。
ちなみに自分で創作パスタを作ってもいいみたいです。
さて、今回のレシピは実際に作れる料理という事でTwitterの方で実際に作っておりますので、気になる方は見てみてください。
では、また新たな情報が入りましたら更新します。
※今回のレシピは実際の麺屋ぼたんのレシピではなく、ゲームオリジナルとなりますのでご注意ください。