【学園】卒業イベント『校長室の開かずの金庫』で、白上警部と会った事がある。
【学園】を卒業している。
【バーチャル】のギルド(ハ◯ーワーク)でクエストを20個以上クリアしている。
「ふぅ~
仕事終わりのコーヒーは上手い」
私は行きつけの喫茶店のベランダ席から、【バーチャル】の町を見下ろしなかがらコーヒーを飲んでいた。
【学園】を無事卒業して私はこの【バーチャル】でクエストを受けながら【ホロライブワールド】を楽しんでいる。
この【バーチャル】で受けられるクエストは、戦闘が発生するクエストが極端に少なく(クエスト中に戦闘になる場合もある)、探偵のようなクエストが多い。
(ま、迷子探しや、いなくなった犬猫探し、落とし物探しが多いけど)
「しかし、今回受けたクエストはなかなか楽しかった」
今回は犯人探しのクエストだったのだ。
「最後に犯人はあなただ!のセリフ。
かなり決まってたはず」
私はクエストを追い出して思い出し笑いをする。
しらない人が見たら変なプレイヤーに見えるかもしれないが、今はまだ朝早い。
この喫茶店にも人は少ない。
それにベランダ席なんて殆ど人が使わないから、悦に浸れるってものだ。
「おや?
そこにいるのは◯◯◯くんじゃないかな?」
「へぇ?」
いなり声をかけられて変な声が出てしまった。
私は声をかけられた方を見る。
「まさか、警部?」
「やぁ、久しぶりだね」
そこには【学園】卒業クエストの1つ『校長室の開かずの金庫』で出会った白上警部が、私と同じくコーヒーを飲んでいた。
「はは、噂は聞いているよ」
カップ片手に近づいてくる警部。
「え?
う、噂ですか?」
(何か噂になるような事をやらかしたか?)
私は恐る恐る聞き返す。
「そんなに恐縮する必要はない。
私の知り合いからは、【バーチャル】に名探偵が現れたと噂になっているよ」
警部はそう言って私の席に来た。
私は手のひらで空いてる椅子に促した。
「すまないね」警部はその椅子に座る。
「いえ、名探偵だなんて大袈裟ですよ」
(まじかぁ、そんな噂たってるんだ、私すご)
名探偵と言われて私は内心踊っていた。
「さて」
トンと警部がカップを机に置いた。
「そんな名探偵くんに少しお願いがあってね」
警部はそう言って私の方を見た。
「ここか…」
警部から指定された場所に私は来ていた。
トントン
ドアを叩くとゆっくりとドアが開かれて、女性が顔を覗かせる。
「どちら様ですか?」
「白上警部の紹介で来ました」
私がそう伝えると女性は大きく目を見開いてから、「どうぞ」とドアを大きく開けて中に入るように促してきた。
「失礼します」
私はそう言って家に入る。
「こちらにどうぞ」
女性に案内されて、私は応接間に通された。
「今、主人を呼んできます」
そう言って女性が部屋を出る。
1人残された私は応接間を見渡した。
金持ちとは言えないが、掃除の行き届いた部屋。
所々に調度品が置かれていて豪華てはないが品を感じる。
(まさか、ここに現れるとはな…)
私はあの時の警部の話を思い出した。
「なぞなぞ仮面?」
「うむ」
私の声に警部が頷く。
(なぞなぞ仮面とは神出鬼没のキャラで、多種多様ななぞなぞをぶつけては去っていくという本当に謎の人物だ)
「そのなぞなぞ仮面がどうかされたのですか?」
「ある家に予告状が届いた」
警部が机に1枚のカードを差し出した。
『明日の夜、あなたに謎をお届けします』
カードにはそう書かれていた。
カードの裏にはなぞなぞ仮面のマーク。
「えっと、なぞなぞ出しにくるだけなんですよね?」
私はカードを確認しながら警部に聞いた。
「そうだよ、普通は」
「普通は?」
私の言葉に警部は苦虫を噛み潰したような顔をする。
「物を奪っていくのだよ」
「え?」
警部の言葉に私は聞き返してしまった。
「もし、問題に答えられなかったら、家にある一番高価な物を奪っていってしまうだ」
「な、なぜそんな事を」
「分からない。
しかし、被害は出ていてこれで5件目になる」
警部の悔しそうな声。
(なぞなぞ仮面は物を盗っていくような人物ではないはず。
なら、偽物か?)
「そこで頼みというのは他でもない。
名探偵である君に、なぞなぞ仮面を捕まえてほしい」
「お待たせしました」
そう言って応接間に男女二人組が入ってきた。
私の前に座る男性は疲れたような顔をしていた。
その横で女性が支えるように座る。
「体調が優れないようですが?」
私の質問に男性が頷く。
「ええ、あの予告状が届いてから寝る間も惜しんでなぞなぞを調べておりますから」
男性は辛そうに答える。
(う~ん。
声かけずら)
「ご、ご安心を。
この私が来たからには、なぞなぞ仮面の好きにはさせません」
「ほ、本当ですか!」
私の言葉に女性が立ち上がる勢いで言ってきた。
「は、はい、ご安心を」
食いぎみな女性に少し腰が引けたが私は力強く答える。
「それで、白上警部は?」
「警部は別件があるそうで今回はこられないそうです」
「そうですか…」
残念そうな男性。
(ま、確かに警部に頼んだのに、見知らぬプレイヤーがいきなり来たらそうなるよな)
「それで、もしなぞなぞが答えられなかったら、盗られそうな物が何か分かりますか?」
(そう、もしもその高価な物を盗られないようにすれば、もし間違っても保険になる)
私の質問に男女は首を横に振る。
「それが分からないのです」
「分からない?」
「はい、これまで謎仮面が、謎を出した4つの家から盗んでいった物は、どれも高価な物とは言えませんでした」
(警部の話と違う?)
「ちなみに盗られた物を知っていますか」
「はい。
1つ目は、星が付いたとんがり帽子。
2つ目は、星の付いた靴。
3つ目は、星の付いたリボン。
4つ目は、紫の手袋です」
(確かに家にある高価な品物とは言えない気がする。
しかし、なんだ?
何か共通点はあるのか?)
「ちなみにこの4件の家とはお知り合いですか?」
「はい、その4件とは…」
「は~ははははは」
「な、なに!?」
男性が何かを言おうとした、その時いきなり高笑いが部屋の中に響いた。
女性は狼狽えて男性にしがみつく。
「誰だ!」
私は立ち上がり周りを見渡した。
しかし、誰もいない?
トントン
ドアを叩く音。
「は、はい」
私が答えるとゆっくりとドアが開いて「あ、失礼します」と言って何者かが部屋に入ってきた。
部屋に入った人物がこちらを向く。
「!!」
私はその人物を見た瞬間身構えた。
「おまえはなぞなぞ仮面」
「ふふ、よく分かったな」
Nと大きな文字の入った仮面を着けた人物が笑う。
ボイスチェンジャーでも付けているのか、声は機械的だ(ゲーム内です)
(しかし、私が思っていたなぞなぞ仮面とは少し違うような)
黒いタキシード姿なのだが、胸元が開いておりその豊満な胸が覗いていた。
「さて、予告状通りになぞなぞを出す。
しかし、正解しなければ、この家にある家宝をいただく」
「家宝だって?
そんな物」
「いや、ある!」
男性の声を遮り、なぞなぞ仮面が少し興奮気味に言った。
「本当にあるんですか?家宝」
私は小声で男性に聞く。
「いえ、心当たりなくて」
男性は困惑した顔で答えた。
「まぁいい、なぞなぞに答えられなければもらっていくだけ」
なぞなぞ仮面がこちらに向いて構える。
「私が相手だ!」
私は一歩前に出た。
「ほう、では行くぞ!
鳥は鳥でも、ゴミを食べる鳥はな~んだ?」
(え?)
私はきょとんとした顔をしてなぞなぞ仮面を見た。
(えっと、これってアレでいいんだよな?
なんかめちゃくちゃ引っかけとかないよな?)
「どうした?
分からない?」
フルフェイスの仮面の為、はっきりとは分からないがなぞなぞ仮面は笑っているように見えた。
「えっと、ちりとり?」
「…」
私の言葉に部屋が沈黙したような気がした。
「せ、せいかいだ!」
悔しそうに言うなぞなぞ仮面。
(え?
思ってたより簡単なのか?)
「じゃ、これで大丈夫…」
「第2問!」
「はい?」
またも言葉を遮ってなぞなぞ仮面が言う。
「2問目だと?」
「誰が1問だけと言ったかな?」
「く」
「次はもっと難しいぞ」
そう言って何やら手元の本をピラピラめくるなぞなぞ仮面。
チラッと表紙を覗くと、『なぞなぞ大百科』と書かれていた。
(今調べるんかい)
「つ、次の問題だ。
りんご、ぶどう、すいかを乗せたトラックがカーブで何かを落とした。何を落とした?」
(なんだ?
りんご?ぶどう?すいか?
どれが落ちたんだ?)
私は考えた。
(反対から読む?
読み方を変えればいいのか?)
ふと、横を見ると男性も困惑した顔で考えていた。
「ふふふ、どうした?
分からないのか?」
勝ち誇るように言うなぞなぞ仮面。
(くそ、なぞなぞを調べていたご主人も分からないみたいだし、これは万事休すか…)
「あ、あのう、それってスピードじゃないですか?
だって、カーブ前はスピード落とさないと危ないてすよ」
『あ』
女性の言葉に私とご主人は同時に声をあげた。
「く、せ、せいかいだ!」
「そ、そうだよな、危ないよな。
いや、そうだと思ってましたよ」と男性。
「いや、言おうと思っていたのを先に言われちゃいました」と私。
女性はそんな私たちを見てにこにこしていた。
「さ、さぁ、これでどうだ!」
私はなぞなぞ仮面を指差す。
「く、では、第3問!」
「まだ、あるのか」
「前から見ても後ろから見ても同じ動物はな~んだ」
「はい?」
(なんだ?
動物?
前から見ても後ろから見てライオンはライオンだし、象は象。
しかし、見え方は前と後ろでは違う。
なんだ、答えは)
ちらっと男女の方を見ると今回は分からないみたいで、2人とも悩んでいた。
(くそ)
「ふふふふ、これで家宝は私のものですね」
腕組して勝利を確認したように笑うなぞなぞ仮面。
「その答えは、キツツキです」
『な!』
予想しない場所からの声。
ゆっくりと中庭に続くガラスの扉を開けて、1人の人物が部屋の中に入ってきた。
青い覆面、青いズボンに黒マント。
(これはまさしく)
『なぞなぞ仮面!』
部屋にいた全員が声を揃えて言った。
(やっぱり初めに入ってきたのは偽物か?)
「やぁ、◯◯◯くん。
君が時間を稼いでくれたお陰で間に合ったよ」
「え?」
なぞなぞ仮面はこちらを向いてにこり。
「く、まさか本物が現れるなんて」
偽なぞなぞ仮面が焦る。
「それで答えはどうかな?」
なぞなぞ仮面が聞くと、偽物はがくりと膝を付き「せいかいです」と答えた。
「さ、今のうちに」
なぞなぞ仮面に言われて私は紐で偽物をぐるぐる薪にする。
そして、黒い覆面を外すとそこには「クロヱちゃん?」
「く、見るな」
「やはりキミだったんだね」
なぞなぞ仮面はクロヱちゃんを見下ろす。
「なぜ、クロヱちゃんが」
私の疑問になぞなぞ仮面が、家主の方を見る。
「答えは彼らだよ」
「え?」
私は家主を見る。
「事件のあった家とは知り合いでしたね?
どう言った知り合いですか?」
なぞなぞ仮面が私と同じ質問をする。
「はい、私どもは紫咲シオンちゃんの衣装担当のものです」
「あ!」
その言葉に私は驚く。
(それでか、盗られた物にどこか引っ掛かっていたん
だ)
「ゲーム内とはいえ、ホロメン達の中には専属の仕立て屋を持っている人達もいます。
この人達のように」
(なるほど、確かにこの人達にとっては毎回見る衣装で家宝にはならないけど、ある人達にとっては家宝になりうる)
「それで奪っていってたんですね」
「く」
クロヱちゃんが下を向く。
「それでは、わたしはこれで」
なぞなぞ仮面が入ってきたガラスドアに向かう。
「ま、」
私が声をかけようとした時、外でサイレンの音が聞こえた。
「わたしも捕まるわけにはいきませんので」
そう言ってなぞなぞ仮面は夜の空へとダイブした。
早朝。
私はいつもの喫茶店のいつもの場所で、コーヒーを飲みながら【ホロライブワールド通信】を確認していた。
「こちらは開いてますか?」
そう声をかけられたので見ると白上警部が立っていた。
「はい、どうぞ」
私は画面を閉じて警部の方に向く。
「ありがとう」
警部はお礼を言って座る。
「この前はありがとう」
警部はウェイトレスに注文して、私の方を向いて言った。
「いえ、何もしてないようなものです。
まさか本物のなぞなぞ仮面が現れるとは」
「ほう、じゃ、事件を起こしていたのは偽物だと初めから気づいていたのかな?」
警部は微笑む。
「ええ、だってあなたからの依頼じゃないですか。
それになぞなぞ仮面は神出鬼没。
予告状なんて、ね」
私がそう言うと警部は「ふふ」っと笑う。
私はその後、注文の品がきた白上警部と朝の一時を楽しんだ。
お待たせしました。
今回は白上フブキちゃんのイベントとなります。
【ホロライブワールド】にも存在するなぞなぞ仮面。
果たして彼女の正体は?
という事で、他にもなぞなぞ仮面が絡むイベントがあるようですので、興味がある方は探してみるのもいいと思います。
さて、告知通り次回が一旦この攻略情報の区切りとさせていただきます。
皆様にはご迷惑をおかけしますが、何卒よろしくお願いいたします。