「昔々ある所に人と魔法があった。魔法は人の夢であり夢は人の宝となった。人は夢を見る事で魔法が生まれ、現実を見た事で真実を知り、真実を知った事で夢が現実と成る。この物語は夢と現実と真実を巡って3つの国の世界を語る物語である。ってよ、知ってるか?この何処にでもよく知られているマスターハクチの絵本は出どころが不明だからこそ有名になったと言われているらしいぜ。」
そう言ってくる魔法学校の俺の同期のラースは俺にそんなつまらない
「知らねえよ。興味ねえし」
「相変わらず夢がねえなお前」
「夢なんてなくても生きていけるから必要ねえよ。」
そんな俺の言葉に「相変わらず変わらねえな」と俺を見るラースの顔は呆れていた。どんな魔法でも現実では無意味である事を"俺は"知っている。
どうしてって?それはどれだけ夢を追っても見える物は高く聳え立つ
「それでどうするんだよ。教会支部で見学をしながら聖職者を目指すか一般魔法の講座を受けて魔法使いになるかのどちらかだったよな。」
「聖職者なんてまっぴらごめんだよ。俺には魔法使いでその日その日の金稼ぎが性に合ってる。」
俺はトゥルー・シーカー、シーカー家の次男にして魔導国家インフォース唯一の魔法嫌いであった。この国には主に2つの魔法が存在している。1つは騎士や冒険者が使う破壊力重視の疾風属性魔法と聖職者専門の癒しの回復重視の蘇生属性魔法がある。この2つの魔法から分岐して身体速度を上がるバフ魔法や呪いや痛みを癒す祝福魔法を使う人達が存在している。因みに俺は疾風属性魔法を産んでいる。
さてと、俺はそろそろ家に帰るか。
戸を開けるとそこに広がる景色は酒瓶が机の上に並べて机に突っ伏して寝ている師匠の姿だった。
「師匠、起きてください。風引きますよ。教会の人から次2日酔いで来たら金払わないといけないんですから良い加減起きて下さい。」
俺が肩を揺さぶって起こそうとするが師匠はなかなか目を開けない。全くこの人はインフォースの中で1番図太い魔法使いって言われるくらいはあるな。
「んー、トゥルー?あら帰ってきてたの。っていうかアンタまた学校行ってないでしょう!出席だけでもしないと単位取れないわよ〜」
学校を中退したアンタには言われたくねえよって俺はそっと心の中で返しながらベッドに師匠を運ぶ。師匠は
「師匠だって魔法学校中退してるから俺に単位とか言ったって自分自身にブーメランを投げてるだけっすよ」
「私はドリームバッチをギルドで実力見せて付けてるんだから文句無いわよ。最終的に魔法学校卒業して貰えるドリームバッチは取得方法が何であろうと持っていればプロとして認められるんだから。その1番の近道を自分で切るのは愚か者って言うんだよ」
「へーへー、分かりやしたよ。ところで師匠は今日も仕事が来ないなんて今月も大家さんからドヤされますよ」
「その為にアンタがいるんでしょ〜トゥルー。アンタから授業料をがっぽり貰ってるんだから後数年はこのままでも問題ないわよ、それより今日はずっと寝てたから少し身体を動かそうかしらね。
師匠は床に転がっている酒瓶を部屋の隅に避けて少し広い空間を作る。
「前にも言ったけど魔法は詠唱が無いと威力が出ない。学校に出された教科書にも載っている通り詠唱を自分で作り唱える事によって夢を広げて魔法の威力を上げると言われている。詠唱無しは普通に魔法を唱えるのとは魔力の消費が大きいし威力も小さい事から詠唱は人の
「風並みの光を追う者よ、力と指揮を栄光に捧げ数多の風を引き起こせ!
俺は拳に疾風を纏い師匠に向けて空中で拳を放つが片手でいなされる。
「アンタ、相変わらず夢なんか見ないようにしてるの?懲りないわね。夢を見ない魔法使いなんてどんな詠唱を使っても魔法の威力は落ちるもんよ。魔法使いになんで目指してるのよ」
「それは将来金稼ぐ為に…」
「そんなの魔法使いにならなくたっていくらでもやろうとすれば食っていけるわよ。アンタ夢を見ないんじゃなくて夢を"見たく無い"だけなんじゃ無いの?」
「それは、……そうっすね。前の新人戦で負けてから確かに夢を見るだけ馬鹿だって思ってましたよ。でもその通りじゃないっすか!どれだけ自分だけの魔法を使ってもそれが俺より強い奴等に叶うなんて思えないっすよ」
そんな俺の言葉から師匠はため息を吐く。当然だ、こんな俺を面倒見るなんて余程の人じゃない限り呆れるに決まってる。
「ほら、外に出るから用意しな!」
師匠はそう言って扉を開ける。それから歩き続けて山の方に登り2時間経過しようとしていた。
「師匠、何処に行くんすか」
「別に決めてないよ。ただの成り行き任せだからね」
マジかよ。
「そろそろここら辺で休憩しようか、それで?アンタに自分の
「秘密の方法?」
師匠は一枚の紙を渡して来た。真っ白の何も書いていない紙とペンを俺に渡してニヤニヤしていた。
「アンタの夢を描くんだよ。なんでもいいからさ、魔法使いってのは言わば芸術家だからさ、その通り夢に合わせて
成る程、マスターハクチの書いてた本と同じく真実を知った事で魔法と成るか、世界を知る事で
「そういや師匠はこの後どうするんすか?」
「私も新しい魔法を作る為にここら辺を見て回るわ。こんな事あっちでの学生時代を思い出すわ」
そんな言葉を後に俺はスケッチをして見て回っていると、巨大な台風が海の向こうにある島の中心に見えた。
なんだあれ?巨大台風?にしては自然発生したとは思えない大きさだしやっぱ人為的に生み出された魔法なのか?でも、例え魔法だとしても絶景だな。
「よぉーし!俺もアレ出してえな。今のうちにスケッチしとこ」
そうして俺は魔法を学び学生時代を謳歌した。その後数年の月日が流れ俺は魔法学校を卒業してドリームバッチを得て"今に"至るんだがどうだ?俺の学生時代はこんなもんだ」
「ふーん、じゃあなんで叔父さんは魔法使いじゃないの?」
「叔父さん言うな。師匠言いなさい師匠って」
そう言ってくる魔法学校の学生服を纏った少女は机に座って足を左右に前後に振りながら俺に質問する。まあ、確かに今は魔道具店を開いてるが別に魔法使いを卒業した訳でもねえからな〜。
「別に魔法使いにはいつでもなれるさ、だけど今はゆっくりこうしてやるのが性に合ってるだけだよ」
「そっか、そういえば師匠そろそろ夕方だよ?店閉めなくて良いの?」
「そうだな、ちょっと手伝ってくれ。今日はシチュー作るぞ!期待しとけよ〜」
「じゃあ私ここら辺片付けてるから師匠はさっさとそこにある酒瓶片付けてよね〜」
俺は今この魔導国家インフォースではかつての師匠と同じ図太い魔道具店長と呼ばれているのはきっとあの人に似たんだろうな〜。師匠も師匠なら弟子の俺も俺ってか?うるせーわ!っていうか俺があの人に似たんじゃなくてあの人が俺に似てたんだよ。
ここから始まるのはこの俺トゥルー・シーカーがこの物語の根幹にある夢と現実と真実を巡って3つの国の物語が世界を巡って俺達を巻き込んでいく物語である。