ラファをぶん殴った後例の子供を店に連れて行った。
「なんで?」
「あ?
「なんで私を助けたの?」
「俺の知りたい情報をお前が持ってる可能性があるからだ」
「"情報"?なんの話?」
「"今"は気にしなくて良い。今日はもう遅い、寝て明日になってからまた話す。流石に俺も骨が折れそうだ。そういや、君名前は?」
「ユウシャノマチビト」
「ユウシャノマチビト?勇者の待ち人って変な名前だな。決めた、お前は今日からアイディール・シーカーだ、俺が養子に取った事にしとくから区役所に明日行くぞ、血のつながりが不明の養子を取るには区役所で戸籍を作った後に提出する必要があるからな、まあ悪魔の戸籍をこの国で作れるかは知らないが戦争孤児って設定にでもしてたら大丈夫か、見た目は頭のツノさえ隠せてれば問題ないしな」
「アイディール・シーカー、それがこれからの仮の名前なの?」
「仮の名前じゃねえよ。これからのお前の名前だ。俺の名前の由来は探究すべき
「分かった。これからは"アイ"として生きれば良いのね」
「違えよ、"お前はお前だろ"?アイは別人じゃねえよ。これから俺の本当の家族になるんだから、"アイ"の真実はお前だから"お前がアイ"になるんじゃなくて"アイがお前"なんだよ」
「よくわからない」
そう仏頂面でジト目で俺を見てくるアイは眠たそうに欠伸をした。
「今は分からなくても時期に分かるさ、そういやアイの家族は?お母さんとかお父さんとか」
「貴方が私の義父さんになるんじゃないの?」
「元々の話だよ。お前別の島からこっちに来たって聞いたぜ」
「分からない、気付いたら私の周りには白い服着てる人達がいっぱいでキョウコウ様から作られたって話は聞いた。だから私を産んだのはキョウコウ様なんじゃない?」
教皇様!?ちょっ、どういう事だよ。確か教皇は随分昔に死んでから誰もその地位に立ってなかった筈だし歴代の教皇はみんな男性だから隠し子?とんでもない事聞いたぜ、こればっかりは
「アイ、分かった。その教皇様の事は誰にも言うなよ?多分この国が揺れる程の事がバレたら起きてしまう」
「分かった。キョウコウ様の事は秘密ね、なら私は貴方をどう呼べば良い?」
義父親になったって事だし義父さんが無難か?でもちょっと俺的には違うんだよな〜、あ!そうだ、親子の師弟関係もこの世界じゃ珍しくないし師匠と言ってもらおう!
「アイ、俺の事は今日から師匠と呼ぶ事だ。良いな?」
「分かった叔父さん」
「誰がおじさんだ!まだ30行ってねえわ!」
「なんか顔のにやけ方が叔父さんぽい」
「うるせえ!俺の事はこれから師匠だ!分かったか?リピートアフターミー!」
「師匠さん」
「さんは付けたら変になるか師匠で良いよ。それじゃあ地下の部屋室にベッドあるから寝とけよ、お休み」
俺はそう言ってソファの上で転がった。いつの間にか目の前が真っ暗になって深く落ちるように眠った事から大分疲れてたんだろう。ゆっくり寝て明日頑張るか。
それから次の日になり俺とアイはこの日外に出て色々な事をアイに教えた。アイのツノを見つかるわけにはいかないのでカツラとマジックハットを被ってもらい仮にもうちの店は魔道具店なので取り扱いに注意しなきゃいけない物も数多く存在している。それも含めて色々勉強した後店に戻るとクタクタな感じで目を蕩けるようにベッドの上でアイが倒れていた。
「よう、これでほとんどの用事は済ませたな。昨日の今日だから疲れたろ。ゆっくり休めよ」
「うん、そういえば師匠は魔法使いなのになんで魔道具店やってるの?それだけの実力があるなら別に店を経営しなくても稼げるでしょ」
「残念ながらこっちの方が安全に商売が出来るし今はそうした方が都合が良いからそうしてるんだよ」
「都合?」
「そうそう、大人の都合だ」
「師匠の都合、昨日話してた私の持ってる情報の事よね」
「嗚呼、俺の探してる情報は俺の師匠の事なんだけどさ、名前はライオット・クルーガーって名前知ってるか?」
「知らない、その人の何を知りたいの?」
「十数年前に毒入りポーションを安価で騙して沢山買わせて暴動を起こしたって事で処刑されたんだ。でも師匠は最後まで自分はやっていないってずっと供述してた。もしかして何かの情報を揉み消す為に師匠を殺したんなら弟子の俺に真実を知る権利があるんじゃねえかって思って何年も探るとハイド教会っていうこの国の中枢を握っている組織に辿り着いたんだ」
「それで私をここに連れてきたのね」
「そう言う事だ」
「うーん、師匠は私のツノ触ってみて」
「え?嗚呼、良いけど」
俺はアイのツノに触れるととんでもない情報量が頭に入ってきた。それはこの世界の事、誕生の歴史、人間と悪魔の誕生の秘密、獣人達が作った伝承の知恵、あらゆる情報が頭に入ってから俺の意識は飛んでしまった。
目を開けると俺はベッドの上で横になっていた。
「大丈夫?」
そう言って俺の顔を覗いてるアイはつまらなそうに俺の顔を見ていた。
「嗚呼、問題ない。あれ?おかしい。さっきなんか頭に沢山の情報が入ったのに"思い出せない"」
「私のツノにはこの世界の歴史を作る為の力があるんだって、それでユウシャって人を呼び出すのに使うって言ってた」
「は!?勇者って!何世紀前の事言ってんだよ。魔王と勇者って昔話の伝承でしか聞いた事ねえぞ」
この世界には古来勇者を召喚した伝説があった。それを利用して悪魔の王である魔王を倒して世界を平和にしたがまた魔王が現れて勇者を召喚してを繰り返した結果最後の勇者は召喚した国を滅ぼしたとか、まあ御伽話だけどまさかそんな事が、今日は色々と疲れるな。
「アイ、それも内緒にしろよ」
「了解」
「それで、なんで俺はアイのツノに触れたのに思い出せないんだ?」
「不思議な石を持ってないと頭が許容出来なくて情報を破滅するように細工されてるんだって」
「ふーん、つまりそう簡単に情報は引き出せないって事か」
「うん、多分ね」
そう言ってアイは自分のツノを両手で抑えていた。
「アイは自分のツノを触っても平気なのか?」
「私はツノを触っても何も影響ないかな。でもみんなの言う情報も知る事が出来ないから師匠の役には立てないかも」
なるほどねぇ、まあアイの言う"不思議な石"を探す事を次は執着するのがベストかな。それまではゆっくりやるか。
「なあ、アイはこれからどうしたい?一応師匠って定義でこれから一緒に暮らすけど」
「特にやる事は無いかな」
「なら、今後はせめて自分の力で身を守れるくらいには力が欲しいから修行をするぞ!教会側はお前を必死に探してるだろうしな。遠征に行くぞ」
「遠征?どこに行くの?」
「悪魔の事は悪魔に聞いた方が手っ取り早いからな。魔王国家オーバーに行くって言いたいところだけど今あの国とインフォースは揉めてるから電動国家ホールドに行く、質問はあるか?」
「ホールドってどんな所?」
「知らねえのか?獣人が沢山いて色々な武術の流派がある歴史的な国で科学文明がどの国よりとっても発達してるんだ」
「科学文明?」
「そうだ、ろうそくに火を灯せば明るくなるだろ?」
「当たり前じゃん」
「そういう"自然の事象の論理"をこの世界では科学って言うんだよ。その国では興味深い本が沢山出版されてどの国でも成し遂げられなかった事を沢山やってきたいわばエリートの集まりだな」
「そこで私はどうやって力を付けるの?私悪魔だけど魔法は使えないよ?」
「そんなの承知の上だよ。アイが身につける力は武道、俺の師匠の師匠がそこに住んでいるんだ。その人に色々教えてもらえばいいよ」