仏頂面の社員   作:主義

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損をしている人

 

私の同僚に…損をしている人がいる。同僚と言っても役職で言えば彼はかなり先に行ってしまった。

 

その人は外見がとっても怖くて近づきがたいような人。本人も口数が少なくコミュニケーションを積極的に取るような人ではない。だからこそ、物調面でいることも多くて勘違いされることも多い。

 

口調は強かったり、目力が凄かったりするけど本人は決して怯えさせようとしている訳ではないんです。最初に私も話した時はとっても怖かった。でも話していくとこの人はいい人なんだなぁと分かった。人から勘違いされやすい人ってこういう人のことを言うんだろうなと思った初めての相手だった。

 

 

事務所の屋上に行くとそこには予想通りの人物が柵にもたれ掛かりながらタバコを口にくわえていた。私の姿を確認すると彼はすぐにタバコを箱に戻した。まだ火をつける前だったから。

それに彼は私たちの前でタバコを吸うようなことはしない。

 

 

「あの、マネさん」

 

 

「なに?」

 

 

「もう少し笑ったり出来ないんですか?……」

 

 

「笑う必要があるのか」

 

 

「そうじゃないですが…もうちょっと笑った方がいいですよ」

 

 

「…そうか…。努力はしてみよう」

 

 

「後輩にもマネさんが怖いんですが…どうにかやっていけますか?とか相談を受けたりするんですよ」

 

本当にいつまで経ってもこの相談だけは絶えることがないんですよね。絶対に新入社員さんが入ってきたら初っ端の相談はこれなんだよね。

 

 

「そうなのか…。やっぱり怖がられているのか」

 

 

「まあまあ、落ち込まないでくださいよ。確かにマネさんの外見は怖いですけど、接していけば優しいことに気付きますから」

 

 

「…………」

 

案外、繊細な人なんですよね。外見は怖いかもしれないけど、人に言われたことをいつまでも気にしていたりしているのを私は知っている。そんな話をしていると後ろから声が聞こえてきた。

 

 

「あ、マネさんにえ~ちゃん」

 

後ろを振り向くとそこには…そらがこちらに手を振りながら歩いてきていた。

 

 

「…ときのさん」

 

 

「なに~え~ちゃんと何話してたの?」

 

 

「オレが後輩に怖がれているという話」

 

 

「あ~確かにマネさんは怖いからな~」

 

少し笑いを交えながらもそらはマネさんが怖いことに同調した。今ではこんな風に笑って言えているけど、そらも最初の頃はかなりマネさんに怯えていたんだよね。まあ、その頃は私も一緒になって怯えていたけどね。

 

 

「やはりそうなのか」

 

 

「マネさんが怖いっていう相談は尽きることがないですから。それにしても、そらはなんでこんなところに?」

 

 

「あ、そうだった!!マネさんにお願いがあったんだ!」

 

 

「お願い?オレに?」

 

 

「…お願いというより相談かも」

 

 

「相談?それなら彼女の方がいいはずだ」

 

そう言って私の方に相談させようとしていたが、そらはすぐに首を横に振った。

 

 

「ううん。えーちゃんじゃなくてマネさんの方がいいの」

 

 

「……長い話?」

 

 

「うん。ちょっと」

 

 

「だったら今日の午後か。ときのさんは午後に予定入ってる?」

 

 

「うん!!全然大丈夫!マネさんの空いている時間で」

 

 

「それなら午後に」

 

その答えを聞いて、そらは満面の笑みを浮かべて去っていった。

 

 

ここまで見れば分かるかもしれないが、マネさんは一部のタレントからは絶大の信頼を寄せられている。特にホロライブがまだ有名じゃなかった頃から所属していたタレントの方に。

 

その理由もちゃんとあるんだけど語ると長くなってしまうから…今回は止めておこうかな。

 

 

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