俺はスタジオのマイクの前に立っている。こんなおかしいことが他にあるだろうか。俺は統括マネージャーという役職であってタレントではないはずだ。それなのにスタジオのマイクの前。
「それでは…お願いします!」
俺は台本に書いてある事を精一杯の演技で読み始めた。
そして全てが終わり…俺は休憩所のソファーに腰を下ろしている。こうなってしまった経緯は分からない。急に上司から「スタジオに行ってくれ」と言われて台本を渡されて読まされる。本当におかしい。
「どうでしたか?」
「……キミか」
「なにがですか?」
「全てを企んだのはキミか?」
「そんな怖い目で見ないでくださいよ。白上は皆の需要に答えてあげただけなんですから」
なにが需要だと言いたい。誰がスタッフのボイスに興味があるんだよ。普通、タレントの場合は自宅などでのボイス収録がほとんど。まず、スタジオでのボイス収録なんてない。
スタジオを借りるのもそれなりに金銭が発生する。まだ…タレントの収録物ならいいが、スタッフのボイスの収録なんかのためにスタジオを借りたと思うと本当にお金の無駄としか言いようがない。
「無駄だな」
「いいえ…絶対に需要がありますよ」
「ある訳ないだろ。逆に需要があった方が驚きだよ」
「…それは売上が出てからですよ」
本当にこれ…ただの黒歴史が量産されただけだろ。それ以外の何ものでもない。そして俺はあることに気付いてしまった。
「売上ってことはこれを世間に出すのか!?」
「出しますよ」
「おい、さすがに冗談が過ぎるだろ」
「白上は至って本気ですよ。マネさんのボイスは世間の需要があると白上は確信しています」
この狐は一体なにを言っているんだろうか。只でさえ、黒歴史なのに世間に出されたら本当に最悪だ。まじで恥だ。これから生きていく上で…このボイスが一生付きまとってくると考えると最悪の気分だ。
「絶対に売らない」
「いえ、売ります。白上は皆の需要に答えます」
「…血迷ったか…」
そして俺は必至に止めたが…最終的に出されることになったらしい。まじで赤字になっても俺は責任は取らないぞ。それに白上さんだけであれば…まだ止めようもあるが、これは会社ぐるみだ。
本当に収録した日からほぼ毎日悪夢にうなされている気がする。まじで何とかならないかな。どうにかして販売をやめさせたい。
―――――――――――――――
そら「フブちゃん、よくやったね」
フブキ「うん!白上たちのやる気を上げるためにもこれが必要だもん」
シオン「…シオンも欲しい」
すいせい「普通に売り出すんだよね」
フブキ「うん。元々、マネさんの声は良いからね。普通に売り出したとしてもそれなりに売上が見込めるし。そんな感じで上の人たちを説得したよ」
マリン「マリンも社員さんのボイスほしい~」
フブキ「発売は…来週だって。白上たちにはボイスを早く渡しても良いみたいな話もあったけど、推しのボイスを買うのはやっぱり普通に発売日がいいですし」
マリン「あ~その気持ちわかる」
すいせい「それにしてもよくマネさんにボイスを出させたね」
フブキ「うん。半場強制的な状況を作り出したからね。白上はどうしてもマネさんに出して欲しかったから」
to be continue