百鬼あやめ
社員さんのボイスが出ると知った時は叫んでしまいそうになったぐらいに驚いた余。だってそんなことをするような人じゃないのは余も知っているし。
余はずっと社員さんのボイスが売られるホームページに張り込んでいる。もしかしたら少し早く発売されるかもしれないし。あんまりボイスを買ったりしないから分からないけど…今回のボイスは少しでも早く手に入れたい。
「やっぱり…甘い言葉とかもあるのかなぁ…『だいすき』とか……///」
想像しただけで顔が熱くなってくる。
社員さんのイメージだと…絶対に『大好き』とか『愛している』とか言うようなタイプじゃない。もっと冷たい感じの人っていうイメージが強い。でも、シオンちゃんがいうにはとっても優しくて…頼れる人だったって言ってたんだ余。余は社員さんのことが大好きだけど、話したことは数えられるぐらいしかない。
そんなことを考えているとあっという間に販売時間になった。発売時間になるとすぐに買い物かごに入れてすぐに買った。そしてすぐにヘッドホンをして社員さんのボイスを最高の環境で聞けるようにと。最後に深呼吸をしてから再生ボタンを押す。
すると最初に聞こえてきたのは―――――――――
『大好きだよ』
その言葉だけで…余は悶えてしまった。たった一言なのにこんな破壊力があるなんて社員さんは本当にすごい。普段はこんなことを言わない人だからこそ……この言葉に価値がある。
『オレはキミのことが好きで溜まらないんだ。だからさ…抱きしめさせてくれ』
余は再生ボタンを押してボイスを止めてヘッドホンを取る。そして深呼吸をする。
「余も大好きだ余!」
これはあくまでボイスで社員さんが余にそう言ってくれているわけじゃないのは分かっているんだけど、それでも言わずにはいられない。
「このボイス…よい…」
何度何度も深呼吸をしてまずは心を落ち着かせてからヘッドホンを付けて…また聞くのだった。
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紫咲シオン
少し前のシオンだったら社員さんのボイスが出ると知っても別にそこまで関心はなかったと思う。そこまで話したことないし、シオンは別に社員さんのことを好きな訳でもないから。でも、今は違う。あの一件があってからは社員さんのことを好きになった。あんな風に優しくされたら逆に好きにならない方が難しいよ。
それでも…話し掛けに行けないという感じがずっと続いている。誰かに話し掛けるだけでこんなに心臓がバクバクと音を立てるのは初めての経験。
だから、社員さんのボイスが出ると知った時は飛んで喜んだ。さすがに社員のボイスが出るなんて今までなかったし、ちょっとは疑ってたりもしたけど社員さんであれば可能性はゼロじゃないと思っていた。だって社員さんのことを好きな人はシオン以外にもたくさんいるからね。
「それにしてもながい」
時計を見ると発売されるまでまだあと1時間もあるんだよね。もう彼是、4時間以上はパソコンの前で座っているから疲れたなぁ。夕食もお風呂も済ませて後は…社員さんのボイスが発売されるのを待つだけなのにな。
「明日は忙しいんだよなぁ」
発売される日が告知されたときに「まじかぁ」と口に出しちゃった。明日は朝から収録が合って本当ならもうベッドの中にいないといけない時間。だけど、今日だけはどうしても社員さんのボイスを聞かずに寝れない。どっちにしても気になって寝付けない。
シオンは何かしてないと落ち着けないんだよね。
「じゃあ…明日のサムネでも作っちゃおうかな」
そしてボイスが発売されるまでサムネを作っていることにした。それがシオンの大きなミスだった。シオンって一つに夢中になると時間を忘れちゃう。
『大好きだよ』
シオンは必死に悶えるのを我慢する。
「す、すごい…」
誰かに一言でここまで体が反応したのは初めてのこと。シオンの全身が社員さんの『大好きだよ』という言葉を喜んでいるみたい。
『キミを抱きしめたい』
「やば…」
シオンの感想はそれしか出てこなかった。だって本当にヤバいんだもん。どう考えても…やばい。これは社員さんのファンが増えちゃうんじゃと思っちゃうぐらいに…このボイスはいい。満足度がすごいし、需要に答えてくれている。
『オレを一人にしないでくれよ』
そして…シオンはヘッドホンを外して…ベッドにダイブした。枕に顔をうずめて悶える。
「良すぎるよ!!」
足をバタバタとさせて興奮を抑えられない。もっと聞きたいけど…これ以上、聞いたらシオンはもう戻って来れなくなっちゃう気がするんだよね。
「はぁ……社員さんってすごい…」
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宝鐘マリン
『大好きだよ』
「船長も…大好きですよ」
社員さんを好きになってからマリンは全て変わっちゃった。社員さんの全てを知りたい。そんな欲に駆られるようになって…もう歯止めが利かないような状況。
そんなマリンにとって今回の…社員さんのボイスは朗報中の朗報。発売してすぐに買って、十個もボイスを注文した。もちろん、聞くのは一つだけど、これの売上によっては次の発売も検討するみたいな話をしていたってフブちゃんが言ってたし。絶対に次も欲しいし。
『オレを愛してくれるか?』
「マリンも愛しているよ」
『ありがとな。オレもお前のことが世界で一番好きだよ』
「………///」
これがボイスだってのは分かってるし。本当の社員さんはこんなことは絶対に言わない。それでも…やっぱり綺麗な夢を見たい。自分が社員さんの彼女になった気分を味わえるのは…まじで最高。
『オレの女になってくれてありがとう』
「はぁ…はぁ…はぁ……」
まじで…マリンって社員さんのことが大好きなんだ。別に一目惚れってわけでもなくて、最初はすごく『怖い人』だなぁと思ったぐらい。それから何度か打ち合わせとかで一緒の席になることはあっても面と向かって話したことはなかった。
初めて話したのはマリンがハンカチを落として社員さんがそれを拾ってくれた時だった。今でもその時の会話は鮮明に覚えている。
「落としたよ」
「あ、ありがとうございます」
「ああ、今度は落とさないようにな」
初めて話したのはとっても短い会話だった。その時に手が触れて…その瞬間にマリンは恋に落ちてしまった。それが恋から愛に変わって…今に至る。
『お前のことが世界で一番大好きだ』
そして最後にマリンは…ノックアウトされて意識を失ってしまった。
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雪花ラミィ
「は、はやく…ききたい!!!」
ラミィは無意識に貧乏ゆすりをしてしまっているぐらいに…待ち遠しい。あの怖い社員さんのボイスがどんなものなのか素直に興味がある。それに今日の配信でも…社員さんの話題は何度かした。まず、裏方の人なのにコアなファンには知られている。あくあ先輩の逆凸待ちに出てからは知名度も上がったみたい。
雪民さんの中にも…ボイスを買うっていう人もいて驚いちゃった。ホロメンの中で買うって話はそこら中から聞くけど、ファンの人も買うんだと素直な驚きだった。
「…優しい人ではあるんだよね」
第一印象は怖い人というイメージしかなかったけど、話してみると優しさが溢れている。しっかりとホロライブメンバー一人ずつのことをよく知っていて…円滑に回そうとしているのが伝わって来る。
『大好きだよ』
「…え…ど、どうなってんの!」
この甘い声が社員さん…なんて。百人に聞いたら百人がイケボと答えるような声。
『やっぱりオレの女はお前だけだ』
すご……驚きすぎてヘッドホンを投げそうになっちゃった。
『オレはキミのことが好きで溜まらないんだ。だからさ…抱きしめさせてくれ』
「…抱きしめるよ…」
これじゃあ…マリン先輩とかはもうダメだろうな。只でさえ、社員さんに並々ならぬ想いを抱いている人なんだし、こんなボイスを聞いたら失神していたとしても仕方ないかも。
『お前って本当に可愛いな』
「……は、はんそく……///」
普段の社員さんを知っているからこそ余計に…脳がバグる。いつもの社員さんはこんなことを言うような人じゃない。
「急にそんなこと言われたら…恥ずかしいに決まってんじゃん!!」
こんなのホロメンの中に耐えられる人なんていないやろ。
『お前のことが世界で一番大好きだ』
「…まじで…すきになっちゃいそう……///」