仏頂面の社員   作:主義

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統括マネージャーの趣味

 

兎田さんの家に行って何があったかと言えば…それは実に簡単で企画の説明だった。そんなことであればあそこで話してくれればよかったんじゃないかとも思ったが、その企画の内容がそれなりにヤバかった。

 

 

オレに掛かる負担の量が尋常じゃない位に大きいし。

 

 

 

 

それに下手したら企画がボツになる可能性だって全然ある。

 

 

 

 

だが、統括マネージャーという仕事に付いている以上はタレントからの願いはなるべく叶えてやる。それが如何なるものであったとしてもだ。

 

なのでオレは兎田さんの提案を飲むことにした。

 

 

 

 

それにしてもまさか…オレが口説き落とせるかみたいな企画……。

 

タレントを口説き落とすという行為が本当にいいのかについては後で色々と話し合うとしても、オレがタレントを口説き落とさなくちゃいけないというのが一番ハードルが高い。

 

 

それに口説き落とすという行為自体が相手に少なからず好意を抱いていないとやる気にすらならないのに…。

 

 

オレはため息を付きながらも仕事をするのだった。

 

 

―――――――――――――

 

 

特別な趣味。

 

コスプレ。

 

だけど…イベントに参加していたがホロメンの誰かにバレる。

 

 

オレには誰にも言えない趣味というものがある。もし、これがタレントや同僚にバレたら一生言われ続けるのは目に見えている。そしてそれはオレにとって最悪の状況だ。

 

 

 

そしてその趣味とは…コスプレだ。コスプレをしてイベントに参加することも全然ある。だけどこの趣味のことに関しては誰にも言ったこともない。この仏頂面の所為でコスプレという真反対のことをしているとバレたら…色々とからかわれるからな。

 

そして今日もイベント会場に来ていた。真夏にコスプレというのは薄着であればいいが、厚着だとかなりキツイものがある。だが、その暑さに耐えるのも一つの醍醐味と言っても良い。まあ、涼しいに越したことはないが。

 

 

 

オレがコスプレをするのは有名ゲームのラスボス役の男。その男はゲームをしている頃から…なんか誰かに似ているように感じていた。顔の表情が滅多に動くことをせず、感情が読めない。

 

オレの性格に似ているんだ。ラスボスのことをなんか好きになっちゃったこともあってコスプレをする。自分が思っているよりもこのコスプレはかなり好評だったようで。

 

 

「あの写真を一枚お願いしてもいいですか?」

 

 

「構わんぞ」

 

なるべくキャラに成りきって承諾する。こういう時はしっかりとなりきることが大事だ。変に恥ずかしがったりするとコスプレイヤーとしてもだめだし、ただ恥ずかしいだけだ。この場に来ている人たちが求めているのは本当に演じているコスプレイヤーだ。

 

 

 

 

 

 

それからも写真撮影をしてもらってある程度終わると休憩のために休んでいる。さすがにもう一度メイクから全てやるのは面倒なのでコスをしたまんま。

 

「おい…まじかよ」

 

オレは周りの誰にも聞こえない位の声で呟いた。でも、仕方ないだろ。だってオレの視線の先にはこの場に絶対に居て欲しくない人たちがいる…。

 

それはオレが働いているホロライブのタレント。

 

 

「湊あくあ、百鬼あやめ、紫咲シオンかぁ…」

 

ここでバレたら絶対に揶揄われることになる。バレるのだけはどうしても避けたい。それにちょうどよく、オレは休憩中で影を薄くしていればバレずに素通りしてくれるのではないかという期待。

 

それにここに来たということはイベントの方に興味があるんだろうし、コスプレイヤーと写真を撮ろうとは思わないかもしれない。イベントに参加する人たち全員がコスプレイヤーと写真を撮るわけでもないんだしな。

 

 

 

 

そしてオレは三人が過ぎていくのを待っていたが、なぜか三人は辺りをきょろきょろした、そして結果的に三人はオレが休んでいる方向へと歩いて来るのだった。そのまま直進していけばイベントの会場なのに…。

 

ここは動かずにいこう。変に逃げようと行動すれば目立ってしまうはずだ。

 

 

「あの…ちょっといいですか?」

 

 

「なんだ?」

 

 

「ここまでの行き方を教えて欲しんですけど…」

 

そう言いながら湊さんは地図を見せてきた。それぐらい携帯とかで調べろよと思ってしまったが、オレはバレないように細心の注意を払いながらそこまでの道のりを教えた。

 

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 

「シオン、このキャラ知ってる!」

 

 

「余も知ってる。最近ゲーム配信でやったし」

 

 

「そうだよね。折角だし、シオン一緒に写真を撮ってみたい~」

 

 

「余も!」

 

いや、早くどこかに行ってくれよと思ったが、もうあとは穏便にどこかに行ってくれるのを待つしかない。そのためには彼女たちの要望はなるべく叶えておくべきだ。

 

湊さんが恐る恐る、オレに対して聞いて来る。

 

 

「い、いいですか?」

 

 

「構わない」

 

なるべくキャラの口調に似せながらしゃべる。さすがに普段のオレの声との違いでバレることはないだろ。

 

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

 

二人の望みを叶える形でオレは写真撮影をしてきた。別に問題はなかったが、一つだけ気になることがあるとすればそれは紫咲さんと百鬼さん、湊さんが写真撮影の位置のことで少し言い争いのようなものになっていた。そんなにこのキャラクターのことが好きなんだとしたら…話があうなと考えながらオレは三人の言い争いを見ていた。

 

 

そして写真撮影が終わるとオレは湊さんに行き方を教えて彼女たちは去っていった。どうやらただこのイベントに参加するために来ただけらしい。

 

 

「オレの取り越し苦労だったか…」

 

 

―――――――――――

あるイベントに参加する予定の三人

 

 

 

 

「それにしても社員さんってコスプレの趣味があったんだね」

 

 

「それは余も驚いた!」

 

 

「マネさん…似合ってた…」

 

 

「確かに似合ってた…っていうかまさにそのものって感じ」

 

 

「あ、あたし…間違えて『マネさん』って呼びそうになっちゃたもん」

 

 

「それはまずいですよ。余たちのことがバレちゃったら社員さんが恥ずかしさとかで死んじゃうかも」

 

 

「たしかに!!絶対にシオンたちにバレたくなさそう!!」

 

そんな話で三人は盛り上がっていたのだった。

 

 

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