「トワ、この洋服だったらいいんじゃない?」
「違うよ。こっちの方が絶対に似合うに決まってる!」
そんな風に話している、少し遠い所でオレは見守っていた。
今まで休日だとしても外に出ることをあんまりしなかった。だって外に出る必要もないし、何よりも面倒だ。でも最近、少しずつ年を重ねていく内にこのままで良いのかと考えるようになった。いつかは何もしなくても体は衰えるものだが、このままだとあんまり運動もしてないから老人になってかなり苦労した生活を送ることになりそうだ。
そんなこんなで『ジム』に行くことにした。そしてまずが申し込みをしないことには始まらない。
外に出て気付いたことがあった。
「そろそろクリスマスか」
クリスマス時期になると町全体がクリスマス一色になるのは分かっているが、もうか。時間が経つのは早いな。そんなことを考えながら街中を歩いていると…路地裏のようなところで男女が争っているところを目に入る。別に知らないような人であれば関わらないのが普通だが、今回に関してはどうやらそうもいかないようだ。なぜなら、その揉めている女性の方がオレのよく知っている人たちだから。
そして何よりも外で見ている以上は…二人が男たちに絡まれたという感じか。プライベートは関わらないんだけどな。溜息を吐いてからオレは路地裏へと足を進めた。
「ねぇねぇ…一緒に行こうよ~」
「だからやだって…」
「トワたちはお前たちとか遊ばない!」
「いいじゃない~~」
「ちょっとだけだからさ」
「ねぇ、ちょっと」
「あ、なん………」
明らかに男は僕の方を向いて怯えていた。何でと思って後ろを振り返ってみると、そこには僕よりも全然背の高くて明らかに初対面であれば絶対に逃げたいと思えるような男性が立っていた。
「悪いが…この子たちは連れなんだ。だから諦めてくれないかな」
「あ、あ、はい!!!わ、わかりました!!!!す、すいませんでした!!!!」
そう言って男たちは走り去っていた。僕はそんな男たちの背中を見ていた。
「あ、ありがとうございます。マネージャーさん」
「本当にありがとう」
「ああ、別に問題ない。こういう時は顔が怖いのが役に立つしな」
それだけ言って立ち去ろうとする、マネージャーさんの腕を自然と掴んでしまった。
「あ、あの…どこに行くんですか?」
「いや、ちょっとジムに用があって予約に行くところだ」
「そ、それなら僕たちもいいですか!??」
「ち、ちょっと何言ってんの、かなた!」
「だ、だってさっき見たいなことがまた起こったら…僕たちだけじゃ対処できないし…」
あんな状況になると僕は何も出来ない。恐怖の方が上回っていて体が何も動かない。
「オレは別にどっちでもいいぞ」
「じゃあ、お願いします!!」
――――――――――――
オレは天音さんと常闇さんと一緒にジムに行き、予約を済ませた。そこでオレは帰るつもりだったが、時間的にもそろそろお昼の時間ということになって喫茶店に入る事になった。
そこでオレが頼んだものに目の前に座っている、二人は驚きを隠せていない感じだった。
「スイーツパフェ!?」
「ああ、何か悪いか?」
「悪くはないけど、マネージャーってそういうの食べるんだ」
「うん。僕も思った。もっとがっつり『ハンバーグ』でも頼むかと思っていたから」
オレの顔的にそう思っても仕方ないか。
「オレはあんまりガッツリはいかないな。年もあるが、元々そういうものよりもスイーツ系が好きだからな」
「へぇ~~意外」
そしてお互いに食事を済ませて、次に向かったのは服屋。オレとしてはそんなところに用はないが、二人に引っ張られる形で連れていかれた。
「ここは男物の服屋じゃないのか?」
「そうだよ」
「なぜ?」
「だって…マネージャーってあんまりオシャレに興味なさそうじゃん。それに元はいいんだから、オシャレすればすっごくモテるとトワは思うんだけどな」
「別にモテたくないし、オシャレは面倒に感じるからな」
「だめですよ。僕みたいにオシャレな服を着こなせるようにならなきゃ」
天音さんはそう言って後方で腕組みをしている。オレの記憶が正しければ、天音さんは決してオシャレな感覚は持っていなかったと思うが。
そしてそれからは想像できる人も多いかもしれないが、顔が怖い人を着せ替え人形にして今時の可愛い二人が楽しんでいた。
「さすがにそろそろ疲れた。もういいんじゃないか」
「ダメです」
「まだダメ」
この二人はまた服を探しに行った。そして数分して戻って来る時には両手に服が抱えられている。オレはその状態を見て…天井を見た。
「一体いつまでオレは……」