これまで読んで下さった皆々様、感謝感謝です。これからもご愛顧いただれば幸いです。
ところで、一夏ってラウラの過去(アドヴァンスドのこととか)について知らないと思うんですよね。知ってたら原作12巻であんな風になるとは思えないですし。というわけで、本作では知らない体でお願いします。(感想欄からの逃避)
闖入者がやってきたのは、私と織斑千冬との問答に終わりが近づいてきた時だった。
――ギィィィ……
誰も来ないだろうと、閉め切っていなかった扉が開く音とともに現れたのは、
「織斑!? お前、ここは立ち入り禁止区域なのを分かって……!」
私のことを見えないように立ちはだかり怒鳴り声をあげるが、
「千冬姉、俺はそいつと話があるんだ」
「いち、か?」
その男はするりと横を抜け、そしてそのまま、一言も発せずに私の前に立った。
「ふんっ、私の顔を見て、声も出ないか」
「……」
「どうだ、似てるだろう? 貴様ご自慢の姉に。それはそうだ、なぜなら私も、織斑千冬も、そしてお前も「やめろ! 黙れ!」
千冬が遮ろうとするが、もう遅い。
「私たちはみんなツクリモノ、人間ではないバケモノなんだからな」
「あ、ああ……」
よほど知られなくなかったのか、千冬が膝から崩れ落ちる。ふふっ、さあ出来損ない、お前はどんな顔を見せて――
「だからどうした」
「「は?」」
予想もしていなった返答に、私はおろか、千冬ですら唖然としていた。
こいつ、私の話を聞いてなかったのか!?
「貴様は人工的に作られた、バケモノ――」
「だからなんだって言ってんだ」
「貴様……っ」
何なんだこいつは……!? なぜ、動揺しない!? 自分が人間でないと、バケモノだと知って、どうしてそんな平然としていられる!?
「……そうか、貴様、私の話を信じていないんだな? それはそうか、そんな話――」
「
「なにっ!?」
「一夏! お前、どこでそれを……!?」
「ごめん。実は千冬姉とそいつ、マドカが話しているところ、聞いちまってたんだ」
「え……」
「それなら、なぜだ……なぜそんな平然としていられる! これまでの自分を否定されて、なぜ……!」
「否定されてなかったよ」
そう言い返してきた奴は、なぜか苦笑していた。
「本当はな、俺も怖かったんだ。自分が人間じゃないって知って、バケモノなんだってな」
「ならば……!」
「けどな、そんな俺に、
「は……?」
なんだ、それは? そして誰だ、そんなことを言ったキチガイは……。
「そして言われたよ。『お前は織斑一夏以外の何者でもねぇ』ってな」
「宮下……」
話の流れから、千冬はそいつに心当たりがあるのか、同じように苦笑していた。
「俺は俺だ。そして――」
「……ざけるな……」
「ふざけるなぁぁぁぁ!!」
「貴様に分かるか!? 計画が頓挫し、廃棄処分されかかった、あの時の恐怖を! なんとか生き残りながらも、あてもなく彷徨う孤独を! ドブネズミのように這いずりながら、生きるために泥水をすするしかない惨めさを!」
なんだ、この茶番は!? こんなことを見せられるために、私はあの地獄を生き延びたわけじゃない!
「……」
「貴様には分かるまい! 織斑千冬という後ろ盾に隠れてのうのうと生きてきた貴様には! 誰にも求められず、認識すらされない。そんな人生など……!!」
「分かる、なんて言えない。そんなこと、お前への侮辱でしかないだろうからな。だから――」
やめろ、来るな……!
「お前は織斑マドカだ。俺がそう決めた。誰にも否定はさせねぇ」
「あ……」
「一夏……」
どう、してだ……どうして、涙なんて……。
「千冬姉も、いいよな?」
「ここまで確認する馬鹿がいるか」
まるで観念したかのような顔をして、千冬もこちらに近づき、奴の頭を撫ぜる。
「すまない。私達のこと、言い出せずに」
「いいよ。俺は千冬姉の立場だったとしても、同じように言い出せなかっただろうから」
「強くなったな、一夏……私も腹を括ろう」
そう言って、千冬は私の後ろに回り込む。少しして、腕の拘束具が床に甲高い音を立てて落ちる。
「……いいのか? 私が逃げる可能性だったあるんだぞ」
「言ったろ、腹を括ったと……信じてみるさ、お前を信じた一夏を」
とんだブラコンだな、織斑千冬は。弟の戯言を信じて、テロリストの拘束を解くなんて。だが……
「そういうわけだ、これからよろしくな!」
そう言って伸ばしてきた手を、
「……ふんっ、覚悟しておけ。私がお前より優秀だと、『織斑』にふさわしいと知らしめてやる。後になって無様に泣き喚いても遅いからな」
私は恐れも躊躇いもなく、握り返していた。
ーーーーーーーーー
一夏の、いや、織斑の秘密を知った翌日、俺は4組の教室で半ば力尽きていた。
「だ、大丈夫? 宮下君」
「平気だ~……」
隣の席から心配する声が聞こえてきたから返事だけはしたが、正直辛い。
「陸が悪い」
「ええっ、更識さん、何があったの?」
「昨日篠ノ之博士が来て、本音の専用機について明け方まで盛り上がってた」
「「「「「「
解せ……る。今回は俺もまずいな~とは思ってた。まさか、束がナインテール・セラフの荷電粒子砲、通称・天使砲に興味持つなんて想定外だったんだよ。『なんかビビッときたぁ!』とか言い出すし。
「SHRを始めますよー」
エドワース先生が入ってくる。もうそんな時間か。
「今日はみんなに、サプライズがありまーす」
――ざわざわざわ……
「サプライズ?」
「なんだろ?」
「このクラスに、転校生が入りまーす!」
「「「「ええ~~~!?」」」」
転校生!? 昨日1組にクロニクルが入って、次はここかよ!?
「それじゃあ、入ってきてー」
そして、先生の合図で入ってきたのは……
「……はぁ!?」
「え……」
俺と簪は、仲良くフリーズした。
「織斑マドカだ。1組の織斑一夏は遠縁の親戚筋に当たる。あのボンクラよりは有能だと自負している。年齢は気にするな、飛び級というやつだ」
「「「「ええ~~~!?」」」」
転校生――あのサイレント・ゼフィルスに乗っていた、織斑先生似のテロリスト――の自己紹介を聞いたクラスメイトの絶叫で、マジで教室が揺れた。
「お、織斑君の親戚ぃ!?」
「ていうか顔、織斑先生ソックリじゃん!」
「千冬様の面影が……! 急いで崇拝準備しないと!」
おい待て最後の奴!
「みんな、仲良くしてあげるように」
「「「「は~い!」」」」
簪の方を見た。鳩が豆鉄砲を食ったような顔になっていた。たぶん俺も、あんな顔になってるんだろう。
そして思った。
(何こっちに面倒事押し付けてんだよてめぇらでちゃんと引き取れや織斑姉弟ぃぃぃぃぃ!!)
ーーーーーーーーー
――アメリカ西海岸、サンフランシスコ沖20km
「ちっ……!」
しつこく追撃してくるラファールの中隊に、『ゴールデン・ドーン』に乗った私は無意識に舌打ちしていた。
きっかけは、幹部会が女権団の残党共に乗っ取られたところから。
IS学園襲撃失敗に対して、予想通り幹部会は荒れた。そこで女権団の無能共が一掃されれば良かったのだけれど、まさか責任追及をさらりと躱すどころか、逆に旧勢力を粛清するなんて思っても見なかったわ。
そして残った無能共が立てた作戦で、今度はオータムどころか、エムもがサイレント・ゼフィルスごと虜囚の身となってしまった。最悪よ……。
しかもその無能共、古巣の女権団へ復帰する望みを持っていたのか、拠点とかの秘匿情報まで向こうに流して……! その結果がこれよ! あっちは最初から、事の成否に関わらずこちらを切り捨てる気だったのよ。
そして私はセーフハウスを追われ、女権団がリークした情報で出動したIS委員会の直属部隊と、海の上で追いかけっこをするハメになっているわけ。
ラファールごとき、このゴールデン・ドーンなら簡単に倒せる。けれど、中隊規模の数を相手にするのは分が悪い。今は逃げるしかないわね……。
(無事でいて、オータム……)
私は追撃から逃れつつ、オータムがいるであろう、IS学園の方角へ飛び続けた――
やっと終わった~……! ワールド・パージ編、終了でございます。
マドカ、学園に通うってよ。さすがにクロエが入った直後に追加はあれなので、オリ主と簪に面倒見てもらいましょう。そこまでの流れが無理やり過ぎる? カンニンシテヤァ…
スコール・ミューゼル、太平洋横断・チキチキISレース(ドボンもあるよ)。『モノクローム・アバター』が名実ともに壊滅状態なので、ここらで亡国機業には消えてもらいます。女権団へのヘイトが高まるぅ……!
次回からギャグの宝庫、秋の大運動会編です。今章で不足してた分を取り戻しますよぉ。
米秘匿空母への潜入? あったねぇ、今作ではやらんけど。