俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

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評価バーが、赤い……?
Σ('゚д゚'il!)ファーッ!?
高評価ありがとうございます!

まさか、緑評価から始まった本作が、赤評価になる日が来ようとは……。
今後も、『俺ヒルデ』をよろしくお願いいたします。
m(_ _)m


第104話 織斑のランチ~天国と地獄~

午前のプログラムが終了して昼休みに。学園外縁部のリラクゼーション・エリア――要は広場だな――にいつもの面子が揃っている。

でかいレジャーシートとはいえ、10人(俺と箒達5人に、陸、更識さん、楯無さん、のほほんさん)も座ると、なかなかに手狭だ。マドカとクロエさん? あの二人なら

 

「はいマドっち、あ~ん」

 

「ばっ、自分で食べれる!」

 

「も~、そんなこと言わずに」

 

「だからもごごごごっ」

 

「さぁくーちゃん! 一緒にお昼にしよう!」

 

「た、束さま……」

 

マドカはクラスメイト達に餌付け(強制)されてるし、クロエさんはバスケットを持った束さんに連れていかれた。

 

そして俺達なんだが……

 

「~♪」

 

「ぐぎぎぎ……!」

 

「いいなぁセシリア……」

 

「くそっ、まさかやつの指揮する騎馬があれだけ動けるとは……!」

 

俺の左隣を上機嫌で陣取るセシリアを、他のメンバーが悔しそうな顔で見ている。なんでも、騎馬戦で一番ハチマキを取った奴が、俺の隣に座る権利を得られるんだとか。俺の知らない間に、そんな賭けしてたのかよ……。

そして向こうは向こうで

 

「~♪」

 

「簪ちゃん、その席――」

 

「お姉ちゃんでも譲れない」

 

「りったんの上、かんちゃんの指定席だもんね~」

 

のほほんさんの言う通り、胡坐をかいた陸の上に、更識さんがチョコンと座っていた。そして楯無さんが、陸の腕にしがみ付いている。ちょうどセシリアが俺にしてるみたいに。薄々感じてはいたけど、楯無さん、陸とくっ付いたのか……。

 

「一夏さん……」

 

「いや、さすがにセシリアに膝の上乗られたら、俺飯食えないんだが」

 

「う~、いけずですわぁ……」

 

そう言いながらも、俺の左隣は死守していた。

 

「そんじゃ、全員自分の弁当は用意してあるなー?」

 

「「「「はーい」」」」

 

陸に言われて、みんないそいそと弁当箱を取り出す。さて、俺も自分の弁当を出すか。

 

「本音、それって……」

 

「冷や汁なのだ~!」

 

キュウリや鰺の干物が入った濃いめの味噌汁を冷やし、麦飯にぶっかけて食べる、宮崎の郷土料理だ。だが、間違っても運動会の昼に食べるもんじゃない。特に秋も深まってくるこの時期には。

 

「相変わらず、米をすする食い方なんだな……」

 

「おいしいよ~? ずぞぞぞぞ~」

 

ああ、さっそく食べ始めた。特に音を立てて食べる習慣のない欧州勢は、ツチノコでも見るかのようにのほほんさんを凝視してるよ……。

 

「しっかし良かったのか? 俺の分も用意してもらって」

 

「問題ない。それに、お姉ちゃんと共同で作ったから、そこまで大変じゃなかったし」

 

「そうよ~。お姉さんと簪ちゃんの愛情詰まったお弁当、どうぞ召し上がれ♪」

 

「そのセリフをここで言いますか普通」

 

どうやら陸の弁当は、更識さんと楯無さんの手作りらしい。……正直、そういったシチュエーションにちょっと憧れる。

 

「何ボーっとしてるのよ、あたし達も食べるわよ」

 

「そうだぞ、私達だって色々用意しているのだからな」

 

そうして鈴を皮切りに、みんな次々に弁当箱やバスケットを俺の目の前に置いていく。

 

「いや、俺も自分の弁当持ってるし……」

 

「一夏ぁ、宮下君達がああしてるのに、僕達だけ何もしないってないよ」

 

シャルの視線の先には

 

「陸、次卵焼き食べたい」

 

「はいよ、ほら」

 

「ん……もぐもぐ……」

 

「りーくくん♪ お姉さんは唐揚げが食べたいな~」

 

「はいはい……」

 

「ん……んふふ~♪」

 

「はい陸、あ~ん」

 

「むぐ……んぐんぐ……」

 

「3人で食べさせ合い、だと……!?」

 

俺は戦慄していた。なんでみんなが見てる中、あんなことが出来るんだ!? 恥ずかしくないのかよ!?

 

「だから、はい、あ~ん」

 

シャル箸で取った唐揚げを、俺の方に……

 

「シャルロット、抜け駆けは無しだぞ!」

 

「ほら一夏、これ以上箒達が怒る前に」

 

ずいっと、さらに唐揚げを近づけてくる。ええいっ!

 

「あむっ……うん、うまい」

 

ちゃんと下味もついてるし、何より冷めてても衣にサクサク感があるのがいい。

 

「「「「あ~~~っ!」」」」

 

ちょっ、大声出すなよ。

 

「なら、次はあたしよ! ほら、今日は鶏肉とカシューナッツの甘辛炒め!」

 

「おおっ、うまそう」

 

鈴の奴、酢豚の出現率が高いだけで、他の料理も出来るんだよな。中華オンリーだけど。

 

「はい、あ~ん」

 

「お、お前もかよ」

 

「シャルロットだけなんて不公平でしょ。ほらほら」

 

「あ、ああ……あむっ」

 

「……どう?」

 

「うん、うまい」

 

「よし!」

 

うん。酢豚もそうだけど、『あ、これ鈴が作った料理だ』って分かる味なんだよな。なんというか……オフクロの味?

 

「一夏、変なこと考えてないでしょうね……?」

 

「い、いや、別に……」

 

勘のいい鈴の追及をなんとか躱し切った。危ない危ない……。

 

「わ、私からはこれだ」

 

箒の弁当箱から出てきたのは……肉じゃがか。味が染みててうまそうだ。

 

「あ、あ~ん……///」

 

視線を逸らしながらも箸をこっちに向ける箒に、少しドキッとしたのは内緒だ。

 

「やっぱり味がよく染みててうまい」

 

「そ、そうか!」

 

俺の感想を聞いた箒はこっちを向いて……どうした?

 

「ふふっ、一夏」

 

チョンチョンと口元を指さしたかと思えば

 

――チュッ

 

「ほ、箒ぃ!?」

 

「た、玉ねぎのかけらが付いてたぞ///」

 

「ちょっと箒! さすがにそれはライン越えよ!」

 

「そうだよ!」

 

「は、早い者勝ちだ!」

 

ああ、箒、鈴、シャルの三つ巴が始まっちまった……。

 

「ふふっ、私の番だな」

 

「次はラウラか」

 

さて、一体何が出てくるのか……。

 

「私が用意したのは、これだ!」

 

出てきたのは……薄い段ボール?

 

「我がドイツのコンバットレーションだ!」

 

「お、おう……」

 

さすが現役軍人、と言いたいが、なぜこのシチュでそれを持ってきたんだラウラ……。

 

「この1箱に、1日分の糧食が入っている。まさに『これさえあればOK』というやつだ」

 

ドヤ顔しながらラウラが箱を開ける。なんか色々出てきたな。缶詰とか、缶詰とか、チョコレートバーとか。

 

「ふむ、今回はアイントプフとライ麦パンか」

 

「アイントプフ?」

 

「ソーセージと一緒に、玉ねぎやニンジンといった野菜を入れて煮込んだものだ」

 

「へぇ」

 

俺の疑問に答えながら、ラウラはテキパキと簡易コンロを組み立てると、アイントプフの缶詰を直接温め始める。最初は固形状だったのが溶けてくると、スープっぽい感じになってきた。あっ、肉や野菜を細かくしたポトフだこれ。

 

「こんなものか。では、あ~ん」

 

「やっぱラウラもやるのか」

 

使い捨ての木製スプーンで缶詰の中身を掬って、俺の顔に近づけてくる。

 

「あむっ……もうちょっと香辛料が効いててほしいが、これはこれでアリだな」

 

「そうだろう?」

 

ぶっちゃけそこまでうまいわけじゃないが、長期保存できる缶詰ってことを考えると、家に置いてる非常用持ち出し袋に入れておきたいかも。

 

「さて、みんなのを食べさせてもらった――」

 

「さあ、真打登場ですわ!」

 

逃げられなかったか……。

 

「わたくしの料理は、これですわ!」

 

――ドンッ!

 

……この蓋の乗った丼は、何?

 

「さぁさぁ、開けてみてくださいませ♪」

 

「あ、ああ……」

 

セシリアに促されるまま、蓋を取った。

 

――むわぁぁぁ

 

「目、目が! 目がぁぁぁぁぁぁ!!」

 

蒸気が顔にかかった瞬間、某特務大佐もビックリなほど、俺は目を押さえながらシートの上を転げまわっていた。

 

「トムヤムクンですわ。疲れた体にはカプサイシンが効くと聞きましたので、ブート・ジョロキアをふんだんに使用しましたの」

 

だからか! だから蒸気が顔にかかった時に、目が焼けるような痛みががががががっ!!

 

「これは……」

 

「セシリア……」

 

「ラウラのレーションも大概だったけど……」

 

「これは無いよ……」

 

箒達のドン引きした声が聞こえてくるが、セシリアは全く気にしていないのか

 

「はい一夏さん、あ~ん」

 

待て待て待てっ! セシリアがスプーンの先をこっちに向けてるのが分かる! 接触したわけでもないのに、揮発したカプサイシンで肌がヒリヒリするぅぅ!

 

「もうっ 一夏さんってば……えいっ」

 

「がふっ!」

 

のたうち回ってる俺の顔が上を向いた瞬間、セシリアのトムヤムクン(劇薬指定)が乗ったスプーンが口の中に入り

 

 

 

 

 

そこから、俺の記憶は無くなっていた。




原作だろうと本作だろうと、いっくんがセシリアのトムヤムクンにやられるのは宿命なんでしょう。

次回こそ、二人三脚 or 借り物競争 or パン食い競争に入りたいですねぇ……。
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