俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

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久々にまともなバトルシーンです。
簪(打鉄弐式)の強さがインフレしてたのが原因ですね、そうですね。
そしてまた分割するハメに……。


第108話 エキシビションマッチ前編~ブリュンヒルデ~

初代ブリュンヒルデが、ISを纏って現れた。

私は当然として、壇上から見える限り、みんな驚いた表情をしていた。観客席の政府関係者はあらかじめ聞いていたのか、驚きよりも好奇の目の方が大きい感じだ。

 

「千冬様のIS姿、学園に入って初めて見たかも!」

 

「ですが、織斑先生が乗っていたISは、確かあんな形状じゃなかったはずでは……?」

 

「その通りだ」

 

生徒達が疑問を口にしている中、織斑先生がアリーナ中央、壇の前に着地した。

 

「このISの名は『桜花(おうか)』。束に作らせた機体だ」

 

「「「「つ、作らせた!?」」」」

 

「束さん頑張りました~! ブイブイ~!」

 

「なぜか手伝わされたんだが……」

 

篠ノ之博士はいいとして、どうして陸が出てくるの……? もしかして、パン食い競争の時に拉致られたのって、これのため!?

 

「ちょっと長い説明だけど、よく聞くように。 桜花はちーちゃんが元々乗ってたIS『暮桜』のデータを元に、箒ちゃんにあげた紅椿の稼働データを流用・発展させた展開装甲を組み込んだ、機動特化型第4世代機だよ。装備類も暮桜を踏襲してるけど、第1世代機がベースだからって侮ってると痛い目見るぜい♪」

 

「「「「第4世代機!?」」」」

 

篠ノ之博士の説明を聞いて、みんな絶叫していた。だ、第4世代機って……まさか私、その第4世代機に乗った織斑先生と戦うの!?

 

「更識妹と全力で戦うのに、打鉄では力不足だったのでな」

 

「いやいやいや! だからって束さんに新しいISを用意してもらうとか、何やってんだよ千冬ね「織斑先生だ(ブオンッ)」あぶなっ!」

 

「お、織斑先生! さすがにISに乗った状態で殴ったら、織斑君の頭が陥没しちゃいます!」

 

「おっと、いかんいかん。ついいつもの癖で……」

 

つい、で実弟を殺しかける姉とは一体。

 

「さあ更識妹、お前もISを展開しろ」

 

「え、ええ~……」

 

ちらっと山田先生の方を見たら、

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」

 

陸の方を見たら、

 

「……(首を横に振る、諦めろのサイン)」

 

「……はぁ、分かりました」

 

仕方ない……そう観念して、打鉄弐式の待機状態を解除した。

 

「それではみなさん、観客席に移動しますよー」

 

「「「「はーい」」」」

 

山田先生の引率で、私以外のみんながアリーナから観客席へ移動していく。そうしてさほどの時間もかからないうちに

 

『それでは急遽開催となりました『織斑千冬 VS 更識簪、新旧国家代表エキシビションマッチ』を開催いたします! 実況は私、生徒会長の更識楯無と』

 

『うぇ~い! 大天才・篠ノ之束の解説でお送りするよ~!』

 

「お姉ちゃん……」

 

「束ぇ……」

 

変にテンションの高い放送に、身内である私と織斑先生は頭を抱えそうになっていた。

 

「ま、まぁいい。あいつらがどれだけ騒ごうと、こちらはこちらで戦うだけだ」

 

「そう、ですね……」

 

アリーナの中央、私が夢現を展開すると、織斑先生が機体左側にマウントされた刀を抜いた。篠ノ之さんの紅椿と同じように、拡張領域を使わない仕様らしい。

 

「それで、どうしてエキシビションマッチなんてことに?」

 

「山田先生が言った通り、関係者からの要望があり、私がそれを承諾した。それだけだ」

 

と言いつつ、織斑先生は人差し指で耳を指さすジェスチャーをした。するとすぐに、織斑先生とのプライベート・チャネルが繋がった。

 

『その関係者というのはIS委員会なんだが、どうもキナ臭い』

 

『どういうことですか?』

 

『私の勘だが……おそらく背後に、女権団がいると思われる』

 

『女権団が?』

 

表情に出さないようにしていたけど、正直首をひねりたい気分だ。陸や織斑君といった『ISに乗れる男性』を目の敵にしている女権団が、どうして?

と考えていたら、突然織斑先生が斬りかかってきた!

 

――ガキィィンッ!

 

「ぐ、ぅ……!」

 

な、なんとか夢現で弾いたけど、どうして……

 

「何をボーッとしている! 試合は始まっているぞ!」

 

どうしても何もない。思考に没頭していて、試合開始のブザーを聞き逃していたらしい。私の馬鹿!

 

『どうした、話はここまでにしておくか?』

 

『いいえ、続けてください。一応私も並列思考(マルチタスク)は習得していますから』

 

『……またオルコットが泣くな』

 

『ノーコメントで』

 

GNファングで使うと思って習得したけど、結局使わず仕舞いだった技能、使う機会があって良かった。

 

『それで続きだが、どうも連中の魂胆としては『宮下という男が作成に関わった打鉄弐式を打ち負かしたい』ということらしい』

 

『……それ、織斑先生の桜花に陸が関わった時点で破綻してません?』

 

『だな。連中も、束の行動までは予測出来なかったのだろう』

 

とはいっても、陸が大部分を手掛けた打鉄弐式と、篠ノ之博士が主導した桜花では、後者が勝つことを望まれているんだろう。けど

 

「そんな思惑なんて、私には関係ありません」

 

「当たり前だ。さっきも言ったように、こちらはこちらで戦うだけだ」

 

――ガキィィンッ! キィンッ!

 

『弐式と桜花の激しい応酬が続いていきます! ところで博士、織斑先生の刀ですが、あれも紅椿のような?」

 

『ううん、ちーちゃんの『梅花(ばいか)』には、空裂や雨月みたいなエネルギー刃やレーザーを出す機能は無いよ。単純に頑丈さと鋭さだけを突き詰めた刀なんだよ』

 

『頑丈さ、ですか?』

 

『うん。だって現に、かんちゃんの夢現だっけ? 高速振動の刃と鍔迫り合いしても、全然へーきでしょ?』

 

確かに博士達が実況している通り、夢現の攻撃を受けても、織斑先生の刀は刃こぼれ一つしていない。

 

「それなら!」

 

刀の斬撃を捌いた瞬間、瞬時加速で後方に移動。そのまま距離を取って春雷で……!

 

「甘いっ!」

 

――ドゴォォォンッ!

 

「えっ!?」

 

荷電粒子砲の砲弾を、切った?

 

「せい!」

 

――ガキィィンッ!

 

「ぐっ! 行って、ファング!」

 

10基で桜花の周囲を包囲して一斉攻撃。これなら……!

 

「無駄だ!」

 

――ドドドドドドォォォンッ!

 

「う、そ……」

 

『ぜ、全部落とされた……?』

 

『さすがちーちゃん! 一斉攻撃を回避してビットを1ヵ所に固めて、一気に破壊するなんてやるぅ!』

 

どうする……!? 山嵐を……ううん、たぶんファングと同じように躱されるのがオチ! どうすれば……!

 

「どうした更識妹、手が尽きたか? では今度はこちらから征くぞ!」

 

――キンッキンッキンッキンッキンッキンッキンッキンッキンッ!

 

「ぐぅぅっぅぅぅぅ!!」

 

『え、あの、何が……』

 

『ちーちゃんの連撃を、かんちゃんが防御したり回避したりしてる。束さんでも目で追うのがやっとなんだけど……普通の人間には何も見えないよねこれ?』

 

斬撃が……早くて、重い! 回避し損ねた斬撃が掠っただけでも、SEが持ってかれる! GNドライブを起動してるのに……これが、ブリュンヒルデ……!

 

『あらら~、打鉄弐式のSEも30%を切ったし、そろそろ終わりかな~』

 

『そんな……』

 

実況席に言われるまでもなく、私自身分かっていることだ。それくらい、今の私と織斑先生との差は大きい。ISの世代差を考えたとしても。

 

「ふむ、やはりいつも使っている打鉄とは違って、私の動きに過不足なく反応してくれるな。束、いい仕事だ」

 

『わーい、ちーちゃんに褒められたー』

 

「まったく、褒めるとすぐ浮かれおって……さて、更識妹。私としてはもっと楽しみたいところだが、そろそろ幕を閉じるとしようか」

 

そう言って、刀を上段に構える。おそらく次の一刀、上段からの唐竹割りで仕留めるつもりなんだろう。

 

(負け、かなぁ……)

 

並列思考であれこれ対応を考えるけど、瞬時加速以上の速さで来るであろう斬撃を躱せず負ける未来しか見えない。

 

(ごめんね、陸。やっぱりブリュンヒルデの壁は厚かったよ……)

 

 

 

――また、逃げるのか?

 

 

「……っ!」

 

頭を過ったそれは、お姉ちゃんとの決闘で言われた言葉。

 

 

――まだやられたわけでもなければ、手足だって動くんだろ? なら、最後まで足掻いて見せろよ

 

 

(足掻く……そうだ、私はまだ、負けてない……まだ、足掻けるんだ……!)

 

『やっと気を引き締め直したか。世話の焼ける嬢ちゃんだな』

 

うん、私もそう思う。だから、力を貸して……打鉄弐式(ランディさん)

 

『いいだろう。とはいえ、あの姐さんの攻撃を防ぐのは、ベルゼルガーでも無理だ。ありゃ一種のバケモンだよ』

 

え、なら……

 

『その代わり、あの『切り札』を使えるようにしてやるよ。要は、GN粒子とやらが周囲に拡散するのを防げばいいんだろ?』

 

それって!……お願いして、いいですか?

 

『おうよ! だから嬢ちゃん……勝てよ』

 

 

 

「征くぞ、更識妹!」

 

律儀なのか一声挙げてから、織斑先生が瞬時に間合いに入り、予想通り瞬時加速でも回避できなさそうな速さで刀を振り下ろしてくる。

そしてその斬撃が私の非装甲箇所を切り裂こうとする瞬間、私は――『切り札』を切った。

 

TRANS-AM(トランザム)!」




ちーちゃんのIS、第4世代だったでゴザル。「第3世代じゃダメなんですか?(某仕分け人)」互角じゃダメなんですよ。たっちゃんとの決闘みたいに、今より強いやつと戦わないと。

お久しぶりの、弐式のコア人格さん。最後の出番がキャノンボール・ファストの時なんで、30話以上前ですね。たぶんみんな忘れてる。

次回、ついに簪と打鉄弐式の全力が。

おまけでオリISの情報も載せておきますね。
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機体名:桜花(おうか)
世代:第4世代
分類:機動特化型
武装:近接用ブレード『梅花(ばいか)』
   展開装甲
単一仕様能力:零落白夜

千冬が束に作成を依頼した(オリ主も巻き込まれた)IS。
拡張領域には何も入っておらず、展開装甲以外の武装は機体左側にマウントされた梅花のみ。
並みのISでは千冬の反応速度に付いて来れず、却って足枷になってしまっていた。そのため本機は特殊な能力を一切持たせず、『織斑千冬の動きに追従できること』だけを求めて設計されている。
機動特化型であるため、防御力は射撃特化型であるブルー・ティアーズよりややマシな程度。
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