俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

117 / 182
今回はいつもより少し短めです。すまん、残業続きで力尽きそうなんや……。


第113話 旅は道連れ世はてぇてぇ

束の建てる会社について話を聞いた翌日、全校集会が開かれた。

 

「それでは、これより修学旅行について説明するわね!」

 

壇上の刀奈の宣言に、おおーっ! と声が上がる。各国から集められたエリートとはいえ、そこは学生なんだなぁと思う。

 

「先日職員会議が開かれて、修学旅行先をどこにするか話し合われた結果、京都、大阪、北海道の3つに絞られました」

 

「京都いいよね! 名所がいっぱいなんでしょ!?」「食い倒れの街、大阪もアリよね!」「食べ物なら北海道もいいじゃない!」

 

やっぱ定番の3つになったか。って、まだ行く場所決まってねぇのか?

 

「そして……虚、持ってきて」

 

刀奈が虚先輩に声をかけると、先輩はガラガラと何かを押して……って、おい待て。

 

「今ここで! どこに行くかを決めようと思いまーす!」

 

一夏の所属する部活を決めるのに使ったルーレットが、再び姿を現しやがった!

しかも薄っすらと、部活名の跡が見えるんだが!? 完全に使い回しかよ!

 

「それじゃあ今回は……2組の凰ちゃんにお願いしようかしら!」

 

「あ、あたしぃ!?」

 

クラスメイトに背中を押されて壇上に立たされた凰に、刀奈からダーツが渡される。

 

「さぁ凰ちゃん、どこに行きたい!?」

 

「え、ええ? とりあえず京都はもういいわ! 小中で2回も行ったから、いい加減飽きたのよ!」

 

「それじゃあ頑張ってね♪ 虚、回してー!」

 

刀奈の合図とともに、ルーレットが回転を始める。

 

 

「「「京都! 京都!」」」

 

 

「だから京都はもういいって言ってるでしょ! アンタ達話聞いてた!?」

 

周りからの京都コールにキレる凰。みんな煽るの上手いな。

 

「ええい!」

 

そして投げられたダーツはルーレットに刺さり……

 

 

『京都』

 

 

「ウゾダドンドコドーン!」

 

 

崩れ落ちる凰。元々京都に行きたがってた生徒からは大喝采。

ちなみに一夏は

 

「また京都か……」

 

微妙な顔をしていた。そっか、お前も凰と同じ学校だったから、京都3回目か。ご愁傷様。

 

ーーーーーーーーー

 

ということがあったのが数日前。そして今、IS学園の生徒を乗せた新幹線(人数や警備上の観点から、貸し切り状態)は一路、京都を目指していた。

各クラスが1両に乗る形で、生徒達は好きな座席に座っているわけなんだが……

 

「どうしてこうなった」

 

「これのどこに」

 

「問題が?」

 

車両の一番前の席、足を伸ばすスペースがあるからと、俺はここに座った。すると簪がノータイムで俺の膝の上に座り、どこからか現れた刀奈が、知らぬ間に隣の席に座っていた。

 

「あの、会長?」

 

「何かしら?」

 

「会長って2年生だから、別の車両……」

 

「あら、貴女は私と陸君の仲を裂こうっていうのね……?」

 

「え、ええ!?」

 

おい馬鹿いきなり何を言い出すんだ。

 

「(宮下君って、更識さんと恋仲じゃなかったの?)」

 

「(でもでも、宮下君も織斑君と同じで重婚が許可されてるんだよね?)」

 

「(それで会長さんも……って姉妹で!?)」

 

「(捗る、ウ・ス異本が捗るぅぅぅぅ!)」

 

聞こえてるぞお前達。そして最後の奴待てや。

 

「宮下君……」

 

「……なんだ?」

 

「「「Good Luck!!」」」

 

お前ら何サムズアップして去ってくんだよ!? どういう意味だよ!?

 

「それじゃあ、みんなも理解してくれたところで」

 

「りーく君♪」

 

「はぁ……分かった分かった。俺も男だ、たまにはお前達の希望を叶えてやるよ」

 

そう言って俺は、左腕で簪を抱きかかえ、右腕を刀奈の腰に回して引き寄せた。

 

「陸、大胆……」

 

「陸君……///」

 

1.5人分のスペースに3人が座る密着具合。二人が身をよじる度に、簪からは柑橘系、刀奈からはフローラル系の香りが……やべ、これ俺の理性が保つのか?

 

「ぐおぉぉぉぉぉぉ!」

 

「甘い……コーヒー飲んでるはずなのに……」

 

「ま、まだお昼食べてないのに胸やけが……」

 

「もぐもぐ……(ひよこ饅頭美味し)」

 

俺達の熱に当てられて、さっきまで煽っていたクラスメイト達は次々にダウンしていった。(黙々と菓子を食ってる織斑を除く)

 

「あらあら、お熱いわねぇ。ねぇ、オータム?」

 

「よくもまぁ、恥ずかしげもなく……ってスコール! どこに手をっ! あっダメ、周りに人が……!///」

 

引率として付いてくることになったスコールとオータムの二人が、なんか車内で押っ始めそうになってるんだが……あ、一部生徒が鼻血出してぶっ倒れた。純情過ぎじゃねぇかねぇ?

 

 

――一方その頃、1年1組の車両

 

 

「「「「あーいこーで、しょ!」」」」

 

「なぁ、順番でいいだろ? だから早く座ろうぜ……」

 

車両の真ん中あたりの窓側席に座った俺は、未だにじゃんけんを続ける箒達をげんなりした顔で見ていた。

俺の隣に誰が座るかで、箒達4人がじゃんけんを始めてから大分経つが、一向に決まらないらしい。そろそろ座らないと、千冬姉の鉄拳制裁が来そうで怖いんだが……。

 

「「「「あーいこーで」」」」「しょ!」

 

あ、4人パーの中に一人だけチョキ……ってあれ?

 

 

「いっくんの隣ゲットだぜ~!」

 

 

「「「篠ノ之博士!?」」」「姉さん!?」「束さん!?」

 

なんで? なんで束さんがここに? って俺の隣に座ってるし! しかも腕! 腕絡めてきてるし!

 

「ね、姉さん! 一体何をしているんだ!」

 

「何って、未来の旦那様とイチャイチャしてるんだけど?」

 

コテッと首を傾げる束さん。可愛い……じゃなくて!

 

「もしかして束さん、京都まで付いてくるつもりですか?」

 

「もちのろん! あ、ちーちゃんには先に伝えてあるよ」

 

「ええ~……」

 

千冬姉、許したのかよ。一体どんなやり取りがあったのか……あ、知ったらダメな気がする。主に精神的な意味で。

 

「さて、イチカニウムの補給も完了したし」

 

「今なんて?」

 

なんか、謎の物質名が出てきた気がするんだが。

 

「くーちゃ~ん! 束さんとトランプしよーぜい!」

 

「た、束さま?」

 

「私もまぜて~」

 

「おっ、のんたんも一緒だね? お~け~お~け~!」

 

スクッと立ち上がった束さんはクロエさんのところに突撃すると、のほほんさん(途中で巻き込まれた相川さん)も交えて4人で大富豪をやり始めた。相変わらず行動が突飛だなぁ。

 

「それで、結局一夏の隣には誰が座るんだ?」

 

「「「あ」」」

 

ラウラの発言に正気を取り戻した時には、出発の車内チャイムが鳴っていた。

 

 

「さっさと席に座れ馬鹿共がっ!」

 

――ゴンッ! ゴンッ! ゴンッ! ゴンッ!

 

「「「「ひぎぃ!」」」」

 

 

案の定、箒達4人は千冬姉の鉄拳制裁を受け、俺の隣には

 

「け、怪我の功名だ……」

 

箒が座ることになった。最初からこうしておけば良かったのに……。

 

「んふふ~一夏~♪」

 

千冬姉の制裁の痛みが引いた途端、めちゃくちゃ箒が甘えだした。束さんへの対抗心からか、腕にしがみ付いてきて……む、胸が当たって……

 

「かぁ~! 見んねーセシリア! 卑しか女ばい!」

 

「シャ、シャルロットさん?」

 

「突然どうしたんだ? いつもの口調と全然違うんだが……」

 

そんな俺達を、シャルがジト目で見てきて辛い……それどこの方言だよ?

 

 

――2年の車両

 

 

「ダリル~」

 

「ん?」

 

「3年の車両にいなくていいんスか?」

 

フォルテの隣には、3年生のダリルが堂々と座っていた。周りも相手が上級生だからか、声を掛けづらそうにしている。

 

「いいんだよ。それとも、オレと一緒は嫌か?」

 

「そ、その聞き方はずるいっスよぉ……」

 

そう言いながら、フォルテはダリルの腕を取ると、抱きかかえるようにその腕にしがみ付く。

 

「(と、尊い……)」

 

「(サファイアさんとケイシー先輩の噂は聞いてたけど……)」

 

「(これほどのポテンシャルを秘めていたとは……!)」

 

結局学年に関係なく、年頃の女子はこういった『てぇてぇ』に弱いのだった。

 

「ところで、新しく学園に入ってきたスコール先生って……」

 

「ああ……オレの叔母だ」

 

「つまり……」

 

「そういうことだ」

 

周りの耳があるからか、ダリルはフォルテの『あの人も亡国機業の?』という問いに対して、遠回しに肯定した。

 

「やっぱりそうっスか……」

 

「やっぱりって、なんだよ?」

 

「ダリルのバイセクシャルは、血なんスね」

 

「おい馬鹿やめろ」

 

かなり力の入ったアイアンクローが、フォルテの顔面を捉えていた。そしてその顔面は、京都に着くまで解放されることは無かった。




そうだ、京都に行こう。本州(特に関東)の学校だと、大抵修学旅行先は京都になる気が。原作でも鈴は小5から中2まで日本にいたので、一夏と一緒に3連続京都の可能性もあったはず。

新幹線の車内で糖分補給。なお、本来のシャル(花澤さん)はこんなこと言いません。

てぇてぇに見せかけたアイアンクロー。原作でも千冬が束に仕掛けた、由緒ある技ですしおすし。


今更ですけど、亡国機業崩壊してる状態で修学旅行編って、ただの旅話にしかならないのでは……?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。