俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

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学園祭の時と同じように、前回の一夏視点になります。


第115話 京都散策~一夏ルート~

駅前で自由行動になってから、俺はカメラ片手に京都の町を散策していた。そして実は、箒達とは別行動だったりする。

 

「せっかくだし、今回はみんな別々の場所に行かない? 二人一組で行動するように言われてるわけだし」

 

きっかけはシャルのこの言葉だった。確かに千冬姉も解散前にそう言ってたな。……陸達は3人で回ってたって? そこはツッコんじゃいけない。藪蛇どころか別のナニカが出てきかねない。

 

「なるほど。……で、誰が一夏と一緒に散策するんだ?」

 

「「「「……」」」」

 

ああ、またみんな黙っちまった……。

箒達は5人。俺を含めると6人だから、ちょうど二人組が3組できるわけだ。……つまり、また新幹線の座席争いみたいなのが始まると。

 

「あ、箒は今回不参加ね」

 

「な、なぜだ!?」

 

「だって箒、新幹線の中で一夏とイチャイチャしてたでしょ。順番だよ、じゅ・ん・ば・ん」

 

「確かに」

 

「一理ありますわね」

 

「ぐぅ……!」

 

シャルの指摘に鈴とセシリアが同調したことで、俺争奪戦の不参加(強制)が決定した。

俺知ってる。こういうのって、当事者である俺が口出すと余計にややこしくなるって。女尊男卑とか関係なく、男って、悲しいな……。

 

「「「「じゃーんけーん、ポン!」」」」

 

そして、今俺の隣には……

 

 

「やってやりましたわぁぁぁ!」

 

一人勝ちをしたセシリアが、俺と腕を組んで歩いていた。

ちなみに俺はカメラマン役も兼ねていて、巡ってる最中にみんなと遭遇したら、そこで写真を撮ることになっている。(いい場所を見つけたら、メールが来るらしい)

 

「最近わたくし、いいところがまるでありませんでしたから……」

 

「そうか? 運動会の騎馬戦とか、結構イイ線いってたと思ってんだけど」

 

「ありがとうございます。けれども、最後の更識さんと織斑先生のエキシビションマッチに全て持っていかれましたし……」

 

「ああ……」

 

確かにあれは、なぁ。まさか千冬姉がまたISに乗る姿を見るとは思わなかったし、その千冬姉に更識さんが競り勝つとは夢にも思わなかった。

 

『私はかつて最強だった。だが、その"最強"がいつまでも続くわけではない』

 

マッチ後、倒れた更識さんが搬送される中、千冬姉が混乱した会場を落ち着かせるために色々していたが、そんな中でボソッと呟いたのが今のセリフだった。

 

(千冬姉と言えども、教職を続けながら最強を維持することは難しかった。だから俺も、立ち止まることなく歩み続けないとな)

 

そうじゃないと、俺なんかあっという間に零落(おちぶ)れちまいそうだからな。

 

「あら、一夏さん。さっそくメールが来てますわよ」

 

「おっ、ホントだ」

 

セシリアに指摘されて意識を戻すと、確かにメールの着信音が鳴っていた。差出人は……シャルか。

 

「『すっごい美味しそうなお菓子屋さんを見つけたから来てね』、だってさ」

 

「すごい美味しそうなお菓子……わたくしも気になりますわね。行きましょうか、一夏さん」

 

「ああ」

 

几帳面なシャルが一緒に送ってきた地図画像をスマホに表示させながら、俺とセシリアは目的地に向かって歩き出した。

それにしても、こうやってセシリアと一緒に歩いてると、すげぇ視線が痛い。

 

――弾、お前が昔俺に言った『無自覚な幸せもんがぁ!』ってセリフ、今なら分かるぜ。確かにセシリア達みたいな子達とこうやって一緒にいられる俺は、幸せもんなんだよな。

 

ーーーーーーーーー

 

「一夏~! こっちこっち~!」

 

手をブンブン振っているのはシャルだ。その隣でラウラも手を振っている。

 

「あら、お二人とも……」

 

「おお!」

 

俺とセシリアが驚いたのは、二人が制服とは違う装いだったからだ。

シャルは橙色の着物姿、ラウラは紫のドレスを身に纏っていた。京都でドレス? というツッコミは無しだ。

 

「二人とも、似合ってるぞ」

 

「ほ、ホント? えへへ……」

 

「そうだろうそうだろう」

 

俺の感想に顔を赤くするシャルと、自慢げにポーズをとるラウラ。お、シャッターチャンス!

 

――カシャッ

 

「き、急に撮らないでよぉ! 一夏のいじわる~!///」

 

「ふふん、私は常に臨戦態勢だ。いつ撮っても構わんぞ、嫁よ」

 

ははっ、やっぱりシャルとラウラは対照的というか……ん?

 

「む~……」

 

俺の制服の袖を引っ張って、セシリアがやきもちを焼いていた。昔の俺なら『どうしたんだ?』とか言い出すんだろうが、今の俺なら分かる。

 

「ほらセシリア、機嫌直せって」

 

そう言って、いつも陸が更識さんにやってるように、セシリアの頭を撫ぜてみる。

 

「し、仕方ありませんわね……///」

 

そう言いながらも、セシリアは嬉しそうだ。

 

「それで、ここって何の菓子を売ってるんだ?」

 

今度はシャルとラウラが不機嫌になる前に、話を元に戻す。

 

「そうそう、ここってお団子が美味しいお店なんだって」

 

「へぇ、そうなのか。セシリア、俺達もここで食べていかないか?」

 

「いいですわね。わたくし、みたらし団子に挑戦してみたいですわ」

 

セシリアも同意したので、4人揃って赤い布が敷かれた腰掛けに座ると、お茶とお団子をそれぞれ注文したのだった。

 

 

その後はシャルとラウラが団子を食べさせ合ったり、セシリアが団子を喉に詰まらせそうになったり、なかなかにシャッターチャンスが多いひと時だった。

 

「さ、さっきのは消してくださいまし!」

 

「これアナログカメラだから、1枚だけ消すとか無理」

 

「そんな~……」

 

団子を喉に詰まらせる決定的瞬間を撮られたセシリアを慰めながら(マッチポンプ)、鈴から来たメールの場所に向かっていった。

 

ーーーーーーーーー

 

さて、鈴達がいるであろう場所まで来たんだが……

 

「ここのお店、まだあったんだな」

 

「ええ。ネットで調べたら、まだやってるってあったのよねぇ」

 

そこは以前、中学校の修学旅行で京都に来た時に、鈴に奢った(賭けに負けたともいう)ジェラート屋だった。

 

「鈴さんは、一夏さんとの思い出がありますものね……」

 

「だな。私は修学旅行に行く前に引っ越すことになってしまったからな……」

 

「何言ってんのよ。これから増やせばいいじゃない。ま、あたしも一緒に増やすんだけどね♪」

 

「そう、ですわね(だな)……」

 

鈴のおちゃらけたセリフに、しょんぼりしていた二人に笑顔が戻った。こういうところは、俺も鈴を見習わないとな。反省反省。

 

「さて、俺がみんなの分を買ってくる。何味がいい?」

 

「あら、奢ってくれるの? サーンキュ♪」

 

「そ、そんな悪い……」

 

「いいのよ箒」

 

「そうですわ。殿方が奢ってくださると申しているのですから、女性は素直にご好意に甘えるべきですわ」

 

「そ、そういうものなのか……?」

 

「おう、そういうもんだ」

 

俺も陸と同じ、データ採取の名目で日本政府から補助金をもらってるからな。3人にジェラートを奢るぐらいわけないぜ。というか、さっきシャル達の団子も奢ってるから、ここで鈴達に奢らないのは不公平だろ?

 

「それなら、その言葉に甘えよう」

 

納得した箒が頷くと、3人はそれぞれ自分達の食べたい味を俺に伝えるのだった。

 

・・・・・・

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

「は、恥ずかしかった……///」

 

「そ、そうですわね……///」

 

鈴達と別れた俺達は、さっきまでの自分達の行動に顔を赤くしていた。

 

「シャルロットさん達がやっていたから、わたくし達もと思っていたのですが……」

 

「どうやら俺達には、ハードルが高かったな……」

 

何をやったかと言えば、『ジェラートの食べさせ合い』をしたのだ。

学園内では『あ~ん』とかたまにやってたから、同じようにいけると思ったんだが……全然恥かしさが違ったな。

 

「どうしたお前達? 顔を真っ赤にして」

 

「ちふ、織斑先生」

 

頑張って言い直したおかげで、山田先生と回っていた千冬姉の出席簿アタックは回避できたようだ。

 

「い、いえ、なんでもありませんわ!」

 

「そうか? ならいいが」

 

「修学旅行も学業の一環ですから、節度を保った行動をお願いしますね?」

 

「いやいや、そんなことしてないですから……」

 

少なくとも、山田先生が思ってるようなことはないですから。

 

――♪

 

そんなやり取りをしていると、突然スマホの着信音(買った直後に設定されてるデフォルト音)が鳴った。

 

「織斑先生、鳴ってますよ?」

 

「ん? ああ、私のか」

 

着信音は千冬姉のスマホからだったようだ。

 

「もしもし……」

 

 

「いきなり何を言い出すんだお前はっ!?」

 

 

千冬姉の驚き声を聞いて、俺は確信した。

 

――通話の相手、絶対陸か束さんだ。




セシリア、一夏と京都を巡る。簪がいない分、一夏をいれてちょうど二人組が3組できるため、こうなりました。そして知られてないかもですが、作者はオルコッ党員です。

カメラマン一夏。これぞ『オリ斑計画』の成果です。原作の鴨川語りにセシリアを混ぜるとおかしくなりそうだったので、同じく原作で鈴が言及していたジェラード屋を出してみました。

一夏、悟る。ちーちゃんが怒り以外で大声を上げる相手って、本作ではほぼ二人しかいないという。
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