俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

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エロくないよ~。センシティブでもないよ~。ちょっと口の中が甘ったるくなるだけだよ~。


第119話 ただのてぇてぇ

後片付けってやつは総じて面倒だ。

 

何かを作ってるときは楽しいが、後片付けが楽しいなんてことはまずあり得ない。

そして作ったものが大きければ大きいほど、後片付けの規模も大きくなるわけだ。

 

「「疲れた~……」」

 

海上のISアリーナ『一夜城』を作ったと思ったら、まさか間髪入れずに解体作業に駆り出されるとは思わんかったぞ。

おかげで俺も簪もみんなとバスに乗ることなく、解体が終わり次第そのままISに乗って京都上空を飛行、旅館に直帰とかいうよー分らんムーブをかますハメになったんだが?

特に俺がアーリィを宿まで運んで戻ってくるまでの間、簪は一人で解体作業してたからすこぶる機嫌も悪くなってたし。

 

「二人とも、ホントお疲れ様」

 

旅館の玄関前で、刀奈が出迎えて、というより俺達が来るのを待ってたようだ。

 

「寒かっただろうに」

 

「いいのよこれくらい。それにしても上部部分だけとはいえ、本当にこの短期間で解体したの?」

 

「簪と二人で頑張りましたともよ……」

 

むしろ上部だけで良かったよ。これで下部のフロートまで全部解体とか言われたら、深夜残業代を請求するところだったぞ。

 

「お姉ちゃん、ご飯……」

 

「お姉ちゃんはゴハンじゃありません! って、疲れたのは分かってるけど、早く大広間に行きましょう」

 

「陸、おんぶー」

 

「いや、俺だって疲れてるんだが……」

 

「おんぶー」

 

「……分かった分かった」

 

問答する元気もなく、俺は簪をおぶると、刀奈の先導で旅館の中に入っていくのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

案内された大広間は、いつぞやの臨海学校で泊まった旅館のよりもさらに広かった。

そして『食事中は浴衣着用で正座』という謎ルールもないのか、みんな思い思いの恰好(大体制服か浴衣)で膳に盛られた料理を食べていた。

 

「二人は最後だから、あそこに座ってね」

 

みんなが並んで食べている列の一番端、あの手つかずの膳が俺達の晩飯ってことらしい。

そして簪と俺が座ると、さらにその隣に刀奈が。

 

「ちょい待ちちょい待ち」

 

「何かしら?」

 

「どうして楯無さんも座ってるんですかねぇ」

 

「どうしてって、私もまだ夕食食べてないからよ」

 

確かに刀奈の目の前にも、俺達と同じ膳が……っていやいや。

 

「アナタ2年生でしょうが。ここ1年4組の人間が食事する場所。OK?」

 

「生徒会長権限で陸君と一緒に食べるわ!」

 

「職権乱用ぅ!」

 

生徒会の権限って、そんなのに使うもんじゃねぇだろ! 相変わらず自由人だなチクショウメェ!(自分棚上げ)

 

「陸~、早く食べよう」

 

「……そうだな」

 

簪もそうだが、俺も腹が減ってんだ。さっさと食おう。

 

「「「いただきます」」」

 

さて、メニューは刺身に豆腐田楽、味噌汁と漬物、それと茶わん蒸し。そしてさすが京都、漬物は千枚漬か。

 

「う~ん、去年もだったけど、ここの料理は美味しいわね~」

 

「お? もしかして去年の修学旅行も京都だったとか?」

 

「そうよ~。去年は薫子達と見て回ったんだけど、今年は陸君達を優先させてもらったわ」

 

ダチよりこっちを優先させちまったのか、なんか悪いな。

 

「そっか。あんがとな」

 

「ふふっ、どういたしまして」

 

「陸」

 

「ん? どうした簪」

 

視線を右の刀奈から左の簪に移すと

 

「食べさせて」

 

まるで親鳥から餌をもらおうとする、雛鳥と化した簪が。

 

「……簪さんや、さすがに箸持つぐらいの体力は残ってるんじゃありませんかねぇ?」

 

「早く」

 

「……ほら口空けろ~」

 

そうそうに抵抗を諦めて、俺は簪の膳から刺身を取ると、簪の口の中に入れて食べさせる。

 

「んぐんぐ……美味しい」

 

「簪ちゃん、どんどん躊躇いが無くなってるわね……」

 

「ああ。その内のほほん化しないか心配でならない」

 

勘弁してくれよ、ISに乗ってない時は俺のアシストが必須とか。

 

「それは心外。今日は特に疲れたから別」

 

「さよけ……」

 

「それに、運動会の時も似たようなことはしてた。お姉ちゃんも一緒に」

 

「そ、それを言われると……」

 

「言い返せねぇ……」

 

確かにしてたな、3人で食べさせ合いとかいうトンデモ昼飯。あの時はイベントテンションでやってたわけだが、今思い出すと、我ながらよく出来たもんだな。

 

「り、陸君」

 

「ん?」

 

「あ、あ~ん……///」

 

「……」

 

刀奈よ、そんな顔を真っ赤にしてまで無理しなくていいんだぞ?

 

「陸、早く食べてあげるのがせめてもの情け」

 

「情けってお前……んぐ」

 

さすがにこれ以上刀奈をこのままにするのは可哀想だったから、向けられた田楽を一口かじる。うん、焼けた味噌が香ばしくていいな。

 

「(あの周辺だけ、めちゃくちゃ空気が甘いぃぃぃ!)」

 

「(くぅぅぅ! 更識さんが羨ましいけど、お似合い過ぎて嫉妬する気すら起きないぃ!)」

 

「(さすが簪さん! 私達に出来ない事を平然とやってのけるッ!)」

 

「「「「(そこにシビれる! あこがれるゥ!!)」」」」

 

いやお前ら、小声でもそんだけ騒げば聞こえるからな?

 

「陸、次はよ」

 

それでもブレねぇ簪、さすがやでぇ……。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

簪に食べさせながら晩飯を終えた俺は、今夜は珍しく湯船に浸かりたいと思い男風呂に――

 

「陸君、貴方もこっちよ~」

 

行こうとして、刀奈に手を引かれて男風呂をスルー。

 

「いや楯無さん? 俺風呂に」

 

「だから、お風呂はこっちなのよ」

 

「うん、こっち」

 

「簪もかよ。まさか、女風呂に連れてく気じゃねぇだろうな?」

 

さすがにそれは無いよな? もしそうなら一夏だって逃げる。俺だって逃げる。

 

「大丈夫だって~」

 

だから、何が大丈夫なのか説明しろぉ!

 

・・・・・・

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

そうして俺が連れて来られた場所は……

 

「いい湯……」

 

「ホント、温まるわね」

 

「いやまぁ確かに、いい湯ではあるんだが……」

 

『家族風呂』。要は貸し切り湯なんだが、刀奈がその家族風呂を予約していたらしく、現在俺達は水着着用で3人並んで湯船に浸かっている。

 

「でも、水着とか今更」

 

「ごめんなさい簪ちゃん、裸はお姉ちゃんが恥ずかしいの」

 

「恥ずかしいのになぜ予約した?」

 

「仕方ないじゃない! 憧れだったんだから……

 

そんなこと言ってんじゃねぇよちょっと可愛いと思っちまったじゃねぇか。

 

「お姉ちゃん、可愛い」

 

「か、かわっ!///」

 

ここで簪の追撃が入る。俺が敢えて言わなかったことを……。

 

「お姉ちゃんも、もっと積極的に行っていいんだよ?」

 

「せ、積極的って言っても……」

 

「出会った当初は、簪より刀奈の方が積極的というか、活発だったんだがなぁ」

 

俺の認識では、クラス対抗戦辺りまではそうだったはず。

 

「たぶんそう。けど、幸せになるためには自分から動いた方がいいって、陸と一緒にいて学んだから」

 

「幸せ、か……」

 

簪の言葉を聞いていた刀奈が、オウム返しのように呟く。そして

 

「りーくくん!」

 

「うおっ!?」

 

湯船の中でいきなりしがみ付いてくるなって!

 

「刀奈、背中に当たってるんだが」

 

「当ててるのよ♪」

 

何を今更と思ってるかもしれないが、ベッドの上とは違うんだって。

 

「お姉ちゃん、やっとその気になった。えいっ」

 

「おまっ! 簪もかよ!?」

 

湯船で姉妹に前後から抱き着かれるとか、どこのエ〇ゲーだよ。……まぁ俺も男ですから? 嬉しいか嬉しくないかで言えば嬉しいけど。

 

「でも残念、そろそろ逆上せそう」

 

「そうね、体も温まったし、上がりましょうか」

 

「だな」

 

 

 

こうして家族風呂を満喫した俺達だったが、

 

「「あ」」

 

「「「あ」」」

 

ちょうど廊下に出たところで、別の家族風呂から出てきた虚先輩と弾にバッタリ遭遇。え? 虚先輩、まさか修学旅行でも逢引きっスかぁ!?

 

「お、お嬢様……」

 

「えっとな陸、これはだな……」

 

俺達に見つかった二人は、こっちが気の毒になるぐらいの慌てっぷりで弁解をしようとしてるんだが、全然言葉が出て来ないらしい。

 

「そ、そうです! お嬢様達こそ、一体何をしてたんですか!?」

 

「な、何って、お風呂に入ってたのよ?」

 

「宮下君を連れてですか!?」

 

「何よぉ、陸君と一緒に入ったっていいじゃない」

 

「なら私達だってOKですよね!?」

 

「誰も悪いなんて言ってないから……」

 

とうとう刀奈が呆れてしまうぐらい、今日の虚先輩はテンパってんなぁ。

 

「ただ、修学旅行中に学外の子と逢引きは、褒められないわよ」

 

「うぐっ!」

 

「いやあの、俺が虚さんに少しでも長く一緒にいたいって言ったから……」

 

弾、虚先輩を庇おうってか?

 

「五反田弾君だったわね? 大丈夫、別に虚を処罰しようって話じゃないのよ」

 

「そ、そうなんですか?」

 

「ええ。とはいえ、他の子達に見つかったら見逃しようが無くなっちゃうから、早いうちにトンズラしときなさい」

 

「は、はい!」

 

弾は直立不動で刀奈に対して敬礼すると

 

「それじゃ虚さん、今度はクリスマスに」

 

「ええ、また、ね」

 

名残惜しそうにしながら、従業員以外立ち入り禁止の通路に消えて行った。あ、そういえば弾の服装、この旅館の従業員だったじゃん。つまりここでバイトでもしてて偶然ってことか?

 

「それでは私もこれで……」

 

「虚さん」

 

「はい!?」

 

名前を呼ばれてビクンッと震える虚先輩に

 

「おやすみのキス、してもらわなくてよかったの?」

 

「簪様ぁ!?///」

 

簪の(精神的)即死攻撃が入った。




アリーナ解体完了。二人が解体作業してる間、束さん帰っちゃったの!? 鬼畜ぅ!

簪、疲れすぎて餌付けを要求。もはやこれぐらいでは、恥ずかしいと思わなくなってます。

家族風呂。ベッドの上でニャンニャンしてるのに、そこで恥ずかしがるの?(下品)


次回、一夏と束のデート回!(断言して自分を追い込んでいくスタイル)
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