俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

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てぇてぇ話が大半を占めた状態で、修学旅行編終了でございます。


第121話 家に帰るまでが修学旅行です

修学旅行最終日。ある生徒はお土産を買い過ぎてカバンの中に入り切らなくなり、またある生徒は今更になって見忘れてた名所を思い出して落胆したり。

そんなある種のドタバタが起こりながらも、行きと同じように貸し切り状態となった新幹線に乗り込んでいった。

 

「みんな乗ったわね?」

 

「「「「は~い」」」」

 

スコールの点呼も終わり、俺も席に座ろうとしたところで

 

「ねぇねぇ簪ちゃん?」

 

「何?」

 

「簪ちゃんの席――」

 

「ここは譲れない」

 

「ぶー! 1回ぐらいいいじゃない!」

 

刀奈の抗議をものともせず、俺の膝の上に座る簪。俺? もう何も言わねぇ。

 

「こうなったら……簪ちゃん、取引しましょ」

 

「取引?」

 

「じゃーん!」

 

「そ、それは!」

 

刀奈が見せてきたのはキーホルダーだった。見た目普通っぽいが、簪が驚くってことはなんか特別なもんなのか?

 

「仮面ラ〇ダー50周年記念・京都限定キーホルダー!!」

 

「そうよ。昨日古物屋に流れてるのを見かけたのよ」

 

そのキーホルダーを、簪の目の前で左右に振る始める。催眠術かよ。

 

「さあ、これとその席を交換しましょ」

 

「うぐぐ……キーホルダー……でも陸の膝の上……ぐあぁぁぁぁ!」

 

「いや簪、そんな頭掻きむしるほど悩むなよ」

 

自分で言うのもなんだが、俺の膝の上にそこまでの価値はねぇぞ。

 

「分かった、譲る……」

 

「やった♪」

 

簪にキーホルダーを握らせた刀奈が、俺の膝の上に。

 

「お、おおお? これはなんというか……」

 

『まもなく発車いたします――』

 

おっと、車内アナウンスが入ったか。

 

「楯無さん、発車時に揺れるんでちょっと失礼しますよ」

 

「え? ひゃぁ!」

 

発車時の揺れって結構デカいんだよな。だから行きの時は膝の上の簪が前に滑り落ちないように、ちゃんと抱えてたわけだ。

んで、今回も刀奈が落ちないように、腕を回して抱えたんだが。

 

「か、簪ちゃん! これ正面から抱き締められるよりドキドキするんだけど!///」

 

「うんそう。だからお気に入りの場所だった……」

 

しょんぼり顔になった簪が、いそいそと俺の左腕をガッチリホールドしてくる。あの簪さん? そんなガッチリホールドされたら、俺右腕しか使えないんだが。

 

「陸君、私が落ちないように、そのまま抱えてて?」

 

刀奈よ、その注文受けたら、俺まったく身動き取れんのですが?

 

「ああ~……幸せ過ぎてダメになるぅ……❤」

 

「うぅ……学園に戻っても陸の膝の上、お姉ちゃんに取られそう……」

 

簪は簪で、なんか腕に甘噛みまでし始めたんだが……。

 

「もう慣れたと思ったらこれだよ……」

 

「まさか会長さんが妹から席を奪うとは」

 

「あれって会長、もう半分イッてるよね?」

 

「そして更識さんの嫉妬心パないわぁ」

 

帰りは大丈夫だろうと思っていたクラスメイト達は、まさかの刀奈のターンに驚愕していた。帰りぐらいは穏やかにならんのかね……。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

――1年1組の車両

 

「すみません。本当であれば、貴女も織斑一夏争奪戦に参加したかったでしょう」

 

「正直言えばな。ただ、一度お前とも話をしなければと思っていたのだ」

 

突然クロエさんがラウラと話がしたいということで、二人は話の聞かれづらい一番後ろの席へ。

 

「くーちゃん、ガンバ。さあ箒ちゃん、束さん達も姉妹でシッポリ話そうじゃないか!」

 

「ちょっ、わ、私は一夏とぉぉぉぉぉ!」

 

箒も箒で、束さんに首根っこを掴まれて同じく一番後ろに。

 

「シャルロットさん……」

 

「分かってるよ、セシリア……」

 

決意を漲らせた二人の視線の先には――

 

「たまには姉弟でというのも悪くないだろう」

 

マイシスター、千冬姉が俺の隣に足を組んで座っていた。

 

「「か、勝てない……」」

 

しょんぼりした二人は、そのまま俺達の後ろの席に座った。

 

「ふん、少しは抵抗ぐらいすればいいものを」

 

「いやいや、千冬姉に「織斑先生だ」いや、今自分で姉弟って言ったじゃん」

 

「ん、んんっ! で?」

 

「いや、千冬姉に抵抗できる人間が、この学園にどれだけいるってさ」

 

まともに抵抗できるのって、束さんや更識さんぐらいだろ。千冬姉の胃にダイレクトアタックしてるって意味じゃ、陸も含むんだろうけど。

 

「それでも、あいつらは将来私の義妹になるのだろう? なら、一言モノ申すぐらい出来てもらわんとな」

 

「義妹って」

 

「思うところはあるが、お前が決めた以上、私も色々覚悟を決めなければならんからな」

 

「覚悟って、束さんが義理の妹に――」

 

「待ってくれ。そっちはまだ心の整理がついていない」

 

「あ、はい」

 

千冬姉、めちゃくちゃ苦しそうな声で言ってきたんだが。やっぱ同級生が義妹って受け入れがたいのか。でもごめんよ千冬姉、だからって『やっぱあの話は無しで』とか束さんに言いたくはない。

 

「一夏~!」

 

「鈴?」

 

振り返ると、後ろの車両から鈴がこっちにやってきた。

 

「どうした凰? そろそろ発車するぞ。早く席に座れ」

 

「分かってます。というわけで」

 

「おい鈴!?」

 

あろうことか、鈴が俺の膝の上に乗って……!

 

「おい凰、お前一体どういうつもりだ?」

 

「4組の更識が宮下の膝の上に座ってたを見かけました。あれがOKならこれもOKのはずです」

 

「り、鈴、お前……」

 

「……」

 

鈴の発言に、俺も千冬姉も二の句が継げなかった。あの二人、そんなことしてたのかよ!?……いや、してたな。運動会の時とか。

 

「「そ、その手があったんだ(ですの)!」」

 

セシリア、シャルロット。無いから、そんな手無いから。

 

「いいですよね、織斑先生? 前例だってあるんですし」

 

「み、宮下ぁぁぁぁぁ……! はぁ……仕方ない、今回だけ特別に許す」

 

「うそぉ!?」

 

え、許すの? 千冬姉許しちまうのか!?

 

「えへへ~、い~ちか♪」

 

「ちょ、鈴おま」

 

鈴のやつ、思い切り背中を倒してこっちに寄りかかってきやがった。うっ、鈴から石鹸の匂いが……だぁぁぁ! 煩悩滅却!

 

「ほら一夏、落ちないように支えなさいよ」

 

「支えるって……まさか」

 

「そのま・さ・か」

 

「り、りりりり、鈴さん!?」

 

「さすがにそれはライン越えだよ!」

 

「何言ってんのよ。事故らないために必要な処置よ処置。ほら一夏、早く早く」

 

「お、おう……」

 

千冬姉が許可した以上、鈴も引かないだろう。そう腹を括った俺は、鈴を抱きかかえるように腕を回して――

 

「こ、これはやばいわぁ……幸福指数が半端ないぃ……///」

 

「そ、そうか……」

 

「鈴さんの顔、完全に溶けてますわ……」

 

「う、羨ましい……!」

 

「シャル、そんな血涙流すほど羨ましいのか……?」

 

俺にはさっぱり分からん。

とりあえず話題を逸らそうと辺りを見回したら、扉上の電光掲示板に文字ニュースが流れていた。

 

『無人島で爆発。身元不明者が多数死亡』

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

――女性権利団体本部、代表執務室

 

「どうなってるのよこれは!」

 

いつも以上にヒステリックに叫ぶ上司の山崎を前に、部下の女はただ嵐が止むのを待つしかなかった。

 

「私達優等種が、あの雄猿に劣るなんてあり得ないわ! そんなこと、あっていいわけが無い!」

 

そうして散々喚き散らした山崎だったが、ある程度怒りを吐き出したのか、執務机の椅子にドッカリを座り込んだ。

 

「それで、状況は?」

 

「はい。第3研究所の施設および人員の損害率は100%、補充は容易ではないかと」

 

GNドライブの設計図を手に入れた女権団は、各国からも秘匿していた研究施設、第3研究所にて開発を進めていた。

そしていざ完成して起動テストを行った直後、謎の大爆発により研究所は崩壊。所員もそのほとんどが()()し、わずかな生き残りも後に全員が死亡した。

 

「幸い研究所は『テロリストの隠れ家』として処理されたため、我々との関与を疑われる心配はございません」

 

「だからと言って、今回の損害は安くないわ」

 

なにせISの開発設備がある秘密研究施設と、開発を行える技術を持った人員を一度に失ったのだから。

 

「原因は?」

 

「残念ながら不明です」

 

「ちっ、使えないわね……いえ、まさか……」

 

「代表?」

 

「まさかこれは、あの下劣な雄猿の仕業?」

 

「え、ええ?」

 

突然の山崎の発言に、部下は困惑した。

 

「そう考えれば辻褄が合うわ。あの爆発も、わざとそうなるような設計図を亡国機業に書かせるように仕向けて……」

 

「まさか……」

 

「おそらくそうよ……いいえ、きっとそうだわ! これは私達優等種に対する宣戦布告よ!」

 

山崎の推測は半分当たっていた。

確かに陸は『ただコピーすると(抵抗器の偽装を見破れないと)爆発するトラップ』を仕掛けてはいた。ただしそれは、女権団を狙い撃ちしたものではなかった。

しかし、根拠なく確信した山崎は止まらない。元々の宮下に対する敵意にパラノイアが混ざり、ますます自分で自分を追い詰めていく。

 

 

『なんとしても、男性操縦者を消さなければならない』

 

 

今まで、組織の命題や自分の地位を守るためという理由で行っていた"それ"。だが、もはやそんなことは言っていられない。宮下を、そして織斑を消さなければ、自分達の命そのものが危ういのだと。本来であれば、織斑一夏はこの件とは何の関係もないのに。

 

「消さなきゃ……宮下陸と織斑一夏を消さなきゃ……」

 

完全に狂気に憑りつかれた上司を、生粋のイエスマンである部下は止める手段を持ち合わせていなかった。




人をダメにするオリ主の膝の上。簪の嫉妬シーンをやりたいがために、選手交代しました。

人をダメにする一夏の膝の上。シャルロットと鈴、どっちにしようか迷った結果、鈴が膝の上に乗ることになりました。身長差的にもピッタリですし。(命知らず)

女権団、やっぱりやらかす。爆発オチなんてサイテー!(フラグ回収)
ちなみに、設計図の精度が杜撰な上に所員の能力も大したことなかったので、GN粒子を発生させられず普通に爆発しました。所詮、倉持技研に生えてた毛を抜いた程度の技術力ですから。
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