俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

126 / 182
今回から新章となります。
時系列的には11月後半(修学旅行~エクスカリバー)ぐらいを想定してます。


幕間
第122話 IN バトルジャンキー OUT 元テロリスト


修学旅行先の京都からIS学園に戻ってきた翌日、またまた全校集会が開かれた。なんか最近多くねぇか?

 

「は~いみんな、修学旅行は楽しめたかしら~? 今日はみんなに伝えなきゃならないことがあります」

 

ざわざわし始めた生徒達を手で制して刀奈が横によけると、壇上に登ったのは

 

「ぐっも~に~んぐ! 束さんだよ~!」

 

「「「「ええ?」」」」

 

もうみんな、束が登場しても前ほど驚かなくなってるな。

 

「運動会でも言ってたけど、このIS学園の電力全部、束さんが受け持つことになったんだよ。で、これを機に束さん、会社を立ち上げることにしましたー!」

 

「「「「えぇぇぇ!?」」」」

 

あ、そっちはちゃんと驚くのか。ちなみに俺は刀奈経由で聞いてたから驚きはしない。そしてこの次の内容も想像できる。

 

「そして1年4組の副担任、スコール・ミューゼルを社長に据えることにしたよー!」

 

「「「「えぇぇぇ!?」」」」

 

 

「はいぃぃぃ!?」

 

 

束の爆弾発言に、一番驚いてるのが当の本人であるスコールだった。

 

「ス、スコール!? いつの間にそんな話になったんだ!?」

 

「し、知らないわよ! そんな話、私全然……!」

 

「本人には今日初めて言ったけど、引継ぎとか必要書類とかはこっちで勝手にやっといたから安心してよ♪」

 

「どうしてこうなったのよぉ!?」

 

あ、orzった。

 

「あ、それとオータムもスコールの秘書として栄転ね。みんな拍手~!」

 

「ファッ!?」

 

まさか自分も巻き込まれると思ってなかったのか、オータムも鳩が豆鉄砲を食った顔になった。

 

「でもそうなると、IS実習とかどうするんだろう?」

 

「オータム先生の説明、分かりやすかったんだけどなぁ」

 

「せっかくスコール先生と仲良くなったのにぃ」

 

「ちなみに二人の後任も、ちーちゃんが用意してるみたいだよ?」

 

「「「「え?」」」」

 

束の言った『後任』が壇上に上がる。

 

「やぁやぁIS学園の諸君。ご紹介に与ったアリーシャ・ジョセスターフだヨ。アーリィ先生って呼ぶといいのサ♪」

 

「「「「えぇぇぇ!?」」」」

 

スコール達の件以上に驚いた生徒達の声がハモって、建物内の空気がビリビリ振動した。

そりゃ、現役の国家代表が教師役になったらビビるだろ。

 

「陸、驚いてないけど知ってたの?」

 

「アーリィのことか? ああ、知ってたぞ。織斑先生の指示で、学園との雇用契約書にサイン(無承諾)させたの俺だし」

 

「陸……」

 

いやいや簪、俺悪くないからな? 悪いのは織斑先生だからな?

 

ーーーーーーーーー

 

そんな全校集会があった昼休み、いつ面で学食で飯を食ってたら

 

「そんなこと言わないで、お願いするのサ~!」

 

「ええい! HA☆NA☆SE!」

 

織斑先生に縋りつくアーリィという、なんとも珍妙な場面に遭遇しちまった。

 

「陸……」

 

「見るな一夏、目を合わせるな」

 

きっと碌でもないことに巻き込まれるぞ。

 

「あ、少年! 少年からもチフユに頼んでほしいのサ!」

 

あ~あ。一夏の奴、案の定捕まっちまったよ。

 

「いやあの、話が見えないんですが……」

 

「チフユと再戦したいから、弟である少年からもお願いしてほしいのサ!」

 

「えぇ? この前エキシビションマッチしたばかりじゃないですか……」

 

あまりのバトルジャンキーっぷりに、一夏はおろか、周りのハーレム達もジト目でアーリィのことを見た。

 

「私だって教師の仕事があるんだ! そう何度もお前の相手が出来るかっ!」

 

「そこを何とか頼むヨ~!」

 

振り解こうとする織斑先生をものともせず、ガッチリしがみ付くアーリィ。片腕でよく引き剝がされないな。

 

「だからぁ……そうだ!」

 

「はい?」

 

なんか織斑先生、突然簪の方を指さしたんだが、まさか……

 

「いいかアリーシャ! お前が更識妹に模擬戦で勝ったら、勝負してやろう!」

 

「「「「「「はいぃぃ!?」」」」」」

 

何言い出すんだこの人は!? 簪に勝ったらって……いや、普通にアーリィ負けるやん。(白目)

 

「ほう? そんなことでいいのサ?」

 

「ああ、二言は無い。というわけだ更識妹、頼んだぞ!」

 

「え、ええ?」

 

かき揚げうどんをすする態勢のまま固まった簪の肩をポンポンと叩くと、織斑先生は脱兎のごとく逃げて行った。逃げるのか、この卑怯者!

 

「そうと決まればカンザシ! 私と放課後勝負するのサ!」

 

「いきなり!? どうしてこうなった!?」

 

「すっごい急だね~……」

 

「おっと、急いでアリーナの予約をしなくちゃネ!」

 

「いやあの、まだ受けるなんて……」

 

簪の返事を全く聞かず、アーリィは食堂をダッシュで出て行った。おそらくアリーナ予約のために、職員室まで全力疾走してることだろう。

 

「おう一夏……」

 

「ええっ、これ俺が悪いの!?」

 

お前が巻き込まれなければ、そのままスルー出来たものを……。

 

「簪ちゃん、どうするの?」

 

「こうなったら仕方ない。受けるよ」

 

刀奈の問いに、全身浴したかき揚げを飲み込んだ簪が顔を上げる。

 

「「「「「「っ!?」」」」」」

 

その顔を見た一夏達の表情が凍り付いた。

 

「二度と挑む気を起こさないぐらい、叩きのめす」

 

あ~、簪の奴、結構イラついてるな。

 

ーーーーーーーーー

 

チフユとの再戦を希望したら、条件を出された。その条件を聞いた時、簡単に満たせると思っていた。

それが勘違いだと気付いたのは、放課後にその条件の相手――カンザシ・サラシキと模擬戦をした時だったヨ……。

 

 

 

「さぁさぁ! さっそく勝負といくのサ!」

 

「分かりましたから落ち着いてください」

 

落ち着いてなんていられないのサ! カンザシの乗る打鉄弐式、あれを破ればチフユと再戦……!

 

「それじゃあ、あたしの合図で始めるってことでいいわね?」

 

審判役を買って出た、中国の候補生がそう言って手を上げる。

 

「――始めっ!」

 

「いっくのサぁぁぁぁぁ!」

 

開始の合図とともに風の槍を作って、吶喊をかけようとした

 

――ドッ!

 

「なぁ!?」

 

次の瞬間、カンザシが目の前に! まさか瞬時加速で正面から!?

 

――ドスッ

 

「ごふっ!」

 

腹部への衝撃。それが薙刀の石突で突かれたことを理解したのは、衝撃で後退した際にカンザシの構えが見えたからだった。

刃の部分で切りつければいいものを、よりにもよって石突とは……。

 

「て、手加減とは、私も舐められたものサ……!」

 

チフユとの再戦に浮かれてた油断もあったんだろう。けれどこれでも国家代表、舐められるわけにはいかないのサ!

 

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

エキシビションマッチでもやったように、風の槍を生成して次々に投擲していく。

 

「行って、ファング!」

 

――チュィィン! チュィィン!

 

「それが噂のBT兵器サね! でも、この勢いに付いて来れるかナ!?」

 

まさか、チフユみたいに全部捌き切るなんてないだろう。なら――

 

――ヒュンッ

 

「消えっ がっ!」

 

消えた。そう思った時には、私は背後から首を掴まれていた。

 

「すみませんが、私もそう何度もアーリィさんの相手は出来ません」

 

耳元でそう呟かれて、背筋が凍り付くのを感じたヨ……。

なんて、冷たい声を出すのサ……。

 

「ですから――」

 

 

「これで、終わりです」

 

 

「が、ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

掴まれた首を伝って、全身に流れる衝撃。そして視界の端で見る見るうちに減っていくSE。

あまりの衝撃に気を失いそうになる直前、

 

「勝負あり! 勝者、更識!」

 

私の負けが確定した……。

 

ーーーーーーーーー

 

「ちょっと、()()どうするのよ……?」

 

模擬戦が終わって弐式を待機状態にした私に、凰さんが指さした先には

 

「ううう……! 事前情報より怖かったヨぉぉぉ……!」

 

アーリィさんがアリーナの端で、三角座りしてガタガタ震えていた。

……うん、やり過ぎたかもしれない。

 

「必殺のメメントモリだって、キャノンボール・ファストで使用されたから情報あったでしょうに……」

 

「山嵐もGNファングも、もう各国に知られてるんだよね」

 

「それで『事前情報より』って、一体何を調べてたのか」

 

「ひぐぅ!」

 

「あ、陸がトドメ刺した」

 

「え、俺?」

 

凰さんやデュノアさんに便乗して弄ったら、それが一番刺さったみたい。

 

「お前達、調子はどうだ」

 

「あ、織斑先生」

 

「チフユ~~~!!」

 

「だぁぁぁっ! 今度はなんだぁ!?」

 

さっきまで三角座りしていたアーリィさんが、様子を見に来た織斑先生の腰にしがみ付いた。なんだろう、お昼の再現?

 

「あのカンザシってなんなのサぁぁぁ! 勝てるわけないヨぉぉぉぉぉ!!」

 

「うむ。さすが現・日本代表、私も初代として鼻が高いぞ」

 

「日本代表!? カンザシが!?」

 

アーリィさん、知らなかったんだ。というか、この人を含めて大部分が『日本代表=織斑千冬』って観念があるんだろう。再来年の第3回大会で、その意識を塗り替えられるかなぁ?

 

「さらに非公式ながら、私を破ってもいる」

 

「さらに勝ち目ゼロ!? そんなのを倒さなきゃいけないなんて、なんて条件を突き付けたのサぁ! うわぁぁぁぁん!!」

 

あー、とうとう泣き出しちゃった。

 

「だぁぁぁ! 離れろ! お前達……」

 

「「「「「「お疲れさまでしたぁ!」」」」」」

 

「お前達ぃ!?」

 

私達にアーリィさんを押し付けようと考えてたみたいだけど、みんなそれに気付いて、猛スピードでピットに向かって逃げて行った。

これでアーリィさんも、少しは大人しくなってくれると良いんだけど……。




スコールとオータム、人事異動を直前に知らされる。さぁ、これから束さんに弄られる日々が待ってるよ!(ゲス顔)

バトルジャンキー・アーリィ、簪に分からされる。これ絶対、ちーちゃん楽にならないよね? というか、まーやんの涙が増えると思われ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。