俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

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時系列的に、ようやっと原作1巻の後半なんですよね……長い。

そして突然ですが、次回から投稿頻度が少し落ちます。
さすがに2作続けて日刊は体が持たなかったんや……


クラス対抗戦
第12話 クラス対抗戦に向けて


決闘から数日、俺達は普通に登校し、普通に授業を受けていた。

あの戦いは公式記録には載らず、特に観戦者もいなかったため、打鉄弐式が紅くなった件も含め、内々に収めることになった。おかげで俺も簪も、クラスメイトから余計な詮索を受けずに済んでいる。

 

「それでは宮下君。アラスカ条約について説明して」

 

「あーっと……『ISの情報よこせ』『IS学園作れ』『軍事利用すんな』、でしたっけ?」

 

「……間違ってはいないですが、もう少し意訳せずに覚えましょうね」

 

これにはエドワース先生も苦笑い。そしてクラスメイト達も苦笑い。くっ、いっそ笑えよ! 頑張って覚えたんだよこれでも!

 

「次はISのコア・ネットワークについて……更識さん」

 

「はい。ISのコアは相互情報交換のための通信ネットワークを持っており、オープン・チャネルやプライベート・チャネルによる操縦者会話などに使われています。それ以外にも『非限定情報共有』をコア同士が行っており、それがISの自己進化に繋がっていることが近年の研究で明らかになりました」

 

「はい。満点の模範解答です」

 

簪の回答に対して満足気に頷きながら、先生はクラス全体を見渡し

 

「ここまでの内容は期末テストの範囲にもなっています。クラス対抗戦や学年別トーナメント、臨海学校の後とはいえ、油断しているとあっという間に来てしまいますから、みんな気を付けるようにね」

 

と締めくくった。

 

ーーーーーーーーー

 

精神的にコテンパンにされた授業後の昼休み、最近いつもの面子になりつつある簪とのほほんの3人で昼飯を食ってると

 

「アンタが4組のクラス代表?」

 

いつものかき揚げうどんをすすっていた簪に対して、小柄な女子生徒が声をかけた。

 

「そうだけど」

 

「へぇ……」

 

簪が肯定すると、その女子生徒は簪をジロジロと値踏みするように見回した。それを確認して、俺は席を立った。

 

「りったん?」

 

――バッ! ギュッ!

 

 

「ぎゃぁぁぁぁぁ!」

 

 

毎度おなじみ、お仕置きアームロックである。

 

「自分から名乗らないのに相手の事を確認しておいて、その態度はどうよ?」

 

「いだだだだだ! ふぁ、凰鈴音! 2組のクラス代表よぉ!」

 

「おう。2組の凰だな」

 

アームロックを外す。最初から名乗っておけば、痛い思いをしなくて済んだものを……。

 

「実際に痛めつけた陸が言っても説得力無い」

 

俺の心を読んだのか、簪からツッコミが来たが気にしない。

 

「それで、凰さんは私に何か用?」

 

「痛たた……はっ、そうだった!」

 

アームロックされた左腕をさすっていた凰は、思い出したようにビシッと簪を指さすと

 

「もしクラス対抗戦であたしと当たっても、手加減なんてしてあげないんだから、覚悟しておくことね!」

 

宣戦布告して、勝手に満足したのか去っていってしまった。

 

「何だったんだろうね~……」

 

「さぁ……」

 

「さっぱり……」

 

まるで嵐がやって来て速攻で過ぎ去ったような展開に、俺達3人は呆然とするしかなかった。

 

「よお陸、どうかしたか?」

 

そんな俺達に話しかけてくる奴が一人いた。

 

「おう一夏。ちょっとな……」

 

「そ、そうか。それにしても、陸は今日も『両手に花』だな?」

 

「確かにそうかもな」

 

一緒にいる簪とのほほんの事を言ってるのだろう。確かに傍から見たら両手に花だな。二人とも、俺主観でも客観的でも可愛いのは間違いないだろうし。

そう思って頷くと、簪は恥ずかしかったのか俯き、のほほんは『りったんてば~』とか言いながら、俺の肩をだぼ袖で叩いてきた。

 

「一夏だって、今日は『両手に花』じゃねぇか」

 

「そんなんじゃないって」

 

一夏は苦笑して否定するが、両脇にいる女子二人は不満げな顔をした。そういうとこだぞ、一夏。

 

「そっちの二人は初対面だし、一応自己紹介しとくな。1年4組の宮下陸だ」

 

「同じく、更識簪」

 

「ああ。一夏と同じ1組の篠ノ之箒だ」

 

「わたくしも1組で、イギリス代表候補生のセシリア・オルコットですわ」

 

黒髪ポニーテールが篠ノ之で、金髪縦ロールがオルコットか。頑張って覚えよう。ん? オルコット?

 

「ああ思い出した。『文化としても後進的な国』発言のオルコットか」

 

「うぐっ! そ、それはもう言わないでくださいまし……」

 

本人の中で黒歴史化しているのか、オルコットは胸に手を当てながらお願いしてきた。まぁ、それだけ自分が言ったことを反省したが故の反応なのだろう。

 

「陸、それについては俺とセシリアがお互い謝って解決したんだ。だから……」

 

「分かってるって。当事者で和解済みなのに、部外者が引っ掻き回すような事はしねぇよ」

 

そう返すと、一夏もオルコットも安心したような顔になった。

そんなやり取りをいていると、

 

「篠ノ之さんって、篠ノ之博士の関係者?」

 

「それは……」

 

簪の問いに、篠ノ之は苦い表情になった。

 

「聞いたら、まずかった?」

 

「ああいや、すまない。そんなつもりでは無かったんだが……」

 

無意識だったのか、篠ノ之はハッとして元の表情に戻り

 

「確かに私は篠ノ之束の妹だ。だからと言って、姉さんと繋がりを持とうとしても」

 

「大丈夫。そんな気はないから」

 

という簪の返答に、今度はキョトンとした顔になった。

 

「陸と本音が作ってくれた専用機がある今、その必要はない」

 

「そうか……ん? 専用機?」

 

「ん。私、日本の代表候補生」

 

「「「ええ~っ!?」」」

 

さっきの自己紹介で出てこなかった情報に、1組の3人(のほほん除く)は驚いた。

 

「あれ? でも『陸とのほほんさんが作ってくれた』ってどういうことだ?」

 

一夏の奴、気付いた上に、口に出しちまったか~……。

 

「私の打鉄弐式は、倉持技研が作るはずだった」

 

「倉持技研……確か一夏の白式も倉持技研だったな……まさか!」

 

話しながら途中で気付いた篠ノ之が簪の顔を見る。それに次いで、オルコットと一夏も簪の方を向いた。

 

「うん。白式の開発に人員を全て奪われて、打鉄弐式の開発は凍結された」

 

「そ、そんな……」

 

初めて知らされた自分の専用機開発の裏事情に、一夏の顔が真っ青になっていく。

 

「一夏。別にお前が悪いわけじゃ無い」

 

「で、でも、だからって……!」

 

「悪いのは別の委託先も用意せず、勝手に先約をボイコットした日本政府と倉持技研だ」

 

「そうかもしれないけど……」

 

「陸の言う通り。それに私はさっき言った通り、専用機を手に入れた。だから貴方が罪悪感を持つ必要もないし、謝罪もいらない」

 

「……分かった。教えてくれて、ありがとうな」

 

笑顔に失敗したような顔になりながらも、一夏がお礼を言い、それに対して簪も頷いた。

 

ーーーーーーーーー

 

――整備室

 

「クラス対抗戦も近付いてきたんで、さっそく打鉄弐式を強化したいと思いまーす」

 

「何するの?(ジト目)」

 

その目やめなさいって。やりすぎると目付きが悪くなっちまうぞ。

 

「差し当たっては、山嵐を完成させたいなーと思ってる」

 

「それは、確かに……」

 

「半分のスペックじゃ、たっちゃんに勝てなかったからね~」

 

あの時、24基のマイクロミサイルじゃ、パイセンのミステリアス・レイディを墜とせなかった。最後の第二形態移行(セカンド・シフト)モドキが無ければ、間違いなく簪は負けていた。

つまり、正確には『俺とのほほんが組んだ打鉄弐式』ではパイセンに勝っていないことになる。メカニック志望としてそれは悔しいから何とかしたい。

逆にそれだけの力があれば、クラス対抗戦は優位に進められるはずだ。

 

「でも、りったんがマルチロックオン・システムを作ってる間、私はどうするの~?」

 

「のほほんにも仕事はあるぞ。決闘時のデータから、スラスターやシールドへのエネルギー配分の微調整っていう、泥臭い作業が」

 

「うわ~……でも、それも大切なんだよね~?」

 

「おうよ。だから頼んだぞ、のほほん」

 

「りょうか~い」

 

「それで、私は?」

 

「とりあえず前回撃った時に思ったり感じたことを教えてくれ。それに対して発射時の感度とか変えようと思うから」

 

「分かった」

 

 

 

 

さて、そうして作業を開始したわけだが、ここで俺達は致命的な失敗をしていた。

今までは俺とのほほんが吶喊していたのに対して、簪がストッパーになっていた。ところが今回は簪もガチで作業していたから、ストッパーが不在。つまり

 

 

――学生寮入口

 

「ISを弄るのに熱心なのは結構だがな、それで門限を過ぎるのはどうなんだ? ん~?」

 

「「「す、すみませんでした……」」」

 

夢中で作業をしていた俺達が気付いた時には、完全に寮の門限をブッチしていて、コッソリ戻ろうとしたところを寮長の織斑先生(俺はここで、入学前に参考書を渡してきたのがこの人だと知った)に見つかり、こってり絞られたのだった……。

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