俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

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言葉など、既に意味を成さない。
白刃と鉛玉。ただそれだけが、二人の対話を成り立たせる。


第126話 決闘

刀奈LOVEなキチガイ狐目女が学園にやって来ようと、俺達には普通に授業がある。だから今日も4組の教室に来ているわけなんだが……

 

「リク・ミヤシタ! 貴方に決闘を申し込みマス!」

 

授業中、突然狐目女がやって来たと思ったら、よー分からんことを言ってきたんだが。

 

「あの、カリーニチェさん。今は授業中……」

 

замолчи(黙らっしゃい)!」

 

エドワース先生の注意もお構いなし。そして困惑するクラスメイト達。

 

「で、なんで俺がアンタと決闘しないといけないんだ?」

 

「私のお姉さまを誑かした貴方をギッタンギッタンに叩きのめして、お姉さまの目を覚まさせるためデス!!」

 

ビシッと指を突き付けられてもなぁ……。それ、俺が受けるメリットないじゃん。

 

「あの、ログナーさん」

 

「ん? 貴女は確か、お姉さまの妹の……」

 

「更識簪です。それで、ログナーさんは陸と決闘したいってことですけど、リクがそれを受けるメリットってなんですか?」

 

おっ、簪が代わりに聞いてくれたぞ。

 

「そもそも、お姉ちゃんの方が陸に告白したんですよ?」

 

「(会長が宮下君に告白!?)」

 

「(やっぱりそうなんだぁ)」

 

「(やばっ、ウ・ス異本が捗るわぁ!)」

 

おい最後の奴。

 

「そ、そんなはずはっ! こんなガラの悪いクズ男にお姉さまがゴッ!」

 

「それ以上陸のこと悪く言うと、潰しますよ?

 

「簪、ステイステイ」

 

掴んだ狐目女の顎を、今にも握り砕きそうな簪を止める。俺自身一夏より外見がいいとは思ってねぇし。

 

「ひぐぅ……と、とにかく! 放課後の第2アリーナで決闘デス! 逃げるんじゃないデスよ!!」

 

簪の顎砕きから解放された狐目女は、そんな捨て台詞を吐いてそそくさと教室から逃げ去って行った。

 

「あ~、エドワース先生、お騒がせしました。授業を続けてください」

 

「授業を続けるって言っても……」

 

言葉を濁すエドワース先生に疑問を持ったが、理由はすぐ分かった。

簪の周りから、クラスメイト達がズズズズッと距離を取っていたからだ。

 

「さっきの人の顎掴んでた時の更識さん、滅茶苦茶怖かったぁ……」

 

「ところであの人って、もしかして前ロシア代表のログナー・カリーニチェ選手?」

 

「そうだよねぇ? 第2回大会にも出場してたのテレビで見たし」

 

「宮下君、そんな人から決闘を申し込まれたの?」

 

「というか、そんな前代表を潰す宣言した更識さん怖っ!」

 

あの狐目が前ロシア代表だと気付いて驚いてるのが半分、そいつを潰そうとした簪への畏怖半分って感じか。

 

「陸ぅ……」

 

「ああはいはい、お前は悪くないぞー」

 

エドワース先生すんません、授業の続きは無しで。

すっかり魔王的扱いになってしまった簪に対して、頭をポンポンと撫ぜて慰めるのに残りの時間を使うことになりそうだ。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

そして案の定、俺と簪は生徒指導室に呼び出された。行けばいつもの織斑先生と、刀奈が頭を抱えて待っていた。

 

「ごめんなさい陸君。まさか()()が決闘を仕掛けてくるなんて……」

 

「しかも授業中に乱入してだ。一応、ロシア政府にも抗議は入れてみたが『あとで正式に謝罪するから、今は言う通りにしてやってくれ』と返ってきたぞ……」

 

「それ、ロシア政府もあの狐目を制御し切れてないってことですか?」

 

「ええ……それも、私がロシア代表になれた理由の一つなのよ」

 

「マジかよ……」

 

いくら自由国籍持ちとはいえ、他国人に国家代表をやらせるとか頭おかしいと思ってたんだが。刀奈に代表の座を渡しちまうぐらい、前任者の頭の方がおかしかったのかよ。どんだけ打ち所悪かったんだ。

 

「それで、俺はこの決闘、受けなきゃダメですか?」

 

ぶっちゃけ受けても、俺にメリットないし。

 

「残念だが、あの馬鹿がアリーナの予約をしたと同時に、全世界にお前との決闘を宣言した。今更やりませんとはいかなくなった」

 

「ええ~……陸の意思関係なしですか……」

 

「すまんが、更識姉のためにも頑張って戦って勝ってくれ」

 

口だけでなく本当にすまなそうな顔の織斑先生に、肩を叩かれた。勝ってくれって、適性D+の俺に何を期待してるんですかねぇ……。とはいえ、やるしかないなら全力で。

 

「分かりました。その代わりなんですが……」

 

俺は織斑先生に、決闘を行うにあたって条件を提示した。その条件を聞いた織斑先生は

 

「はぁ……仕方ない、許可しよう」

 

ものすげぇ渋い顔をしながらも了承した。よし、これならまだ、一方的に蹂躙される未来は避けられるな。

 

「ただし! 絶対にやり過ぎるなよ!」

 

「大丈夫ですって。というか、これぐらいしないと、"前"とはいえ国家代表と戦えませんって」

 

「いいか! 絶対56すなよ!? 絶対だからな!」

 

「先生、アンタ俺を何だと思ってんだ」

 

むしろ俺が命狙われてる側のはずなんだが?

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

そして放課後。第2アリーナに着くと、狐目がすでにISに乗って待機していた。

 

「遅かったナ」

 

「整備室に寄ってたもんでな。それに、時間指定はされてなかったはずだが?」

 

「その減らず口、すぐに叩き潰して溶接するから覚悟しなサイ!」

 

「へいへい」

 

陰流を展開、拡張領域を確認して……よし、ちゃんと全部入ってるな。

最後に長船をコールして展開すると、いつもとは違って構えずに、右手で握ったままだらりと腕を降ろす。

相手は……ロケットランチャー? そんなもん使う気かよ。

 

「愛は爆発! お姉さまとの間に立つ障壁を吹き飛ばしマス!」

 

「貴女との愛なんてないから……」

 

アリーナの端に立っている刀奈の呟きを、ハイパーセンサーが拾う。声だけで、めっちゃゲンナリしてるのが分かる。

 

「それでは、ルールを確認するぞ」

 

審判役の織斑先生が、俺達の間に立つ。

 

「SEが無くなるか降参したら負け。武装は拡張領域に入ってる物を使用、途中で補充するのは無しだ」

 

「私はそれでいいデス。それで、そちらはハンデが必要デハ?」

 

「ハンデか、是非もないな」

 

「ほぉ、意外と素直デスね」

 

 

「なら俺は、スラスターを使わないでおいてやるよ」

 

 

ハンデはハンデでも、お前に有利なハンデをくれてやるよ。

 

「……舐めてるんデスか?」

 

「そっちからハンデの話をしたってのに、面倒くせぇ奴だな」

 

追加でおちょくってやると、奴さん、どんどん顔を真っ赤にしてやがる。さあさあ、そうやって冷静さを欠いてくれ。

 

「おしゃべりはそれぐらいにしろ。それでは……始め!」

 

 

「ぶっ潰す!」

 

ガチギレした狐目がランチャーを構えて俺に照準を向ける、その時俺は

 

「そりゃ!」

 

長船を、奴に向かって投げつけた。

 

「なぁ!?」

 

まさか大太刀を投げつけてくるとは思わなかっただろう。だが腐っても前代表、やや態勢を崩しながらも飛んできた刀を回避する。

 

「ふざけた真似をぉぉ!」

 

「遅ぇ」

 

向こうが回避行動をしてる間に、俺は次の武装を左手に展開して、奴の足元に転がした。そして

 

――ブゥゥゥゥゥンッ!

 

「な、何ガ……!?」

 

サイクロプス・ボムが爆発し、周囲に超高強度マイクロ波を放出する。もちろんISの絶対防御を抜いて、操縦者を爆散するほどの出力は無い。だが

 

「う、動かナイ!? ナンデ!?」

 

「よしよし。リミッターを付けても、EMP爆弾としての使用には耐えられそうだな」

 

「EMP!?」

 

超高強度マイクロ波、つまり強力な電磁パルスを発生させることで、短時間ではあるがISの動きを止める効果がある。理論上は。

これが決闘をするにあたり、織斑先生に出した条件。

 

 

『これまで使用禁止になった武装の性能評価を、狐目のIS『モスクワの深い霧』で行う』

 

 

「くっ! システムリブート……!」

 

「悪いが、立て直す時間はやらねぇぞ」

 

――ガンッ

 

「きゃっ!」

 

いくらEMPを食らったとはいえ、ISなら1分とかからずに再起動するだろう。そうなる前に、俺は狐目を地面にはっ倒すと、そのまま馬乗りになった。

そして、最後の武装をコールした。

 

「あ、ああああ……!」

 

右腕に展開された()()を見て、狐目の顔が恐怖に引き攣る。

 

「それじゃあ、最後の性能評価といこうか」

 

満を持して俺は右腕――ラファールの69口径よりさらに巨大な、薬莢剝き出しの火薬式パイルバンカー『菊花』――を、狐目に向かって叩き込む。

 

――ズンッ!

 

「げはっ!」

 

絶対防御が効いてるはずだが、衝撃でISごと狐目の上半身が跳ね上がる。

 

「威力の方は……やっぱリミッターが効いてるからこの程度か」

 

「こ、これでリミッター付……!?」

 

「驚いてるところ悪いんだが……」

 

 

「撃発用の薬莢、あと35発残ってんだわ、これが」

 

 

「……っ!?」

 

 

「ま、参った! 参りました! だからこれ以上はヤメテェェェェェェ!!」

 

 

ギャン泣きしながら降参したことで、決闘は俺の勝ちになった。が、それだと困る。

 

「織斑先生、今回の結果なんですが……」

 

「分かってる。カリーニチェに勝ったことを喧伝されると困る、だろ?」

 

「ええ。俺はISを弄りたいのであって、操縦者として有名になりたいわけじゃないんで」

 

「そこはブレないな……」

 

ブレませんとも。操縦者として目立つのは一夏の役目、俺の仕事じゃない。

というか、これ俺の実力じゃなくて、完全に装備と挑発で勝っただけですから。それで変に担ぎ上げられても困る。

 

「この決闘は、試合中『モスクワの深い霧』が動作不良を起こしたため無効とする。それでいいな?」

 

「OKです」

 

「まったくOKじゃないデス!」

 

「「お前の意見は聞いてない」」

 

「ヒドイッ!!」

 

こうして決闘騒ぎは、各国やIS委員会には無効試合と報告して決着したのだった。

 

「あ、そうだ宮下。あの爆弾とパイルバンカー、今後も使用禁止な」

 

「デスヨネ―」

 

そう簡単には解禁されなかった。チクセウ。




前書き、ただカッコイイこと書きたかっただけー。

オリ主、決闘を申し込まれる。たっちゃんとオリ主が付き合ってると知ったら、そうなるでしょうよ。そして簪は魔王。

決闘で分からせる。ちなみに作中のパイルバンカーですが、モデルはご存知ACfaの『KIKU』です。そしてサイクロプス・ボムの使い方は、感想欄からアイディアをもらいました。どうもです。
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