俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

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終盤ちょっとグロ。


第129話 惨禍

いつものニチアサを決めて、遅めの朝飯を食ってる時だった。

 

「クリスマスの前祝しましょう!」

 

「……」

 

無言で刀奈の額に手を当てる。うん、熱は無いな。

 

「陸君!?///」

 

「簪、病院の予約はしなくてよさそうだ」

 

「うん、分かった」

 

「ちょっとぉ!?」

 

スマホで近所の内科を調べてもらってたんだが、必要なかったか。

 

「で? いつからクリスマスに前祝が必要になったんですかねぇ?」

 

「お姉ちゃん、クリスマス・イヴって知ってる?」

 

「もう12月になったんだから、前祝ぐらいやってもいいじゃない!」

 

いや、そんな『どうだっ!』みたいに言われても……。

 

「何を馬鹿なこと言ってるんですかお嬢様」

 

「あら虚。本音もおはよう」

 

「おはようございます~」

 

布仏姉妹が、トーストの乗ったトレーを持って現れた。二人がこんな時間に食堂にいるなんて珍しいな。

 

「クリスマスも近いから、寮の飾り付けの準備があるのよ。それで学園側とのやり取りしてたら、ね」

 

「いちお、生徒会のお仕事だから~」

 

「へぇ」

 

あれか。玄関前にクリスマスツリーとか飾ったりすんのか?

 

「本当なら、生徒会長がやるべきなんだけど……」

 

「~♪(吹けてない口笛)」

 

「ダメな姉ですみません……」

 

「(゚ロ゚;)私ダメじゃないもんっ!」

 

いや、ダメダメだろう。

 

「なので、お嬢様は飾り付けの買い出しに行ってきてください」

 

「え~」

 

「なんでそんな嫌そうなんですか、まったく……」

 

「仕方ないな~、私が行くよ~」

 

刀奈が拒否ったから、とうとうのほほんが仕事し始めたぞ。どうすんだよこれ。

 

「かんちゃ~ん、一緒に買い出し行ってくれる~?」

 

「いいよ」

 

「え、簪ちゃんも行くの?」

 

「陸」

 

「はいはい、荷物持ちな」

 

「お~、ツーカーってやつだね~」

 

「ええっ、陸君まで行くの!?」

 

「お嬢様は行きたくなさそうでしたから、どうぞ寮でゴロゴロしててください」

 

「い~や~! 私も買い物行く~!」

 

((((なんだこの駄々っ子は……!?))))

 

椅子に座って手足をバタバタさせる2年生児。シュール過ぎるぞ……。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

結局買い物には刀奈も付いてくることになり、一応生徒会の仕事ということで制服のまま、俺達4人は毎度おなじみのレゾナンスにやって来た。

 

「ところで、飾り付けの買い出しって何を買うんだ?」

 

「ツリーは買わないよね?」

 

「おいおい簪、いくらなんでもツリーを買うとか……ないよな?」

 

一応のほほんに確認を取る。さすがにツリー持って帰るのは辛すぎる。

 

「えっとね~、各部屋のドアに飾るリースとか、窓に貼るスノーフレーク(雪の結晶)のシールとかだね~」

 

「クリスマスツリーは業者に頼んであって、来週あたりに届く手筈になってるわ」

 

虚先輩に持たされたであろうメモを見るのほほんに、刀奈が補足を入れる。そうだよな、さすがにツリーは頼んであるよな。

 

「それじゃあ、レッツ買い物~」

 

「ちょっと、本音!」

 

「ひ、引っ張らないでぇ!」

 

のほほんが二人の腕を取って、ずんずん先に進んでいく。……あのダボ袖で、よく腕掴めるな。

 

「って、あいつら俺を置いてくつもりか?」

 

さすがに開幕ぼっちは勘弁願いたい。俺は気持ち速足で、のほほん達3人を追いかけた。

 

・・・・・・

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

幸いいくつも店をハシゴすることなく、メモに書かれてたものを買うことができた。できたんだが……

 

「……これは必要か?」

 

嵩張るものは全部拡張領域に投げ込んで、今持っているのはそれ以外のもの……クラッカーとか、菓子類とか。

 

「あら、必要よ。帰ったらクリスマスの前祝するんだから」

 

「そう言ってたよね~」

 

「え、本当にする気だったの?」

 

「マジでする気だったのかよ……」

 

「トーゼン! そうじゃなくて何が生徒会よ!」

 

「そ~だそ~だ~」

 

「二人とも……」

 

頭を抱えそうになる簪。これたぶん、虚先輩ガチギレ案件になりかねんぞ。

 

「それじゃあ次の買い物に行く前に、軽く腹ごしらえと行きましょうか」

 

「さんせ~」

 

「あっ、もうそんな時間なんだ」

 

言われて俺もスマホの時刻を見ると、12時を少し過ぎたところ。朝飯が遅かったから、すぐに昼が来た感じだ。

 

「ん~、それじゃああのお店にしよ~」

 

そう言ってのほほんが選んだのは、某ハンバーガーショップだった。

さすがに休日だからか、店内はそこそこ混んでいた。とはいえ、4,5分ほどでテーブル席が空いて、そこにトレーを持って滑り込んだ。

 

「そういえばかんちゃん、ピクルス食べられるようになった~?」

 

「ほ、本音!?」

 

突然の爆撃に、今まさにハンバーガー頬張ろうとした簪が動揺する。へぇ、簪ピクルス食えねぇのか。

 

「くくくっ……」

 

「お姉ちゃんまで!」

 

「まだまだ、大人の女性にはなれそうにないわね?」

 

刀奈のいじわるスイッチが入ったのか、簪にウインクして追撃。それに対して簪は頬を膨らませて

 

「む~!……そういうお姉ちゃんも、自分で注文できるようになったんだね?」

 

「ん? どういうこ「簪ちゃん!?」」

 

おっと、簪が反撃に出たか。 刀奈が遮ろうとするってことは、結構恥ずかしい話なのか?

 

「お姉ちゃんは昔ファーストフード店に入った時、オーダー取りに来ると思って、ずっと座って待ってたことがある」

 

「Oh……マジか」

 

「あと、ハンバーガーをフォークとナイフで食べようとしたこともある」

 

どこのお嬢様だよ……更識家のお嬢様か。

 

「そんな幼稚舎時代の話はやめてよぉ! 陸君には知られたくなかったのにぃ!」

 

「いたたたっ」

 

本気ではないんだろうが、恥ずかしさで俺をポカポカ叩く刀奈。簪には無理なのは分かってるが、どうして俺を叩く?

 

「いや~、二人の恥ずかしい話で御飯が美味しい~」

 

「のほほん、いい趣味してんなお前……」

 

最初に簪に着火して、あとは高みの見物決め込みやがってからに……。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

「色々買ったわね~」

 

「お姉ちゃん、先週も買い物したばかりなのに……」

 

「そんなに服買って、どこに仕舞うんです?」

 

「色々場所があるのよ、色々ね」

 

「たっちゃん、生徒会室のロッカー占有してるもんね~」

 

「あ、あら~、バレてたの?」

 

のほほんの指摘に、刀奈の目が泳ぐ。完全な職権乱用です、本当にありがとうございました。って今更か。

 

「あれ? 陸か?」

 

聞き覚えのある声に、俺達はその方向に振り返った。

 

「ん? なんだ一夏じゃねぇか」

 

そこにいたのは、一夏とオルコットだった。オルコットは一夏の腕にべったりで、目がハートマークになる直前だ。

 

『かぁ~! セシリアも卑しか女ばい!』

 

……デュノアの声が聞こえたようだが、気のせいだ気のせい……。

 

「のほほんさんも一緒なんて珍しいな」

 

「今日は生徒会の仕事の手伝いだからな」

 

「手伝い?」

 

「そうなんだよ~。クリスマスが近いから、寮の飾り付けをするんだよ~」

 

「へぇ、そうなのか」

 

「なるほど、つまりその飾りを買いに来たということですのね?」

 

「そうだよ~。あとはクリスマスの前祝~」

 

「おいコラのほほん、それは言わなくていい」

 

「「はい?」」

 

ほら見ろ、二人とも『何言ってんだ』って顔になっちまったじゃねぇか。

 

「それで、そっちも買い物?」

 

「ええ。と言っても用事は済んだので、これから帰るところですわ」

 

「そうなんだ。……オルコットさん」

 

「はい?」

 

キョトンとするオルコットに、簪が口元を指さすジェスチャーを……ああ、なるほど。

 

「なんですの?」

 

オルコットはそれでも気付かず……おっ、一夏は気付いたか。あれは言うかどうか迷ってるな?

 

「セシリア、口元にクリームがついてる」

 

「っ!?」

 

一夏に指摘されて、ババッと手鏡を取り出したオルコット。そして急いでハンカチで口元を拭ったが後の祭り。

 

「わ、わたくし、あの状態で歩いてましたの……!? 最悪ですわ……」

 

まぁ恥ずかしいわな。お貴族様ともなれば尚のこと。

 

「二人とも、もしかして城址公園のクレープ屋さんに寄ってたの?」

 

「ええ、そうです」

 

「ああ、それでクリームが」

 

「それ以上言わないでくださいまし!」

 

簪の追撃がオルコットを襲う! いや、別に狙ってやったんじゃないとは思うが。

 

「でも残念だったよな、セシリア」

 

「そうですわね」

 

「何かあったの~?」

 

「ミックスベリーが売り切れでしたの」

 

「「「え?」」」

 

オルコットのセリフに俺、簪、刀奈の3人が固まる。もしかして、ご存じない……?

 

「それでお前ら、結局どうしたんだ?」

 

「ブルーベリーとストロベリーをそれぞれ頼んで、二人で分け合って食べたよ。結構美味かったのが不幸中の幸いだったな」

 

「いやお前、あれってブルーベリーとストロベリーを食べさせ合ってミックスベリーになるんだからな」

 

「マジで!?」「へ?」

 

どうやら本当に知らなかったらしい。ミックスベリーの秘密を教えたら、一夏は驚き、オルコットは鳩が豆鉄砲を食った顔になった。

 

「まったく、プレゼントの件といいクレープの件といい、お前は情報収集不足なんだよ」

 

「プレゼント?」

 

「なんのこと~?」

 

「な、何でもないって!」

 

首を傾げる簪とのほほんに対して誤魔化そうとする一夏。ちなみに刀奈は何となく察したのか、ニヤニヤしてる。

 

「それがよぉ、一夏の奴――」

 

さらに追撃してやろうとした、その時だった。

 

 

突然の閃光が、周囲の景色を焼き払ったのは。

 

 

「「「「きゃああああ!」」」」

 

「ぐぅっ!」

 

「ぐあっ!」

 

閃光から遅れてやってきた衝撃と熱風に、俺達は押し倒された。そして顔を上げた時、目に入ってきたのは、

 

高熱で溶けた床のタイル材。衝撃で砕け散ったガラス片。熱風で発火した建材。崩れ落ちる瓦礫。逃げ惑う客や店員。そして

 

 

ガレキに潰されて薄っぺらになったナニカと、

 

炎に包まれながら藻掻くように手を伸ばすナニカ

 




駄々っ子のたっちゃん。出掛けたくないけど一人で留守番も嫌がる子供、いますよね。

人の黒歴史で飯が美味い!(by本音)

一夏と遭遇。前話と重なる部分です。

エクス、カリバー! 原作では死人描写はありませんでしたが、んな訳無いデショ!
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