俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

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(感想欄より)「妹を助けて欲しいのに何で最初に帰ってこいなの?」
あっ、やっべ……!

くお~! (矛盾に)ぶつかる~!! ここでプロット修正、インド人を右に!

何とか伏線化するので、章終盤までお待ちください。

そしてまだ欧州に行けなかったよ……。


第131話 血族≠家族

レゾナンスの惨劇から一夜明け、専用機持ち全員が生徒会室に集められた。

 

「昨日、IS学園の近くにあるショッピングモールの件は皆知ってると思う」

 

「……」

 

織斑先生の言葉に、全員が無言で首を縦に振る。

現場にいた俺達はもちろん、それ以外も昨晩のニュースを見て知っている。

 

「そして観測所からの報告で、あれは衛星軌道上からのレーザー攻撃であることが判明した」

 

「衛星砲……」

 

「どこの国よ、そんなものぶっ放したのは……」

 

「そしてさらに、追加で情報が入った。オルコット」

 

「はい」

 

「え? セシリア?」

 

デュノアを始め、皆がポカンとする中、オルコットが俺達の前に出てくる。

 

「今回攻撃を行ったのは、高度エネルギー収束砲『エクスカリバー』。イギリスとアメリカが極秘開発・運用していた攻撃衛星ですわ」

 

「ちょっと待てセシリア、それは両国の極秘情報なのだろう? お前が話して大丈夫なのか?」

 

「安心しろ、両国から許可は得ている」

 

心配する篠ノ之に、織斑先生が説明を入れる。つまり……

 

「つまり、米英がその情報を漏らすことを許容するぐらいの緊急事態ってことですか」

 

「うむ、察しがいいな」

 

あんま嬉しくないですがね。

 

「宮下さんのおっしゃる通りですわ。先ほど米英で開発・運用していたと言いましたが、実際は別組織の制御下にあったそうです」

 

「別組織だと?」

 

「ええ。その組織の名は……亡国機業」

 

「なっ!?」

 

一夏を筆頭に、全員が驚いた。もちろん俺もだ。そう繋がってくるのか……。

 

「ま、まさか亡国機業が昨日の攻撃を!?」

 

「いいえ、違いますわ。わたくしも昨日初めて知ったのですが……亡国機業はすでに、IS委員会の強襲によって壊滅しているのです」

 

「「「「「ええっ!?」」」」」

 

オルコットを除く一夏チーム全員がまた驚く。俺達は以前、刀奈から聞いてたから驚きはしなかったが。

 

「そっか……叔母さ、スコールがIS学園に逃げてきた時から、もしやとは思ってたが……」

 

「でも、それならそのエクスカリバーの制御権は、IS委員会が持ってるはずじゃないの?」

 

「普通なら凰の言う通りだ。だが、どうもその制御権はまた別の組織に流れたらしくてな、今も委員会内は大混乱だ」

 

「なんという……」

 

ボーデヴィッヒが手で目を覆う。まさに目を覆いたくなる状況だ。テロリストに衛星砲のトリガーを奪われて、奪還したと思ったらまた失くしましたってんだからな。

 

「そして次が問題なのですが……エクスカリバーはただの衛星砲ではありません」

 

「衛星砲じゃない?」

 

「ええ。エクスカリバー、あれは……」

 

 

「生体融合型ISなのです」

 

 

「生体、融合型……?」

 

「な、何言ってるっスか……?」

 

織斑先生とオルコットを除けば、難しい顔をしている刀奈以外、全員がその単語を理解できずに固まった。

 

「あの衛星には、ISを埋め込まれた少女、エクシアが搭乗……いいえ、"搭載"されております」

 

「搭、載? それじゃまるで……」

 

「その通りですわ、一夏さん。そして、どうしてそんなに詳しいかと申しますと……エクスカリバーの部品と化しているエクシアは、わたくしの姉代わりであるオルコット家のメイド、チェルシー・ブランケットの妹なのです」

 

「あのチェルシーさんの、妹? しかも部品って、なんだよそれ……!」

 

「ひどい……」

 

「そしてそのエクスカリバーが、昨日突然本来の軌道を外れ、日本へ向けて砲撃を加えたのです……」

 

昨日の現場を思い出したのだろう。語るにつれて、オルコットの顔色が悪くなっていく。

 

「オルコット、説明はここまででいい。すまなかったな」

 

「いいえ、これはわたくしの口から言わなければならないことでしたから……」

 

最初よりはゆっくりと、オルコットが元いた場所に戻る。

 

「そして先ほど、IS委員会からIS学園に対して『エクスカリバー破壊作戦』の参加要請がきた」

 

「参加要請って……」

 

臨海学校の福音といい、上は俺達を何だと思ってるんだ?……戦力としてしか見てないか。

 

「事実、IS学園には最新鋭機が揃っているからな。アテにしたくなる気持ちも分からなくはないが……」

 

「あたし達代表候補生は、有事には作戦参加する義務があったりするんだけど、ねぇ」

 

「さすがにこれは想定してなかったかなぁ……」

 

独中仏の専用機持ちが、揃って苦い顔だ。ホント、ふざけてやがるな。

 

「一応、候補生ではない宮下と布仏は参加を辞退する権利があるが、どうする?」

 

「え? 俺にはないのか?」

 

一夏がキョトンとした顔で聞いてきた。確かに一夏が候補生になったって話は聞いてないな。

 

「なんだ、怖いなら別に、お前だけ留守番でもいいんだぞ? ちなみに私は参加する。これでも、イギリス機の正式なテストパイロットなのでな」

 

「なっ……!」

 

おおう、織斑(マドカ)が織斑(一夏)を煽る煽る。

 

「怖くなんかねぇよ! 分かったよ、行ってやるよ!」

 

「だ、そうだ」

 

「織斑は参加、と」

 

「あ」

 

乗せられたと気付いた時には、すでに一夏のイギリス行きが決定していた。

 

「ま、まぁいいや……つまり、そのエクシアさんを助ければいいんだろ?」

 

「「「「「えっ?」」」」」

 

「え? 違うのか?」

 

さすがだ一夏、この空気でそれを言えるのはお前ぐらいだ。

 

「嫁よ、破壊作戦だと教官も言ってただろう……」

 

「いや、エクシアさんを救出してからその衛星兵器を破壊したっていいんだろ?」

 

「それはそうだけど……」

 

「難易度が跳ね上がるっスよ、それ」

 

「そうだけど……セシリアはどうしたいんだ?」

 

「わたくし、ですの?」

 

突然話を振られたオルコットが目を丸くする。

 

「セシリアは助けたいのか? 助けなくていいのか?」

 

一夏にそう聞かれ、逡巡しているのか、しばらく顔を俯かせていたオルコットだったが、

 

「……てください」

 

 

「エクシアを……チェルシーの妹を、わたくしの家族を、助けてください!」

 

 

目の端に涙を溜めて、自分の本心を叫んだ。

 

「そうか……みんな、聞いた通りだ。破壊作戦だか何だか知らないが、絶対エクシアさんを助け出すぞ!」

 

一夏の掛け声に、みんながおーっ! と腕と声を上げる。イージスの二人も『仕方ないなぁ』って顔はしてるものの、反対はしなかった。

織斑先生も顔に手を当ててため息をついたものの、止める気はないようだ。いや、うまく顔を隠してるが、少し笑ってやがる。

 

「話が逸れたが、お前達はどうする?」

 

「俺は行きますよ。その生体パーツにされた、エクシア、だっけ? そいつを装置から引き剥がすエンジニアが必要でしょう」

 

「私も行きます~! 何の役に立てるか分からないけど、かんちゃん達と一緒に頑張るのだ~!」

 

俺は言うまでもなく、のほほんも辞退する気はないようだ。

 

「それでは1時間後、校門前に集合だ。その後空港からドイツの特殊空軍基地を経由して、イギリスへと向かう」

 

「ドイツを経由? 直接イギリスに行かないんですか?」

 

「途中ドイツに寄るのは、本作戦で使用する装備をドイツで受領することになっているからだ」

 

「なるほど?」

 

「それでは、一時解散!」

 

パンパンと織斑先生が手を叩くと、集まっていた面子はぞろぞろと生徒会室を後にした。

 

ーーーーーーーーー

 

イギリスかぁ……正直海外に行くこと自体初めてなんだよなぁ。

 

「大丈夫、向こうでも日本語が通じるところは多いって話だから」

 

「そうなのか?」

 

「昔、各国がISのマニュアルを英訳するよう篠ノ之博士に要求した時『なんでお前達のために、束さんがそんなことしなきゃいけないのさ。むしろお前らが日本語覚えてこい』って言った影響」

 

「あいつは今も昔も変わらずか」

 

なるほど、だから一時期日本に住んでた凰以外にも、日本語が通じてたのか。今更知った新事実。

 

「それで、そのイギリスに行くのに、どうしてここにいるの?」

 

簪が『解せぬ』って顔でこっちを見てくる。まぁそうだろうな、集合時間まであと20分やそこらなのに、どうして整備室にいるって話だ。

 

「今回の作戦で必要そうな装備を、陰流にインストールしときたくてな」

 

「陰流に?」

 

「おう。いざって時に、俺も動けるようにしとかないとな」

 

「ふ~ん」

 

「ところで簪、荷物はいいのか?」

 

女の荷物は多いって偏見があるんだが、キャリーバッグの1つも見当たらない。向こうじゃキャリーバッグじゃなくて、キャリアーバッグって言うんだったか。まぁいいや。

 

「別に遊びに行くわけじゃないから、替えの服だけ拡張領域に入れてある」

 

「あ、簪もそうしたのか」

 

俺もそうした。専用機があると、拡張領域を好きに使えるから重宝する。……前に一度、飲みかけのペットボトルを入れっぱなしにしてたらソフィアー(コア人格)に怒られたが。

……よしっ、全部入れられたな。

 

「簪ちゃ~ん、陸く~ん。準備終わった~?」

 

「お姉ちゃん」

 

「おう、今終わったところだ」

 

「みんな集まり始めてるから、急いで~」

 

整備室の入り口で、刀奈が手招きしていた。荷物らしきものが見えないってことは、刀奈も拡張領域に入れたか。

 

「そんじゃ、そろそろ行くか」

 

「うん」

 

・・・・・・

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

そうして集合場所に行く途中、

 

「束?」

 

廊下で束と遭遇した。

 

「どうして束がここに?」

 

「太陽光発電受信アンテナ事業、あの二人に丸投げしたんだけど、やっぱり最初の設置は自分の目で見ておきたくてね~。りったん達はどこか行くの?」

 

「ちょっと仕事で、イギリスまで行くことになっちまった」

 

「専用機持ちは、全員参加です」

 

「いっくん達も!? 束さん置いてきぼり~!?」

 

「付いてくとか言うなよ、織斑先生の胃がまたやられるから」

 

最近ALT値が少しずつ下がってきたんだ~、って喜んでたからな。

 

「やっと陸君に耐性がついてきたのにね」

 

「うっせ」

 

「む~、くーちゃんとお留守番かぁ。あ、イギリス土産よろしくね~」

 

イギリス土産って、何買ってくればいいんだよ。

 

「行ってきます」

 

「お土産はあまり期待しないでもらえると……」

 

そう言って束とすれ違う二人。そして俺もすれ違うところで

 

「束、ちょっと頼まれてくれないか?」

 

「おや? りったんから頼み事なんて珍しいね、何かな?」

 

「昨日、衛星軌道上から砲撃された件、誰がやったか調べてくれ」

 

かなり話を端折った依頼だが、束なら昨日のことぐらい知ってるはずだ。興味があるかは別にして。

 

「ああ、あのショッピングモールが吹っ飛んだやつでしょ? あんまり興味ないな~」

 

案の定か。だが、束は必ず受ける。なぜなら

 

 

「あの砲撃の現場に、俺と一夏がいたとしても?」

 

 

「……へぇ?」

 

 

束の目付きが変わった。かつてISコアの中で見せた、能面のような顔だ。

感情的になった時、束の顔はむしろ無表情になる。

 

「今のところ、証拠はない。ただの偶然ってこともある。だが、もし何かしらの意図があったとしたら……」

 

「誰かがいっくんやりったんを殺そうとした、と?」

 

「だから調べてほしい。もし俺達を狙ったものなら、それなりの対応をしなきゃならないからな」

 

「……いいよ、そういうことなら受ける。もし誰かがいっくんを狙ったんだとしたら、ただじゃおかない」

 

頷いた次の瞬間には、束の顔はいつもの微笑に戻っていた。

 

「それじゃあ改めて、いってらっしゃ~い!」

 

「おう、行ってくる」

 

すれ違いざまに手を振って、集合場所の校門前に向かった。




セシリア説明回。チェルシーが話してた内容を、セシリアが代わりに話してる感じです。ちなみにクロエはこの中にはいません。

破壊作戦から救出作戦へ。原作では特に言及されてませんでしたが、一夏ならエクシアごとエクスカリバーを破壊するって選択しないよなぁと思って書いてみました。

オリ主、束に依頼する。感想欄で、一夏と陸どっちに撃っても問題しかないとありましたが、両方狙った欲張りセットの場合、どうなるでしょうね~?(マジキチスマイル)
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