そしてサブタイに深い意味はありません。ええ、ありませんとも。(視線を逸らしながら)
空港からジェット機(IS委員会が用意したもの)に乗り込んだIS学園専用機持ち(+織斑千冬と山田真耶)は、中継地であるドイツを目指していた。
――ドイツ 特殊空軍基地
「総員、整列!」
織斑先生を先頭にジェット機を降りると、黒軍服に眼帯をした集団が敬礼していた。
「クラリッサ、出迎えご苦労」
「はっ!」
なんか、ボーデヴィッヒが一番年長っぽいのとやり取りし始めたぞ。
「教官も、お久しぶりです」
「織斑先生だと……いや、ボーデヴィッヒと違ってIS学園の学生ではないのだから、別にいいか」
「織斑先生、彼女らは?」
「ああ、ドイツIS配備特殊部隊『シュヴァルツェ・ハーゼ』だ」
「私が指揮している部隊だ」
「ああ、それでラウラと同じ眼帯を」
織斑先生とボーデヴィッヒの説明で、全員が納得した顔をする。
「オペレーションルームに案内いたします」
そう言って、ボーデヴィッヒにクラリッサと呼ばれた軍人を先頭に、俺達もその後に続いた。
それにしても、クラリッサ? どっかで聞いたような名前だな……
ああっ! ボーデヴィッヒに『バカップル』って馬鹿知識植え付けてたやつか! よし、どっかのタイミングでシバこう。
「っ!?」
「どうした、クラリッサ?」
「いえ、少し寒気がしただけです隊長。問題ありません」
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「それでは、改めて状況を確認する」
案内されたオペレーションルームで、空中投影ディスプレイの前に織斑先生が立つ。
「本作戦は、欧州統合政府とIS学園の共同作戦となる。イギリスに直行せず途中ドイツに寄ったのも、そういった事情からだ」
「そんなことしてて、大丈夫なのかよ? いくら作戦で使う装備を取りに行くためとはいえ、それで次の衛星砲を撃たれたりしたら……」
「織斑の言うことも分からなくはない。だからこそ、成功率を高めるために多少の遠回りも止む無しという判断になったのだ。一度で確実に終わらせるためにな」
「そういうことか……」
一夏の奴、理解はしたが、納得し切れてないって顔だな。
「そして……デュノア」
「は、はい!」
「デュノア社から最新装備の受領命令があった。宮下、更識姉妹と一緒に受領して来い」
「え、ええ!?」
突然のことに、デュノアが素っ頓狂な声を上げる。いやいや、こんな時にかよ。
「山田先生も引率に付けるから安心しろ。そして受領後は、デュノア社がジェット機を用意するとのことだ。それに乗ってイギリスを目指せ」
「他のメンバーは?」
「私と共に、これから受領する装備を持って海路でイギリスに行く。以上、質問はあるか」
「教官! 意見具申いたします!」
シュバッと手を上げてクラリッサが一歩前に出た。実に軍人な動作だな。
「なんだ?」
「我がドイツからの海路については教官が引率ということで問題はないと思われますが、フランス空路の引率でそちらの山田先生で十分なのでしょうか? 私が随伴した方がよいかと」
おっと、山田先生見くびられてるな。そして山田先生は先生で、怒るでもなく苦笑いしてるだけだし。
「(ちょっとラウラ、あんたんところの部下、とんでもないこと言いだしたわよ!?)」
「(絶対マズいですわ! 早く止めないと!)」
「(う、うむ。そうだな……)」
向こう型で、英中独の3人が慌てだした。なんだそんなに慌てて。え、もしかして山田先生って実はヤバいやつなのか?
そんな中織斑先生はと言えば、特に表情を変えることもなく、クラリッサの方を向いて
「そういえばお前のIS『
「はっ。先日、最終調整を終えたばかりです」
「そうか。ならば確認してみればいい。IS学園教師、そして元日本代表候補生である山田真耶の実力を、お前のISを以てな」
「「「「ええっ!?」」」」
「「「「ちょっとぉ!?」」」」
「お、織斑先生!?」
いきなりの模擬戦決定に、ハーゼ隊の隊員、学園組、当の山田先生が驚きの声を上げた。
「あ、あの、織斑先生? クラリッサさんはいいとしても、私は引率兼オペレーターとして来たので、訓練機とか用意してないんですが……」
「安心しろ、その辺は抜かりない。宮下、ISを持てい!」
「ははっ、こちらに」
織斑先生のネタに付き合う形でみんなの中から一歩前に出ると、恭しく
「千冬姉!?」
まさかあの織斑千冬が、こんなことをするとは思ってなかっただろう。一夏を始め、全員が呆気にとられていた。
織斑先生が俺からブローチを受け取ると
「さあ山田君、IS学園の矜持のためにも、頑張ってくれたまえ」
と言って、山田先生に待機状態のISを手渡したのだった。
「な、なんでそうなるんですかぁ!?」
「許さん、許さんぞぉ……あの巨乳めがぁ……」
「クラリッサ……」
混乱する山田先生、先生の胸部装甲を親の仇のように睨みつけるクラリッサ、そんな部下に対してため息しか出ないボーデヴィッヒ。
三者三様でゴタゴタしてきたんだが、結局模擬戦はすんのか?
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――ドイツIS配備特殊部隊 特設戦闘アリーナ
(うう~、どうしてこんなことになってしまったんでしょう……)
目の前には、シュヴァルツェア・ツヴァイクに乗ったクラリッサさんが。
「それにしても、準備が良すぎませんか?」
特に通信を繋いでいないので独り言になってしまいますが、言わずにはいられません。
今私が乗っているのはラファール・リヴァイヴのカスタム機。ただ、そのカスタム度合いが……。
(基本装備はリヴァイヴと同じですけど、この追加パーツは……)
シールド・ウイング『
「それでは、バトル開始!」
織斑先生の声で、意識を正面に戻します。
「行くぞ!」
先に仕掛けてきたのはクラリッサさんでした。ワイヤーブレードがこちらに向かって放たれる。その数……20!
「くっ!」
アサルトライフルを展開して迎撃しますが、20基のワイヤーブレードを相手するのはきついですね……!
それでも、既存のリヴァイヴより格段に上がっている機動力で翻弄しながら、1基ずつ確実に仕留めていきます。
「なんだと! ただのリヴァイヴではないということか……!」
「そうみたいですね。乗ってる私も驚いてます」
このISコアの出処も気になりますが、宮下君、一体どんな改造を加えたんでしょう?……私、エキシビションマッチの更識さんみたいに、血吐いたりしませんよね?
「ならば、この『
ツヴァイクの名前の通り、装甲から生えている複数の突起が、こちらを向いて
「まずっ!」
嫌な予感がして緊急離脱をしたのですが、時すでに遅く、シールド・ウイングに何かが着弾したようでした。よく見ると、まるでドリルで削ったかのような傷口、いえ、穴が開いていました
「これが、AICの攻撃能力……!?」
「突起先端を装甲に侵入させて力場を発生させることで、内部から侵食していく。嵐の名がイタリアの専売ではないことを教えてやろう!」
ツヴァイクの突起、棘が、一斉にこちらを向く。さすがにあれが全て飛んで来たら、避けられない……!
「これで……! なっ!?」
クラリッサさんの驚く声が。そうでしょう、なにせ私のウイングスラスターからシールドが分離したと思ったら、自身の四方を取り囲んだんですから。
「目くらましのつもりか!?」
「そんなわけないですよ」
「っ!?」
シールドの隙間から、2丁のサブマシンガンをねじ込み、そして
「
思い切り、引き金を引きました。
――ガゴギガンガガガガガガガッ!
シールド内で跳弾を起こしながらツヴァイクの装甲を削っている音が、ここからでも聞こえてきます。
そして跳弾の音が聞こえなくなったところで、
「シュヴァルツェア・ツヴァイク、SEエンプティ。勝者、山田真耶!」
私の勝ちが宣言されてシールドを除けると、装甲がボロボロになったツヴァイクと、目を回すクラリッサさんが出てきました。
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「いや確かに俺も、そう使って欲しいと思って用意したんですよ? だからって、明日フランスに飛ぶ人間に修理させるとかどうなんです?」
「う~、面目ないです……」
「す、すまん……」
模擬戦後、愚痴りながらもツヴァイクの修理の手を止めない宮下君の前に、私と織斑先生は正座しています。そして宮下君、いつもより機嫌悪くありません?
ボーデヴィッヒさんは『それぐらい気にするな』と言ってくれましたが、『IS学園がドイツのISを壊した』と風評が立つとまずいので、ここは修理するという選択肢以外あり得ません。
「巨乳に、巨乳に叩き潰された……」
「副長、しっかりしてください!」
「大きいだけが女じゃないですから!」
クラリッサさんが部下の方々に慰められてますが……なんでしょう、すごく悲しい気分になるのは……。
あ、それと私が乗っていたIS、ラファール・リヴァイヴ・スペシャル『
「お、織斑先生! 私に専用機ですか!?」
「コアの心配ならしなくていいぞ。
「それにしたって……」
「私だって桜花を持って引率してるんだ。山田君が持ってないでは話にならんだろう? そのために宮下にはフライト中、ずっとこのISを作らせていたのだからな」
「ええ~……」
宮下君の機嫌が悪いのって、もしかして織斑先生が原因なのでは……?
クラリッサ、ロックオンされる。ロックオンだけです。まぁ、この件が解決した暁には、ね?
クラリッサ VS まーやん。原作では痛み分けでしたが、本作ではまーやんの勝ちにしました。全く関係ありませんが、シシカバブはメロンが好きです。
次回、とっても平穏なフランス編。