俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

139 / 182
今回は少し短め(&シリアス薄め)です。


第135話 反応消失の真相

『白式と打鉄・陰流の反応消失』

 

その報を聞いた時、全員がセシリアと同じように、すぐにその言葉を理解出来なかった。

 

「誤報か何かっスよねぇ……?」

 

成層圏で待機していた阻止班に、地上にいた警護班。皆が皆、真耶の誤報だろうと、笑い飛ばしてやろうと思っていた。

だが、それ以降の報告は来なかった。そこでようやく、それが事実であると理解した。

 

「一夏が……」

 

「りったん……」

 

「そん、な……」

 

そうして失ったものを理解した時、誰もが涙を流さずにはいられなかった。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

――イギリス北部、オルコット家邸宅

 

聖剣奪壊(ソード・ブレイカー)を完遂したIS学園の専用機持ち達は、オルコットの厚意により彼女の邸宅に集合、体を休めることとなった。

しかしその中で、休むことを許されない者もいた……。

 

「それで? どうしてこうなったのでしょう?」

 

もはや城と言っても過言ではないオルコット家の邸宅。その玄関ホールで、家主であるセシリア・オルコットは腕を組んで怒り心頭だった。

その後ろに立つ他の専用機持ち達も、程度はどうあれ怒りの表情だ。

 

「お答えいただけますね……

 

 

 

一夏さん! 宮下さん!

 

 

 

そしてオルコットの目の前には、床に敷かれた絨毯の上で正座している俺と一夏がいた。

 

「反応が消失したと聞いて、わたくし達がどれだけ悲しんだことか……! 分かっておりますの!?」

 

「それは……ごめん。陸に脅されて無事を伝えらえなかったんだ……」

 

「おぃぃ?」

 

一夏さんや、裏切るにしても早すぎやしませんか? あれか、オルコットの涙に負けたか。

 

「それで、箒さん達もですの?」

 

ギロリッとオルコットの視線が、篠ノ之達他の突入組の方を向く。

 

「(コクコクッ)」

 

「ああ。必要なことだから、撤収するまでは黙っていてくれと頼まれた」

 

「Me too」

 

篠ノ之、ボーデヴィッヒ、果ては簪も見事に俺を切り捨てた。わーい。

 

「そもそも、どうして二人のISの反応が消えたんだ?」

 

怒り心頭な面々の中で、比較的冷静だったケイシー先輩が疑問を口にした。

 

「それは……」

 

 

(回想開始)

 

「かんざしぃぃぃぃぃ!!」

 

「ほうきぃぃぃぃっぃ!!」

 

簪と篠ノ之の前に立ちはだかった俺と一夏に、生き残っていたエクスカリバー子機のビーム砲が直撃し……

 

 

防ぎ切った。

 

(回想終了)

 

 

「「「「「「c⌒っ゚Д゚)っ ズコー!」」」」」」

 

あの時のことを話したら、全員がズッコケた。おいおい、山田先生どころか織斑先生もかよ。

 

「ふ、防いだだと!? 一体どんな手を使ったんだ!」

 

「これですよ」

 

いち早く起き上がった織斑先生に問い詰められながら、俺は陰流を展開すると、

 

「な、なんだ、これは……!」

 

陰流の前面に、六角形を組み合わせたようなエネルギーシールドを展開した。

 

「これが手品の種『絶対守護領域』です。理論上は、ミストルテインの槍10発分の威力でも突破は出来ません」

 

「ミストルテインの槍って、会長の必殺技よね……」

 

「あれ10発分防ぐって……」

 

「僕の『花びらの装い』なんか目じゃないんだけど……」

 

唖然とした顔の織斑先生の後ろで、みんながヒソヒソ話を始めやがった。

 

「もしかして、学園を出発する前にインストールしてたのって……」

 

「おう。備えあればってやつだな」

 

「陸君、まさかこれ、打鉄弐式に積む気じゃないわよね……?」

 

「いやぁ、この絶対守護領域って、展開範囲計算にISコアの演算処理能力を丸々持ってかれるんですよ」

 

「つまり?」

 

「これ起動してる間、他はなーんにも出来ません」

 

ISコアの演算能力を防御に全振りするとか、勝負捨ててるようなもんだ。

 

「それは確かに……」

 

「実戦どころか、模擬戦でも使えんな」

 

うっ! 篠ノ之が痛いところを……。

実はデュアルコアの打鉄弐式なら、ぎりぎり搭載可能だったりするんだが、ここでは黙っておこう。

 

「で、俺も今回初めて使って知ったんだが、絶対守護領域を使ってる間、陰流を含めた周囲のコア・ネットワークが遮断されるみたいなんだよなぁ」

 

「それで、りったんの近くにいたおりむーの白式も、反応が消えちゃったんだ~?」

 

「そういうことだな」

 

これについては、学園に戻ったら調べて……別にいいか。

 

「反応が消えた理由については分かった。だが、まだそれを隠していた理由は聞いていないぞ」

 

「それについては……楯無さん、どうでした?」

 

「更識姉?」

 

みんなの視線の先が、俺から刀奈に変わる。

 

「……二人の反応が消えた後、カタパルトの発射施設内で作戦に参加していた観測員の一人が、行方不明だそうです」

 

「何?」

 

「そして……」

 

 

 

「その観測員のコンソールから、エクスカリバーに対して何かの信号を送っていた痕跡が見つかりました」

 

 

 

「何だと!?」

 

なーるほど、やっぱ予想通りだったわけか。

 

「つまりそれって、今回の事件を起こした犯人が内部にいたってことですか!?」

 

「そういうことよ。まさか欧州統合軍内にいたとはね……一応追手を出してはいますが、土地勘は向こうの方があるでしょうから、捕まえられるかは五分五分ですね」

 

「なんてことだ……」

 

織斑先生を始め、何人かが手で目を覆う。それ以外も表情が暗くなる。

 

「俺と一夏が死んだことにしておけば、おそらく敵さんも尻尾を出すと思ったんで、篠ノ之達にも口裏合わせをお願いしたわけです」

 

「私や山田先生にまで黙っていたのは気に食わんが……我々が同じ施設内にいた以上、仕方ないか」

 

「これが、今までダンマリ決め込んでた理由です。……それでなんですが」

 

「なんだ?」

 

「そろそろ正座止めていいっスか?」

 

めっちゃ睨まれた。そうですかダメですか。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

あの後、色々あり過ぎて疲れ切ったみなさんの案内を使用人に任せ、わたくしは自室に戻りました。

それにしても……いくら裏切り者が内部にいたからって、一夏さんが死んだなんて嘘をつかれたのは面白くありませんわ!

 

――コンコンッ

 

「お嬢様、私です」

 

「んんっ! お入りなさい」

 

「失礼します」

 

苛立っていた表情を隠して入室を許可すると、ティーポットとカップの載った盆を持ったチェルシーが入ってきました。

 

「皆さまのお部屋への案内、完了いたしました」

 

「承知しましたわ。ご苦労様」

 

「恐縮です」

 

報告をしながらも、ティーポットからカップに紅茶を注ぐ手は止まりません。さすが我がオルコット家のメイド長です。

 

「本日はダージリンのオータムナル(秋摘み)になります」

 

「ありがとう。……オータムナルにしては、渋みが少ないですわね」

 

一口含むと、オータムナル特有の味わいではなく、どちらかといえばセカンドフラッシュ(夏摘み)に近い感じですわ。

 

「今年はインドの雨季が2か月ほど後ろ倒しになりまして、その影響でクオリティシーズンもズレ込んだようです」

 

「なるほど……それで、エクシアの容態はどうですの?」

 

急な話題の切り替えですが、チェルシーはふと優しい顔になると

 

「はい。埋め込まれたISを含め、特に異常はないとのことです」

 

「そうですの……」

 

宮下さんのお話では、色々なトラップが仕掛けられていたそうですが、大事ないようで何よりですわ。

 

「それでは、私はこれで……」

 

「お待ちなさい」

 

一礼して下がろうとするチェルシーを止めます。

 

「チェルシー。貴女にはまだ、聞かなければならないことが2つほどありますわ」

 

「……何なりと」

 

「まず一つ目に、"どうして貴女は、機密情報であるエクスカリバーのことを知っていた"んですの?」

 

オルコット家の当主たるわたくしですら知らなかった、いえ、知らされていなかったものを、どうして一介のメイドが知っていたのか。例え、エクシアのことがあったとしても。

 

「そして2つ目。"どうして貴女は、エクシア救出の嘆願と共に、わたくしに本国へ戻るように言った"んですの?」

 

結果的に本国へ戻ることになりましたが、わたくしに助けを求めるだけであれば、その必要はなかったはずです。

 

「……少し長いお話になりますが、よろしいでしょうか?」

 

「いいですわ。貴女もそこに座りなさい」

 

「承知しました。それでは失礼いたします」

 

わたくしと向い合せになるよう椅子に座ったチェルシーの口から出た話、それは

 

「これからお話しすることは、セシリア様のご両親……先代の旦那様と奥様の死の真相にも関わってまいります」

 

わたくしを、ひどく動揺させるものでした……。




お説教タイム。そしてオリ主、一夏に売られる。裏切り者(女権団)を炙り出すために、偶然起こったコア・ネットワークの遮断を利用したという設定です。

セシリア、チェルシーを問い詰める。原作では2ページほどしかない内容ですが、うまく(妄想を)広げたりして1話分にしたいなーと思ってます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。