そして感想欄に『カレンデバイス』と書かれているのを見つけた時、織斑計画でちーちゃんの前に作られた999体をBデバイスにして並べた光景を想像して「これマブラヴオルタやん!」と自己ツッコミしてました。
聖剣奪壊が終わった翌日、俺はセシリアと2人である場所に来ていた。
「一夏さん、ここですわ」
セシリアに案内されたそこは、かつて貴族向けだったという緑豊かな霊園だった。そしてその一角に、二人の名前が刻まれた墓はあった。
ルイーザ・オルコット
フィリップ・オルコット
「ここに、セシリアの両親が?」
「はい」
セシリアは墓前にしゃがみ込むと、墓石に手を触れる。
「昨日、チェルシーから全てを聞きましたわ」
「……」
昨日、チェルシーさんと何か話したんだろう。けれど、それは聞けない。あの中に入り込むのは、何か違う気がしたから。
「わたくしが、どれだけ二人から愛されていたか。チェルシーの忠義と、覚悟を」
「お母様、お父様……セシリアは、未来へと向かいます」
そして墓石から手を放し、顔を袖で拭う仕草をして振り返ったセシリアは、晴れやかな顔をしていた。
「お待たせしました」
「もういいのか?」
「ええ。夏にも来ましたし、あまり入り浸るとお母様に叱られてしまいますから」
「そうか……ごめんセシリア、俺もお参りしていいか?」
「構いませんが……」
「サンキュ」
セシリアから許可をもらうと、俺も墓前に立った。
「初めまして、織斑一夏と言います。突然現れた人間が不躾だとは思います。けれど、言わせてください」
「一夏さん? 一体何を」
「俺は娘さんを、セシリアを愛しています」
「い、いいい、一夏さん!?」
「いきなりそんなこと言われても信用できないと思います。だから、天国で見張り続けてください。俺がちゃんと、セシリアを幸せに出来ているか」
「一夏、さん……」
シャルの親父さんと話した時から、決めていたんだ。セシリアの両親にも、きちんと報告しなきゃって。
「ごめんな、いきなりこんなこと言って」
するとセシリアは、俺の胸の中に飛び込んできた。
「そこまで言ったのですから、ちゃんとわたくしを、幸せにしてくださいまし……!」
感極まってまた涙を流すセシリアを、俺は抱き締めながら頭を撫ぜ続けた。
ーーーーーーーーーーーーー
女性権利団体の本部を壊滅させてから、俺はベッドの上に転がっていた。
3時間で日本に行って、2時間ほどドンパチして、また3時間かけてイギリスに。部屋に戻ったらイギリス時刻で朝の6時だ。つまり、ほとんど寝れてねぇってことだ。
「二度寝が気持ちええんじゃ~」
「何言ってるのよ」
「刀奈、せめてノックしてから入ってくれよ」
目を開けると、刀奈が『困ったもんだ』って顔をしながら腰に手を当て立っていた。おいその扇子、『怠惰』ってなんだよ。
半分寝ぼけて真名で呼んじまったけど、他に誰も連れてねぇな。
「それで? 昨晩はどこに行ってたの?」
「……何のことだ?」
突然の指摘に、少し間があったのが良くなかったか。
「まさか、私を騙せると思ってたの? 陸君が夜中、屋敷から出て行ったのはお見通しよ」
それにね、と言って、俺の胸に顔をうずめて……っておい。
「やっぱり……微かにだけど、血の匂いがする」
刀奈が顔を上げる。そんな目で見んな。怒ってんのか悲しんでるのか分からん目で。ちゃんとシャワーで流したはずなんだがなぁ……。
「どうして、私達に何も言わないで一人で……」
「前にも言っただろ。手を汚すのは、俺だけでいいって」
「それは、簪ちゃんにはそういう風には」
「刀奈、お前もだよ」
「え……」
目を見開く刀奈の頭を撫ぜてやる。
「いくら暗部の人間だからって、血を浴びなきゃいけないなんて話はない」
「なら、陸君だって……!」
「俺はいいんだよ。刀奈だって俺の過去は見てるだろ? もう、そういうのは慣れっこなんだよ」
今までだって、戦争撲滅のため、明日を迎えるためという大義名分のもと、沢山の血を流してきたんだ。今回のことだって、それと何も変わらない――
「嘘よ」
撫ぜていた手が止まった。
「慣れっこなんて、そんなの嘘よ」
「嘘じゃねぇよ」
「なら、どうして」
「どうして、泣いてるのよ……?」
「は……?」
何を馬鹿な、そんなわけ……
そう言い返そうとしたら、何か
「どう、して」
それが自分の目から頬を伝い落ちた涙だと気付いた時、それを止めることが出来なくなっていた。
「今まで散々血を流してきた俺に、今更泣く権利なんて……」
「権利なんて、必要ないわよ」
――ギュッ
「あ……」
刀奈の頭を撫ぜていたはずが、気付けば刀奈が俺の頭を抱えるように抱き締めていた。
「辛い時、悲しい時は泣いていいのよ」
「刀奈……」
「もう、一人で抱え込まなくてもいいのよ。私や簪ちゃんが、ちゃんと貴方を受け止めるから」
その言葉で、俺の心は決壊した。
「うぅ……あぁぁぁ……ぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!!」
恥も外聞もなく、俺は刀奈の胸の中で泣きじゃくっていた。
まるで、あの時に戻っていた。刹那を、ルルーシュを、スザクを失った、あの時の俺に。
嗚咽が漏れ、両親の仇を討った際の空虚感がリフレインして、さらに涙を引き出そうとする。
「うん、それでいいのよ。そうやって何かを、誰かを想って泣けるのは、人間の特権なんだから」
そんな情けない姿を見せても、刀奈は優しい声で俺の頭を撫ぜ続けてくれた。
ーーーーーーーーーーーーー
――国際IS委員会 会議室
日本時間の朝に起こった大事件に、IS委員会は大騒ぎになっていた。
「女性権利団体の本部が崩壊!? 」
委員の一人が大声を上げた。女権団の本部施設が跡形もなく崩壊して、全て瓦礫の山となったなど、そうそう信じられないだろう。
「それで、被害は?」
「なんでも、その場にいた全員が死亡したとか」
「それはまた……」
報告を受けた委員達は、沈痛な面持ちで続きを促した。
「代表のミズ・ヤマザキも?」
「はい。ただ……」
「ただ、なんだ?」
「救助隊が見つけた時には、すでに死亡していたそうなのですが……」
「が?」
「死亡原因が崩落による頭への打撲等ではなく、刀剣類による出血死だそうで……」
「それは……」
それが事実だとすれば、女権団は何者かの襲撃を受けた上で、建物を爆破されたことになる。
だが、襲撃を受けた時間帯、女権団本部からの救援要請の類は無かった。それが何者かの妨害であるとすれば……
(((あの大天災が動いた……!?)))
委員全員が想像した。彼女なら、女権団に抵抗一つさせずに壊滅させることは可能ではないか、と。
そうなると、対応次第ではさらに大事になりかねない。
「提案だが、この件は単純な崩落事故ということにしませんか?」
「賛成です」
「異議なし」
あれこれ計算をして答えを弾き出した委員達。その答えとは『篠ノ之束をこれ以上刺激しないこと』だった。
女権団があの大天災とどういう問題を抱えていたかは知らないが、こちらには関係ないというスタンスである。
「しかし、それでは……」
報告していた職員が異議を唱えようとするが
「それに、あの団体がISを隠し持っていた事実も、漏らしたくはない。我々も、かの団体の残党も」
「それは……」
「失礼します!」
突然会議室のドアが開き、息を切らせた職員が転がり込んできた。
「なんだ、今は会議中――」
「女性権利団体の会員が、各国の警察機構に次々と逮捕されております!!」
「なっ――!」
その場にいた、全員が絶句した。
「これまで女権団が起こした事件を揉み消していた証拠が、1時間ほど前に各国の警察・司法機関に送り付けられてきたそうです!」
「これはまさか……」
「いえ、間違いなく彼女でしょう……」
篠ノ之束が、女権団の本部を潰し、サーバーからデータを抜いてリークした。間違いなくそうだろうと、全員が確信した。
故に議長役の委員は、他の委員達を見回して決を採った。
「国際IS委員会は、今回の女権団関係者の逮捕について、一切関わらないこととします! 賛成者は起立を」
座ったままの者は、誰一人としていなかった。
一夏、セシリアの両親の墓前に誓う。シャルパパの前で啖呵切ったんですから、ここでも言わないとね。あとは篠ノ之家と凰家かぁ。ちなみに両親の名前はオリ設定です。
そういえば、更識家も親の名前出てきてないな……。
オリ主、ただの人間に戻る。最近たっちゃんの出番が多い気がするので、次章からは簪多めに戻したいなーと思ってます。
祝・女権団崩壊。紫兎が一晩(実質3,4時間)でやってくれました。ラスボス級が消えたので、これで次章以降はギャグに全振りできますね。(オイ