そして今後の予定ですが、『俺ヒルデ』は虚さん卒業のタイミング(この章か次ぐらい)で一旦完結にしようと考えてます。
理由としては
・話の流れ的にキリがいいから
・あんまり長々とやるとダレてくるから(実際、連載当初と比べてダレてきた自覚あり)
・話数が多いと、最新話までスクロールするのが面倒
が挙げられます。
もし番外的なものを書きたくなったら新規で作って、あらすじ欄に相互リンクを貼ろうと思います。
それでは、完結までお付き合いくださいませませ。
第147話 新学期、そして王女襲来
「おっはよー!」
「おはよう。今年もよろしく」
「よろよろー!」
三が日も終わり、3学期が始まったIS学園1年4組の教室では、新年の挨拶も所々で行われていた。
「おはよう宮下君、今年もよろしくね」
「おう、ことよろ」
「ちょっとちょっと、その略し方は古いって」
「マジで? まずいなぁ……もう言うのやめとこ」
生前と同じ日本だからと油断してたな。
「全員揃ってるわね~」
エドワース先生が教室に入ってきて、3学期最初のSHRが始まった。
「はい、今学期も誰も病気や怪我もなくて良かったわ。そして連絡事項なんだけど、今日から1組に、ルクーゼンブルグ公国から第七王女殿下が特別留学生としてお見えになっています。なので失礼なことがないようにね。……特に宮下君」
「俺っスかぁ!?」
まさかの名指しである。解せぬ。
「宮下君は色々できる力があるから、何かやらかさないか心配なのよ。1組の織斑君とは別の意味で」
「陸、篠ノ之博士と同じノリでアームロックとかしたらダメ」
「しねぇから! 俺だって、誰彼構わずアームロックしてるわけじゃねぇからな!?」
「例え王女様が非常識の我が侭姫でも?」
「……おう、もちろん」
簪に言われて、一瞬『そんな奴なら片腕ぐらいOKだろ』とか思ってしまった俺は悪くない。
「宮下君、王女様と会わないようにした方がいいよ」
「そうだね。それで国際問題になったら困るし」
「お、お前ら……」
クラスメイト全員が、俺を爆弾の導火線だと思ってやがる。ちくせう……。
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昼休みの食堂。いつもなら一夏といつ面達が昼飯を食ってるはずなんだが
「一夏がお姫様の執事にさせられたぁ!?」
「うむ……王女の鶴の一声でな」
「まったく、腹立たしいったらないですわ!」
「でも、織斑先生すら知らんぷりしてるから……」
「教官ですら手や口を出せんのに、我々が出しても効果はなかっただろう」
ほぼお通夜に近い状態で飯を食う一夏ハーレムの面々。別クラスの凰も、他の4人を責めることはできずに困った顔だ。
「それで、織斑君は今どこに?」
「なんでも、市街地を視察したいからって連れて行かれたよ~」
「授業を休ませてか? 何しに来たんだそのお姫様は」
留学生と言いつつ、ずいぶん身勝手に動いてるみたいじゃねぇか。
「まあそれも、今日まででしょうよ」
「お姉ちゃん」
全員が声の方を向くと、刀奈が扇子を広げてこちらにやってきた。
「会長、それは一体どういうことですか?」
「それがねぇ……」
デュノアの問いに、刀奈が突然疲れた顔をする。
「織斑君の件、篠ノ之博士に伝わったらしくて」
「「「「「「ああ……」」」」」」
全員が納得した。一国の王女だろうと、束には関係ないからな。
「そこで博士の口から出た言葉が……」
「楯無さん、当ててみましょうか? 『あのクソアマ、二度といっくんに近づけないようにしてやる!』」
「……正解」
俺の解答に、刀奈が持ってた扇子を裏返す。そこには『オワタ』の文字。もはや漢字ですらねぇのかよ。
「博士がわたくし達の気持ちを代弁してくださいましたわね」
「姉さん……いいぞもっとやれ」
「ほ、箒?」
やべー。篠ノ之から黒いものが漏れてきてる。
「だから明日からは、織斑君も普通に登校してくるはずよ」
「ちなみに会長、アイリス王女の身の安全は……」
「……」
ボーデヴィッヒの質問に、刀奈は口を噤んで明後日の方角を見始めた。
「会長?」
「陸くーん、放課後私のミステリアス・レイディを改修して欲しいなー」
「「「「「現実逃避!?」」」」」
みんなのツッコミを無視して、俺の右腕(左腕は簪が標準装備だから)に抱き着いておねだりする刀奈。だから、ロシア政府から会社に話を通してくれって言ってるだろ。
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ルクーゼンブルグ公国の第七王女、アイリス・トワイライト・ルクーゼンブルグ殿下が特別留学生として、IS学園の1年1組に来られた。それはいい。一夏が執事役に選ばれたのも、外交上の都合で目を瞑った。
だが、さすがにこれはどうしようもなかった。
「束……一応、一応だが聞いておく。なぜ
生徒指導室のパイプ椅子に座った私の真向かいには、同じくパイプ椅子に座った束がいた。
殿下が市街地を視察したいと仰って、一夏がお供に抜擢された。そして視察中、テロリストの襲撃に遭った。それはそれで問題なのだが、問題はそこから先だ。
『兵士諸君 任務ご苦労 さようなら』
突然現れた束が、テロリストどころか護衛の兵士をもボッコボコにしてしまったのだ。
そして唖然とする殿下の髪を掴み、顔を口元まで近づけて
『これ以上いっくんに関わるなら……お前を殺す(デデン』
と言い残して去っていったらしい。
それが原因で、殿下は割り振られた寮の部屋の隅でガタガタ震えており、護衛も近衛騎士団長ジブリル・エミュレールを除く9割方が病院送りとなってしまった。
まあ、殿下が部屋に引き篭もってるおかげで、残りの護衛だけで何とか回せていると言えるのだが。
「なぜやったって?……ちーちゃん、束さん怒ってるんだよ?」
「怒ってる……一夏のことか?」
「そうだよっ! あんなポッと出がいっくんを独占するとか、許されると思ってるのさ!? というか、ちーちゃんこそ止めなよ!」
「いや、相手は小国とはいえ王女だし、政治ってものが……」
「はぁ……そう言うと思ったよ。なら、あのクソアマに伝えておいてよ。『そっちが外交問題とか言って事態を大きくするなら、それなりの報復をする』って」
「お、おい束! まだ話は……」
私の制止を完全に無視して、束はパイプ椅子から立ち上がり、部屋から出て行ってしまった。
「くそ……! 最近はこいつに頼らなくてよかったのに……」
苦痛に顔を歪めながら、私はスーツの内ポケットに常備していた胃薬(水なしで飲めるタイプ)を取り出し、中の錠剤を飲み込んだ。
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執事服姿の一夏が現れた時、夜の食堂に歓声が沸いた。
「織斑君!?」
「学園祭以来の執事姿! 写真撮らねば!」
「誰か、誰か新聞部呼んでー!」
沸き過ぎだろ。
「よう一夏、昼間は散々だったらしいな」
「ホントだよ……俺には箒達がいるって言ってるのに、着替えを手伝わせようとするし、ちょっと油断すると腕を組んで来ようとするし」
なんだそれ、篠ノ之達から寝取る気満々じゃねぇか。
「お前、よくそれでフラグ全折りできたな」
「よく頑張ったな一夏」
「さすが一夏さんですわ!」
「ま、まあ? あたしは一夏のこと信じてたけどね?」
「そう言ってる凰さん、一番落ち着きなかった」
「更識ぃ!」
こらこら簪、あんまり揶揄うと噛まれるぞ。
「おいおい……俺、そんなに信用されてなかったのかよ」
「ヒント:クラス対抗戦前の一夏」
「はい、俺が悪かったです……」
「クラス対抗戦って、僕やラウラが来る前のことだよね?」
「おう。今でこそ女心を理解してる一夏だが、以前は恐ろしいまでの朴念仁だったんだよ」
凰が泣くぐらいには酷かった。つくづく、人って変われるもんだな。
「見つけたぞ、織斑一夏!」
誰だよ大声出しやがって。
そう思って声の方に視線を向けると、凰よりちんまい、豪華なドレス姿のガキがこちらに近づいてきた。
「(あれがルクーゼンブルグ公国の第七王女)」
「(あれがか……すっげー生意気そうなガキだな。でも確か、束が一夏に関わらないように釘を刺したんじゃ?)」
「(そのはずだけど……)」
向こうに聞こえない音量で簪と話してる間に、奴さんは一夏の前に立った。
「織斑一夏! おぬしを我がルクーゼンブルグに招く。わらわの世話役として、一生を共にするのじゃ!」
あ、これまったく束の言葉を理解してないやつだ。
オリ主、釘を刺される。学園側からしたら、オリ主が一番、王女と揉めそうとだと思われてます。(設計図売却の件とか、劣化版コアの件とか、自由国籍の件とか)
束さん、キレる。今作では束さんがテロリストごとボコりました。なぜジブリルが無事かって? それはね……
王女様、懲りない。部屋でガタガタ震えていたのも、単純に束が怖かっただけ。言われた内容はすっ飛んでます。
次回、王女と騎士団長、ボコられる。