部屋で飯を食った俺達は片付けを終えると、さっそくISコアダイブ用の改造ゴーグルを引っ張り出した。
「見た目は、各クラスに配布されたゴーグルと変わらないわね」
「うん。ISコアに接続するためのケーブルが増えたぐらい」
初めて見る刀奈に対して、今回が2回目の簪があれこれ説明している。
「そんじゃ簪、弐式を接続してくれ」
「分かった」
「これでよし、と。そんじゃ、寝るか」
「ね、寝る? あっ、ダイブ中は感覚がなくなるのね」
「おう。さすがに床に転がりたくはないだろ?」
「それはそうよ。それじゃさっそく」
刀奈がベッドに倒れ込むのに続いて、簪と俺もベッドの上で仰向けになった。
「あとは右のこめかみ部分にあるスイッチを押せばいいのね?」
「うん。いつものゴーグルと同じ」
「さてはて、ソフィアー以外のコア人格、どんな奴なのやら」
若干の不安と、それ以上の好奇心を持って、俺達は弐式のコアへダイブした。
ーーーーーーーーー
何もない、真っ暗な世界。目が覚めると私達は、そんな世界に立っていた。
「ここが、打鉄弐式の世界……」
「何もないわね……」
お姉ちゃんと陸は、この何もない世界を見回していた。特に陸はソフィアーの世界を知ってるから、こんな何もない世界だと思ってなかったんだろう。
「本当に、弐式のコア人格が?」
「うん。ランディさん!」
「おう」
私が叫ぶと、この真っ暗な世界にポツンとソファが現れた。
そのソファに寝そべってグラスを傾けている人が――
「まさか……」
「貴方が、打鉄弐式の……?」
「そちらのお二人さんは初めましてだな」
二人の驚き顔を見てニヤリと笑うと、ランディさんはグラスをソファと一緒に現れたテーブルに置いて
「俺はランディ。打鉄弐式のコア人格ってやつだ」
いつもの飄々とした表情で自己紹介した。
「そして嬢ちゃん……」
「この前はホントすまなかった!」
なぜか私、手を合わせて謝られたんだけど……。
「えっと……」
「この前というと、簪と凰が馬鹿姫達と決闘してた時か」
「ああ。本当は嬢ちゃんを止めようと思ってたんだが……」
「え~? ランディ兄が止める必要なかったでしょ~?」
「え?」
ここにいる4人以外の声が、どこからか聞こえてきた。
「だ、誰?」
「こいつは……」
ランディさんが何か言おうとした瞬間
「きゃあああ!」
「お、お姉ちゃん!?」
お姉ちゃんの悲鳴が聞こえて振り向くと
「お姉さん、思ったより大きいね~」
「ちょっ、やめてぇ!」
「……え?」
お姉ちゃんが、ランディさんと同じ赤髪をした女の子に……胸を揉まれていた。
「シャーリィ! てめぇはまた!」
「いや~、堪能させてもらった(ガシッ! ギュッ!)ぎゃあああああああ!」
満面の笑顔だった女の子――シャーリィ(たぶん私と同じか年下)が、陸のアームロックをキメられて悲鳴を上げた。
「他人の女に手ぇ出したんだ。もちろん覚悟は出来てんだよな?」
「お、お兄さん待って! このアームロック抜けない! というか痛覚だけ的確に与えるとかどんな技なのこれ!?」
シャーリィちゃんが藻掻くけど、陸のアームロックが外れることはない。
そして陸が、チラッとランディさんの方を見た。
「……遠慮はいらねぇ。思いっきりやってくれ」
「ランディ兄の薄情ものぉぉぉぉいったぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「うう……陸君以外に揉まれたぁ……」
「大丈夫、同性はノーカンだから。それに今、陸が仇を討ってるから」
「そ、そうね……」
「ランディさん」
「な、なんだ?」
「私もお仕置きに参加しますね」
「へ?」
きょとんとした顔をするランディさんとお姉ちゃんを他所に、私はシャーリィに近づいて
――ゴリッ
「くぁwせdrftgyふじこlp!!」
ちょっと首筋を押したら、特大の悲鳴を上げてくれた。
「簪、一体何した?」
「痛覚神経を直接刺激した」
「……簪。もしも将来俺とケンカになっても、それは使わないでほしい……」
そんな真顔で言われても……。
「ところでランディさん。さっき話しかけてたことですけど」
「お、おう……」
「決闘の時、『やっちゃいなよ』って私に言ったのは?」
「ああ、そこにいるシャーリィだ」
「ベルゼルガーを私に渡したのも?」
「ああ、そこにいる、シャーリィだ」
判決、有罪。
――グシュッ
「あ、あぁあぁぁあ、あああああぁぁぁぁあああああぁぁぁああああぁあぁぁぁああああああ!!」
陸やお姉ちゃんを巻き込んじゃった責任、貴女にも取ってもらうから。
ーーーーーーーーー
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」
赤毛の女の子――確かシャーリィちゃんだったかしら――が、地面に正座して謝罪を呟くだけの置物と化していた。
でも罪悪感は感じない。陸君以外に胸を揉まれた恨みもあるし、それにこの子から……なぜか『獣』を感じたから。
「アンタが嬢ちゃん達のカレシだな。よろしく」
「ああ。そっちこそ、あのエロガキの手綱を頼むぞ」
「いやぁ、ウチの従妹が申し訳ない」
なんかあっちでは、男同士で話が進んでるみたいだし。
「ってちょっと待って。今従妹って」
ISに家族関係なんかあるの!?
「ああ、それについても説明するか」
ランディさん曰く、自分達は別世界の住人で、ある日突然この世界のISコアになっていた――正確には、元のコア人格と"混じりあった"――らしい。
そしてさっきのシャーリィちゃんとは、元の世界で従兄妹の関係なんだとか。そして、
「猟兵。高位の傭兵、ね」
「ああ。俺は『元』が付くが、あいつは現役の猟兵だった。人殺しに躊躇がない上、戦闘狂のところがあることから『
「血染めのシャーリィ……」
それ、傭兵の名を借りた殺人鬼じゃない。そんなのが簪ちゃんのISコア人格になってるなんて……!
「あんまり危なそうなら、追加で付けたコアを外すことも考えてたんだが……」
困り顔の陸君が、シャーリィちゃんの方を見る。
「私、これ以上陸やお姉ちゃんに迷惑かけたくないの。分かってくれる?」
「もちろん分かってぇぇぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!」
「適当に返事しない」
簪ちゃんが追加でシャーリィちゃんを詰めていた。
「あの人喰い虎を子猫になるまで躾けるたぁ、さすがお嬢と言うべきか……」
「あれなら、このままデュアルコアにしても問題なさそうだな」
「おう。次からはきっちりあいつを抑え込むから安心してくれ」
「ホント、頼むぞ」
というか、お嬢って簪ちゃんのことかしら……?
「ねぇ、聞いていいかしら?」
「な、何……?」
簪ちゃんの攻撃(更識家で教えられる拷問術)を受けてダウンしていたシャーリィちゃんが、死んだ目でこっちを見上げてきた。
「貴女はいつ、コア人格として目覚めたの?」
少し気になっていたことを聞いてみた。
ランディさんは、打鉄弐式が作られる前後にこの世界に来たと言っていた。じゃあ、シャーリィちゃんが来たのはいつのタイミングなんだろう?
「いつだったかな~……あ、そうだそうだ」
「シャーリィがこの世界に来たのは、そこの眼鏡っ子が決闘をするって決めた時。その子の『殺意』に呼ばれてきたんだよ」
その時のシャーリィちゃんの顔は、正しく"人喰い虎"と呼べるものだった。
ーーーーーーーーー
ISコアから戻ってくると、
「陸君以外に揉まれた。上書き希望。あとちょっと気分になっちゃった」
刀奈がトンデモなことを言ってきたんだが。
「どゆこと?」
「陸、上書きは早い方がいい」
「簪さん?」
姉妹揃って何言ってんの?
「はよ、はよはよ」
「なんか簪みたいなこと言い出してるんだが!?」
「だって簪ちゃんと姉妹だもの。さぁ揉んで!」
刀奈が問答無用で俺の手を引き寄せて、自分の胸に当てた。
……俺、もう(理性)ゴールしてもいいよな?
「刀奈」
「り、陸君? ひゃんっ!」
もう片方の腕で刀奈を抱き寄せる。さっきの時点でほんのり赤かった刀奈の顔が、抱き寄せた途端真っ赤だ。
「お前から手ぇ出させたんだ。責任、取ってもらうぞ」
「せ、責任ってんんっ❤」
「り、陸!?」
「んんっ!?❤ ……ん、ちゅぅ……❤」
「は、はわわ……!」
普段俺がしないような舌をねじ込むキスに、刀奈は目をトロンとさせて俺にされるがまま。
そして簪、手で隠してるつもりで指の隙間からガン見するんかい。
「ぷはっ」
刀奈の口内をたっぷり蹂躙して口を離すと、つーっと唾液の糸が引いてすげーエロい。
「り、陸君……❤」
「刀奈、本番はこれからだぞ」
「うん……ちょうだい❤」
刀奈の方も、いい感じに理性が飛んだようだ。もう『いつもの冗談』は通じない。
「陸、わ、私も」
「……言っとくが、正直今の俺は優しく出来ないかもしれないぞ?」
最後の理性で、一応の警告はした。
「いいよ。だから――」
「「私達のこと、いっぱい愛して❤」」
残っていたチャチな理性が、そのセリフで全て吹っ飛んだ。
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翌朝、ベッドの上には、体中にキスマークが付いた簪と刀奈、そして体中に甘噛みの跡が付いた俺がいた。
(俺達、謹慎処分を受けてたはずなんだよなぁ……)
一晩経って復活した理性と良心に、俺はちくちく責め立てられたのだった。
「陸(君)に可愛がってもらったからヨシッ!」
「おいっ!」
新しいコア人格はエロガキ。そして簪の教育的指導。
ちなみにこのコア人格二人は、『英雄伝説 閃の軌跡Ⅲ』から引っ張ってます。(今更
更識姉妹、オリ主に食べられる。大丈夫、まだR18になるような描写はないはず……!
しばらく謹慎生活が続きます。