俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

156 / 182
サブタイの元ネタは涼宮ハルヒ。


第152話 篠ノ之束の憤慨 姫崩壊★一直線!

昨日、陸達の部屋へ差し入れを持って行った鈴が、慌ててアリーナに戻ってきた時はびっくりした。

 

『あ、あいつら、VRゴーグルで訓練しまくってたわ!』

 

『『『『『な、なんだってー!?』』』』』

 

謹慎中、模擬戦とかできなくて大変だろうなと思っていたら、まさかの訓練し放題だったとは……。

 

「とはいえ、部屋から一歩も外に出られないって、あたしなら耐えられないわね」

 

「鈴の場合、一カ所に留まってられない性格だろうからな」

 

「マグロ、ですわね」

 

「誰がマグロよ!」

 

箒達がワイワイ騒ぎながら、俺達はいつも通り寮の食堂で朝食を食べていた。

昨日は鈴が差し入れ持って行ったから、次は俺が行くかなぁ……。

なんて、ボーッと考えながら食堂に設置してあるテレビを見ていたら――

 

 

 

『やっほー凡人共ー! 篠ノ之束さんだよー!』

 

 

 

「「「「ぶっ!」」」」

 

俺を含め、テレビを見ていた全員が吹きだした。

 

「た、たたた、束さん!?」

 

「姉さん!? 一体何をしてるんだ!」

 

俺と箒が筆頭で驚く中、画面の向こうの束さんは

 

『今日はお前達に束さん、お知らせしたいことがありまーす!』

 

「な、何をするつもりなのでしょう……?」

 

「聞くのが怖いな……」

 

『お前達が作れない作れないって言ってるISコア、実は時結晶っていうのを元に出来てるんだけど』

 

時結晶? そんなの初めて知った。

 

「シャルロット、そんなの聞いたことある?」

 

「ないよ。学園の教科書はおろか、僕の知ってる限りどの学会論文にも。ラウラは?」

 

「私もない」

 

『ちなみに、コアに時結晶が使われてるのは、時結晶がルクーゼンブルグ公国でしか採れないことも含めて世界でも数人しか知らないことだよ。あ、"知らなかった"が正しいか。今束さんが言っちゃったし』

 

「「「「ちょっとぉぉ!?」」」」

 

何サラっと世界の秘密暴露してるんですか!?

 

『その関係もあって、束さんは公国と個人的に取引とかしてたんだけど、今日この時を以て、公国とは縁を切りまーす!』

 

「縁を切るって、そんなことをわざわざ言うために?」

 

「いやいや一夏! 博士から縁切りを宣告されるって、IS業界から放逐されるようなものだよ!?」

 

シャルの慌てようからして、なんかトンデモないことらしい。

 

『これ見てる中には「どうしてそんなことを」とか言ってる奴がいると思うけど、今回束さん、すっごい頭に来てるんだよ』

 

すると、画面が束さんから別のものに切り替わる。ここどこだ? なんかお城の一室みたいな……って!

 

『殿下、もう織斑一夏のことは諦めた方が……』

 

『ジブリルよ、心配はいらぬ。どうやら篠ノ之博士は、我が国で産出される時結晶とやらを欲しておるようじゃ。それを交渉材料に、今度こそ織斑一夏を我が公国に連れ帰るのじゃ!』

 

「生意気姫と護衛の女じゃない! なにこれ、あいつらの盗撮映像!?」

 

「というか、姉さんの忠告を無視した挙句、あれだけ更識にボコられたのに、まだ一夏を諦めてなかったのか……」

 

箒が呆れた声を上げると、他の面々も頭を抱えたり手で目を覆っていたりし始めた。かくいう俺も、頭を抱えていた。

そして盗撮映像が終わったのか、画面が束さんに戻る。

 

『束さんの旦那様に手を出すクソアマがいる国とは、これ以上の取引は出来ませーん!』

 

でもそうなると、時結晶とやらが手に入らなくなるのでは?

 

『当初は時結晶のことが懸念点だったけど、それも解決されました! 理由はこれ!』

 

そう言って束さんがエプロンドレスのポケットから取り出したのは、握り拳大の球体……ってあれ、俺見たことあるような……?

 

 

『なんと束さん、時結晶を使わないISコアの開発に成功しちゃいました~! パチパチ拍手~!』

 

 

「「「「……」」」」

 

もはや驚き過ぎて感覚がマヒしたのか、誰も声を上げずに固まってしまっていた。

 

『りったんのパチモンとは違って、こっちは性能比97%もあるからね。代替品使ったにしては上出来じゃないかな? やっぱり束さんてんさーい!』

 

画面の向こうで自画自賛し始める束さん。ああ、千冬姉の胃が悲鳴を上げる光景が目に浮かぶ……。

 

『発表は以上だよ~! それじゃあみんな、よい一日を~♪』

 

誰にとっても大混乱な一日にした束さんが画面から消えると、次の瞬間にはさっきまで流れていたバラエティ番組が映っていた。

 

「箒さん、貴女のお姉様は……」

 

「やめてくれセシリア、頼むから一緒にしないでくれ」

 

セシリアの視線に対して、箒はものすごい渋い顔をして首を横に振った。

束さん、やり過ぎだって……。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

この日、世界に激震が走った。

ISコアが時結晶で出来ているというのも、ほとんどの国では初耳だったのだ。いや、産出国である公国を除けばほぼ皆無だった。それがあっさりバラされたのだ。

そして何より、あの大天災・篠ノ之束を完全に敵に回したとして、ルクーゼンブルグ公国は国際社会から大顰蹙を買うことに。

IS関連を含めた株価は大荒れ、欧州連合(EU)加盟国でもある公国は一連の騒動を起こした責任を問われ、これまで束との繋がりで保っていた連合内での発言力を失うこととなった。

国内でも、騒動の引き金となった第七王女、アイリス・トワイライト・ルクーゼンブルグへの非難の声が高まり、公室は声明を発表。アイリス王女を出国禁止の国内幽閉処分とした。

これにより、アイリス王女は二度と織斑一夏に会うことは出来なくなったのだった。

 

 

 

「ってことらしいわ」

 

「「へぇ」」

 

「二人とも、反応薄いわねぇ。正直私もあんまり興味なかったけど。簪ちゃん、タルタルソースちょうだい」

 

「ん」

 

昼飯の鮭フライを食べながら刀奈の話を聞いてたが、割とどーでもいい話だった。

別に馬鹿姫が国内幽閉されようと、知ったこっちゃない。

 

「どちらかと言えば、束の奴、昨日の今日でもう発表したのかよとしか」

 

「うん。ところでお姉ちゃん、IS関連の株価が大荒れだったって言ってたけど、ウチは大丈夫だったの?」

 

「そこは虚に確認してもらったから大丈夫よ。更識家で保有してる株の中で、大きく株価が下がったものはないって」

 

「それはよかった。もし大損害が出てたら、あのお姫様を――」

 

「簪ちゃんストップ。顔が怖いことになってる」

 

「はっ!」

 

そしてどうも最近、簪が殺意の波動に目覚めそうで怖い。

 

「う~ん。簪ちゃん、感情のコントロールの修練し直す?」

 

「うっ……もしかしたら必要かも」

 

「そんな修練あんのか」

 

「ええ。相手に考えを読まれないようにする修練の中にね。私達以外にも、虚とかも習得してるものよ」

 

「へぇ……もしかして、のほほんがいつもニコニコしてるのも……」

 

「あれは素」

 

簪から即答された。素なのかよ。

 

「ごちそうさま。ところで陸君に聞きたかったことがあるんだけど」

 

「なんだ?」

 

「ソフィアーちゃんって、いつから人格形成されたのかなって」

 

「いつって……いつだ?」

 

存在を確認したのは学園祭の時、陰流のISコアにダイブした時だから、少なくともそれより前ではあるだろうが……。

 

「ちょーっと、ソフィアーちゃんに聞けないかしら」

 

「聞くぐらいはできるが……何かあったのか?」

 

「前に打鉄弐式にダイブした時、シャーリィちゃんに聞いてみたのよ。いつコア人格として目覚めたのかを」

 

「あの人喰い虎(笑)にそんなこと聞いたのか。で?」

 

「簪ちゃんが決闘をするって決めた時だ、って」

 

「なるほどねぇ」

 

そしてランディ(1つ目のコア)は、打鉄弐式が作られる前後で簪に声を掛けるようになった。何かきっかけみたいなもんがあるのか。

 

「というわけで、お願いよ♪」

 

「はい、陸」

 

簪、話に加わらないと思ったら、立体映像装置を持ってきてたのか。

 

「全く俺に選択肢ねぇだろこれ。まぁいいけど」

 

そう愚痴りながらも待機状態の陰流に装置を繋げて起動させると、秋の運動会振りとなる、ソフィアーの立体映像が映し出された。

 

「マスター、よ、呼びましたかー?」

 

「おう。刀奈がお前に聞きたいことがあるって」

 

「そ、それって、私がいつ生まれたか、ですよね?」

 

「ええ。もしかして、さっきの話聞いてた?」

 

「は、はい。基本的に、マスターの行動は、た、待機状態でも見えてます」

 

う~ん。なんかそう聞くと、プライバシーも何もあったもんじゃねぇな。

 

「だ、大丈夫です。マスター達が、その……」

 

「?」

 

 

「ま、まぐわってる(エッチしてる)時は、ログが残らないようにしてますから!」

 

 

「「……///」」

 

「……おう、ありがとな」

 

知らないままの方が良かった。マジで。

 

「えっと……私が生まれた時、でしたよね!?」

 

「おう。これ以上地雷を踏む前に教えてくれ」

 

これ以上何かあったら、刀奈や簪どころか、俺も恥ずか死ぬ。

 

「実は……私が自我を持ったのは、ず、ずいぶん前になります」

 

「ずいぶん前? それって学園祭の時よりも前ってこと?」

 

「はい。そ、それより、もーっと前です」

 

「それより……あっ」

 

「簪?」

 

「ソフィアー。もしかして、臨海学校の時?」

 

「臨海学校?」

 

「は、はい」

 

 

 

「あの日、福音と対峙した時、マスターの『失いたくない』という想いから、わ、私が生まれました」

 

 

 

「陸君が、織斑君達を庇った時に……」

 

「……」

 

あの時、ソフィアーは生まれていたのか……。でも、想いから生まれたってどういう……

 

「これは私の推測だけど――」

 

そう前置きして、簪はさらに自分の考えを話し始めた。

 

「コア人格が生まれるには、操縦者の強い想いが必要なんだと思う。私が打鉄弐式を完成させたい、お姉ちゃんに勝ちたいと想った時にランディさんがやって来たように。決闘の時、お姫様に殺意を覚えた時に、シャーリィが目覚めたように」

 

「確かにそれなら……」

 

「共通点はあるわね」

 

未だ推測とはいえ、まさかこんなルートから、ISの謎が見えてくるとはな。

今度また束に話してみるか。そう思いつつ、残っていた味噌汁をすすり切ると、食器を片付ける準備を始めるのだった。




束さんの馬鹿姫お仕置きRTA。ついでに公国も巻き込まれ、EUもとばっちりを受けてます。ドンマイ♪ 本当は公位継承権剥奪とか国外追放とかも考えましたが、あまりやり過ぎると『これキャラアンチだろ!』とか言われそうなので、この辺で止めておきました。

コア人格が生まれるきっかけ。もちろんオリ設定です。ただ原作12巻で「すべてのISは操縦者の夢を具現化するために働く」と言っているので、操縦者の願いというか、想いを聞く機能は付いてるんじゃないかなーと。


次回、シャバの空気。なんかこの3人、謹慎してた割には生活充実してね?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。