学期末トーナメント開催が決まってから、生徒達からある要望が学園に入るようになっていた。
それを俺が知ったのは、刀奈に呼ばれて生徒会室に来た時だった。
「ゴーグルの増産?」
「ええ。署名まで集まってるぐらいだから、出来れば引き受けてほしいのよ」
刀奈が座る机の上には、今言っていた署名の紙束が載っていた。その厚みを見るに、結構な人数が署名したのが分かる。
「でも、どうしてそんな依頼が?」
学園祭後に提供してからこっち、そんなこと言われたこともなかったが。
「学期末トーナメントの影響」
「簪ちゃんの言う通りよ。キャノンボール・ファストやタッグマッチと違って、今回はみんな参加資格があるから、少しでもISに乗って訓練したいって子がいっぱいいるのよ」
「もし陸が1学期のトーナメントの時にゴーグルを作ってたら、同じように署名が来てたと思う」
なるほど。理解はした。
「それなら、いっそいっぱい作るか」
「いっぱい?」
「ああ。ただ、ちょっと追加で経費が掛かるのが難点だがな」
「ええ? 一体いくつ作る気?」
「それはな……」
考えてたことを話すと、刀奈はおろか、簪からもジト目で見られた。解せぬ。
「それはちょっと……」
「やり過ぎだと思う」
「かもな。でも、確実に今後の学園のためにはなるぞ」
「そうかもだけど……」
う~ん、と刀奈が額に手を当てて悩む姿を見て、俺はさらに追加である手段を取ることにした。
ーーーーーーーーー
私が紅茶を淹れて戻ってきたら、トンデモナイ光景が広がっていました。
「あへぇ……❤」
「いいぃぃぃ……❤」
「み、宮下君、一体何をしたの……?」
そこには、目をトロンとさせてソファの上に脱力した、お嬢様と簪様の姿があった。
「ちょっと二人を撫ぜただけですよ」
「嘘よね?」
「嘘じゃないですって。ほら、こんな感じに」
そう言って、宮下君はお嬢様のお腹を……お腹を!?
「あっ❤ あっ❤ ああっ❤」
「それで楯無さん。さっきの提案、承諾してくれますよね?」
「い、いいわぁ……❤」
「何やってんですかぁ!!」
――バコォォンッ!
「おぶっ!」
気が付いた時には、宮下君をお盆で殴っていました。
アカン、これはアカンねん!
「というか、一体何をする気なの!?」
「それはですね……」
宮下君の説明を聞いて、私が思ったことは一つ。
「えぇ……」
この一言だった。
「それ、絶対やり過ぎじゃない」
「虚先輩もそう言いますか。せっかく楯無さんと簪はOK出してくれたのに」
「それでお嬢様達を籠絡したの!?」
「籠絡とは人聞きが悪い。OKしてもらう代わりに、二人の望みを聞いただけですよ」
「これお嬢様達の希望だったの!?」
何頼んでるんですかお二人ともぉ!
「と、とにかく、その提案を飲むことは生徒会として――」
「虚先輩も手伝ってくれたら、新武装と交換で一夏から聞いた、五反田弾のマル秘情報を」
「必要な資材の一覧を用意して。準備しておくから」
将来の学園のためにもなって、私も嬉しい。これは誰も損しない計画なのよ。うん。
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どうしてこうなった。
先日更識姉から、訓練用のVRゴーグルの増産を宮下に依頼したという話は聞いていた。だが……
「な、なんじゃこりゃああああああああああああああああ!!」
整備室に、大量の段ボール箱に入ったゴーグルががががががががが!
「トーナメントに向けて、用意しておきましたよ。VRゴーグル330個」
「ファーッ!?」
宮下、お前今なんて言った!? 330個って、今ある分を足したら全員に行き渡る数だろう!
「やることなくて暇だったんですよ。弐式の改造もまた禁止されたし」
「頼むから、武装禁止の撤回だけで勘弁してくれ……」
「ちぇー」
「いじけた振りをするな」
ズボンのポケットに手を突っ込んで石ころ蹴るポーズされても、反応に困るわ。
「あ、そうそう。ついでなんで、対戦相手もプログラムしておきました」
「ほう? つまりただの訓練だけでなく、模擬戦も行えるということか?」
「そういうことです」
それはいい。基礎機動の訓練ももちろん必要だが、ある程度まで行けば模擬戦もしたくなるからな。
「それで、どんなのが相手なんだ?」
「そうですねぇ……口で説明するより、実際に試してみます?」
そう言って宮下は、ゴーグルを段ボール箱から1つ取り出すと私に差し出してきた。
「ふむ……いいだろう。百聞は一見に如かず、とも言うしな」
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「なんじゃこりゃああああああああああああああああ!!」
仮想世界の対戦相手、あれはダメだろう!
「打鉄やラファールはいい。あれは丁度いい対戦相手になる。だが
「いやぁ、ちょっと試しに戦ってみたいとかありません?」
「あるか! しかも極めつけに、なんだあの超巨大兵器は! 私でも落とされるかと思ったわっ!!」
まずデカイ。下手すれば、全長2000mはあるだろ。そしてその巨体にガッツリ積まれた、ミサイルランチャーと機関砲の山。それ以外にも大小様々なレールカノンが弾幕を張ってきて、全然近づけなかったぞ!
「う~ん、やっぱりそうですか。実は簪達にも使ってもらったんですけど、最後の巨大兵器だけは受けが良くなかったんですよ」
「当たり前だぁ!」
「分かりました。それじゃあ最初は打鉄とラファールだけ選べるようにして、ある程度勝ち星が増えたら専用機を選べるようにしますか」
「そうしてくれ……巨大兵器は封印な」
「うぃーっす」
ま、まぁ、品質は良かったからな。うん。
ーーーーーーーーー
「は~、やることねぇ」
依頼されたゴーグルを作ったら、また暇になってしまった。
「だからこうやって、簪を可愛がるしかないんだよなぁ」
「私としては嬉しい」
「……せっせと働いてる私の前でいちゃつくとか、酷くない?」
生徒会室で簪リクエストの膝枕をしてたら、刀奈に睨まれた。
「というか簪ちゃん、なんで簪ちゃんが陸君の膝に頭乗せてるのよ……」
「この状態で頭撫ぜられるのがいい」
「はいはい。撫ぜればいいんだな」
「にゅ~……」
催促されて頭を撫ぜると、顔を太ももに擦り付けてきた。ネコか。
そう思ったら、なんとなく顎の下も撫ぜてみた。
「はにゃぁ~……❤」
「(ごくりっ)」
いやいや刀奈、生唾飲み込むほどかっ!?
――シュババババババッ!!
「お仕事終わり! 陸君私もっ!」
「うぉぉい!」
超高速で書類仕事を終わらせた刀奈が、顎下晒しながら抱き着いてきた。そ、そんなに撫ぜられたいのか?
「早く早く」
「お、おう」
簪と同じ要領で撫ぜてやった。すると
「ふにゃぁ~……❤」
やっぱり猫だこれ。
「お嬢様、書類の処理は終わりましたか――……」
「あー……お疲れ様です、虚先輩」
子猫2匹を可愛がっていたら、戻ってきた虚先輩にジト目された。
「生徒会室は、そういう部屋ではないんですが……?」
「……」
「簪と楯無さんが可愛いからヨシッ!」
「ヨシッ! じゃありません!」
――パシィィンッ!
「あだっ!」
虚先輩、ファイルケースで殴られたらさすがに痛いっス!
「まったく……お嬢様も宮下君も、TPOを弁えてください」
「虚ってば固いわねぇ」
「固くありません。常識の話です」
「クリスマスに弾君とデートした時は、天下の往来でイチャラブしてたじゃない」
「みゃああああああああああっ!?」
おい刀奈、なんでそんなこと知ってんだよ。そして虚先輩のそれは悲鳴か? 弾に聞かせてやりてぇ。
「な、ななな、なんでお嬢様……」
「なんで知ってるかって? こんなこともあろうかと、ちょっと配下の者を、ね」
「尾行されてた!?」
まさかの事実に、虚先輩唖然。刀奈、そんな暗部の使い方していいのか?
「・゚゚(p>д<q)゚゚・弾くぅぅぅぅぅぅぅんっ!!」
あ、泣きながら生徒会室を飛び出しちまった。
「さぁ陸君、続きプリーズ」
「私も」
「お前ら、従者は大切にしろよ……」
そう言いながらも、二人を撫ぜる手を止めない俺も大概だな。
ゴーグル増産依頼。ジェバンニが一晩でやりました。
更識姉妹可愛がり、その1。体外式ポ○○オ(アカン
ちーちゃん、AF(カーチャン)初体験。151話で簪達がやりあったのもAFです。
更識姉妹可愛がり、その2。二人とも可愛いからヨシッ!
次回、トーナメント前に何かやりたい。