俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

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オリ主は、暇になるとついやっちゃうんDA♪

8/1追記
誤字・抜け字を修正
多機能フォームで書いたのが反映されてなかった……orz


第156話 治療

「学期末トーナメント、クロニクルが出られるようにするか」

 

ゴーグル増産の依頼をこなして暇になった陸が、寮の部屋に戻った途端、またトンデモなことを言い出した。

クロニクルさんが参加できないのは、体内に埋め込まれたISが競合するため。理論上はそれをどうにか出来ればいいんだろうけど……。

 

「さすがに技術的にも時間的にも無理じゃ?」

 

まず第1に、体内に埋め込まれたISをどうこう出来るのか。それが出来るなら、篠ノ之博士がすでにやってると思う。

第2に時間。おそらくクロニクルさんはすでに不参加を申告してるはずで、撤回するには今週中、つまりあと3日しかない。

 

「大丈夫だ、策はある。で、"あいつ"も巻き込めば……」

 

「あ、あいつ?」

 

私の疑問を後目に、スマホを操作して誰かに連絡を取り始めた。

一体だれを……あっ、あの人しかいないや。

 

・・・・・・

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

陸が連絡した相手というのが

 

「それで束さんを呼んだわけだね」

 

予想通り、篠ノ之博士だった。

 

「でもりったん、一体どうするつもり? くーちゃんのISを取り除くのって、正直無理だよ」

 

「やっぱりそうなんですか?」

 

「うん。あの金髪ドリル、セシリアだっけ? あれの身内と同じように、くーちゃんもISで体の足りない部品を補ってるんだよ」

 

たぶん博士は、エクシアさんのことを言ってるんだろう。

確かにそれは無理だ。無理にISを取り除いたら、そのままクロニクルさんが死んじゃうことになる。

 

「それなら心配ない。これを見てくれ」

 

そう言って、陸が端末に表示して見せたのは……ごめん、私には理解できない。何かすごい数式と専門用語の羅列なのは分かるんだけど。

 

「……こ、これは!?」

 

「これならいけそうじゃないか?」

 

「出来る……これなら出来るよ!」

 

なんか二人で意気投合してるけど、一体何が出来るんだろう……。

 

「でも、そうなると急がないと。くーちゃんのトーナメント不参加を撤回するには、あと3日しかないよ!」

 

「というわけで束、今夜はオールナイトでやるぞ!」

 

「合点承知の助!」

 

え、オールナイト? 何をするか知らないけど、一晩でどうにかする気なの?

 

「というわけで簪、俺はこれから束と作業に入るから。あ、それとボーデヴィッヒに明日の放課後空けとくよう言っといてくれ」

 

「え、ええ?」

 

どういうこと? なんかよく分からない内に話が進んでるんだけど!?

 

「それじゃありったん、さっそく束さんのラボにGO!」

 

「おう!」

 

「ちょっとま、陸ぅ!?」

 

私の声なんか全然届いていないのか、博士はいつものように、陸もその後を追って、ベランダの手すりを飛び越え、暗闇の中に消えていた。

 

「……とりあえず、ボーデヴィッヒさんに連絡入れとこ」

 

ここで織斑先生に連絡を入れない辺り、私も慣れてきてるなぁと思う。

 

ーーーーーーーーー

 

昨日の夜、突然更識から連絡が来た時は何かと思った。

 

『陸が、明日の放課後予定を空けてほしいって』

 

『明日か? まぁいいが、一体何をするつもりだ?』

 

『それが、博士と何かするつもりみたいで……』

 

『……』

 

そのやり取りだけで、正直危険な匂いがプンプンしてきた。

が、あの二人が何かするというのであれば、軍人として情報収集は必要だろう。だからこそ、こうやって放課後、指定された整備室に来たのだが。

 

「おうボーデヴィッヒ、突然呼び出して悪かったな」

 

「別に構わん。それで、今回は一体何をするつもりだ?」

 

整備室には宮下と更識、そしてその横には、まるで酸素カプセルのような装置が鎮座していた。

 

「見ての通り、今回はこれを使うんだが、それにはボーデヴィッヒの協力が必要でな」

 

「私の? 一体……」

 

どういうことだ、と聞く前に、

 

「やっほー、お待たせ~」

 

「あ、あの、束さま?」

 

篠ノ之博士と、クロニクル?

 

「さて、これで役者は揃ったな。それで、今回集まってもらったのは……」

 

 

「クロニクルの体内に埋め込まれたISの摘出と、それに伴う問題個所の治療。それが目的だ」

 

 

……は?

 

「ちょっと待て、確かクロニクルに埋め込まれたISは、セシリアのところのメイド妹と同じように、不足分の臓器を補っていたはずだ。それを摘出したら……

 

「そのためのこいつだ」

 

私の疑問に対して、宮下がポンポンとカプセルのような装置を叩く。

 

「その装置は一体何なんだ? 酸素カプセルというわけでもないのだろう?」

 

「それは私も知りたい」

 

なんだ、更識も聞いていないのか。

 

 

「この装置で、ISの摘出と足りない臓器の再生治療を同時進行で行う」

 

 

は? 今こいつ何と言った?

 

「さ、再生治療だと!? しかも臓器をか!?」

 

「そうだよ~。束さんとりったんが、頑張って作りました~!」

 

「た、束さまが?」

 

「やっぱり一晩で作ったんだ……。二人とも、無茶苦茶過ぎる」

 

「一晩!?」

 

更識、嘘だと言ってくれ! 私の中の常識が、常識が……! いや、この二人ならそうなるか。(諦観

 

「それで、どうして私が呼ばれたんですか?」

 

「おっ、冷静だね? もうちょっと慌てるかと思ったけど、結構結構」

 

「あんま言いたくないが、クロニクルの遺伝子には一部欠陥がある。だからそのまま再生治療しても効果はないんだ」

 

宮下の説明で、何となく納得がいった。

 

クロニクルは私と同じ遺伝子強化素体(アドヴァンスド)、しかも失敗作とされた者だ。おそらくその遺伝子欠陥が、失敗作と言われた原因なのだろう。

そしてこれは予想だが、再生治療とは幹細胞による機能分化クローニングのようなものなのだろう。であれば、元となる細胞に異常があれば意味がない。

つまり……

 

「つまり、私の遺伝子情報を使って欠けた臓器を作り出し、クロニクルに移植すると?」

 

「正解だ。理解が早くて助かる」

 

「それじゃあくーちゃん、さっそく始めようか」

 

「た、束さま。まだ彼女から同意が……」

 

「いいだろう。協力する」

 

「え?」

 

私が協力に同意する旨を口にすると、クロニクルが驚いた顔でこちらを見てきた。なんだ、そんなに不思議か?

 

「別に私の臓器を寄こせという話でもないからな。それに――」

 

そこで言葉を区切る。そして思い出す。修学旅行の帰り、こいつと、遺伝上の"姉"との会話の中で、私の中に出来上がったもの。

 

 

「こういう時に助け合うのが、"家族"というものなのだろう?」

 

 

「ラウ、ラ……私は……」

 

むっ、泣かれるために恰好をつけたとではないのだが……。

 

「くーちゃん、こういう時は素直に感謝しておけばいいんだよ」

 

「感謝……」

 

博士に諭されて、クロニクルは袖で目を拭くと

 

「ありがとう、ラウラ……」

 

「うむっ」

 

そうだ。それでいいのだ。その方が、私も手伝うと決めた甲斐があるというものだ。

 

「あ~……そんじゃ、始めていいか?」

 

「「「あ、はい」」」

 

完全放置されて目が死んでる宮下と更識に対して、私達3人は頷くしかなかった。

 

ーーーーーーーーー

 

いやー、まさかボーデヴィッヒとクロニクルの仲があんな感じになってたとは。

 

「ハッキング事件直後は、全然こんな感じじゃなかった」

 

「だな。もっと他人行儀だったはずだが……運動会や修学旅行で何かあったんだろう」

 

「かもしれない」

 

そう簪と話しながらも、再生治療用ポッド内のクロニクルの状態をモニターしている。

この装置、ベースはもちろん、トレミーに搭載されてた(外史・00の)やつだ。

 

「ボーデヴィッヒから採取した細胞からDNA情報抽出、クローニング開始」

 

「こっちも、くーちゃんからISを摘出する準備完了だよ」

 

手順としてはまず、ボーデヴィッヒの細胞から人工臓器を作る。そして摘出したISと置換して、結合部をそのまま再生治療で繋げる。

それと並行して、別の場所も治すんだが……それは簪やクロニクルはおろか、束にも言ってない。サプライズってやつだ。

 

「クローニング完了。束、始めてくれ」

 

「りょーかい。それじゃ、摘出作業に入るよ」

 

・・・・・・

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

「ふぅ~……」

 

「宮下、終わったのか?」

 

「おう、なんとかな」

 

細胞の提供してくれたら帰ってもよかったのに、律儀にもボーデヴィッヒは整備室の隅っこで待ってたようだ。

 

「協力した身としては、結果を見届ける義務と権利があるだろう」

 

「それもそうか」

 

確かにもらうもんもらってポイとか、聞きようによってはヒデェ話か。

 

「それで陸、クロニクルさんはこのまま?」

 

「いや、あと少しすれば……」

 

――ピーッ!

 

アラーム音が鳴ると同時に、ポッドの上部がスライドして、ただのベッドのようになった。

 

「んん……」

 

「くーちゃん、起きて」

 

「たばね、さま……?」

 

「え?」

 

クロニクルを起こそうと顔を近づけた束が、驚いた顔で俺の方を見る。

 

「りったん、これって……!」

 

「俺からのサプライズだ。驚いてもらえて何よりだ」

 

「あ、あの、束さま、一体何が……」

 

状況が飲み込めていないのか、のっそりとクロニクルが起き上がる。と同時に、簪とボーデヴィッヒも驚き顔でこっちを見てきた。

 

「り、陸?」

 

「宮下、これは一体……!?」

 

「あの、みなさん、どうしたのですか?」

 

簪とボーデヴィッヒも驚く中、当の本人だけが首を傾げていた。

 

「くーちゃん、はいこれ!」

 

「鏡、ですか? これが一体……え?」

 

束から手渡された手鏡を覗き込んで、ようやくクロニクル本人も気付いた。

 

 

黒い眼球ではなく、ボーデヴィッヒと同じ、白い眼球と金の瞳になっていることに。

 

 

「これは……!」

 

「ボーデヴィッヒのDNA情報が手に入ったからな、目の方もついでに治しておいた」

 

臓器と違って徐々に置き換えても問題ない部位だったから、装置のオート機能で治療できる。なので俺の手間はほぼかかってない。ならやるだろ?

 

「これで、周りを気にする必要はなくなったな。なにせ、体内にISはないし、目も含めて外見は完全に普通に人間なんだし」

 

「りったん……」

 

「陸……」

 

「あ、ありがとう、ござい、ます……!」

 

「宮下、お前という奴は……」

 

だぁぁぁお前ら、泣くな泣くな!

 

「それよりほら、クロニクルのトーナメント不参加を撤回しに行かなくていいのか?」

 

「はっ! そうだった! くーちゃん、急げ急げ~!」

 

「た、束さま!? そんなに急がなくても、まだ期日は~~~~!!」

 

束の小脇に抱えられたクロニクルの声が、ドップラー効果のように響いて消えた。

 

「なぁ宮下。これ、セシリアのところのメイド妹にも使えないか?」

 

「エクシアだったか? たぶん使えると思うぞ?」

 

状況は同じだし、不足している臓器に付いても、チェルシーさんの体細胞を使えばいけるだろう。

 

「なら、頼めないだろうか」

 

「俺はいいが、束がなんて言うかなぁ……」

 

今回はクロニクルのためだから手を貸してくれただろうが、それ以外の人間を助けると言っても嫌がりそうなんだよなぁ。

 

「博士の説得は私がする」

 

「出来るのか? まぁ、もし出来たらやってもいいが……」

 

 

 

「え~? そいつ助ける理由ないし~」

 

案の定、クロニクルの不参加を撤回して戻ってきた束は嫌がったが

 

「博士、エクシアはセシリアの身内です。そしてセシリアは一夏の嫁、つまり身内なわけです」

 

「それってこじつけだよね~」

 

「一夏に褒められたくないですか?『束さん、エクシアを助けてくれてありがとう』と」

 

「よしやろう」

 

あっさり陥落した。ボーデヴィッヒ、恐ろしい子……!

 

ーーーーーーーーー

 

話を聞いたオルコットは、さっそくイギリスに連絡してメイド姉妹を学園に呼び寄せた。

そして翌日、オルコット家の自家用機で文字通り飛んできた姉妹が学園に。

 

「本日は、よろしくお願いいたします」

 

「お、お願いいたします」

 

姉のチェルシーさんから体細胞を採取、クローニングを行っている間に、エクシアをポッドの中へ。あとはクロニクルの時と同様。目の治療がない分、前回よりも治療時間は短かった。

それより問題になったのは

 

「それで、摘出したISだが……」

 

「エクスカリバー無き今、エクシアが所持する理由もありませんし……如何いたしましょう、お嬢様」

 

「元が亡国機業から齎された物である以上、オルコット家で所持し続けるのも問題がありますわね……」

 

摘出したISをどうするかということだ。

おそらくどこかから強奪されたものの、国の面子とやらで届けられてないものの一部なんだろう。

だから面倒事に巻き込まれたくないと、オルコットが放棄したいと言うのもよく分かる。

ちなみに、クロニクルから摘出したISも

 

「くーちゃん、摘出したコアで専用機作ったら、乗る?」

 

「いいえ、みなさんと同じ訓練機に乗ります。私はただでさえ、束さまの関係者ということで目を付けられていますので」

 

というやり取りがあり、こちらも処遇に困っている。

 

「もう面倒だし、ちーちゃんに丸投げしたら?」

 

「賛成ですわ」

 

「それでいこう」

 

こうして、クロニクルとエクシアから摘出した2つのISコアは、アラクネのコアと同様学園預かりとなるのだった。

 

 

『宮下ぁ! 束ぇ! お前達はまたぁぁぁぁぁぁ!!』

 

 

コアを手渡した時の織斑先生の顔、怖かったデス。




クロエ治療回。ただISが埋め込まれてるだけなら、束でも治療できると思うので、エクシアと同じ『ISで足りない臓器を補っている』という設定にしました。

追加でエクシアも治療。束を動かすには一夏を使えばいいという一例。ただしやり過ぎると『一夏を利用した』と判断されて消される模様。

ちーちゃん不憫。『千冬に!安息は!おとずれなぁい!!』
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