俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

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台風のせいで、空港に一泊しました。

学期末トーナメント、ラストです。


第162話 学期末トーナメント ~3日目 後編~

「簪様ぁぁぁ申し訳ありませんでしたぁぁぁぁぁ!!」

 

決勝戦前の昼飯は、虚先輩の土下座から始まった。

 

「あ、あの、虚さん? 周りの迷惑になるから」

 

「はい……」

 

とりあえず簪が執り成して、虚先輩を席に座らせる。

 

「それに虚先輩、現時点でものほほんに絞られたんじゃないですか?」

 

「それは……ええ、久々にあの子がキレてるところを見たわ。それにお嬢様からもお説教を……」

 

あ、刀奈からも怒られたんだ。どうりで右横に座る刀奈とのほほんの目が冷たいわけだ。

 

「そりゃあ、簪ちゃんの黒星が、まさか虚の整備不良が原因だって言うから、ねぇ?」

 

「お姉ちゃん、†悔い改めて†」

 

「おい馬鹿やめろ」

 

のほほんのやつ、どんどんダメな方向に堕ちていってやがる……!

 

「それで、決勝で一夏と戦うことになったわけだが、意気込みはどうだ?」

 

俺達5人が座るテーブルの隣で、束と一緒に定食を食っていたクロニクルに話を振ってみた。

 

「意気込みですか……これまで通り、全力で戦うだけです」

 

「いいよくーちゃん! ああでも、いっくんの応援……いやでも、それは箒ちゃんに任せるべきか……ああぁ!」

 

「簪ちゃん、あれって……」

 

「夫と娘、どちらの肩を持つか悩んでる図」

 

「そうなるよね~」

 

頭を抱えてヘッドバンギングする束を見て、俺達は腕を組んでうんうんと頷いた。

 

「た、束さま……」

 

そんな中、クロニクルだけが心配そうにしながら、束に声を掛けようとして失敗していた。

 

ん~……そうだ!

 

「クロニクル」

 

「はい?」

 

「ちょっと話があるんだが……」

 

どうせここまで番狂わせになったんだ。さらに面白くしてやろうじゃねぇか。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

一方、別のテーブルでは――

 

 

 

「箒さん……」

 

「シャルロット……」

 

「アンタ達ねぇ……」

 

「「うぅ……」」

 

セシリア達によって、箒とシャルが半ば吊し上げに遭っていた。

少しやり過ぎな気もするが、正直俺も今回は庇えそうもない。

 

「物で釣るなんて、それが箒さんの武士道とやらなんですの?」

 

「ひぐっ!」

 

「それに釣られるシャルロットもシャルロットだ。代表候補生として恥ずかしくないのか?」

 

「ぬあぁ!」

 

「そして双方負け判定……アンタ達馬鹿ぁ!?」

 

「「ぴぎゃぁ!!」」

 

ああ、すっげーボコボコにされてる。特に最後の鈴でとどめを刺されたのか、二人とも椅子から力なくずり落ちていった。

 

「まぁ、終わったもんは仕方ないわよ。それに、一夏の対戦相手もすっごいグダグダだったみたいだし」

 

「ああ、それな……」

 

まさか、決勝戦で戦う相手がクロエさんとは……。

てっきり更識さんだと思って、メメントモリを食らうのかと絶望してたのに。

 

「方や失格負け、片や整備不良で負けるとは……」

 

「織斑先生もエドワース先生も、今頃頭抱えてるわよ、きっと」

 

箒とシャルの件で千冬姉が、更識さんの件で4組担任のエドワース先生が、それぞれ後でお小言もらうんだろうなぁ。担任って大変だな……。

 

「そ、それで一夏、クロニクルとはどう戦うつもりだ?」

 

おっ、箒が復活した。

 

「一夏さんには零落白夜の他は、左腕のハンドガンしかありませんし……」

 

「ラファール相手なら尚更、接近戦を仕掛けまくるしかないわね」

 

「やっぱそうだよなぁ……」

 

空飛ぶ武器庫とも言われるラファールに、俺が遠距離戦を挑むこと自体間違いだろうから、近接一択だな。

 

「とにかく、やれるだけやってやるさ」

 

そう言うと、カレールーのかかってない(サクサクがいいから最後まで残してた部分の)カツを口に入れた。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

お昼休みを挟んで、とうとう決勝戦が始まろうとしています。

 

「貶すわけじゃないけど、まさかクロエさんが最後まで勝ち残るとは思ってなかったよ」

 

「構いません。私も正直、ここまで勝ち残れるとは思ってもいませんでしたから」

 

第1アリーナの中央で向き合う織斑さんに、私も同意しました。

というか、誰も想像してなかったでしょう、あの更識さんが負けるなんて。

 

「いっく~ん! くーちゃ~ん! 両方頑張れ~!!」

 

「束さん、俺の方も応援してくれてるのか」

 

「かなり悩んでました」

 

……『やっぱりどっちか選ぶとか無理~!!』という結論を出した末ですが。

 

「束さんも、変わったなぁ……」

 

苦笑する織斑さんが雪片弐型を展開するのに合わせて、私も重機関銃(デザート・フォックス)を展開しました。

 

 

そして、最後の試合開始のブザーが鳴りました。

 

――ドドドドドッ!

 

「くっそ! やっぱ近づけさせてはくれないか!」

 

「当然です! 貴方は更識さん以上に接触厳禁ですから!」

 

「正しいんだけど、なんか傷つくなぁ!?」

 

エネルギー無効化能力を持つ零落白夜は脅威です。ですが逆に言えば、零落白夜の効果範囲にさえ入れなければ問題ありません。

このまま、重機関銃の弾幕で……!

 

「だけど俺だって!」

 

――ドンッ!

 

「瞬時加速! それぐらいなら!」

 

「もういっちょぉぉ!」

 

――ドンッ!

 

「ま、まさか!」

 

そう声を上げた時には、雪片の有効範囲にまで接近を許していました。

 

――ザンッ!

 

「ぐぅっ!」

 

零落白夜ではないですが、装甲外を斬られたせいでSEが……。

それにしても、あの機動は……

 

「瞬時加速の途中で、さらに別方向へ瞬時加速をするなんて!」

 

「ぶっつけ本番だったが、なんとか上手くいったな」

 

「今のを、即興でやったというのですか……!?」

 

なんて、適応力の高さ……!

当初は遠距離からダメージを蓄積させようと思っていましたが、むしろ長期戦は不利になるかもしれません……!

 

「こうなったら……」

 

「おっ、そっちも切り札を出すのか?」

 

「はい。正直、使うかどうか迷っていましたが……」

 

それでも……いえ、ここが使い時です!

そうして、決心した私が展開した武装を見て

 

「え……」

 

織斑さんの顔が、固まっていました。

気持ちは分ります。私もこの武装を渡された時は、目が点になってましたから。

気付けば、観客席も静まり返っていました。

 

右腕から伸びる、21の薬室を順次点火して弾頭を撃ち出す砲身。そして左肩には、円筒形の冷却装置。

多薬室砲とでも言うべき武装が、私のラファールに装着されています。

 

「えっと……クロエ、さん? その武装は……」

 

「宮下さんと束さまの力作です」

 

「束さあぁぁぁん!? 陸もぉぉぉぉぉ!!」

 

「そして撃ち出す弾頭も、新型とのことです」

 

『きっと面白いことになる』とのことでしたが、どう面白いのでしょうか?

 

「もうヤダぁぁぁぁぁ!!」

 

お二人からの説明を復唱すると、織斑さんが頭を抱えて空中で悶えていました。まるでエビのように。

 

「それでは……」

 

「え、本当に撃つの!? ちょっと待った! 待って待って! は、話せば分かる!!」

 

何か織斑さんが言いたそうでしたが、構わず私はこの大型砲(ヒュージキャノン)の引き金を引いて

 

 

 

 

 

 

 

 

次の瞬間、あらゆる音と光が消えました。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

学期末トーナメントが終了した後、私はピットから出てきたくーちゃんを出迎えていた。

 

「くーちゃん、優勝おめでとー!!」

 

「あ、あの、束さま……」

 

ん? どしたの? せっかく優勝にしたのに、あんまり嬉しそうじゃないね?

と思ってたら、くーちゃんの後ろから

 

「たぁぁぁばぁぁぁねぇぇぇ……」

 

「ひぃ!?」

 

今まで見たことがないくらい目が据わってるちーちゃんがががが……!

し、しかもその左手には

 

「り、りったん……」

 

「……」

 

白目を剥いて、ちーちゃんに首根っこを掴まれてるりったんが……

 

「あ、あの~、ちーちゃん?」

 

「なぁ束ぇ、あのふざけた砲撃はなんだぁぁぁ?」

 

めっちゃガラ悪っ! もう訊ね方が893のそれなんだけど!?

 

「えっと、くーちゃんが撃った『フレイヤ』のことかな~……?」

 

「そうかそうか。フレイヤという名前なのかぁ」

 

「あ、あれはりったんが作った弾頭でぇ、束さん、あんまり詳しくは知らないかな~って……」

 

「ふんっ!」

 

――ガコンッ!

 

「いったぁぁぁぁぁ!! ちーちゃん骨! めちゃくちゃ頭蓋骨が軋む音したんだけど!!」

 

 

「直撃を食らった白式はコアを残して全装甲と武装が消滅! さらに余波でアリーナ中央に巨大なクレーター! 貴様ら一体何考えとんじゃぁぁぁぁ!!」

 

 

「痛い痛いいたぁぁぁぁぁい!!」

 

「あ、あの、織斑先生、それくらいで……」

 

くーちゃんが庇ってくれようとしてるけど、今のちーちゃんには聞こえない。

これで『あのフレイヤ、リミッター付いてたんだよ』とか言ったら、一体どうなっちゃってたんだろう。

 

 

「また国際IS委員会の爺共に呼び出されるの確定だぁぁぁぁ!! もう嫌だぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

あ、本音はそれなんだね。




虚さん、渾身のDOGEZA。そしてクロエに対して、オリ主の悪乗りが……。

クロエ vs 一夏。 前回の予告通り、一夏を主任砲でイジメてみました。しかも弾頭はフレイヤ(リミッター付)。
ちなみに、最初は一夏のISスーツも消滅する(文字通り丸裸にする)予定でした。けどさすがに公衆の面前でそれは、ねぇ?

ちーちゃん、魂の絶叫。久々にノルマ達成。



次回新章……というか、最終章の予定です。
3学期始まった時、今章で終わりとか言ってたな。あれは嘘だ。(すまん)
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