8/21追記
なぜあとがきで誤字るんだ……。
学期末トーナメントの翌日。IS学園の生徒達は休校となったこの日、思い思いに寛いでいた。
ある者は朝食後に2度寝を決め込み、またある者は友人たちと連れ立って学園の外へ出かけて行った。
そんな中、第1アリーナに出来たクレーターの周りでせっせと働く影と、それを眺める影が。
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そんなわけで、俺は朝から土方の兄ちゃんよろしく、タンクトップにニッカズボンという恰好でクレーターの穴埋めをしていた。
「陸、がんばー」
「せっかくの休みなのに、お前も酔狂だな」
「陸がここで作業してるし、お姉ちゃんもなんか忙しそうだったから。本音も駆り出されてるくらいだし」
「のほほんが? ってことは生徒会絡みか」
マジで忘れそうになる……というかほぼ忘れてるが、のほほんも生徒会役員なんだよな。却って邪魔になるから召集されないだけで。
そんなのほほんも駆り出されるとなると、よほど忙しいんだろう。
「虚先輩がいても回らないくらい忙しいのか」
「虚は今回動いてないわよ」
突然話に加わってきた声の方を向けば、ピットから刀奈がこっちに向かって歩いてきていた。
「様子を見に来たんだけど、さすがに陸君一人じゃ終わってないわよね」
「そりゃあな。織斑先生を拝み倒してなんとか陰流の使用許可はもらったけど、それでも午前中には終わんねぇよ」
なにせ、ピットを出てから歩いて10歩もないところにクレーターの縁があるのだから。つまり、そんだけでかいクレーターなわけで、それを埋めるとなったらえらい時間がかかる。
穴埋め用の土が入った麻袋が壁際にうず高く積まれているのを、えっちらおっちら運ぶのが重労働なんだよなぁ。これで陰流が使えなかったら、今日中に終わらんだろうな。
まあ、俺の肉体労働の話はいいとして
「それで、虚先輩が動いてないってのは?」
「あら陸君、今何月だと思ってるの?」
「何月って……」
もう少しで、2月も半分が終わる……ああっ
「そうか、卒業式」
「正解。来月で虚はIS学園を卒業するのよ。その式の準備を、虚にやらせるわけにはいかないでしょ」
「それもそうだ」
むしろ、そんな虚先輩をギリギリまで生徒会で働かせてたのかよ。
「というより、そんな虚さんをギリギリまで働かせてたの……?」
「か、簪ちゃん、視線が痛いわぁ……」
簪も同じことを思ってたらしい。そんな簪の視線から逃げるように、刀奈は話題を逸らす。
「そ、それよりも、ちょっとキナ臭い話があってね」
「キナ臭い話?」
「ええ」
そう言うと、冷や汗を垂らしていた刀奈の顔が、真剣なものに変わる。
そんな話、ここでしちまっていいのか?
「
刀奈がそう言うからには、出入り口に立ち入り禁止の立札を置いただけとかはないだろう。
おそらく、更識の手の者を配置してるんだろうな。
「用意周到なことで。それで?」
「私達がイギリスから戻って来た時に、女性権利団体が壊滅したのは覚えてるわよね?」
「ああ、あれな」
「本部が崩壊して、各国で大捕り物になったんだよね?」
どこかの国の刑務所が女権団で満杯になったっていう、冗談のような話もあったよな。しかも事実らしいし。
その影響で、親が女権団にいた生徒が中退していったんだよな。特に1年3組はそういう女尊男卑主義者がそこそこいたらしくて、そいつら全員辞めてったんだと。
「そうね。簪ちゃんの言った通り、それで関係者の大半が刑務所行きになったんだけど……」
「その言い方から察するに、全部が捕まったわけじゃないんだな?」
「ええ。女権団の中でも特に過激派な面子が、行方を眩ませたの」
あの頭パーな連中の中で、さらに過激派? ほぼテロリストじゃねぇかそれ?
「それで最近になって、その過激派連中の足取りが分かったのよ」
「どこ?」
「自由の国(笑)」
「アメリカか……」
アメリカと言えばハッキング事件の時にやり合ったから、あんまいい印象ねぇんだよなぁ。ケイシー先輩には悪いけど。
「アメリカって、秋に学園に侵入してきたって……」
「その時返り討ちに遭った組織と、どうも手を組んだらしくてねぇ」
「マジか……」
それを聞いて思い出すのは、事後処理の話を織斑先生から聞いた場面だ。
『もう一度確認するが……これはお前が
『ええ、俺がやりました』
『そうか……』
学園の地下区画で話す俺と織斑先生の周囲には、未だ飛び散った血と肉片の後が残っていた。
侵入者の死体
アメリカは関与を否定し、遺体の受け取りを拒否した。当然か。受け取れば、自分達が襲撃を指示したと認めるようなもんだし。
そして身元を示すものが何もない以上、受取人不在の身元不明者として処理するしかないだろう。
「どっちからも恨まれるわなぁ……」
思わずため息をついていた。
片や所属する組織を壊滅させられ、片や部隊員を膾切り。そりゃヘイトも集中するわ。
「陸、大丈夫?」
気付けば、簪が俺の顔を覗き込んでいた。
「平気、ではないな。少し気が滅入ってる」
「でしょうね……ごめんなさい、私があの時、しくじってなければ……」
そう言って悲しそうな顔をする刀奈の頭を、そっと撫ぜる。
刀奈の言う"あの時"というのは、おそらく俺が侵入者を斬り捨てた時のことを言ってるんだろう。
「気にすんな。聞いた話じゃ、元々俺は命を狙われてたらしいからな。結局敵対する運命だったんだ」
束の話では、あのハッキング事件でアメリカは女権団と手を組む際に、俺の殺害を女権団から要求され、それを承諾したらしい。
それを聞いて、『そん時から恨まれてたのかよ……』と頭が痛かった記憶がある。
「あはは……気が滅入った陸君をお姉さんが慰めるはずが、私が慰められちゃった」
撫ぜていた手を退けると、刀奈は撫ぜていたところを手で押さえて『えへへ』と笑う。ぬぅ、可愛いじゃねぇか。
「お姉ちゃん、あざとい」
「ちょっと簪ちゃん!?」
だから簪、ジト目はやめとけ。癖になったら困るぞ。
「それで、その危ない連中が何かやらかすと?」
「そ、そうなの。
「1か月か……最悪、卒業式に何か仕掛けてくる可能性もあるな」
「学園祭まで、何かイベントがあると襲撃されてた」
「簪ちゃんの言う通りなのよねぇ……」
『はぁ……』と俺達3人、示し合わせたわけでもないのにため息がハモる。
「まあ、いつ来るか分からん面倒事について悩むより、今は目の前の面倒事を片付けるか」
気合を入れ直してまた穴埋め作業に戻ろうとしたら
さっきまであったはずのクレーターが、綺麗になくなっていた
「……」
「……」
「……」
目の前の光景を処理し切れず、誰も声を発せない。
そしてしばらくして、辛うじて正気を取り戻した俺の口から最初に出たのは
「……は?」
だった。
( ゚д゚) ・・・
(つд⊂)ゴシゴシ
(;゚д゚) ・・・
(つд⊂)ゴシゴシゴシ
(;゚ Д゚) …!?
いつの間にか、陰流の待機状態が解除されていた。それはいい。よくないが。
だが、これは……
「「「キェェェェェェアァァァァァァウゴイタァァァァァァァ!!」」」
陰流が、誰も乗ってない陰流が動いてるぅぅぅぅ!?
『マスターがお話し中の間、わ、私が代わりにやっておきましたー』
「ソフィアー!?」
え、なに? お前が陰流動かしてんの!? というか、わざわざオープン・チャネルで話しかけてこんでも!
「コア人格だけで、ISって動かせるのね……」
「パワーアシスト機能とか考えれば、理屈では可能だと思うけど……」
簪と刀奈にもソフィアーの声が聞こえたのか、口元を引きつらせていた。
『マスター、私頑張ったので、ご、ご褒美欲しいです』
「コア人格からお強請りされたんだが。いや、確かに頑張ったのは認めるが」
俺の代わりに、クレーターの穴埋めやったからな。
「そもそもコア人格にご褒美って、一体何が欲しいんだよ?」
『そ、それはですね――』
『フンスッ( ง ᵒ̌∀ᵒ̌)ง⁼³₌₃ 陰流のオーバーホールと、コア磨きをお願いします!』
「……お、おう」
意外と普通だった。
「午前中は穴埋めで終わると思ってたから、ソフィアーが作業して浮いた分の時間でやるか」
『(*ノˊᗜˋ*)ノワーイ』
「ぐぬぬ……!」
「簪ちゃん、ソフィアーちゃんに嫉妬したら色々終わりだと思うわ……」
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束さんだよ~。さっきまで国際IS委員会とかいう連中に話をしてたんだけど、もう限界~……。
「ほら、しっかり歩け」
「だってちーちゃん、あいつら話通じないんだも~ん」
『それは○○とはどう違うのかね?』とか『△△の実現性は~』とか、知ったかで話の腰を折るなっての!
お前らの知ってることが世界の全てじゃねぇんだよKUSOGA!
「これならまだ、いっくんに説明してた方がいいよ」
「一夏に話したところで、1割も理解できんだろうがな」
「そだね」
それでもいっくんなら『へ~すごいですね~』って言ってくれるし。下手にイチャモン付けれられるよりはよっぽどいいよ。
「ねぇちーちゃん、もうお昼だし、どこかで食べてから帰ろーよー」
今、IS委員会日本支部とかいう場所にいるんだけど、ここからIS学園に戻ってたら束さん、お腹が減って動けなくなっちゃうよ~。
「お前という奴は……適当なドライブスルーでいいな?」
「ええー? おっ、キッチンカー発見!」
「あ、おい! 束!」
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
あのキッチンカーは当たりだったね。タコス美味し!
「出来れば動き出す前に、一言言って欲しいものなんだがなぁ?」
「んもー、ちーちゃんってば、あんまり怒ると眉間の皺が取れなくな(ゴンッ!)痛ぁ!」
ゲンコツは普通に痛いってぇ! 乱暴だなぁ!
――♪
「あれ、りったんからだ」
どうしたんだろう?
「アリーナの穴埋めが終わらなくて、泣き言でも言いたくなったか?」
「いやいやまさか……もすもすひねもすぅ~。どうしたのりったん?」
……
「ん~、これから学園に戻るちーちゃんに付いてくから、そっちで見せてよ。うん……りょ~かい」
なるほどなるほど。まったく、りったんの周りは面白いことで溢れてるよ。
「宮下のやつ、どうかしたのか?」
「さっきまでアリーナの穴埋めしてたらしいんだけど――」
「陰流のコア人格が、勝手に機体を動かしたんだって」
「……」
今さっきりったんから聞いた話をしたら、ちーちゃんは深呼吸をし始めた。
そして
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ!!!!!!」(絶叫するビーバー)
良い絶叫! ちーちゃん、いい感じで壊れてきたね~♪
卒業式の準備中。虚が卒業したら、来年度の生徒会どうなるんだろう? 原作は一夏を拉致ったから大丈夫なんでしょうけど。
キナ臭い話。ラスボスにしてはショボいなぁ。
ソフィアー頑張る。なんか、性格がどんどん更識姉妹に寄っていってる気が……。
千冬、ビーバーになる。説明不要!