更新間隔空いたら申し訳ない……。
私とちーちゃんがIS学園に戻ると、りったん達は整備室にいた。
「ソフィアーちゃん、こんな感じ?」
『あ、そこの右手部分に汚れがついてるので、そこもお、お願いします』
「ここ?」
『あ~、そこです~』
「陸、ここ目詰まりしてる」
「イギリスから戻って来た時に簡易整備して以来だからなぁ。一度装甲を引っ剥がすか」
「うん。ソフィアーもオーバーホールって言ってたし」
りったんとかんちゃんが陰流の装甲を引っ剥がし始め、チェシャ猫ちゃんがISコアを艶出しクロスで磨いていた。
しかも、陰流からソフィアーの声が聞こえてくるし……。
「おう束、お勤めゴクローさん」
「織斑先生も、お疲れ様です」
「やーやー、なんか陰流の方から声が聞こえてきてるけど」
「ああ、オープン・チャネルで話しかけられるのもあれだから、適当にスピーカーを接続してな」
そう言ってりったんが指さすところを見ると、コネクタ部からケーブルが伸びてて、床に置いてあるスピーカーに接続されていた。
「ソフィアー、装甲剥がすからちょっと腕動かしてくれ」
『分かりましたー』
「おおっ!」「はぁ!?」
りったんが指示したら、ホントに誰も乗ってない陰流が動き出したよ! すごいすごーい!
そしてそれを見たちーちゃんが、ワナワナと震え始めたんだけど。
「あ、ISが独りでに動き出すなんて……」
「もぅちーちゃん、人が乗らないISなんて、1学期から見てるじゃん」
例えば束さんが作ったゴー君とかね。とはいえ、こんな風に自律して動くなんて思っても見なかったけど。
「あ、ああ、そうだったな……。しかし、ISが自律行動をするのは問題な気が……」
「う~ん、ソフィアーが勝手に待機状態を解除して、学園内で暴れ出す可能性が」
『しませんからね!? そんなことやりませんからね!?』
「本当か?」
『万が一、いいえ億が一があっても、その時はドクターが強制停止コードを――』
「しー! ソフィアーしー!」
ちーちゃんの前で何バラそうとしてんの!? せっかく束さんが隠してた、群咲が持つ強制介入能力『コード・ヴァイオレット』のことを!
「束」
「黙秘権を行使しまーす。あと弁護士……は自己弁護出来るからいいや」
「ったく……とにかく、もし
『は、はい。よほど我の強いコア人格でもない限り、ドクターの命令は優先的に処理されます』
「我の強いコア……」
ソフィアーの話を聞いて、りったんとチェシャ猫ちゃんが同じ方向を向く。
「えっ、ええ!? どうして私を見るの!?」
慌てるかんちゃん。
「打鉄弐式のコア人格、間違いなく我ぁ強いだろ」
「ええ、あれは博士の命令を聞くとは思えないわね」
「そんな……そうかも」
言い返そうとしたけど、自分も納得しちゃったみたい。
それにしても、かんちゃんの打鉄弐式のコア人格、どんななんだろう?
「それじゃ、試しに命令してみよー。ポチッとな」
「おい束!?」
ちーちゃんが止めようとした時には、すでに弐式にコードを送っていた。さてさて、どうなるかな――
『警告! 攻勢防壁を感知! 打鉄弐式からのカウンターアタック――』
「っ!?」
まずい! と思った時には、群咲に張り巡らせていた電子防壁が全て破壊されていた。あ、あっぶなぁ……。
「どうした束、酷い顔になってるぞ」
「酷い顔って……もう少し言い方ないのかなぁ……?」
ちーちゃんが私の顔を覗き込んできた。あのちーちゃんが心配そうに見てくるなんて、よほど私の顔は強張ってるんだろう。
「ちーちゃん、もうかんちゃんを敵に回すのは止めた方がいいよ……」
「は?」
「束さん、もう打鉄弐式の相手したくない。いっくんとの子供産むまで、まだ死にたくない」
ポロっと本心が出ちゃった。
アメ公が自慢してるスパコンが100台束になっても突破出来ない電子防壁が、10枚全部やられるなんて思いもしなかったよ。
一体どんな進化の仕方をしたら、あんな狂暴になるのやら……。 そして早くいっくんとの子供欲しい。
「何言ってるんだお前は! え? 本当にそこまでヤバいのか?」
怒鳴った次の瞬間には目が点になったちーちゃんの視線が、かんちゃんの方へ。
「やっぱそうなったか……」
「簪ちゃん……」
「私は悪くない!(ランディさん!? シャーリィ!?)」
みんなの視線に耐えられなくなったかんちゃんが吼えるけど、もはや手遅れかな~って。
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――アメリカ中西部、米軍特殊部隊『
米国防総省のデータベースにも存在しない極秘部隊の基地に、ある時から部外者が居座っていた。
一時は世界を席巻していた女性権利団体。その残党の中でも、とりわけ過激派とされる者達である。
彼女達は団体崩壊後、追及の手を逃れるために地下に潜伏していたが、最近になってこの"亡霊部隊"と合流したのである。
本来であれば、秘匿部隊であるアンネイムドが世界的犯罪者扱いされている彼女達を懐に入れる理由はない。
しかし、彼等と彼女等にはある共通点があった。
『IS学園への復讐』
アンネイムドからすれば、IS学園襲撃任務に失敗した際に部隊がほぼ壊滅。活動の縮小を余儀なくされ、下手をすれば解散の危機にあった。
国防総省のデータベースに存在しない彼等は、部隊が解散すればただの身元不明人でしかない。そのような立場に自分達を追い込んだ存在を、彼等は許せなかった。
女権団過激派からすれば、IS学園(正確には、そこに在籍する男性操縦者)こそが、自分達を破滅に導いた存在であると認識していた。
実際は男性操縦者の2人を殺そうとして返り討ちに遭っただけなのだが、彼女達は相手にだけ非があると、本気で思っているのが救えない。
「隊長も不在の今、我々が仇討ちをするしかない」
「帰ってくることが出来なかったアルファ、ブラボーの弔いを」
彼等の隊長はIS学園襲撃の際、IS『ファング・クエイク』と共に、学園に確保されている。
政治的理由によって返還要求が出来ない(してしまえば、学園襲撃をアメリカ政府が認めることになる)のなら、自分達で仲間の仇を討つ。
「男性操縦者なんて不要。消さなければ」
「消さなければ」
「消さなければ」
女権団の過激派は、同じセリフをひたすら繰り返し唱えていた。
『ISは選ばれた存在である女性が乗るべきものであり、男という汚れた存在が触れてはならない』それが彼女達の主張である。
そのため彼女達は、男性操縦者はもちろん、それを匿うIS学園も"討伐対象"と考えていた。
「男という汚れた存在に媚を売る愚者共にも死を」
「死を」
「死を」
別にIS学園の生徒や教員が、陸と一夏に媚を売っているわけではない。しかしそんなもの、彼女達には関係ない。
「それで、準備は出来ているな?」
アンネイムドの隊員達が視線を向ける。その先には白衣を着た、如何にも科学者風な女が立っていた。
「ああ、これだ」
そう言って女がディプレイに表示したのは、紅椿に瓜二つな深紅のISが、この基地の格納庫に並んでいる光景だった。
1機や2機ではない。女権団過激派の全員が乗れるだけの数が揃っていた。
「数は?」
「10機だ。そっちの連中が持ってきたコア全てを使った」
白衣の女に話を向けられ、女権団の面々は重々しく頷いた。
本部崩壊の際、IS委員会に
「これが……」
「ああ」
「IS『
「つまり、第4世代機であると?」
「オリジナルよりは多少劣るかもしれないが、少なくとも現行の第3世代機とは比較にならないと自負している」
「なるほど。さすがは元・倉持技研の第一研究所所長」
「ふんっ!」
元、の部分が不愉快に思ったのか、白衣の女は鼻を鳴らした。
彼女もまた、自身を破滅に追いやったIS学園に復讐(逆恨み)を望んでいる一人であった。
そのために、倉持技研で得ていた白式と紅椿のデータを盗み出し、彼等彼女等に合流したのだ。
どこかのIS企業にでも売れば、一生問題なく生きていけるだけの額が得られるデータを持ちながら。
「準備は整った」
「あとは」
「ええ」
『IS学園に、死を』
もはやこの基地には、狂気しか残っていなかった。
ソフィアー、ご褒美タイム。「コア外れてるのに、機体動かせるの?」と思ったそこのあなた。
(; ̄b ̄) シーッ
束、打鉄弐式にお手上げ。元ネタのシャーリィを知っていれば、納得していただけるかと。(狂暴というか残虐)
ラスボスがショボかったのでちょい盛り。原作では束が緋蜂を強奪してましたが、本作ではこいつらに用意してもらいました。