俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

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「ネタと百姓は絞れば絞るほど出るものなり」(by 神尾春央)
もうカラッカラなんよ……。


第166話 briefing

学期末トーナメントの次の日が休校になり、俺は午前中をのんびり過ごしていた。

部活もなく、訓練をしようにもアリーナは使用不可になっていた。今頃陸が穴埋めをしている第1だけでなく、全てのアリーナがだ。

かといって、VRゴーグルは好きになれないんだよなぁ。特にあの一瞬意識が落ちるのが。

 

そんなことを考えながら、朝食の時間を過ぎた食堂でブランチと洒落込んでいた時だった。

 

「おりむ~!」

 

「のほほんさん?」

 

「助けておりむ~!」

 

食堂の出入り口から、のほほんさんがこっちに向かって走って(常人からしたら早歩き程度)来たのまでは覚えてる。

 

――ドッ

 

「へっ?」 

 

首への衝撃。あれ、これって……。

それがかつて更識さんにされた首トンと同じだと認識する前に、俺の意識は落ちた。

 

 

 

……で、生徒会室で目が覚めた俺は

 

「おりむ~、この書類よろしく~!」

 

「なんで俺、のほほんさんの手伝いさせられてるんだ!?」

 

必死に書類と睨めっこしているのほほんさんから、書類の山を渡されていた。

 

「俺、生徒会役員じゃないんだけど……」

 

「そんなこと言わずに助けてよ~! お姉ちゃんが生徒会抜けちゃったから、私も動かなきゃいけなくなったんだよ~!」

 

「虚さんが生徒会を抜けたぁ!?……ってそうか、虚さんって3年生だから……」

 

「うん、来月卒業なんだよ~」

 

そうか、もうそんな季節なんだよな。……ちょっと待てよ? そうなると、来年度から生徒会は、楯無さんとのほほんさんだけになるのか?

 

「……大丈夫か生徒会」

 

なんだろう、色んなところが破綻する未来を幻視したんだが……。

 

「大丈夫だよ~。来年から生徒会に、おりむーが入ってくれれば~」

 

「なんでさ!? 俺剣道部所属、OK?」

 

「IS学園の規則には、部活の掛け持ち禁止って書いてないよ~」

 

「い……嫌じゃ……生徒会など入りとうない………!」

 

「お、おりむ~……?」

 

はっ! あまりに拒否反応が強くて……今俺何言った!?

 

「本音~、どれぐらい片付いた――織斑君?」

 

「あ、楯無さん」

 

生徒会室のドアを開けた楯無さんは、俺のことを見つけると

 

「本音、どうして織斑君がいるのかしら?」

 

「えっと、書類処理とか手伝ってもらおうと~……」

 

「そうなの?」

 

のほほんさんから、再び俺の方に目を向けられたから

 

「食堂でブランチしてたら、首トンされて拉致られました」

 

正直に話した。

 

「お、おりむ~!?」

 

「そっか~。そうなんだ~」

 

慌てるのほほんさんに反比例して、楯無さん、ニッコニコしてるんだが。

 

 

「ねぇ、どう思う? 簪ちゃん」

 

 

「ふぁ!?」

 

楯無さんの後ろから現れた更識さんに、のほほんさんから変な声が出た

 

「本音……」

 

「か、かんちゃん~……?」

 

更識さんが近づいてくごとに、のほほんさん、震えてねぇか?

 

 

「せいっ!」

 

――ドスッ!

 

「ほげぇ!」

 

 

「モ、モンゴリアン・チョップ!?」

 

更識さんが放ったダブルチョップが刺さり、のほほんさんが勢いそのままに倒れ伏した。

 

「さ、更識さん? 今のは……」

 

「……愛」

 

「何故そこで愛ッ!?」

 

わけがわからないよ!!

 

「なんだ、騒がしいな」

 

「ほ、箒! ちょうどよかった!」

 

収拾がつかなくなってきた生徒会室に、やっとまともそうな奴が!(失礼)

 

「というか、どうして箒がここに?」

 

「会長に呼び出されてな。私だけでなく、セシリア達も後から来るぞ」

 

「そ、そうなのか?」

 

 

そんなことを言ってる間に、箒の言う通り、セシリア達が生徒会室にやってきた。

そしてケイシー先輩とサファイア先輩もやって来て、

 

「よし、全員揃ってるな」

 

千冬姉と陸が最後に部屋へ入ってきた。

この状況、エクスカリバーの時と全く同じだ。まさか……!

 

「織斑、早合点するなよ。まだ事件が起こったわけではない」

 

「え?」

 

千冬姉、俺まだ何も言ってないんだけど?

 

「いつも言ってるだろ一夏。お前はすぐ顔に出るんだって」

 

「今の嫁の顔はとても分かりやすかったな」

 

「アンタ、そこは小学校の時から変わってないわねぇ」

 

「うぐぐ……!」

 

陸だけでなく、ラウラと鈴からも追撃を食らうとは……。

 

「それで? オレ達は何のために呼ばれたんだ?」

 

「さっき私は織斑に『まだ事件は起こってない』と言った」

 

? それが?

 

「そういうことですの……」

 

ええ? どういうことなんだよセシリア。

 

「つまりね一夏。『まだ起こってない』ってことは、言い換えれば『これから起こる』ってことなんだよ」

 

「なるほど」

 

シャルの説明で、一応納得した。それならそう言えばいいのに。

 

「まったく……本題の『これから起こる事件』について説明するぞ」

 

そう言って千冬姉は、ぐるりと俺達を見回した。

 

「お前達は、女性権利団体を覚えているな?」

 

「女性権利団体……」

 

その名前を聞いて思い出すのは、2学期の終盤に起こった『エクスカリバー事件』だ。

正確には、あの事件を解決してイギリスから日本に戻った時に、その団体は壊滅したって聞かされたんだよな。

その団体は色々悪事を働いていたらしくって、本部施設の崩壊と同時に証拠がバンバン出て逮捕者が続出したって話だったよな。

 

「その女権団の残党が、以前学園にハッキングを仕掛けた連中と合流したらしい」

 

「あの時の……」

 

俺を含めた何人かの視線が、マドカの方に向く。

 

「連中の正体か? 奴らは『アンネイムド』と呼ばれていたな」

 

「アン、ネイムド……」

 

「連中かよ……!」

 

さらっと情報を話すマドカ。その情報に対して、ケイシー先輩が苦虫を嚙み潰したような顔になる。

 

「ダリル、知ってるっスか?」

 

「一応な。アメリカ国防総省のデータベースにも登録されていない、ブラックオプス(非公式作戦)専門の秘匿部隊だ」

 

「それじゃ、あの襲撃はアメリカが!?」

 

「マドカの言ったことが事実なら、そういうことになるな。だが、今言った通り連中は秘匿部隊だ。仮に捕まったとしても、政府は知らぬ存ぜぬを貫くだろうさ」

 

「なんだよそれ、それじゃあまるで捨て駒じゃねぇかよ……!」

 

ケイシー先輩の言ったことに対して、苛立ちを感じた。

自分達のために戦った兵隊なんだぞ? なのにそんな扱いをするなんて納得できなかった。いや、認めたくなかった。

 

「そしてここからが本題だが……アンネイムドと女権団の混合集団が、このIS学園を襲撃することが予測されている」

 

「「「「「「っ!」」」」」」

 

襲撃だって! そいつら、どうして学園を!?

 

「織斑先生、質問していいですか?」

 

「なんだデュノア」

 

「秘匿部隊とはいえ、アンネイムドはアメリカの部隊なんですよね? なら、政府に働きかけて止めてもらうことは……」

 

「それが出来れば良かったのだが……」

 

シャルの意見に、千冬姉は大きなため息をついた。ダメなのか? 俺もいい案だと思ったんだけど。

 

「デュノアちゃん、アンネイムドは秘匿部隊なの。表向き政府が知らぬ存ぜぬを貫くような、ね」

 

「あっ!」

 

「もし学園からの要請を飲めば、『アメリカにはアンネイムドと言う部隊がいる』と認めることになる。連中、絶対飲まねぇな」

 

楯無さんの説明に、陸が補足を入れる。

そんな理屈を通すために、この学園が襲われていいってのかよ。ふざけんなよアメリカ政府。

 

「だから現状、相手の襲撃に備えることぐらいしか出来ないのよ。情報はあるのに先手が取れないなんて、ホント腹立たしいわ」

 

楯無さんは本当に腹立たしいのか、扇子の先で机をトントンと叩き始める。

 

「それで教か(ジロッ)お、織斑先生、今回我々が集められたのは、その襲撃に対する注意喚起のためですか?」

 

「そうだ。悲しいかな、学園が襲われるのは今回が初めてではない。敵の数によっては、お前達にも迎撃に出てもらうかもしれない。頭の片隅に入れておいてくれ」

 

「「「「「「はい!」」」」」」

 

迎撃、か。

やってやるさ。俺だって今日まで訓練を重ねてきたんだ。みんなと力を合わせて、学園を守って見せる!

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

ぞろぞろと生徒会室を出て行く連中を見送り、最後に部屋を出て行く一夏を見て、私は不安を覚えていた。

 

(確かにお前は入学した時に比べて、格段に強くなった)

 

束が放った(であろう)無人機を倒し、VTSに侵されたラウラを救い、銀の福音と対峙して生き残り、亡国機業のエージェント(オータム)を撃退した。

こうやって事実を並べただけでも、戦歴としては十分と言えるだろう。だが、まだ足りていないものがある。

 

(一夏には、命の取捨選択はしてほしくないな)

 

敵を殺さなければ味方が死ぬことになる。そんな場面が、いつかやって来た時、一夏は選べるのか。

 

「……いや、そのために私がいるんだ」

 

一夏を、弟をそんな血塗られた道には進ませない。

ならば私が代わりに血に塗れればいい。それが私の、あいつの姉として選ぶ道だ。




一夏、のほほんに拉致られる。簪が首トンで切るなら、布仏の人間としてのほほんも出来ると思ったので。

簪、愛のモンゴリアン・チョップ。愛ってなんだ……。

一夏、憤る。正直書いてる時に、一夏とオリ主で知ってる情報がごっちゃになりそうです。『一夏その情報知らないはずでは?』と突っ込まれそうで、わりと戦々恐々してます。

ちーちゃん、覚悟を決める。大丈夫、オリ主と簪が全部始末するから。(無慈悲な暗黒笑顔


……のほほんが倒れたままなのは、気にしてはいけない。
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