俺とのほほんは地下区画入口で山田先生と合流、その場でブリーフィングが始まった。
「山田先生、他の先生方は?」
「所定の位置に展開済みです。今回は敵の目的が分からない以上、学生寮の防備を厚くしています」
「やっぱり、そうなりますよね~」
「人質なんか取られたら最悪だからな」
連中の狙いが俺の命だけなら……いや、そうだったとしても、人質は有効だと考えるだろうから、結局狙われる可能性は消せないか。
「布仏さんは、地下区画のオペレーションルームの守備をお願いします」
「分かりました~」
「オペレーションルームって、あそこの守備をのほほんに任せて大丈夫ですか?」
「ぶ~ぶ~! リったんそれどういうこと~!?」
「あの部屋、指揮するにはおあつらえ向きだろ? 山田先生が指揮しながら守ってた方がいいんじゃないかってな」
「ああ、なるほど~」
そもそも、あの部屋をのほほんに任せて、指揮官の山田先生はどうするんだ?
「私は地下区画を巡回しながら遊撃に回ります」
「……山田先生は、連中の目的が地下にあると?」
「可能性は高いと思います。学園で保管しているISコアを今回も狙ってると、私は見ています」
なるほど。確かにそれはあり得そうだな。……それと同じぐらい、俺の首が本命の可能性もあるが。
「なので、宮下君にはISコアを保管してる部屋の防備をお願いしますね」
「了解です」
正直、俺が遊撃をしたいんだが……ここでごり押したら、山田先生に怪しまれるか。
そんな風に考えていた俺を見て、不安がっていると勘違いしたのか、山田先生が
「大丈夫です! 先生に任せてください!」
とガッツポーズして見せた。う~ん、純真。
「それでは二人とも、配置についてください」
「「了解(です~)」」
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ISコアが保管されている部屋に来たが、
『ここ、ろ、牢屋ってやつじゃないですか?』
「そうだな」
ソフィアーが言う通り、ISコアが保管されている部屋は、鉄格子が並ぶ牢屋のような区画の突き当りにあった。
さらに、その牢屋には
「まさか、敵の指揮官が入ってたとはな……」
『び、ビックリです』
かつてのほほんが撃退したISの操縦者、アンネイムドの隊長が抑留されていたとは。
誰かいるなんて思ってなかったから、向こうと目が合った瞬間、悲鳴を上げそうになっちまった。
『マスター、も、もしかして、敵の目的は……』
「捕まった指揮官の奪還、ってか?」
『そ、その可能性もあるかと……』
「めんどくせ~」
牢屋の区画に繋がる通路で迎撃態勢を取りながら、俺はため息をついた。
「とはいえ、ここに敵が欲しがるものが集まってるのも事実か」
『はい。や、山田先生とぶつからなければ、会敵する可能性は高いと思います』
俺としては、その方が望ましい。
出来れば山田先生に見られる前に、全部終わらせてぇなぁ……。
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宮下君と布仏さんに拠点の守備を任せた私は、ラファール・リヴァイヴ・スペシャルに乗って地下区画を巡回し始めました。
(前回は宮下君に負担をかけてしまいました……。だから今回は)
おそらく、更識さんを守るために実戦を乗り越えたために、ああなってしまったんでしょう。
「だからこそ、彼にまたあの目をさせてはいけない」
教師として、今度は……
――パパパパッ!
「っ!」
そんな考え事をしていたせいで、一瞬反応が遅れてしまいました。
「チャーリー03、FOX2!」
「くっ!」
通路の奥から見えるマズルフラッシュに向かって、私も銃口を向けました。けれど、すぐには撃ちません。まずは降伏勧告を――
「貴方達の装備では、ISには勝てません! 諦めて武装解除して――」
――カラン……
――バンッ!
「なっ!?」
何かが投げ込まれたかと思った瞬間には、凄まじい閃光に、私の視界は塗りつぶされました。
「しまった!」
「……え?」
視界が元に戻った時には、襲撃者の姿はありませんでした。
私としたことが……!
「布仏さん! 宮下君! 敵が地下区画に侵入しました! 警戒を――!」
『わ、分かりました~!』
『……了解』
私が上げた警戒連絡に、少し緊張した声で反応した布仏さんに対し、宮下君は『困ったなぁ』と言うような反応でした。
「宮下君?」
『りったん~? あれ、反応が~……』
「まさか!」
布仏さんはそのまま守備を! と改めて指示を出すと、私はまだチカチカする目を擦りながらラファールのスラスターを全開にしました。
(もし、私の予想が当たっていたら……間に合って!)
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「……了解」
山田先生から通信を受けた時には、すでに見覚えのある連中が目の前に立っていた。
「"2人目"、宮下陸だな?」
「そうだ、って言ったら?」
「死んでもらう」
「貴様に倒された、仲間の仇」
「やっぱそうなるのな……」
俺の首、ISコア、指揮官。
どれが狙いかと考えていたが、やっぱり俺の首か。
「そのために、我々は"連中"と手を組んだのだ。故に……」
「「「「「「貴様を討つ!」」」」」」
『こ、この人達、どうやってマスターを倒す気なんでしょう?』
「さてな……」
第2世代機とはいえ、ISに乗った俺を小火器で倒せるわけがないのは、向こうも分かってるはずだ。
「あいつらと約束してるんでな。俺の命、そう簡単にくれてやるわけにはいかねぇ」
長船を展開、八双の構えを取る。
「悪いが、ここで全ての禍根を断たせてもらう!」
スラスターを点火しようとした、次の瞬間
――カラン
――バンッ!
『な、ななななっ!』
「これは……!」
フラッシュバンでも投げ込まれたかと思って身構えたら、陰流が……!
「パルス・ボムの味はどうだ?」
「パルス……なるほど、EMPか」
「ふっ、余裕ぶっても無駄だ。ISと言えど、しばらくの間は動けまい」
余裕なんかねぇよ。まさかサイクロプス・ボム(リミッター付)と同じもんを使われるとは……。
「
「はっ!」
俺が動けないのをいいことに、連中が対戦車ライフルをデカくしたようなものを組み立て始めた。
「やっとこれで、アルファーとブラボーの仇が討てる」
「満足そうなセリフを吐いてるところ申し訳ないんだが……」
「ちょっと油断し過ぎじゃねぇか!?」
「何ぃ!?」
指示を出していたリーダー格の奴が驚くのも無理はない。
そりゃそうだろ。まさかIS操縦者が、絶対防御の効いてるISを解除するなんてな!
――ザシュッ
「がぁぁぁぁぁっ!」
ちっ! IS解除と同時に拡張領域から三池典田を出して、そのままの勢いで斬りかかったんだが、片腕斬り飛ばすだけで終わったか!
「ISを解除しただと!?」
「馬鹿な! 自分から生身になるなんて……!」
「慌てるな! むしろ好都合だ! 撃て、撃てぇ!」
――パパパパッ!
最初の奇襲をしくじったからか、相手の立て直しが早ぇな!
――バスッ!
「ぐぅ!」
一発食らっちまったか! けど通常のジャケット弾だったのか、貫通はしていなかった。さすがISスーツ。でも痛ぇ!
ま、まあ、刀奈が前に食らった、ISスーツを貫通する特殊弾じゃなかっただけまだマシか。
――ヒュッ
「ごばっ!」
「で、デルタ4!」
「怯むなぁ! 撃ち続けろぉ!」
――ズシュッ
「がっ、ひゅぅぅぅ……!」
「チャーリー2! くそっ! 誰かフォローを!」
「馬鹿な……相手はたった一人だぞ!?」
時に敵を盾にして同士討ちを誘いながら、一人、また一人と屠っていく。
そうこうしてようやっと、1人だけを残して血の海に沈めることが出来た。
「馬鹿な……」
「はぁ……はぁ……」
あぁくそ! 貫通こそしてねぇが、弾丸食らった時の衝撃的に、内臓やばいんじゃねぇかこれ?
「こうなれば……!」
残った男は小銃を投げ捨てると、俺に向かって突進してきた。
その手には、スイッチのようなものが握られて……まずっ!
「貴様も道連れだぁぁぁぁぁ!!」
――ドゴォォォォォォン!!
特攻してきた男が自爆し、轟音とともに衝撃と熱風が……
「来ない?」
「宮下君、大丈夫ですか!?」
「山田先生?」
頭を庇っていた腕を退けると、そこには専用機に乗って、実体シールドを構えた山田先生の姿があった。
「良かった……良かったですぅ!」
「ぐぇっ!?」
「生身で戦うなんて、無茶し過ぎですよ!」
せ、先生! その、生身の俺をISで抱き締めないで……!
「ぎぶ、ギブゥゥゥゥゥ!!」
じぬ、じぬぅぅぅぅ!!
「あ……!」
山田先生が気付いた時には、俺の魂が口から出そうになっていた。
『いやいや、まだこっちに戻ってくるの早いから』
……意識が飛ぶ前に聞こえたロキの声は、たぶん幻聴だろう。
真耶 vs アンネイムド(逃走)。即排除にならないのは、まーやんらしいかなと。これがちーちゃんなら、警告なしで斬りかかりそう。(偏見)
オリ主 vs アンネイムド。対IS装備の一つや二つぐらいあるだろうと。
原作では、拳銃弾程度なら貫通しないISスーツ。でもライフル弾は……しーらぬい。
最後ギャグになっちゃいましたね。次回は一夏でシリアスにしようと思っているので、帳尻が合ったり……しないかなぁ。