俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

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前回以上のキング・クリムゾン!

そして今話で『俺ヒルデ』最終回となります。
今までお付き合いいただき、ありがとうございました。


最終話 一人じゃない

第3回モンド・グロッソでのことについては、以前話したと思う。

そうなると、気になるんじゃないか? 『一夏達はどうなったんだ?』って。

分かってる分かってる。ちゃんと話してやるから。

 

 

 

 

 

まずは織斑一夏。

あいつも俺と同じように、3年の誕生日にハーレム連中と婚姻届けを出すことになった。

一夏本人は『せめて卒業まで』とか言ってたが、むしろ篠ノ之達がそこまで待ったのが奇跡だと俺は思うぞ。

 

国のお偉いさんから日本代表候補生にって話もあったらしいが、なんとあいつ、学園卒業後に自衛隊のIS部隊に入隊したんだよ。

一応白式は引き続き一夏が乗ることになって、定期的にデータを倉持に送ってるらしい。意味あるのかは不明だが。

そして警察と自衛隊の合同訓練に積極的に参加しつつ、警察の逮捕術に篠ノ之流の体術を組み合わせた不殺技を生み出した。

その技は関係者の間で『織斑流制圧術』と呼ばれ、海外(主にアメリカ)との合同訓練でも披露された。

これにより、犯人逮捕時の死亡率(犯人も含む)が全世界で10%減少したという結果を叩き出し、一夏の『命の取捨選択はしない』という信念を世界に示した。

 

 

篠ノ之箒。

3年に上がった時に、両親の要人保護プログラムが解除され、篠ノ之道場が再開すると同時に、正式に道場の跡取りに指名された。

一夏と結婚した2年後に女子を出産。さっそく自分の跡継ぎにしようと考えていたところを『子供の人生を縛ってやるな』と一夏から指摘され、しばらくいじけていたという。

道場には束やクロニクルがたまに遊びに来ていて、育児について情報交換する姿を見たという門下生からの証言が。

 

 

セシリア・オルコット。

一夏との結婚後、双子の男女を出産。以前より頻繁に日本とイギリスを往復、オルコット家当主としての仕事をこなしつつ、腹心とも呼べるチェルシーさんとエクシアの助けも借りて子育てを頑張っている。

どちらがオルコット家を継いでもいいように、二人に等しく帝王学を学ばせる予定らしい。

ちなみに奴の特級呪物(料理の腕)については、ブランケット姉妹の努力と一夏(の胃腸)の尊い犠牲により、一般家庭レベルにまで改善されたとのこと。

 

 

凰鈴音。

一夏ハーレムで、正妻の座を得たのが凰だった。(それについては、ハーレム内でも"しぶしぶ"認められているらしい)

ちなみに、6人の中で最初に(男子を)出産したのも凰。

離婚していたという両親も再婚、孫を相手にジジ馬鹿とババ馬鹿を発症しているらしい。

(離婚理由については詳しく聞かなかったが、凰曰く「何が『あたしのため』よ! 馬鹿じゃないの!?」だってさ)

聞いた話では、離婚した時に閉じてしまった中華料理店を再開しようと計画中とのことだ。

 

 

シャルロット・デュノア。

学園卒業後はデュノア社に戻り、テストパイロットをしつつ、社長で父親のアルベールさんから経営のノウハウを学んでいる。

継母(ロゼンダさんだったか)との仲も良好で、以前より親子3人でいる時間が増えたと、デュノア家の執事さんが言ってたらしい。(一夏からの又聞き)

しばらくして女子を出産。その時、デュノア本人よりも継母の方が喜んでいたという。アルベールさん? 病室の片隅で男泣きしてたってさ。

 

 

ラウラ・ボーデヴィッヒ。

自分が遺伝子強化素体だからと、一夏との子供を作れるか心配していたな。

実際、6人の中で最後まで妊娠しなかったし、逆に妊娠が発覚した時は泣いて喜んでたっけな。

で、めでたく女子を出産。ただ、IS部隊隊長と子育ての両立は難しかったらしく、織斑先生が代わりに子供を預かることがよくあったらしい。

そのせいか、子供が最初に覚えた言葉が「ちーちゃん」だったらしく、それを聞いたボーデヴィッヒは膝から崩れ落ちたんだとか。

 

 

篠ノ之束。

IS学園卒業生を集めた宇宙ステーション建造が一段落着いたところで、次の目標を火星のテラフォーミングに決定。と思いきや2年間の休止を宣言。

それで何をしていたかと言えば、一夏との間に一男一女を出産。こいつ、計画的に産みやがったんだよな……。

出産後はテラフォーミングで使用する機材を開発する傍ら、クロニクルと一緒に子育てに精を出していた。

そして篠ノ之道場に行くついでに織斑家にも顔を出しては、『ねぇねぇちーちゃん!』と連呼していたらしい。

ボーデヴィッヒの子供が『ちーちゃん』を覚えたのはこれが原因だろうな。

 

 

織斑千冬。

一夏達の卒業後もIS学園の学年主任を続投、相変わらず出席簿アタックが火を噴いているらしい。

休日、桜花に乗ってアーリィをボコってストレス発散している姿を、教員用アリーナでよく見かけるんだとか。アーリィのご冥福を(ry

学園が長期休暇の時には家に戻り、忙しいボーデヴィッヒに代わって子供を預かったり、襲来した束を追い返したりしている。

 

 

クロエ・クロニクル。

卒業後はラビット・カンパニーに入社、束の助手ポジションを確立した。

束の子供達の面倒もよく見ていて、『くーちゃん』と呼ばれた時には思わずガッツポーズしていたらしい。

事務処理能力も高く、経理の仕事を手伝っていたこともあって、スコール達からは救世主と崇められていた。(実際俺も目撃した)

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

目を開けると、映るのは白い天井。もはや見慣れ過ぎて、何の感慨も湧きやしない。

その、天井のみならず一面真っ白な部屋に、心電図モニターからの電子音だけが響いている。

そのモニターから伸びたケーブルは、俺の、枯れ木のような左腕に繋がっている。

もうこの病室に入ってから、どれだけの月日が経ったかも思い出すのが大変だ。

 

(懐かしい夢を見たもんだな……)

 

もはや起き上がることも出来ない体を揺らすように、しわがれた声で笑った。

 

あの激動の学園生活から、70年近くが経っていた。

かつての級友達も先に逝っちまった。()()()()()も……。

 

 

簪と刀奈。二人との生活は、俺にとって素晴らしいものだったと断言できる。

かつて幸せになることを恐れた俺が、二人を愛し、子を生し、ここまで生きてきたなんて、この外史に来る前の俺だったら信じなかっただろう。

 

色々思い出す。

第3回モンド・グロッソの後、更識家主導ですぐに結婚式が行われたこと。

簪との間に娘が、刀奈との間に息子が生まれたこと。

息子が刀奈の後を継いで、更識家の第18代目当主になったこと。

娘に彼氏を紹介されて、簪と一緒に動揺したこと。

二人が立て続けに結婚して、簪と刀奈と俺、3人で泣き腫らしたこと。

初孫が生まれ、そろそろ引き際だと自覚したこと。

 

そして……俺より先に逝っちまった、二人を看取ったこと。

 

(まるで走馬灯だな……いや、いつも通りの、走馬灯だ)

 

今まで外史を渡って来た時と同じだ。だから理解する。

俺の、この世界での命は、もう終わりなんだと。

 

(見送りが誰もいないのは寂しいもんだな……)

 

そして死んだら死んだで、あの野郎(ロキ)の面拝むことになるのか。なんだかなぁ……。

なんて思っていたら、体に残っていた力が無くなっていくのを感じた。もうすぐか。

 

俺はここで死ぬ。そしてまたあの真っ白な世界に戻る。

今までもそうだった。そして今回も。

けど、今の俺には、あいつらがくれたものがある。

大切なもの(刹那達)を失って、絶望して、空っぽになっていた俺は、もういない。

 

だから俺は、もう、大丈夫だ。

 

(そんじゃ、行ってくる。簪、刀奈)

 

逝っちまったはずの二人に向かって、動かないはずの腕を伸ばして――

 

ーーーーーーーーー

 

一面真っ白で、見渡す限り何もない世界。

戻って、来たか……。

 

「やあリク。久しぶり、って言っておこうか」

 

「確かにお前にとっては、70年は『久しぶり』の範疇なんだろうな」

 

振り向けば、もう何度顔を合わせたかも覚えていない、紺のスーツを着込んだ短髪の男が立っていた。

 

「臆病者だった君が、まさかこんな形で帰ってくるとはね」

 

「臆病者、か……」

 

不思議と、目の前の奴(ロキ)に言われて頭に血が上らなかった。いや、驚くほどストンと心の中に落ちた。

たぶんそれは、俺が向き合えたからなんだと思う。今まで逃げ続けてきた、自分の過去と。

 

「やっぱり、これだから人間ってやつは面白い」

 

「何がだ」

 

「僕達神と違って、君達人間は不完全。だからこそ僕達には無い"成長"する力がある。それが少ーし羨ましいなってさ」

 

「さよけ」

 

いいこと言ったつもりだろうが、そんなお道化た顔で言われたら感動なんかしねぇぞ。

 

「さてと。さっそくだけどリク」

 

「おい、まさかまた休みなしで次の外史に行けってか?」

 

「う~ん……休み、欲しい?」

 

「当たり前だろ――」

 

休ませろ、と言いかけて、

 

「いや、行く」

 

そうだ。ここで足踏みする必要なんてない。

 

(今の俺は、空っぽじゃない。あいつらがいる……もう、一人じゃねぇんだ)

 

 

だから俺は、立ち止まらない。みんなと共に、歩き続けるんだ。

 

 

Fin

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あのーリク? 実は君に言っとかなきゃいけないことがあってさぁ……」

 

「へ?」




シシカバブ伝統の、もうちょっとだけ続くんじゃ
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