俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

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打鉄弐式、改造回です。



第22話 永久機関

一夏を保健室にシュゥゥゥーッ!!した放課後、いつもの整備室。

 

「それでは第2回、打鉄弐式改造大会を始めまーす」

 

「わー」

 

「改造大会って何!?」

 

おおっ、久々に簪のツッコミを聞いた気がする。和むわぁ。

 

「陸ぅ?(ギロリ)」

 

うん、そっちはいらないかなぁ。

 

「前回はメメントモリを積んだけど、今回は何するの~?」

 

「今回はエネルギー関係だな」

 

「エネルギー? でも、これ以上の効率化は難しいと思う」

 

簪が言うように、今の弐式でもかなりエネルギー効率の調整をしている。これ以上弄ると、却って悪化する可能性もある。

 

「なので、純粋にエネルギー出力を上げようと思う」

 

「それだと、稼働時間が短くならない~?」

 

「だからこれを使う」

 

そう言って、俺は円錐状の装置を取り出した。サイズは大体握り拳2つ分ぐらいだ。

 

「何これ?」

 

「これはGNドライブって言ってな」

 

「GNドライブ?」

 

「別名は太陽炉。重粒子を蒸発させずに質量崩壊させる事で、エネルギーへと変換する機構を持った代物だ」

 

「陸、もうちょっと分かりやすく」

 

 

「要は永久機関だ」

 

 

「「ファッ!?」」

 

 

うんうん、掴みは上々のようだな。簪ものほほんも、鳩が豆鉄砲を食ったような顔してる。

 

「え、永久機関って! このサイズで!?」

 

「ほ、本当に~?」

 

「ホントもホントだ。これ1基でたぶん、リミッター無しメメントモリが10秒間隔で撃ちまくれるんじゃねぇかな」

 

なにせ、オリジナルは18mを超える人型ロボット(ガンダム)を活動限界無しで動かせるほどだからな。超小型のこいつでも、結構な出力アップが図れるぞ。……あっちの外史じゃ、正規サイズのオリジナル太陽炉や疑似太陽炉があるから、試しに作っただけで肥やしになってたんだよなぁ……やっぱ出力は段ちだし。

 

「というわけで、これを取り付けていくぞー」

 

「お、おー……」

 

「ねぇ陸。出力アップはいいけど、弐式のフレームはその出力に耐えられるの?」

 

「……取り付けていくぞー」

 

「陸ぅ!? 乗るの私なんだよ!?」

 

「その辺は任せろー バリバリ」

 

「やめて!?」

 

 

――2時間後

 

 

「「できたー!」」

 

見た目は弐式の背後にGNドライブ?がくっ付いた感じ。

いつもより時間がかかったのは、エネルギーラインを繋げるのに神経を使ったかららしい。……いやいや! そもそもISの改良が2時間で終わる方がおかしいから! 私の感覚、2人に狂わされちゃってるから!

 

「うう……本当に大丈夫?」

 

何度も言うけど、乗るのは私なんだよ?

 

「かんちゃん心配性~。ちゃんと補強してるから大丈夫だよ~」

 

「ほ、本当?」

 

「おう。そこは信用してくれ」

 

そ、そうだよね? 1回装甲を外して内側にも補強材を追加してたし、大丈夫だよね?

 

「今回増えた出力は、スラスターと春雷に回しておいた」

 

「メメントモリじゃないんだね~」

 

「それも考えたんだが、珍しく自重した」

 

「それ、自分で言っちゃうんだ……」

 

そもそも、永久機関を搭載すること自体がレギュレーション違反のような……。

 

「『永久機関を搭載すること自体がレギュレーション違反じゃないか』って顔してるな」

 

「えっ!?」

 

やだっ、顔に出てた?

 

「ちなみにルールブックに『永久機関を載せてはいけない』とは書いてなかった」

 

「それはそうだよ~」

 

「むしろ、書いてあったらビックリだよ……」

 

というか、正直オーバースペックもいいとこだと思うんだけど。陸は私に何を期待してるの?

 

「よーし、あとは動作テストをしたらOKだな」

 

「それじゃあ、アリーナの予約してくるね~」

 

「機動力のテストだから、第6アリーナなー」

 

「了解だよ~」

 

そう言って、本音が整備室から出て行った。また明日、突貫でテストするんだぁ。早いなぁ……(色々達観した目)

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

「そろそろ学年別トーナメントの時期ねぇ」

 

学年別トーナメントでは、各国政府関係者はもちろんのこと、研究者や企業エージェントなどもやって来る。

3年にはスカウト、2年には1年間の成果の確認、そして1年も上位入賞者にはチェックが入るとあって、生徒達にとってはかなり重要なイベントだ。

そのやって来る来賓の関係で、生徒会は今の時期から忙しくなるのだ。主に書類仕事が。

私がそう呟いたのも、生徒会長として処理する書類の中に、トーナメント関係のものが混じっていたからだ。

しかも今年は例年と違い、個人戦からツーマンセルのタッグ戦に方式が変更になっている。

 

(より実戦的な経験を積ませるため……きっかけは、この前のクラス対抗戦でしょうね)

 

対抗戦の試合中に起こった、全身装甲ISの襲撃事件。一般的には反政府組織の仕業ということにしたらしい。箝口令も今のところ機能している。

ただし、襲撃してきたISが無人機という事を知っているのは、生徒に限定すれば自分を含めて5人だけ。実際に無人機と戦った織斑君と凰ちゃん、最後の攻撃で負傷した宮下君と、無人機を破壊した簪ちゃんだ。

今年は1年生に専用機持ち、しかも第3世代型のテストモデルが多い。そんな中で対抗戦のような謎の敵対者に遭遇した場合、各自で自衛してもらう場面がどうしても出てくる。そのための実戦経験ということなんだろう。

 

「専用機持ちと言えば……簪ちゃんは本音か宮下君と組むとして、織斑君はどうするのかしら?」

 

公認3股というウルトラCを達成した織斑君だけど、タッグを組めるのは1人だけ。果たして3人の中から選べるのだろうか?

 

(あら? 織斑君で思い出したけど、宮下君ってまともにISを動かせるのかしら?)

 

簪ちゃんの新武装テストの時以外で、彼がISを動かしていた記憶がない。

圧倒的経験不足な上、彼のIS適性はお世辞にも高くなかったはずだ。もしあの時からISに乗っていないなら、今の実力は本音とどっこいどっこいだろう。

それに対して、織斑君は白式に乗って順調に経験値を溜めている状態だ。そこにオルコットちゃんや凰ちゃんのような、代表候補生とペアになったら……

 

(簪ちゃんが本音と宮下君、どちらと組んだとしても、織斑君のペアと当たったら苦戦しそうね)

 

これが例年通りの個人戦なら、ぶっちぎりで簪ちゃんが1年の部で優勝すると断言できる。だけど今年はタッグ戦、ペアの実力や連携によって勝敗がひっくり返ることは十分にあり得る。

 

(勝っても負けても、慰労会を開こうかしらね~)

 

 

 

「お嬢様……」

 

「う、虚? 一体どうしたのよ……」

 

生徒会室に入ってきた虚の目は、完全に死んでいた。

 

「本音が、職員室でアリーナの予約申請をしていたのですが……」

 

「アリーナの予約って……宮下君、今度は何をしたのよ……」

 

そりゃ虚の目が死ぬわ。

もはや、私達の中で『本音がアリーナ予約=宮下君が何かした』の公式が出来上がっている。そしてそれは大体正しいのだ。

 

「本音に話を聞いたところ、新しい装置を付けたからテストするそうで……」

 

「装置って、何を付けたの……?」

 

 

「永久機関、だそうです」

 

 

「嘘だと言ってよ○ーニィ!」

 

 

宮下君! 貴方簪ちゃんを一体どこに導くつもりなのよぉぉぉぉぉぉ!!

 

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