俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

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前回に引き続き、ゆる~い内容になってますが、お付き合いくださると。


第32話 何が出るかな

簪にフルボッコにされた後の整備室。

 

「今日も弐式を改造してくぞー」

 

いつもの宣言をして、俺は端末を二人に見せた。

 

「今回は少し趣向を変えてみようかと思ってな」

 

「え~っと、陸?」

 

「数字とか装備っぽい名前とかがあるね~」

 

そう、端末には1~6の番号と、これから改造する内容が映っている。

 

「はいこれ」

 

「え?」

 

そして俺は、簪にあるものを渡した。

 

 

サイコロである。

 

 

「水○どうで○ょう!? バッカじゃないの!?」

 

 

「か、かんちゃん、口調口調~」

 

「はっ!」

 

「ほら簪、振って振って」

 

「陸ぅ……(ジト目)」

 

抵抗していた簪だったが、しばらくして諦めたのか、サイコロを振った。 出た目は……4。

 

【4 グレネードランチャー】

 

「よ、よかった。ごくごく普通の装備だった……」

 

「ん~、2番の【サイクロプス・ボム】とか、5番の【自動偏光制御射撃(フレキシブル)ビームライフル】とか引いたら面白かったんだが」

 

2番が来てたら手榴弾タイプにして、『青き清浄なる世界の為に!』とか言いながら投げてほしかった。もちろん食らった相手が弾けない程度に出力は落とすがな。

 

「引いちまったもんはしょうがない。それじゃあ作っていくぞー」

 

「おー」

 

とはいえ、ラファールのグレネードランチャーを改造するだけだから、大して時間も手間もかからないのだ。

実際改造は20分ほどで終わり、

 

「どうだ簪」

 

「うん。普通にラファールのグレネードランチャー」

 

という回答しか返って来なかった。

 

「まだ時間もあるし、アリーナに戻って撃ってみる~?」

 

「そうだな」

 

「ちなみに陸、これにどんな改造をしたの?」

 

「ランチャー本体は無改造。弄ったのは弾頭の方でな、中身は撃ってみてのお楽しみ」

 

「なんだろう、そこはかとなく不安……」

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

そしてアリーナに戻ってみると、一夏の白式とオルコットのブルー・ティアーズが、空中戦の真っ最中だった。

 

「アンタ達、もう上がったんじゃないの?」

 

俺達に気付いたのか、スポーツドリンク片手に凰がこっちに歩いてきた。その後ろには、篠ノ之とデュノア、ボーデヴィッヒもいる。

トーナメントではあれだけ殺気だらけだったボーデヴィッヒも、今は非常に大人しい。何と言うか、憑き物が落ちたって感じか。おそらく一夏絡みだろう。(根拠なき確信)

 

「これから新装備のテストだよ~」

 

「新装備って……これ以上何を増やす気よ……」

 

「それは私も思ってる」

 

「なら止めなさいよ!」

 

というやり取り(主に凰のツッコミ)をしてる間に、どうやらあっちの決着が着いたようだ。

 

「はぁ……一夏さんの成長スピードは異常ですわ」

 

「今日は何とか勝ったけど、まだセシリアに負け越してるからな。もっと頑張んねぇと」

 

二人のやり取りを聞いて分かるように、今回は一夏が勝ったようだ。オルコット曰く、自分の装備を把握してなかった所為で負けた頃から随分成長したらしい。

それでも、負け越し分をひっくり返すのはまだまだ先の話なんだと。やっぱ経験の差はデカいな。ついさっき、俺も凰とデュノアに思い知らされたが。

 

「陸達はまた新装備のテストか?」

 

「おう。とはいえ、今回はあまり面白味は無いかもしれないがな」

 

そう言って俺が簪の方を見ると、みんな弐式を展開した簪が持っている新装備に視線が動いた。

 

「あ、それってラファールのグレネードランチャー?」

 

「のようだな。見た目は普通の量産型ランチャーだが……」

 

さすがデュノアとボーデヴィッヒ。開発元と現役の軍人ならすぐ分かるか。

 

「それじゃあ簪、試射よろしく」

 

「分かった」

 

簪がランチャーを構えて引き金を引くと、

 

――ボンッ!

 

銃器にしては軽い音と共に、弾頭が射出された。

弾頭は放物線を描きながらアリーナ中央に向かって飛んで行き、そして

 

 

――べちゃぁぁ……!

 

 

「なんだ、あれは……」

 

口にした篠ノ之だけでなく、みんな唖然。そりゃ爆発するかと思ったら、ゲル状の物がばら撒かれただけだからな。だが、こいつはただのゲルじゃない。

 

「あっ! 色が……!」

 

指さしながら声を上げた凰の言うように、ばら撒かれたゲルは青から徐々に薄い灰に色が変わっていく。

 

「……そろそろいいかな」

 

色が変わり切って十分経ったあたりで、俺は地面に散ったゲルに近づいてつま先で小突いてみた。

 

――コンッ

 

「何だその音。固まってるのか?」

 

「おう、着弾後に急速硬化する粘着弾頭だ。これをISが食らったら、剥がすの大変だろうな」

 

「「「「うわぁ……」」」」

 

みんな嫌そうな顔をしていた。俺だって食らいたくはねぇな。関節部とかに食らった日には、まともに動けなくなってほぼ負け確だ。

 

「りったん、これ封印で」

 

「は?」

 

のほほん、何を言い出す……何だよそのガチな目は。

 

「ぜったい、ぜ~~~~ったい、使っちゃダメだよ~!」

 

「ほ、本音?」

 

 

「こんなの当たったISとか、整備したくないよ~~~!!」

 

 

「そんな理由かよ!」

 

確かに、硬化した薬剤剥がす作業とかやりたいとは思わんけど。

 

「りった~~~~ん……」

 

「わ、分かった! 分かったから!」

 

怖ぇよ! お前がハイライト消えた目したら怖すぎるんだよ!

 

 

結局、この装備はお蔵入りになった。

のほほんは大喜び。他のみんなも当然とばかりに首を縦に振っていた。解せぬ。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

その夜、いつものように寝る準備をしていた俺は、ふと気付いてしまった。

 

「そういや俺、臨海学校の準備何もしてねぇや」

 

「準備って言っても、精々水着を用意するぐらい……」

 

「その水着がない」

 

施設から持ってきた荷物の中には当然あるわけもなく、近い内に買わなきゃならない。

というか、次の週末でないと間に合わない。

 

「仕方ない。買い物に行くか」

 

あんまこの辺の地理に詳しくないから、そこから調べないといけねぇのか。面倒だ。

 

「それなら、駅前にショッピングモールがある」

 

そこに、簪からの助け舟がやってきた。

 

「そうなのか? ならそこに行くか」

 

ついでに学内の購買で買えないもんも調達出来たらいいな。

 

「駅前のショッピングモール、っと……」

 

端末で検索すると、すぐに『レゾナンス』のホームページがヒットした。へぇ、結構アクセスしやすい場所にあるな。

 

 

IS学園は東京湾沿岸の人工島に建っている。その立地上、本土からの出入りは海上モノレールのみ。ぶっちゃけ不便極まりない。

だが、このショッピングモールはモノレールの駅と直結していて、降りたら歩いて数分でたどり着くらしい。

しかも食べ物は和洋中を問わず完備、衣服も量販からブランド物まで取り揃え、各種レジャーもあるという。『ここに行けば何でも揃う』ってやつだな。

 

 

「それで、陸……」

 

「ん?」

 

簪の方を見ると、椅子に座って机にのの字を書いていた。

 

「私も、水着を買おうかなって思ってて、その……」

 

あ~っと、これはあれだな? 俺から言い出すべき()()なんだな?

 

「簪、週末俺と買い物に付き合ってくれるか?」

 

「うん!」

 

うわぁ、めっちゃ尻尾をぶんぶん振ってる幻覚が見えそうなんだが。

思えば、簪と付き合ってからも弐式改造と深夜のアニメ鑑賞会ばっかで、カップルらしいことはしてなかったからな。

 

(一応これも、デートって括りでいいんだよな?)

 

いまいちデートと買い物の区切りが分からんが、簪が喜んでるならいいか。デートってことにしておこう。

 

(さて、予算はどれぐらいにしたものか)

 

水着は年に1回しか使わないだろうし、それなりの量販物でいいだろう。あとは食事代(簪の分も出すつもり)や他の買い物でどれぐらい使うか……そんなことを考えながら、俺は財布を開けて

 

「あ゛……」

 

思わず声を出しちまった。が、簪には聞こえてなかったようだ、セーフ。

 

(しっかし、まずったなぁ……)

 

俺はある意味、この外史に来て一番のピンチを迎えていた。

 

 

金がない




ふと、サイコロの出目によって、世界中をISで飛び回る一夏達を妄想してました。



セ「またインドですのぉ!?」

箒「どうしてお前に振らせたら、インドかオーストラリアの二択にしかならんのだ!」

鈴「もういい加減飽きたわよ……」

ラ「ここ(ギリシャ)からインドまで、ざっと9時間は飛びっぱなしだな」

一「マジかぁ……」

シャ「いつになったら、ゴールの日本を引けるんだろうねぇ……?」
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