俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

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サブタイ考えるのが辛くなって、直球投げました。後悔はしていない。


第36話 おねだりISとソーラー発電

臨海学校2日目。1学年全員がISスーツを着て集合しているわけだが、相変わらず違和感ないな。やっぱ水着と見た目変わらんやん。

 

「今日は丸一日、各種装備の試験運用とデータ取り、だったか?」

 

「うん。特に専用機持ちは、開発元から送られてきた装備のデータ取りに追われる、はずだけど」

 

「俺達には関係ないか」

 

「うん」

 

打鉄弐式の装備は100%俺とのほほんが作って、しかも作ったそばから動作テストしてるから、今更ここでやる必要性がない。そしてそれは俺の陰流も同じ。

つまり、俺と簪は専用機持ちでありながら、ぶっちゃけ暇になることが確定しているわけだ。

 

「それでは各班ごとにISの装備試験を行う。専用機持ちは専用パーツのテストだ。全員、迅速に行え」

 

「「「はーい」」」

 

織斑先生の号令に、一同が返事をする。

 

「とりあえず、一夏達と合流すっか」

 

「そうだね」

 

というやり取りの後、一夏達と合流しようとしたところで

 

「篠ノ之。お前はちょっとこっちに来い」

 

「はい」

 

打鉄用の装備を運んでいた篠ノ之が、織斑先生に呼ばれていた。

 

「お前には今日から専用――」

 

「ちーちゃ~~~~~~~~~~ん!!」

 

ズドドドドド……ッ! と砂煙を上げながら、何かがこっちに向かってくる。しかも聞こえてくるこの声は……

 

「ねぇ、陸……」

 

「たぶん、そうじゃねぇかな……」

 

「会いたかったよちーちゃん! さあハグを――ぶへっ」

 

「うるさいぞ、束」

 

織斑先生に飛び掛かろうとしてアイアンクローの迎撃を受けたのは、以前出会った紫兎、篠ノ之束だった。

 

「ぐぬぬ……相変わらず容赦がないねぇ」

 

おっ、あっさり抜け出した。

そして篠ノ之(どっちも篠ノ之だな、妹の方)を見た。

 

「やぁ!」

 

「……どうも」

 

「何年ぶりかなぁ、大きくなったねぇ箒ちゃん。特におっぱいが」

 

――ガンッ!

 

「殴りますよ」

 

「殴ってから言ったぁ! しかも刀の鞘で殴ることないじゃん! ひどいよ箒ちゃぁん!」

 

そんな姉妹のやり取りを見せられて、一同総ポカンである。

 

「(陸……私達、いないことにしとこう)」

 

「(だな。あのよく分からん流れに巻き込まれたくない)」

 

簪と協議して、様子見を続行することに決めた。

 

「それで姉さん、頼んでいたものは……」

 

「ふっふっふっ、それはすでに準備済みだよ。さあ、ご覧あれぇ!」

 

びしっと直上を指さす束に、俺や他のみんなも空を見上げた。

 

 

――ヒュゥゥゥゥゥ……ズズーンッ!!

 

 

「おいおい、マジかよ……」

 

激しい衝撃と轟音を伴って落ちてきたのは、銀色をした金属の塊だった。

 

その金属の塊の正面がぱたりと倒れると、中にあったのは……

 

「IS……?」

 

簪の口から漏れた言葉通り、中にあったのは、赤い装甲のISだった。

 

「じゃーん! これぞ箒ちゃん専用機こと『紅椿』! 全てのスペックが現行のISを超える、束さんお手製のISだよ!」

 

全スペックが現行を超えるって、どんだけだよ。っていうか篠ノ之、『頼んでいたもの』って言ったよな? まさかお前ISをおねだりしたのか!? 馬鹿じゃねぇの!? いや、それであげちゃう束も束だけど!

 

「それじゃあ箒ちゃん、今からフィッティングとパーソナライズを始めようか!」

 

「……それでは、頼みます」

 

「堅いよ~、実の姉妹なんだし、もっとキャッチーな呼び方で~」

 

「早く、始めましょう」

 

うわぁ、とりつく島も無しって感じだな。というか、そんな仲でよくISのおねだりなんか出来たな。

 

「ん~、まぁそうだね。さっさと始めようか」

 

すると、束の顔が右方向に旋回した……俺達のいる4組の方に。

 

「りったん、かんちゃん、ちょっと手伝って~!」

 

こ、こいつ……! 敢えて関わり合いにならないようにしてたのに……! いや、まだ大丈夫だ。あの呼び方じゃ、俺と簪のことだって分かりは……!

 

「はぁ……宮下と更識、こっちに来い」

 

織斑先生ぃ!?

 

「み、宮下君、あの人と知り合いなの……?」

 

「更識さんも?」

 

うわぁ……クラスメイトがひそひそ話をし始めたぞおい。

 

「陸、諦めよう……」

 

「そうだな……」

 

久しぶりに遠い目をする簪に促されて、俺も専用機持ち達のところに向かっていった。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

「はい、フィッティング終了!」

 

「お~! りったんはやーい! かんちゃん、そっちはどう?」

 

「パーソナライズの自動処理開始……異常は無いです」

 

「OK~。いやぁ、まさかいっくんの白式を見てる間に終わるなんて、さすが束さんが見込んだ二人」

 

「その所為で、俺と簪への視線が痛いんだがな」

 

目の前にいる紫兎がIS開発者である篠ノ之束であると知った時のみんなの動揺と、その束と知り合いっぽい俺と簪に向けられた視線と言ったら……。

 

『なんだよ陸、束さんと知り合いだったのかよ』

 

『ね、姉さんが、私と織斑姉弟以外で親しそうな姿を見せるとは……』

 

この辺はまぁ、そうだよな。

 

『み、宮下さん! ぜひ篠ノ之博士に紹介して下さいませんか!? 身内以外には全く興味を示さないと噂されている篠ノ之博士ですが、宮下さんの紹介なら、あるいは!』

 

オルコット、お前は落ち着け。

 

『篠ノ之さん、身内ってだけで専用機もらえるの……?』

 

『なんかズルくない?』

 

これについては束が『有史以来、世界が平等だったことなんて一度もないよ』という指摘で黙らせた。まぁ確かに"平等であったこと"は無いだろうな。"公平であろうとしたこと"はあったかもしれんが。

 

「それじゃあ箒ちゃんのパーソナライズが終わるまでの間に、りったんにこれを見てもらおう!」

 

「見てもらうって、何をだ?」

 

「それは、これだー!」

 

そう言って、束が呼びだ(コール)したものは

 

「こ、こいつは……」

 

見た目は2枚の金属板。その間には、マイクロ波を直流電流に変換するレクテナ基盤が挟まっている。サイズは明らかにこっちの方が小さいが、それ以外は全部、俺が知ってるものだ。

 

「太陽光発電、受信アンテナ」

 

「せいか~い! やっとお披露目出来る段階にまで漕ぎつけたんだよ~!」

 

「ええ~……」

 

簪が唖然とするのも分かる。束に設計図を渡してから、2ヵ月やそこらしか経ってねぇもんな。

 

「あの~陸? 俺達にも説明してくれるか?」

 

ふと見渡すと、一夏を筆頭として、みんな俺と束の方を見ていた。

 

「説明するより見せた方が早いよ。というわけで、レッツスタート! ポチッとな」

 

束があっさり持っていたボタンを押すと、俺の端末の方に、いつの間にか受信アンテナのステータスが表示されていた。

最初は0kWだった表示が、どんどん値が大きくなっていき……

 

「おいおい……10万kWを超えたぞ」

 

「やった! 成功だよ!」

 

束がピョンピョン周りを飛び跳ねる。やっぱ兎か。

10万kW、だいたい日本の家庭、3万世帯分ってところか。試作品でこれなら、十分成功だな。

 

「宮下君、さっき言ってた太陽光発電って……」

 

「おう。宇宙空間で太陽光発電をして、それをマイクロウェーブ送電で地上に送るってやつだ」

 

「やっぱりぃぃぃ!!」

 

デュノアが顔を真っ青にしながら叫んだ。

 

「シャル? それってすごいことなのか?」

 

「すごいなんてもんじゃないよ! もしこれが実用化されたら、世界のエネルギー問題のほとんどが解決できるんだから!」

 

「よ、よく分かんないけど、すげぇんだな」

 

いや一夏、分からんのかーい。

そしてデュノア、たぶん束はそんな世界問題を解決するためにこれを作ったんじゃないと思うぞ。

 

「あ、紅椿のパーソナライズもちょうど終わったね。それじゃあ箒ちゃん、ちょっと試運転で飛んでみて」

 

喜んでいた束の顔がコロッと変わる。切り替え早ぇなおい。

 

「ええ。それでは試してみます」

 

次の瞬間、篠ノ之が乗ったIS・紅椿は、ものすごい速さで飛翔した。って、試運転だよな!?

 

「どうどう? 箒ちゃんが思った以上に飛べるでしょ?」

 

「え、ええ……」

 

オープン・チャネルなのか、姉妹の会話がこっちにも入って来る。

 

「それじゃあ次は――」

 

武器を使って――そう束が言おうとした時だった。

 

 

「た、大変です! お、おお、織斑先生っ!」

 

 

慌てた山田先生が、血相を変えて走ってきたのは――




太陽光発電受信アンテナの説明については情報を見つけられなかったので、アニメ1期のアザディスタンに設置されたやつの見た目に、現実の技術も混ぜたオリ設になってます。
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