俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

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この辺りで、オリ主に自己紹介してもらいますね~。(超今更)

今回は大半がモノローグになっています。苦手な方はささーっと読み流していただけると。(読み飛ばすと次回の話がワケワカメになるかもです)


第38話 過去

「簪ぃぃぃぃぃっ!」

 

「これでぇ!」

 

福音の背後に回り込んでた私は、福音の首根っこを掴むと、メメントモリを発動させた。

その瞬間、私の意識は一瞬落ちて、気付けば――

 

「ここ、は……?」

 

私は、知らない場所に一人で立っていた。そして目の前には……

 

「り、く……?」

 

身長がもっと高くて、見た目の年齢ももう少し上に見える、陸にそっくりな人がいた――

 

「もしかして、相互意識干渉(クロッシング・アクセス)……?」

 

IS同士の情報交換ネットワークの影響から、操縦者同士の波長が合うことで起こる現象、だったはず。

 

「両者間の潜在意識下で会話や意思の疎通を図ることができる……でも、これは……」

 

目の前の"陸のような人"に声を掛けようと手を伸ばす。すると、私の手が彼の肩をすり抜けてしまった。これでは、相手に認識されようがない。会話や意思の疎通なんて図れない。

 

相互意識干渉(クロッシング・アクセス)じゃ、ない?」

 

なら、この状況は、何?

その時だった。

 

キキィィィィッ!!

 

「あ……っ」

 

"陸のような人"が、大型のトラックに撥ねられた――

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

「やぁやぁ人間君、ようこそ死後の世界へ」

 

「……」

 

気付けば俺は、一面真っ白で、見渡す限り何もない世界にいた。

いや、目の前にいる、紺色スーツの短髪男以外、何もない世界か。

 

「えーっと……聞こえてたら返事してほしいんだけど?」

 

「……ここはどこだ? お前は何者だ? これは一体どういうこった?」

 

「オーライオーライ、今から順番に説明するよ」

 

そう言うと、何もなかったところに、突然椅子が現れた。どういう原理だよ?

 

「さっきも言ったけど、ここは死後の世界だ。君、元の世界でお亡くなりになったんだよ」

 

「俺が、死んだ?」

 

んな馬鹿な……いや、朧気ながら記憶がある。

確か急な仕事が入ったとかで、整備士の資格を持った俺が夜中に呼び出し食らって、そのまま完徹で作業した。で、その帰りに信号待ちしてたら……してたら……

 

「トラックが……?」

 

「そう。君は大型トラックに撥ねられて、死亡したわけだ。せめてもの救いは、痛みを感じないぐらい即死だったってことぐらいかな」

 

「おいおい、マジかよ……」

 

「おや? ずいぶん冷静だね? 大体みんな、自分が死んだって認識したら、恐慌状態になるのが普通なのに」

 

「まぁ、驚いてはいるが……特に未練も無かったからな」

 

親の顔も知らずに施設暮らし。機械弄りが好きだからと整備士の資格を取得。高卒で就職したものの、車検の重要性を知らない連中が無茶した車の修理ばっかする毎日。正直、日々の生活に飽きていたんだ。

 

「だからこそ、僕が声を掛けたってわけさ」

 

「……で、お前は一体何者なんだ?」

 

「せっかちだねぇ。まぁいいさ、僕は――」

 

 

「僕はロキ。外史と呼ばれる世界の管理者さ」

 

 

それが俺とロキとのファーストコンタクト。そして、俺が外史で活動する現地作業員になった瞬間だった。だが、

 

そんなもの、なるべきじゃ無かったんだ……

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

西暦2307年

 

最初に介入した外史は、かつて俺がいた地球と似て非なる世界だった。

モビルスーツと呼ばれる人型兵器が世に出回り、ユニオン、AEU、人類革新連盟という三大勢力が鎬を削る、人類同士の戦争が止まない世界。

そんな世界で『戦争の根絶』を掲げ、武力介入を行う、私設武装組織『ソレスタルビーイング』。俺はメカニックとして、組織が保有する人型兵器『ガンダム』の整備・開発を行っていた。

毎日が楽しくて仕方なかった。こんなデカいロボットを弄れるなんて、遣り甲斐しかねぇよ! ホントここは、最高の世界だ!

 

 

西暦2312年

 

世界からの拒絶、組織内から出た裏切り者、そして仲間との死別……

様々な出来事の中で、俺は、ようやっと自分の馬鹿さ加減に気付いた。

 

外史という創作世界だろうと、そこにいる人間は皆、()()()()()ということに。

 

そうさ、俺は何も理解してなかったんだ。自分が開発したガンダムの装備、それが何を(もたら)すかを。

周りの皆が時より見せる、あの苦悩が混ざった顔の、本当の意味を。

俺には、覚悟が無かったんだ。

 

例え返り血を浴びてでも、世界を変えたいと願い、戦う覚悟が――

 

 

西暦2314年

 

世界はやっと、統一への歩み寄りを始めることが出来た。

だが、それを嘲笑うかのように起こる、地球外生命体・ELSの出現。

そこで俺達は、ソレスタルビーイングの真の目的を知った。『来るべき対話』、つまりELS(地球外生命)との対話のために、俺達は戦っていたのだと。

そしてその対話のために、ダブルオー・クアンタを完成させた。だが……

 

「リク」

 

ハッとして振り向くと、そこにはダブルオー・クアンタのパイロット(ガンダムマイスター)の刹那・F・セイエイがいた。

どうも、整備中の()()()を見に来たようだ。

 

「クアンタの状況はどうだ?」

 

「イアンの親っさんが言うには、あと1時間ほどで完了だと」

 

「そうか」

 

「……なぁ、刹那。本当に行くのか?」

 

分かってはいるが、それでも聞かずにはいられなかった。前回火星付近で対話を試みた時には、あまりの情報量に死にかけたんだ。もし全てのELSと対話を行ったら、刹那は……

 

「ああ。世界を変えるために。未来を、切り開くために」

 

「……そうか」

 

俺は出来る限りの笑顔を刹那に向けた。

 

「安心しろ。向こうに到着するまでに、キッチリ整備しておく!」

 

「ああ、任せた」

 

そう言って、刹那はカーゴルームを出ていった。

 

「……くそっ」

 

――ガンッ!

 

「来るべき対話……その先に、争いのない、幸せな世界が待ってるんだろうよ……」

 

――ガンッ!

 

「なら、お前の幸せはどこにあるんだよ……! くそぉ……くそぉ……!」

 

 

 

こうして外史初介入は、俺に現実と絶望を刻み付けて幕を閉じた。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

皇暦2010年

 

次に俺が送り込まれたのは、また、地獄だった。

超大国神聖ブリタニア帝国と、その属国となり、エリア11と呼ばれるようになった日本。

そこに俺は送り込まれ、ブリタニアに復讐を誓う男、ルルーシュ・ランペルージと共に『黒の騎士団』という反ブリタニア勢力を立ち上げ、戦いを挑んだ。

また、血が流れるのか……。

 

一度は反乱に失敗し、散り散りになりながらも、黒の騎士団は復活を果たし、戦いは続いた。

だがその途中、ルルーシュが持つ『ギアス』と言う、人を操る力が露見、味方であるはずの騎士団から弾劾され、追放されるという憂き目にあう。

その後、辛くも脱出したルルーシュは、実の父親であるブリタニア皇帝シャルル・ジ・ブリタニアを討ち果たした。

その時ルルーシュと、彼の親友で、復讐を果たした時まで敵同士であった枢木スザクは、ある計画を立てた。

計画の詳細を聞いた時、俺は絶望した。また、なのか……。

 

「スザク、約束通り、お前が俺を殺せ」

 

「やるのか、どうしても……」

 

皇帝シャルルを討ち、帝位を簒奪し、黒の騎士団を始めとした敵対勢力を征したルルーシュは、スザクに仮面を手渡した。

かつて自分が黒の騎士団で『ゼロ』と呼ばれ、ブリタニア人であることを隠すために着けていた仮面を。

 

「世界の憎しみは今、この俺に集まっている。あとは俺が消えることで、()()を迎えることが出来る」

 

自らが世界を統べる独裁者となって憎しみを一身に集め、そしてスザクが扮する『ゼロ』に討たれることで、憎しみの連鎖を断ち切る。それが、ルルーシュが立てた計画『ゼロ・レクイエム』。

 

「リク、準備は出来たか?」

 

二人が俺の方を向く。

 

「ああ、日本でのパレードの準備は完了。ジェレミア卿も、最後には納得してくれた」

 

「そうか」

 

頷くと、ルルーシュはこちらに近づき、俺の肩に手を乗せた。

 

「リク、今までありがとう」

 

「ルルーシュ……」

 

どうしてだ……どうしてそんな、いい笑顔が出来るんだよ……。

 

「お前ら……本当に良いのかよ!? 親友同士なんだろ!? やっとすれ違いも乗り越えて! なのに……どうして、こんな結末しか……」

 

「うん……そうやって、涙を流してくれる君がいるから、僕達はあとを託せるんだ。ねぇ、ルルーシュ?」

 

「ああ、そうだ。だから……頼む」

 

「分かったよ……分かったよチクショウッ!」

 

もう俺には、そう答えるしかなかった。

 

 

 

俺はスザクに、友殺しの汚名を着せることしか出来なかったんだ……!

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

それから俺は外史に渡ると、とにかく楽しむことに重点を置くことにした。

おちゃらけて、馬鹿やって、周りを引っ掻き回して。

『俺には、あいつらが幸せになれなかった分、幸せになる義務がある』と、自分に言い聞かせて。

けど、時々自分の中で聞こえてくるんだ。『お前に、幸せになる資格はあるのか?』って。それが怖くて、何とかその声を押さえつけながら、何とかやってきた。

そんな時だ。ロキの野郎が何かやらかして、その尻拭いである外史に行くことになったのは。

 

 

外史・IS、か。もう、誰も失くさなくていい世界だといいな……

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

「……はっ!」

 

気が付くと、私は打鉄弐式に乗ったまま、福音の操縦者の首を掴んでいた。

 

(さっきのは、一体……)

 

「予定と違ったが……任務、完了、だ、な……」

 

「陸ッ!?」

 

具現維持限界(リミット・ダウン)で陰流が解除された陸の頭が仰け反り、そのまま下に墜ちていく。

 

「陸! くっ!」

 

急いで後を追いたいけど、福音の操縦者が邪魔だ。

 

「織斑君!」

 

「え? あっ、おい!」

 

返事を待つのも惜しんで、私は織斑君に操縦者を投げ渡す。

加速する瞬間にキャッチしたところが見えたから、たぶん大丈夫。それより――!

 

――バシャァァァァァンッ!

 

「陸ぅぅぅっ!」

 

陸の後を追って、私も海の中に飛び込む。

夜の海は真っ暗だけど、ISのハイパーセンサーなら……見つけた!

 

――ザバァァァァァッ!

 

「陸っ! 陸っ!」

 

水から上がって何度か呼びかけると、わずかに口が動いた。良かった……。

 

せ…ル…

 

「陸?」

 

何かを呟いている陸に、私は耳を近づけた。

 

 

 

「こんな俺でも……守れたよ……刹那……ルルーシュ……」

 

 

 

「刹那、ルルーシュって……」

 

さっき私が見た幻覚?に出てきた……もしかして、あれは陸の記憶……?

 

(ううん、それよりも先に、陸の治療だ!)

 

頭の中で優先順位を立て直すと、私は陸を抱えて花月荘に向かって加速した。




オリ主の全部が全部、俺TUEEEなわけないでしょう? (暗黒微笑)

ちなみにこのオリ主、途中で外史から撤退したため、原作主人公達のその後を知りません。(知ってたら『友殺し』なんて表現使わないでしょうよ)

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