俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

45 / 182
ちょっとここらで神様回を。(早く話を進めろよ)

それと高評価入れてくださった皆様、ありがとうございます。
青色スタートを覚悟してた頃に比べると、やっぱりモチベが違いますね。


第44話 神様公認

~~~♪

 

ある日の夜、簪が大浴場へ入りに部屋を出ている時に、俺のスマホが鳴った。

 

「……はぁ」

 

ディスプレイを見ると、そこにはいつもの番号が……またか、あの駄女神が。

 

「おい、今度はなんだ……」

 

『神界のアイドル、ロキちゃんだよー!』

 

「ぶふっ!」

 

まさかの不意打ちに、思いっきり吹き出しちまった。

 

『いやぁ、やっとシギュン達からの折檻から解放されたんだよぉ』

 

「あっそ。おめっとさん」

 

『うわー、なんか優しさを感じないんですけど―』

 

「んなもんねぇよ」

 

――ガチャッ

 

「陸……あ、電話中だった?」

 

いつもより早く、簪が戻ってきた。あ、そうだ。

 

「簪、ちょっとお前も話に加わってくれ」

 

簪に俺の過去がバレてる以上、ちょうどいい機会かもしれん。

 

『えっ? ちょっと待ったリク、まさか……』

 

「そのまさかだ」

 

そう言って、スマホをスピーカーモードに切り替えた。

 

「というわけで、俺の上司(ってことになってる)ロキだ」

 

『ちょっとリクぅぅぅぅ!?』

 

「初めまして、陸の嫁の更識簪です」

 

『あ、これはご丁寧に……じゃなくてぇ!』

 

ロキがあんなに慌てるなんて、珍しいもんが見れてるな。ちなみに簪の嫁発言についてはノーコメントだ。

 

『なんで僕の存在バラしちゃうのさぁ!』

 

「いや、ちょっとした事故で俺の過去を見られちまってな。すでにモロバレなんだよ」

 

『へ?……ちょっとタンマ』

 

スピーカーの向こうから、ドタバタする音が聞こえてくる。過去の映像でも探してんのか?

 

『ホントにモロバレじゃん! 何しちゃってるのさリク! 基本、外史の人間には君達現地作業員の素性はバレないようにするってルールだったじゃん!』

 

「だから事故だって」

 

『んもー!』

 

「陸、もしかしてバレたらまずいの……?」

 

「まずいな。……監督者であるロキが」

 

「あ、そうなんだ」

 

『リクに被害が無いって知って、あからさまに安心しないでもらえる!?』

 

すまんが、今度は俺のために主神(オーディン)から折檻受けてくれ。

 

『そうです! どうしてあんなことをしたのですか!?』

 

『うわっ! ちょっとシギュン! 今僕が話してるんですけどぉ!?』

 

どうやら駄女神が乱入してきたようだ。というか神様暇なのか? 暇なのか。

 

「シギュンさんって、ロキさんの奥さんだっけ?」

 

「おう。俺に一夏を育てろとか抜かした頭パーな駄女神だ」

 

『誰が駄女神ですかっ! それに一夏様を最高の存在にすることの、何が問題なのです!?』

 

「……こんなやつだ」

 

「うわー……」

 

おう駄女神、簪が汚物を見るような目ぇしてるぞ。

 

『はっ! そうでした、貴方は何一夏様より目立っているのですか! 最初にNGだと伝えたはずでしょう!?』

 

「ああ、あのさ〇ま〇し構文、まだ有効だったのか。そっちが一夏接触禁止を解いたから、全部無効になったと思ってたわ」

 

『ぬあぁぁぁぁぁぁぁぁ!』

 

駄女神の絶叫がスピーカー越しでも響いてうるせぇ。モロ自爆だから、言い返す言葉が無いんだろう。

 

「というか俺、そんなに目立ってたか?」

 

ボーデヴィッヒのISが暴走した時も一夏に見せ場を作ったりして、うまく目立たないようにしたつもりだったんだが……。

 

「専用機を渡された時点で、十分目立ってた。デュノア社に設計図を売ったのが止め」

 

「……マジ?」

 

簪の言が確かなら俺、先月時点でアウトだったのかよ……。

 

『はいはい、シギュンはあっちで絶叫しててね……それで、カンザシだっけ?』

 

「はい」

 

『君はいいのかい? 現地作業員として永遠に近い時をもって外史を巡るリクにとって、君と一緒にいる時間は泡沫(うたかた)の夢のようなものだ』

 

「おい、ロキ……!」

 

「別に構いません」

 

『へぇ?』

 

「確かにこの時間は、陸がこれまで生きてきた時間に比べたら、はるかに短いと思います。けど……」

 

 

 

「その短い時間が、陸にとって一番幸せな時間になると確信してるから。それが、私の望みだから」

 

 

 

「簪……」

 

『なるほどねぇ……』

 

数秒か、それとも一瞬だったのか。無音の時間が流れ、

 

『分かった。君がそこまで言うなら、記憶消去は止めておこう』

 

「お前、そんなことも出来たのかよ……」

 

『そりゃ神様だから』

 

ムカつくぐらい偉そうな口調が返ってきやがった。

 

『それじゃリク、引き続き頑張ってちょーだい。あ、嫁といちゃつくのは程々にね』

 

「おまっ」

 

――プッ ツー、ツー……

 

「切れたね」

 

「切れたな」

 

結局、バ神夫婦が喋りたいこと喋り続けてた感じになったな……。もうしばらくは連絡しなくていいぞ。

 

「陸」

 

「ん?」

 

「ぎゅ~」

 

はい、簪に抱き着かれました。

 

「神様に宣言したから、さっそく幸せ時間生成」

 

いやまぁ、嬉しいか嬉しくないかで言えば、嬉しんだが……。

 

「俺まだシャワー浴びてないんだが……せっかく風呂に入ったんだろ?」

 

「平気。それとも、一緒にシャワー浴びる?」

 

「さすがにそれは勘弁してくれ……」

 

一瞬『それもいいか』と思ってしまった俺の馬鹿野郎! もっと働け俺の理性!

 

ーーーーーーーーー

 

「くくくくくっ、あははははははっ!」

 

リクとの通話を切った直後、僕は笑いを堪えるのを止めた。

 

「ロキ、あまり品のない笑いは止めてくださいません?」

 

「品がないとか言わないでよ」

 

傷つくなぁ。まぁ僕の心は、傷ついても超再生するんだけど。

 

「それにしてもあの眼鏡娘、よくもあのような啖呵を切ったものです」

 

「だね。リクも随分メンタルが強くなったというか……いや、あのカンザシって娘のおかげか」

 

まさか、何百年も自分の無力さから目を背けて逃げ続けた臆病者が、こんな些細なきっかけで再び立ち上がるとはね……。

 

 

「これだから面白いんだ、人間って奴は」

 

 

ーーーーーーーーー

 

「『所定の手続きを行う』『国籍を変更する先の政府了承を得る』……えっ? 条件って、たったこれだけ?」

 

翌日、虚先輩に呼ばれて生徒会室に来た俺と簪は、パイセンから渡された紙を見て唖然とした。

 

「お姉ちゃん……これだけの説明をするために、私達を待たせたの……?」

 

「やめてっ! 簪ちゃん睨まないで! 事情があったのよ事情が!」

 

睨む妹と怯える姉。なんだこりゃ。

 

「だって条件がこれしかないって知ったら、二人ともすぐに日本国籍を抜けちゃうでしょ?」

 

「「それはそう」」

 

少なくとも、自由国籍の手続きはすぐにやっただろうな。

 

「そんなことになったら、日本政府に更識家当主の私がイジメられるのよぉ!」

 

「そんな理由かよ!」

 

というか、日本政府にイジメられるって、更識家って何者だよ……?

 

「更識家は対暗部用暗部、カウンタースパイの家系。政府とも繋がりがある」

 

「へぇ……って簪、俺口に出して聞いてないはずなんだが……」

 

「陸の顔を見たら分かる」

 

「Oh……」

 

ウチの嫁はすごく万能らしい。

 

「簪ちゃん、更識家については口外してほしくないんだけど……」

 

「でもお姉ちゃん、いつかは陸にも知られると思うよ」

 

「そうなんだけどぉ……」

 

力尽きたパイセンが、机の上で上半身たれぱんだに。

 

「それに今回の件で、お姉ちゃんがイジメられる理由が分からない。だって陸が自由国籍を取ろうとしてるのって、日本政府が原因なのに」

 

「簪ちゃん、覚えておくといいわ。世の中には、自分がやらかした失態をさも他人がやったように責任転嫁するプロがいるのよ。主に霞が関に」

 

ああ、つまり官僚連中ってことね。そして永田町の議員先生達は、その転嫁された情報を元に、パイセンをちくちくとイジメるわけか。

 

「さらに困ったことに、簪様が代表候補生達に自由国籍のことを話してしまったため、倉持の件も含めて、各国に情報が拡散してしまい……」

 

「「あ~……」」

 

「そのため、各国が宮下君や簪様を自国に引き込もうと暗躍し始めて、更識家の実働部隊は大慌てです」

 

虚先輩の説明に、俺と簪は内心『やらかしたかも』と思った。

 

「とにかく、こうなった以上自由国籍については教えたから、候補の国を決めたら絶対連絡をちょうだい……絶対よ……」

 

それだけ言って、パイセンの手から『約束』と書かれた扇子が落ちた。

 

「パイセン、申し訳ないです……」「ごめんね、お姉ちゃん……」

 

力尽きたパイセンに、俺と簪はそう言うしかなかった。




今まで読んでくださった読者の方々はお分かりと思いますが、本作のお姉さんキャラは大体苦労人です。あれ? その流れで行くと、いつか山田先生にも胃薬が……?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。