俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

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サブタイ通りです。


第45話 ドキッ!夏休み前のダイジェスト大会!!~(首が)ポロリもあるよ~

「申し訳なかった!!」

 

あ……ありのまま、今起こった事を話すぜ!

『地獄の期末テストが終わり、さぁ夏休みだと思った矢先、織斑先生から呼び出しを受けて簪と学園長室に来てみたら、日本国の首相に頭を下げられた』

な……何を言ってるのか分からないと思うが、俺も簪も何をされたのか分からなかった……。

頭がどうにかなりそうだった……ドラマの撮影だとかパイセンの仕掛けたドッキリだとか、そんなチャチなもんじゃあ、断じてねえ。

もっと恐ろしいものの片鱗を味わってるぜ……。

 

「今回のことは、完全にこちらの落ち度だ」

 

そうして目の前の男(首相)は、事の顛末を話し始めた。

 

 

 

倉持技研に唆されて、政府から俺に支払われる補助金が打ち切られた件。これは政府側の担当者が独断でやらかしたことらしい。

今回、俺と簪が自由国籍取得を考えてることについても、当初は『どうしていきなり?』という感じだったそうだ。で、そこで初めて補助金打ち切りの件を知ったと。ねぇねぇ君達、監査って何のためにあると思ってるんだい?

そして担当者を締め上げたところ、さらにとんでもないことが発覚した。その独断君と倉持の上層部には、『女性権利団体』という共通点が見つかったのだ。

もうお察しだろう。そう、今回の一件は『織斑一夏(ブリュンヒルデの弟)以外の男性操縦者を認めない』という女性権利団体が、俺を干上がらせるために仕組んだものだったというわけだ。しかも後の調査で、簪の打鉄弐式開発が凍結されたのも、元を辿ればこいつらが一夏の白式を優先させるために横槍を入れたのが原因らしい。

 

 

 

「現在、倉持技研を始めとしたIS関連機関や政府機関から、女権団関係者の掃除を行っている最中だ。今後はこのようなことが無いと誓おう」

 

「はぁ」

 

「君が被った被害についても、きっちり補償する。だから自由国籍の件、考え直してくれないか?」

 

あ、やっぱ着地地点はそこなんだな。

織斑先生と学園長に視線を向けるが……特に反応なし。完全に傍観者に徹するつもりらしい。

 

「(どうする簪)」

 

「(私としては、陸に付いていくだけだから、日本国籍のままでも構わない。もちろん今後、同じようなことが起こらないことが前提だけど)」

 

「(だな。なら……)」

 

「分かりました。自由国籍の件については、一旦取りやめようと思います」

 

「そ、そうか……! ありが「ただし!」あ、ああ……」

 

「次にまた女権団ないし政府が何かやらかしたら、俺と簪はオランダ辺りにでも鞍替えしますので」

 

「わ、分かった。肝に銘じよう……」

 

 

こうして、俺と簪の日本脱出計画は、一時保留となったのだった。

首相の言ってた補償とやらで、俺には今まで払われなかった補助金が、延滞金と謝罪金込みで振り込まれることになった。……デュノア社へ売った設計図の代金の方がデカいのは、言っちゃいけないお約束か。簪も、担当企業を倉持技研から好きな企業に変える自由をもらっていた。これで名実ともに、倉持とはおさらばだ。

 

ちなみに、今回の一件でやらかした倉持技研の第一研究所所長は、首がポロリしたらしい。……社会的にだよな?

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

「ありがとう簪ちゃん宮下君~!!」

 

「うわっぷ!」

 

「お、お姉ちゃん、く、くるしい……!」

 

約束通り、自由国籍を保留にしたことをパイセンに伝えたら、簪ともども抱きしめられたんだが。

そろそろ簪がマジで危なそうなんで、離してもらえます?

 

「二人が日本に留まってくれるおかげで、私と織斑先生の胃が救われたわ!」

 

「ここ数日、お嬢様と織斑先生の胃薬消費量は異常でしたから……」

 

おいおいマジかよ……俺も簪も、まさかここまでの騒動になるとは思ってもみなかった。

 

「第3世代機を一人で組める陸が自由国籍になるとか、騒動になって当然」

 

「ええ~……」

 

訂正、騒動になると思ってなかったのは俺だけらしい。

 

「いいえ、すでにお嬢様にも勝てる簪様も、騒動の種になってます」

 

「ええ~……」

 

さらに訂正、やっぱり簪も思ってなかった。

 

「あ~、やっとあの胃痛から解放されるのね~」

 

パイセン、なんつー清々しい顔してやがる。……そんなに俺達、気苦労掛けたのか?

 

「と、とりあえず、俺達はこれで……」

 

「ええ、報告ありがとう」

 

ハイテンションになってるパイセンを虚先輩に任せて、俺と簪は生徒会室を後にした。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

「まったく、困っちゃうわね……」

 

アメリカ西海岸のとあるマンションの一室――秘密結社『亡国機業(ファントム・タスク)』の隠れ家の一つ――で、私は端末に映る内容を見て嘆いた。

 

「どうしたんだ、スコール?」

 

「これ見てよ」

 

そう言って、私はオータムに端末を渡した。

 

「なんだこりゃ。日本の中枢にいた女権団の連中が、一斉にこっちに流れ着いてきたって?」

 

「そうなのよ。どうも例の"2人目"の件がきっかけで、一斉摘発がはいったようね」

 

「で、追い出された連中が、ってか。しかもこいつら、団体からは尻尾切りにされたんだろ?」

 

「ええ。『今回の件は一部の過激派が独断で行ったことで、我々は一切関与していない』ですって」

 

「正直、いい迷惑だな」

 

「まったくよ」

 

オータムが言うように、そんな簡単に切られるような無能を取り込んだところで、実働部隊の私達としてはいい迷惑でしかない。

だってそうでしょ? 実働部隊に回ってきたら、無能すぎて使えないどころか足を引っ張られそうだし、幹部会に入った日には、彼女達考案のお馬鹿な命令がこっちに回って来る。ホント、いい迷惑よ。

 

「それで、私達はどう動く?」

 

「しばらくは待機よ。エムがイギリスで"荷物"を受け取るまでは、ね」

 

「はっ! あのガキ待ちかよ! つまんねぇなぁ」

 

「はいはい、拗ねない拗ねない」

 

「スコール……」

 

さっきまで拗ねていたのに、オータムってばすぐ甘えてくるんだから。可愛い可愛い、私の恋人……。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

日本脱出計画を保留した日の晩、食堂で一夏達も交えて晩飯を食っていた。

 

「倉持技研、本当に大丈夫か……?」

 

「大丈夫だって。白式を担当してるのは第二研究所って話だから、今回粛清を食らった第一とは別らしいぞ」

 

「そ、そうなのか。それなら一応安心、なのか?」

 

一夏にとっては気が気じゃねぇだろうな。今でさえサポートらしいサポートがねぇのに、ここで開発元が無くなったら目も当てられない。

 

「ねぇ更識さん! 担当企業を変えられるなら、デュノア社とかどうかな!?」

 

アザトイさん(デュノア)はさっそく簪に営業かよ」

 

「あ、あざといさん!?」

 

「あ、やべ、主音声と副音声逆だった」

 

「宮下君!?」

 

「ほらシャル、落ち着けって」

 

「一夏ぁ……」

 

いやいや、そうやって一夏にべったりなるから、あざといんだって。初期三人組(篠ノ之・オルコット・凰)も睨むな睨むな。

 

「宮下をドイツに迎えれば、名誉挽回できると思ったのだがなぁ……また司令部からお小言をもらうのか……」

 

ボーデヴィッヒ、そんな遠い目しないでくれ。なんか俺が悪いことしたいじゃねぇかよ。

 

「だぁもう、悪かったよ。ほら、これやるから泣き止めよ」

 

「べ、別に私は泣いてなど……! で、これはなんだ?」

 

俺がボーデヴィッヒに渡したのは、握り拳大の、淡青色の正八面体。

 

「綺麗ですわねぇ」

 

「それで、これ一体何なの?」

 

 

「劣化版ISコア」

 

 

「「「ファーッ!?」」」

 

 

「試しに作ってみたんだが、束の作った正規品の5割程度しか性能が出なかったんだよなぁ」

 

貰ったISコアを解析したら、ブラックボックスの多いこと多いこと。で、そのブラックボックスの部分を推測で作ってみたんだが、結果はさっき言った通り。やっぱ束はすげぇわ。

 

「劣化版とはいえ、ドイツのISコアが増える……ふ、ふふふふっ、ふはははははっ! これで先の失態をチャラにできるぞ!」

 

「うわー、ラウラ嬉しそー……」

 

「それにしても宮下さん、まさかISコアまで作ってしまうなんて……」

 

「宮下……自制してくれ……」

 

あれ? 凰もオルコットも篠ノ之も、なんでそんな目で見んだよ。それ失敗作なんだぞ? 分かってる?

 

「陸、またやらかしたの?」

 

「そうみたいだ……」

 

その後、俺が何か作ったら、簪のチェックが必須になった。俺、どんどん簪の尻に敷かれてくなぁ……。




ファントム・タスクの面々って原作でも出番が多くないから、口調や性格が把握し切れてなくて大変です。

さぁ、次回からやっと夏休みだよ!(遅い)
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