俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

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いつもより短めですが、書きたいことが書けたんで、自分的には満足です。
(もし読み応えが無かったらスンマセン)


第48話 愛してる

夏休みも終盤に差し掛かった頃、俺、簪、のほほんは整備室にいた。

 

「なんだろうな、夏休みを満喫してたはずなのに、ISの整備をしてる方が落ち着くって」

 

「分かる」

 

「りったんもかんちゃんも、ほとんど職業病だね~」

 

「そういう本音も、ここに来てる」

 

「チョコバー、美味しかったよ~」

 

チョコバー1本で釣られてくるのほほんも、俺達のこと言えないと思うぞ。

 

「よし、陰流はこれでいいな。そっちはどうだ?」

 

「もうちょっと~」

 

「あと、左スラスターだけ」

 

「分かった。そんじゃ片付けはこっちでやっとくな」

 

工具箱を持って立ち上げると、のほほんも一緒に立ち上がった。

 

「え~悪いよ~。かんちゃん、りったん手伝ってもいい~?」

 

「うん、スラスター片方だけなら、私だけで大丈夫」

 

「というわけで、私も手伝うね~」

 

「そうか。ならこっちの頼むわ」

 

「りょうかい~」

 

のほほんに工具箱を持たせ、俺はパーツの入った箱を持って収納場所へ。工具置き場も同じ方向だから、俺の後ろをのほほんが付いてくる形だ。

 

「ねぇりったん~」

 

「なんだ?」

 

「覚悟、決めた~?」

 

「……今日だ」

 

のほほんの目的語のない問いに、ごく自然に答える。

 

「そっか~」

 

それぞれの収納場所に着いて、それぞれの場所に仕舞う。

 

「この間は、協力サンキューな。正直俺には専門外だったからな」

 

「あの位、全然だよ~。というか、私もお姉ちゃんも、専門ってわけじゃないんだよ~?」

 

のほほんはそう言うが、俺にとっては結構重要だった。ある意味、今までで一番のほほんに感謝したことかもしれない。

 

「……りったん」

 

「ん?」

 

振り返ると、

 

「……かんちゃんのこと、よろしくね~」

 

まるで慈愛に満ちたような顔で、のほほんに言われたのだった。

 

ーーーーーーーーー

 

晩飯を食って部屋に戻る。帰り際、のほほんの奴、めっちゃニコニコいてやがったな。こっちは内心緊張しっぱなしだってのに。

 

「陸、先にシャワー使うね」

 

「おう」

 

タオルやら着替えやらを持ってシャワールームに入る簪に返事をする。

 

(まだ言えないのか、俺の馬鹿野郎)

 

のほほんには『今日だ』と言っておきながら、自分の度胸の無さに自己嫌悪しかねぇ。

 

「少し、頭冷やすか」

 

ベランダに出て夜風に当たる。夏だから少し生ぬるいが、熱帯夜ってほどじゃない。風呂上りでもなければ、特に問題ないだろう。

そうして、空を見上げて星空を眺めていると、この外史に来てから今までのことを思い出す。

最初は脇役でいるはずだった。原作主人公である一夏とも一切接触せず、ただただISを弄るだけの生活を続けるはずだった。

だが、それも簪と出会ってから変わった。いや、変われたんだ、俺自身が。だから俺は、簪に伝えないといけないんだ。

 

(いや違う。()()()()()()()()()んじゃない、()()()()んだ……)

 

「俺は変わるよ、刹那。お前がロックオンの旦那の代わりに変われたように」

 

ーーーーーーーーー

 

シャワーを浴びて部屋に戻ると、陸の姿が見えなかった。

 

「陸?」

 

もう一度見渡して……いた。

 

「陸」

 

「おう。いくら夏だっていっても、シャワー上がりだと風邪ひくぞ?」

 

「大丈夫」

 

そう言って、私はベランダに立っていた陸の横に並んだ。

 

「ったく……ほら」

 

そんな私に、陸が着ていた制服の上着をかけてくれる。

 

「それで、陸は何してたの? こんな夜にベランダに出て」

 

「俺か? 自分の度胸の無さに、少しばかり自己嫌悪してたところだ」

 

「……何の冗談?」

 

「おい」

 

陸に度胸がないって、これまでのことを振り返っても、あり得ないんだけど……。

 

「だぁもう……あれこれ頭ン中で堂々巡りしてる俺が馬鹿みてぇじゃねぇかよ」

 

「ふふっ、陸らしくない」

 

「わぁったよ。そこまで言われて、逆に吹っ切れたっつーの」

 

苦笑いしていた陸が、急に真顔になる。なんだろう、緊張してる?

 

「臨海学校の最終日、覚えてるか?」

 

「うん。忘れようがないよ」

 

陸の過去を知った日。彼と()()()()一緒にいると、決めた日。

 

「俺さ、正直悩んでたんだ。あれだけ泣いてて何をって思うかもしれねぇけど……このまま簪と一緒にいていいのか、簪を巻き込み続けていいのかって」

 

「……」

 

そんなこと、考えなくていいのに……。これは私が決めたこと、私が選んだことなんだから。

 

「ロキに俺と一緒にいることについて、泡沫の夢だと指摘された時も、実は覚悟してたんだ。これで簪の心が離れても、仕方ないってな」

 

「でも私は言ったよ。例え泡沫の夢だろうと、陸と一緒にいることが、私の望みだって」

 

「ああ。それを聞いた時、めちゃくちゃ嬉しかったんだ。簪が、ここまで覚悟を決めてくれていたことに」

 

「陸……」

 

「だから……俺も、覚悟を決めたんだ」

 

そう言って、陸は私の右手を取り、

 

「最期まで、俺と一緒に歩んでほしい」

 

薬指に、瑠璃色の石が乗った銀色のリングが収まった。

 

「これって……」

 

指輪に驚いている私を、陸が優しく抱きしめる。

 

「気の利いたセリフが出てくれば良かったんだけどな……他に、言葉が見つけられなかった……」

 

震える声で、けれどハッキリと――

 

 

「愛してる、簪」

 

 

「り、く……」

 

嬉しいのに、涙が止まらない……。すごく驚いてるのに、心が温かいよ……。

 

「ダメ、か?」

 

ダメかなんて、聞かないでよ。ダメなわけ、ないよ。どうしてそんなこと聞くの? 陸の馬鹿……。

 

「私も……」

 

 

「私も愛してるよ、馬鹿ぁ……!」

 

 

喉を枯らしそうなほど泣きながら、私も陸を抱きしめた。離したくない、ずっと一緒にいたいと想いながら……。

 

ーーーーーーーーー

 

私のくしゃみで色々我に返った私達は、そそくさと部屋の中に戻った。

 

「でも、私の指のサイズ、よく知ってたね?」

 

陸に教えたことも、測られた覚えもないけど。

 

「そこは布仏姉妹に協力してもらった。のほほんに指のサイズ、虚先輩に店の場所とかな」

 

「本音もグルだったんだ……」

 

「グルって言うな、グルって」

 

晩御飯を食べた後、何故かいつもよりニコニコしてたのは、そういうことだったんだ。

 

「この石も虚さんの?」

 

「いや、石は俺が選んだ。やっぱダイヤの方が良かったか?」

 

「ううん! 全然!」

 

ただでさえ指輪を薬指にはめられて心臓バクバクなのに、ダイヤモンドリングだったりしたら……いつかはもらいたいけど……。

 

「おーい、簪?」

 

「だ、大丈夫! それで、この石って、ラピスラズリ?」

 

「そうだ。俺も最初は無難にダイヤにしようと思ったんだがな……宝石言葉とやらを聞いて、こっちにしたんだ」

 

「宝石言葉?」

 

花言葉みたいなもの?

 

「ああ。ラピスラズリの宝石言葉は……」

 

 

『永遠の誓い』

 

 

「……」

 

「簪?」

 

「もう……陸は……」

 

これ以上私を嬉し泣きさせて、どうするの……?

 

「ずるいよ陸は……ホント、ずるい……」

 

さっきとは逆に、私から陸を抱きしめる。

 

「何度でも言うよ。私は陸を愛してる。永遠に、未来永劫、何があろうと」

 

「簪……ああ、俺も簪を愛してる。永遠に、未来永劫、何があろうと」

 

陸と私。どちらからということもなく、顔を寄せ合い、唇を重ねていた……。




この曲を聴きながら書いてました。youtubeとかで是非とも聴いてみてほしいですね。

曲名:愛の詩
アーティスト:末廣優里
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