俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

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第4話 ISを作ろう

生徒会長のパイセンと別れた後、整備室に戻ってみると

 

「あ、陸。おかえり」

 

「おう。で、そちらさんは?」

 

だぼだぼ袖の、見知らぬ女がいた。覚えがないということは、他クラスの生徒か?

 

「かんちゃんの従者の、1年1組、布仏本音だよ~」

 

「従者ぁ?」

 

え、何? 簪って良いとこのお嬢様だったんか?

 

「もしかして~、更識家について、何も聞いてない~?」

 

「ああ、全然」

 

「ええ~……」( ;´Д`)()

 

いや、そんな顔されてもなぁ。

 

「まぁいいや、俺は――」

 

「知ってるよ~。2人目の男性操縦者、りったんだよね~」

 

「り、りったん?」

 

「ちょ、ちょっと本音……」

 

今までそれなりの時間を生きてきたが、そんなあだ名付けられたのは初めてだぞ……。

 

「あ~……俺はお前の事なんて呼べばいい?」

 

「好きに呼んでいいよ~。私もこれからりったんって呼ぶから~」

 

マジかよ……布仏本音だろ? それなら、苗字と名前から2文字ずつ取って……

 

「それじゃあこれから"のほほん"って呼ぶな」

 

「いいよ~」

 

いいんかい!っていやいや、なんか話が脱線してる気がする。

 

「それで簪。俺に買い物頼んだのは、このためか?」

 

「(コクリ)」

 

「かんちゃんの専用機作りを手伝うのだ~」

 

なるほど、一人で全部やるのを止めて、従者に手伝ってもらうか。

 

「いいんじゃねぇか。お互い、気心の知れてる奴とやった方が捗るだろうし」

 

うーむ、しかしそうなると、俺はお役御免か……。

 

「あ、あの!」

 

「おん?」

 

「それで、昨日の返事なんだけど……陸にも手伝ってほしいの」

 

「俺も?」

 

なんと。どうやらお役御免じゃなかったらしい。

 

「本当は、陸に手伝ってもらう気でいたの。でも、先に本音と話をしておきたかったから……」

 

「かんちゃん……」

 

「そうか……」

 

2人の顔を見るに、それこそさっきまで色々仲が拗れてたようだな。で、それを解決するまで俺を誘うことを躊躇ってたと。

 

「……ならよし!」

 

「「えっ?」」

 

「簪は簪なりの筋を通すために、俺への返事を保留してたんだろ? そういう理由なら問題なし!」

 

むしろ、仲が拗れたまま俺を誘ってたら、お仕置きアームロックが火を噴いてたな。

 

「何だろう……ちょっと寒気が……」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

「ではこれより、打鉄弐式を作っていきたいと思いまーす」

 

「わー!」

 

「わ、わー……」

 

うん、ちょっとふざけてみたが、のほほんは思った通りノリがいいな。

 

「それで、最初は何するのー?」

 

「ふふふ、それはだな……」

 

そう言って、俺は懐からメモリースティックを取り出した。

 

 

「ここに、荷電粒子砲のデータがある」

 

 

「なんで!?」

 

うむ、簪ナイスリアクション。

 

「こんなこともあろうかと、昨日ベッドの中で夜なべしてまとめておいた」

 

「りったんすごーい!」

 

「あの、すごいじゃなくて……」

 

このデータはすごいぞぉ。何せ別の外史に行った時に収集した、バトルプルーフ(実戦経験)済みの代物だぁ。段ボールの中に入ってた。まぁこっちの世界じゃ向こうと違って、ミノフスキー粒子なんて無いが、何とかなんだろ。

 

「これで、『春雷』は完成の目途が立ったわけだ」

 

「こ、こんな簡単でいいのかなぁ……?」

 

簪、首を傾げない。いいじゃん、お前の専用機が早く完成するんだぞ?

 

「で、こっちが……」

 

懐から、もう1本メモリースティックを取り出す。

 

「そ、そっちには何が……」

 

 

「『山嵐』用のマルチロックオン・システム。昨日の話を聞いて興味沸いたから作ってみた」

 

「あ、あは、あはははは……」

 

「か、かんちゃん!?」

 

「私の今までの苦労って……苦労って……」

 

おや? 簪が遠い目をしながら笑い出しちまった。

って、そういえば……

 

「なぁ、打鉄弐式を組み上げるのはいいんだが、装甲や装備を作るための材料ってどうすんだ?」

 

やらかしたぁ! その辺ちゃんと確かめておくべきだった!

 

「それは大丈夫だよ~。整備科にお願いして、訓練機の修理用パーツの余剰分を分けてもらえることになってるから~」

 

「マジ?」

 

「うん。整備科に知り合いがいて、頼み込んだ」

 

「マジか~、良かった~」

 

マジで良かったー。その辺もフォローしてこそメカニックだろうに、俺も精進せにゃならんな。

 

「それじゃあ改めて、打鉄弐式を作っていくか」

 

「「おー」」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

自分で誘っておいてなんだけど……

 

「りった~ん、スラスターの部品が足りな――」

 

「加工済みだ」

 

「りった~ん、春雷を固定したいから――」

 

「電動ドライバーは足元。電源プラグも挿してあるからすぐ使えるぞ」

 

「りった~ん」

 

「そこの配線は左から青、緑、赤の順な。間違えると飛行中にボンッだから気ぃ付けろー」

 

なんか、陸と本音だけでどんどん打鉄弐式が組み上がってる気がする……。

どうして私、一人で全部やろうとしてたんだろう……。

 

「うーん、やっぱ即席のシステムじゃ、48本全部は無理かぁ……」

 

「それでも、半分の24本はマルチロックオン出来るみたいだし、十分だと思うな~」

 

私、何日もかけて出来なかったんだけど……。

 

「ほら簪、何してんだ。もうちょっとで出来上がるぞ」

 

「え!? もう!?」

 

ところどころボンヤリしていて気付かなかったけど、よく見たら、外見はほぼ完成していた。

春雷も、山嵐も、昨日陸に話してた装備は全部揃ってた。

 

「あとは近接武器の『夢現』だけだね~」

 

「何? その装備は初耳なんだが」

 

「昨日は言ってなかった。対複合装甲用の超振動薙刀」

 

「薙刀か。確かに簪には、刀の『葵』より似合ってそうだな」

 

「あ、ありがとう……」

 

な、何だろう……すごく気恥ずかしい……。

 

「それじゃある程度組み上がったし、今日ラストで、その夢現を作るとするか」

 

「ゆ、夢現も今日作るの……?」

 

「そうだね~、勢いがある内に作っちゃおうか~」

 

「ほ、本音……?」

 

「で、明日はテスト飛行といくか」

 

「おー、それじゃあアリーナの予約入れておかないとね~」

 

「頼むなー」

 

「え……も、もう?」

 

あれ……おかしいよね……だって、陸と本音が加わってから、まだ3時間ぐらいしか経ってないのに……いくら元々の打鉄のフレーム部分があったからって、そんな簡単にISって作れるものじゃないはずなのに……

こんなのって……

 

 

「こんなの絶対おかしいよ!」

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

(簪ちゃん、大丈夫かしら……)

 

生徒会室の会長席で、私は紅茶を飲みながら考え込んでいた。

 

「政治、か……」

 

簪ちゃんの打鉄弐式が開発凍結になった時、私が倉持技研に対して行った抗議なんて、どこ吹く風だった。

倉持は、いや、日本政府は、1人目の男性操縦者、織斑一夏君の専用機作成を優先したのだ。

しかも聞いた話では、その織斑君はさっそく、同じクラスのイギリス代表候補生と一悶着起こしたらしい。

 

「この事を簪ちゃんが知っちゃったら……」

 

いつかは知られるだろうが、今から憂鬱になる話だ。

開発凍結に関して、織斑君自体に罪はない。別に彼が専用機を強請ったわけではないのだから。それでも、間接的な原因ではあるわけで。そんな織斑君が、クラスで騒動起こす子だって(今回はイギリスの子が発端みたいだけど)知られた日には……。

 

「あ~も~……」

 

机の上の書類も残ってるし、気が滅入るわ~……と思っていると

 

「お、お嬢様!」

 

「どうしたの虚、そんなに慌てて」

 

生徒会室に飛び込んできたのは、代々更識家の従者を輩出している布仏家の出で、私の幼なじみ、布仏虚だった。

 

「に、2,3時間ほど前、本音が整備科を訪ねて来まして……」

 

「本音が?」

 

「はい。なんでも、打鉄弐式を組み上げるために、訓練機の修理パーツをもらえないか、と」

 

なるほど。つまり簪ちゃんは、1人で組み上げるのを止めて、本音に協力を依頼したと。

どうやら、前に進めたようね、簪ちゃん……。

 

「それで、去年発注した予備パーツの一部が余剰となっていたので、それを供出したのですが……」

 

「何か問題があった?」

 

「いえ、先ほど私自身が様子を見に行ったのですが……」

 

 

 

「打鉄弐式が、ほぼ完成していました」

 

 

 

「あんですって~っ!?」

 




陸は機械チート、のほほんも同類という設定です。
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