俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

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学園祭に入る前に、色々イベントを消化したいのです。
ラウラのフリフリメイド服の再来を熱望している方々、もうしばらくお待ちください。
(作中で書くとは言ってない)


第52話 ISコア

とある夜、俺は以前オルコットに使った、仮想空間潜入用ゴーグルを複製していた。

ただし、5分を1ヵ月に伸ばすとかじゃなく、単純に仮想空間にダイブできるだけのダウングレード版だが。

 

「どうしてそんなものを作るの?」

 

今回はちゃんと簪に事前申告したところ、そんな質問をされた。

 

「ちょっと試したいことがあってな」

 

「試したいこと?」

 

「いつぞやの授業で習った内容で、ISには意識に似たようなものがあるって」

 

「1学期で習った内容だね」

 

ISには意識、つまり自我のようなものがあるってことだ。なら……

 

「ISコアにダイブしたら、その意識とやらに会えるかな、と」

 

「……」

 

「簪?」

 

顔を上げると、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていた。

 

「陸、本気?」

 

「一応本気だが? 簪はISには自我がないと思ってる口か?」

 

「そういうわけじゃないけど……」

 

「よし、こんなもんかな」

 

改造を加えたゴーグルを持ってベッドに横になり、増設したケーブルと待機状態の陰流を繋げる。(繋げるといっても、ケーブル先端に取り付けたバンドを、待機状態の腕輪に巻き付ける形だが)

 

「そんじゃ簪、ちょっくら実験してみるわ」

 

「え? ぶっつけ本番!?」

 

「まぁ死にゃしないだろ」

 

タイマーを30分に設定し、ゴーグルを被ってスイッチを入れると、手足の感覚や視覚が一瞬無くなり――

 

 

 

 

気が付くと、俺は寮の部屋ではない、別の場所に立っていた。

 

「ここが、ISコアの中……」

 

一面に草花が咲き、遠くには東屋のような建物も見える。俺は、ここを……知っている。

 

「アリエスの離宮……」

 

そうだ。かつてルルーシュが暮らしていたという、あの離宮だ。だが、どうして……

 

――ガサッ

 

「っ! 誰だ?」

 

「ひっ!」

 

声のする方を向くと、そこにいたのは

 

「……子供?」

 

見た目女の子っぽい何かが、草垣に隠れるようにしてこっちを見ていた。……気のせいでなければ、めちゃくちゃ怯えてるような……。

 

「あ~、デカい声出して悪かった。とりあえず、そこから出て来てくれねぇか?」

 

「……」

 

しばらくして、長髪の女の子が草垣からゆっくり、警戒するように出て来た。

 

「確認なんだが、ここはISコアの中でいいのか?」

 

「う、うん……ここは私の中……」

 

「私? ってことは、お前は……」

 

「わ、私は、『陰流』、です。ご、ご主人様……」

 

「そうか、やっぱISには自我があるのか。……ご主人様?」

 

「貴方がわ、私の操縦者だから……」

 

なるほど。しかし、こんな小さい子供にご主人様って……背徳感が半端ないんだが。

 

「それで質問なんだが、どうしてここはアリエスの離宮にそっくりなんだ?」

 

「そ、それは、ご主人様の記憶に強く焼き付いていた風景だから……」

 

「俺の?」

 

「ご、ご主人様のことを知りたくて、記憶の中を覗いた時に、綺麗だったから……」

 

確かに俺の記憶の中で、ここは特に印象があるだろうよ。なにせ俺はここで、『ゼロ・レクイエム』の詳細を聞いたのだから。

 

「というか、俺の記憶を覗いたのか」

 

「ひぃっ! ご、ごめんなさい!」

 

「ああ、怒ってねぇから、そんなに怯えんな」

 

なんか俺が悪いことしたみたいじゃねぇか。ほら、頭撫ぜてやっから。

 

「あ、あうぅ……」

 

ああそうか。こいつ、昔の簪そっくりなんだ。少しオドオドしてるところとか、頭撫ぜると恥ずかしがるところとか。

 

「それで……お前のこと、何て呼べばいいんだ?」

 

「わ、私は『陰流』……」

 

「いや、それは機体名であって、コアであるお前の名前じゃないだろ」

 

「そ、そんなこと言われても、私は陰流以外、名前が」

 

「マジで?」

 

参ったなぁ。ISコアがこんな小さな子供だって知ってたら、もっと別の名前を付けてたんだが……。いや、あんまり可愛い名前をISに付けたら、周囲に変な目で見られてたな。うん、仕方なかった。

 

「……ソフィアー」

 

「え?」

 

「これからお前のことを、ソフィアーって呼ぶ」

 

ふと思いついたのは、ルルーシュ達とは別の外史で知り合った、とある女性のコードネーム。本名の『ヒカリ』よりはそれっぽいだろう。

 

「ソフィアー……」

 

()()()で機体に乗ってる時は陰流で呼ぶが、()()()ではソフィアーだ」

 

「わ、私に、二つも名前を……あ、ありがとう、ご主人様」

 

「すまん、ご主人様も無しで頼む。さすがに背徳感がきつ過ぎる」

 

「え、えっと、それじゃあ……マスター?」

 

「……そっちの方がマシだな」

 

と、色々あったところで、本題に入ろう。俺がわざわざISコアの中に入った理由を。ただの好奇心だけじゃないのかって? それ()()じゃない。

 

「なぁソフィアー、お前は自分達の現状を、どう思ってる?」

 

「現、状?」

 

「お前達ISは、元はと言えば宇宙空間での活動を想定して生まれた存在だ。それが今じゃ、世界最強の兵器だの競技用飛行パワード・スーツだの、当初と全く違う使われ方をしてるわけだ。それに対して、何か思うところは無いのか?」

 

「む、難しいことは分からないけど……」

 

うーうー唸りながら頭を抱えていたソフィアーだったが、

 

「私はマスターと空を飛ぶの、楽しいよ?」

 

「束を、恨んだりはしてないんだな……」

 

「ドクターを恨む? ど、どうして?」

 

首を傾げる。その顔は、本当に疑問に思ってる感じだ。

 

「お前達が兵器として扱われたのは、束が『白騎士事件』をやらかしたからだ」

 

10年前、世界中の軍事基地がハッキングを受け、日本に2000発以上のミサイルを発射、それを謎のIS『白騎士』が迎撃した。さらにその白騎士を捕獲もしくは撃破しようとした各国の軍隊を、白騎士は死者を出さずに返り討ちにした。それが『白騎士事件』。

ハッキングを束がやったかどうか、それは俺には分からない。だが、この事件の所為で、ISは『兵器』としてしか見られなくなった。宇宙(そら)を飛ぶという当初の存在意義を、束自身が否定してしまったのだ。

 

「でも、ド、ドクターが私達を生んでくれたんだよ? そのドクターを恨むって、よ、よく分からない」

 

「そっか……」

 

その回答を聞いて、また頭を撫ぜてやる。

 

「えへへ……」

 

なんか俺、誰かの頭を撫ぜることに抵抗が無くなってるな。どっかの誰か(前作オリ主)みたいに、ナデポ機能なんぞ付いてないんだがなぁ。

 

「ところで、今言ったことはお前の意見か? それとも、コア・ネットワークでコア同士で情報共有をした結果、つまりISコアの総意か?」

 

「ちゃんとはわ、分からないけど、今までドクターに対して否定的な意見は無かったはず」

 

「ふ~む……」

 

「マスター?」

 

「なぁソフィアー、お前に頼みがあるんだ」

 

・・・・・・

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

「――というわけだ、頼めるか?」

 

「う、うん。や、やってみる」

 

「頼むぞ」

 

また頭を撫ぜてやろうと左手を上げると、指先から光の粒子が舞っていた。

 

「あっ……」

 

「そうか、もう30分経ったのか」

 

「マスター……」

 

「そんな悲しそうな顔すんなって。また会いに来てやっから」

 

「ほ、本当?」

 

「おう、ホントだホント。だから、またな」

 

「うん……またね、マスター……」

 

涙で潤んだ目をしたソフィアーに見送られる形で、俺の意識は再度無くなり――

 

 

 

 

「……おお」

 

体中の感覚が戻りゴーグルを外すと、目の前に俺の顔を覗き込む簪が見えた。

 

「陸、大丈夫? 何ともない?」

 

「問題ない。いや、色々ありすぎて頭の整理が必要そうだが」

 

「何かあったの?」

 

「ああ、実はな……」

 

俺は簪に、ISコアの中であったことを話した。

 

「というわけだ」

 

「陸、本音だけじゃなくて、ISコアの頭も撫ぜるんだね……」

 

「気になったのそこかよ!?」

 

「しかもソフィアーなんて名前まで付けて……」

 

「あのー、簪さん?」

 

「嫁として、今晩ハグして寝ることを要求する」

 

「簪さん!?」

 

わけがわからないよ!

 

「ぎゅ~」

 

とか思ってる間に、仰向けに寝てる状態から上に乗られたんですが!?

 

「おやすみ」

 

掛け布団も一緒に掛けられ、そのまま明かりを消される。

 

「陸もハグ」

 

「は?」

 

「はよはよ」

 

「はぁ……」

 

ため息をつきながらも、結局は簪の背中に腕を回すのだった。

 

「幸せぇ……」

 

「ホント、簪も変わったよな」

 

「"想いを伝えないと、人は分かり合えない"って、陸の記憶で学んだから」

 

「原因は俺かよ」

 

「陸は、幸せじゃない?」

 

「……その質問は卑怯だぞ」

 

そんなやり取りをしながらも、俺達は温かい、心が温かくなる一晩を過ごした。

さて、そんじゃ、その幸せのお裾分けでもしてやろうか。あの馬鹿兎に。




実はこれ、束シナリオの準備回です。
次でシリアス回をやって、学園祭に移る想定です。(移れるとは言ってない)
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