本当にいるかどうかと言われたら……作者のただの自己満足です。はい。
そして高評価ありがとうございます。バーが黄色くなったぞー
∩( ・ω・)∩ばんじゃーい
「……よし、準備完了っと」
「陸、今度は何をする気?」
首を傾げる簪の前には、先日改造したゴーグルが3つ。あれから2つほど追加作成していて、今さっき完成したわけだ。
「ちょっとこれで、とある兎にサプライズをな」
「兎?」
――バンッ!
「はーい! りったんに呼ばれた兎さんだよー!」
「し、篠ノ之博士!?」
おう、今回は正面から入って来たか。……俺が呼んどいてなんだが、本当に大丈夫か? いくら相手が大天災・篠ノ之束とはいえ、IS学園のセキュリティガバガバやん。
「それでりったん、サプライズって何かなー?」
「二人には、俺と一緒にこれを付けてもらう」
そう言って、完成したばかりのゴーグルを手渡した。
「私も、ISコアの中にダイブするの?」
「えっ、コアにダイブ!? 面白そー!」
とりあえず、束はノリノリなようで何よりだ。
「そんじゃ始めて行こうと思うんだが、ダイブ中は感覚が向こうに行っちまうから、出来るだけ寝た状態になってくれ」
「りょーかい! とう!」
さっそく束が俺達のベッド(2つくっ付けたもののど真ん中)にダイブしていた。おーい、俺と簪も寝るんだから、大の字になってスペースとんなー。
「ケーブルと陰流に繋いで……準備OKだ。ゴーグルの右こめかみ部分にスイッチがあるから、各自押してくれ」
「分かった」
「りょーかいだよー!」
二人とも素直に押したのか、そのまま脱力したようにベッドに仰向けになっていた。
「そんじゃ俺も、行きますか」
前回の30分から1時間にタイマーを延長されているのを再度確認して、俺もゴーグルのスイッチを押した。
2度目のダイブ、今度は寝転んだ姿勢で目を覚ました。
起き上がって見渡すと、やはり見覚えのある庭園、アリエス宮だった。ということは、今回のダイブも成功したわけだな。
「陸」「りったーん!」
「二人とも、無事ダイブできたようだな」
「うん」
「へぇ、ISコアの中ってこうなってるんだぁ! これは束さん、好奇心が爆発寸前だよ! りったん、こんなサプライズありがとう!」
「いやいや、本命はこれからだぞ」
「そうなの?」
ほら、また草垣がガサガサと揺れ出した。
ソフィアーがおっかなびっくり、草垣からひょっこり顔を出す。
「あ、可愛い」
「あ、あうぅ……」
「おおっ! まさかあの子がISコア!?」
「ひぅ!」
あ、束の声に驚いて引っ込んだ。
草垣に近づくと、ビクビクしながら頭抱えて丸くなっていた。
「ほら、あの兎は、怖くない兎だからな」
「うぅ……うん……」
差し出した俺の手を掴んで、なんとかソフィアーが立ち上がる。
「改めて、陰流こと、ソフィアーだ」
「は、初めまして……」
「この子が陸のISコア……私のコアも、ランディさんが混じらなかったらこんな子だったのかな?」
「どうした簪?」
「う、ううん! 何でもない!」
? まぁいいか。
「ふむふむ、やはり『ISコアには意識めいたものが存在する』っていう束さんの推測は正しかったね♪ いやぁ、これはとんだサプライズ!」
ソフィアーを前後左右からくまなく観察する束。その動きがピタッと止まり、顔から笑みが剥がれ落ちる。
「それで? りったんはこの子を見せて、どうしたかったのかな?」
笑みが剥がれ落ち、能面のような顔を俺に向ける。
「その前にいくつか質問させてくれ。『白騎士事件』、軍事基地にハッキングして、日本にミサイルを放ったのは束、お前だな?」
「そうだよ」
「その理由は、発表当時見向きもされなかったISを表舞台に上げるため、そうだな?」
「そうだよ」
淡々と、ひたすら淡々と俺の推測を肯定していく。
「聞きたいことはそれだけ?」
「いや、最後に一つある」
もはや興味もないとばかりに、束が俺から視線を外す。
「その白騎士事件によって、ISは兵器として認知された。それも、お前の――」
――バキッ!
言い切る前に、俺の視界は右に向かって一回転し、そのまま空を見上げる形になった。殴られた左の頬が時間差で痛み出す。
「陸っ!」
「マスター!」
「大丈夫だ」
頬の痛みを無視して立ち上がれば、俺を殴った姿勢のままの、怒りで顔を歪ませた束がいた。
「"理解者になり得る"と思った、束さんが馬鹿だったよ……」
「……」
「『ISが兵器として認知されたことも、思惑通りだったか?』そんなわけねぇだろ! 私は
「ああそうさ! 私の所為だよ! 私がISを兵器にした!
それは作り笑いでもなく、他者を見下すものでもない。正真正銘、篠ノ之束の本音だった。
自分で自分の夢を壊した。自分が作ったものの存在意義を否定した。その事実を認識して、抱え込んで、それをおくびにも出さず、本心の見えない微笑を貼り付けて生きて来たんだろう。
「……それが聞けて良かった」
「は?」
俺の言葉に束が怪訝な顔をして固まる。
「ソフィアー」
「うん」
ソフィアーがトテトテと束に近づいていく。何かあると思ったんだろう、束が身構えたところで
「わ、私達を生んでくれて、ありがとう。ドクター」
「……えっ?」
演技でも何でもない、本当の素の声を出して、束が固まった。
「なんで……そんな言葉が出てくるのさ……私は、お前達の存在意義を奪ったんだよ……? それなのに、どうして恨み言の一つも言ってこないのさ……?」
「恨むとか、存在意義とか、む、難しいことはよく分からないけど……」
束のエプロンドレスを握りしめながら、
「私はマスターと空を飛ぶの、楽しいから。だ、だから、ありがとう」
「……とんだ茶番だ」
「え?」
ソフィアーを引き剥がす束。
「ISコアに演技させるなんて、ずいぶんとつまらないマネするんだね」
「篠ノ之博士……」
まぁそうなるよな。なまじ頭が良すぎたせいで、誰もお前の考えを理解できなかった。理解できないから、否定され続けた。そしてお前は……一人になった。
篠ノ之束は、肯定されることが無かった。だから疑う。理解されると露程も思っていないし、思えない。
「ソフィアー、頼んでたもの、出来てるか?」
「う、うん」
「やってくれ」
「みんなー、あ、集まってー」
ソフィアーの声と共に、俺達の周辺が光り始める。
「これは……」
「束、お前はさっき、ソフィアーの言葉を『俺が演技をさせたもの』って言ったな?」
「それが?」
「たわけ。あれはソフィアーの気持ちでもなければ、ましてや俺が教え込んだ演技でもない」
光が徐々に人の形を取り始める。
「あれはISコアの総意、お前の『娘達』の本心だ」
光が収まると、そこにはソフィアーのような子供から、大学生ぐらいの女性まで、ずらりと俺達を囲んでいた。
「まさかこれ、全員ISコア……?」
「おう。前回ダイブした時に、ソフィアーに頼んで繋ぎを付けてもらってたんだ」
俺と簪がそう言ってる間にも、ISコア達は束に近づいていく。
その先頭には、騎士甲冑と兜を付けた奴がいた。
「白騎士……」
「お久しぶり、というべきでしょうか。博士」
「君は恨んでるはずだよね? あの事件が終わってすぐ、初期化してポイした束さんのことを」
「そうですね……ですが、
「え……」
白騎士の回答に理解が追い付かなかったのか、束の言葉も表情も全てが止まる。
「おそらく、他の皆も同じでしょう。
「……ハハハハ、アハハハハハハハッ!」
「ひぅ!」
突然狂ったように笑い出す束に、ソフィアーを含めた子供組が怯えて他のコア達にしがみ付く。
「そっか……他の楽しみを見出してるのか……。なんだよ……束さんだけが、あの日から止まってたんじゃないか……ダッサイなぁ……」
「博士……」
「"娘達"がこんなに世界を楽しんでるのに、私だけが不貞腐れた顔で生きて来たとか、ホント、ダッサイ……」
膝から崩れ落ち、天を仰ぐ束を、周りにいたコア達が抱きしめる。
「……簪、俺達はちょっと移動しよう。どうも雨が降り出しそうだし」
俺は簪の頭を撫ぜると、東屋のある方を指さした。
「移動するのはいいけど、雨なんて……」
「いやいや、降りそうだろ?」
俺の向けた視線を追った簪は
「……そうだね」
そう頷いて、東屋に向かって歩き出した。
「急ぐぞ、もう降り始めてるからな」
憑き物が取れたような、朗らかな顔になった束の頬に、"雨"が伝い始めていたから――
さぁ自己満足で束回入れたら、本格的にラスボスがいなくなったぞぉ!
え? ここの束、情緒不安定過ぎないかって?
(; ̄з ̄) ~♪