あれ? なんか評価が『一なま』超えてる……
Σ(゚Д゚;≡;゚д゚)マジデ!?
2度目のISコアダイブの翌日、SHRと1時限目を使って全校集会が行われた。
「はぁい、みんなおはよう」
「今年は色々あって、挨拶がまだだったわね。私は更識楯無、このIS学園の生徒会長よ。以後、よろしく」
にっこり微笑みを浮かべるパイセンに、熱っぽい溜息が周囲から漏れる。嘘みたいだろ、あれが初対面でアームロックキメられてた女なんだぜ?
「さて、今月の一大イベント学園祭だけど、今年は特別ルールを導入しようと思うわ。その内容は」
その言葉に応じるように、空間投影ディスプレイが浮かび上がる。
『各部対抗織斑一夏争奪戦』
の文字と、一夏の顔写真がデカデカと表示された。
「「「「え~~~~~~っ!?」」」」
おい揺れたぞ! 冗談抜きで、今の叫び声でホールが揺れたぞ!?
「はいはい、静かに静かに。例年なら、各部活動ごとに催し物を出して、投票結果の上位の部活に特別助成金を出してたんだけど、それだけじゃ面白くないから、今年は」
ビシッと持っていた扇子を1年1組――おそらく一夏――に向けた。
「織斑一夏君を、一位の部活動に強制入部させちゃいまーす!」
「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」」
いやまた揺れてるって! どうなってんだよIS学園!
「ちなみに1年4組の宮下陸君も強制入部を考えてたんだけど」
おい。
「すでにマンガ研究会に入部してたみたい。期待してた子、ごめんね♪」
おぃぃぃ!? 俺入部した覚えないんだが!?
簪ぃぃぃお前の仕業かよぉぉぉぉ!
ーーーーーーーーー
ということがあった後、クラスの出し物を決めるため、教室内は盛り上がって――
「「「……」」」
たんだぞ? さっきまでは。
『『宮下陸のホストクラブ』『宮下陸とツイスターゲーム』『宮下陸とポッキーゲーム』『宮下陸と王様ゲーム』……ねぇみんな、
4組のクラス代表として教壇に立っていた簪の笑顔に、クラス全員が沈黙させられた。俺もそんなのやりたくねぇよ。
「そこで提案がある。陸」
「お、おう?」
「あのゴーグル、いくつか量産できる?」
「ゴーグルって……あの仮想世界潜入ゴーグルか?」
「それ」
「何そのゴーグルって?」
興味を持ったのか、クラスメイト達が俺の方に視線を向けてくる。
「仮想世界にダイブできる装置なんだが……なんつーか、あらかじめ設定した夢を見れる的な?」
「なにそれ面白そう!」
「それを使った出し物にしようってこと? 更識さん」
「うん。しかも現実の5分が、仮想世界では1ヵ月になる」
「い、1ヵ月!?」
「それ、やばくない?」
「陸、そこの設定は弄れるよね?」
「伸ばすのは無理だが、縮める分には全く問題ないぞ」
さすがに1ヵ月分も体験したら、客の精神が参っちまうからな。オルコット? あれは修行のためだからノーカン。
「10分で仮想世界内が1時間ぐらいにすればお客さんの回転率も良いし、ゴーグル被ってもらってスイッチを入れるだけだから接客も簡単」
「いけそう……」
「むしろ、宮下君がいるアドバンテージを最大限に活用した方法かも」
「それじゃあ、4組の出し物は『仮想世界でIS体験』でいいかな?」
「「「「異議なし!」」」」
なんか仮想世界プログラムの内容まで決まってるんだが? というか、そのIS体験のプログラムも俺が作るの? 簪も手伝ってくれるんだよな? なぁ?
ちなみに、以前デュノアの巻き添えを食らう形で織斑先生から怒られたことがあるんだが、別にゴーグル自体に罪はないそうだ。なんでも、学園の地下に似たような装置があって、そこまで目くじらを立てるような技術でもないらしい。
『ただ、そんな装置が学園内にあるのは機密事項なのだがな。他の奴等には喋るなよ?』
なら教えんでくださいよ……。
『ん? ならなんで怒ったかって? デュノアはお前から借りた装置が原因で遅刻した。なら、お前にも原因の一端はあるだろう?』
解せぬ。っていうか理不尽すぎる……。
ーーーーーーーーー
その日の晩、いつ面で晩飯を食ってたわけなんだが
「なんだよ、そのご奉仕喫茶って……」
「執事服おりむーに、ご奉仕してもらう喫茶店なのだ~」
「すごいマニアック……」
のほほんから1組の出し物を聞いてたんだが、メイド(&執事)喫茶とかアリかよ……。
「というか誰だよ? そんなの提案したの」
「実はぁ……ラウラウなのでした~!」
「「ああ……」」
「あれ~? 二人とも反応うす~い」
いやまぁ、なんというか。夏休みの@クルーズの記憶が蘇るというか……。
((ボーデヴィッヒ(さん)、メイド服気に入ってたんだ……))
「それにしても、りったんマンガ研究会に入ってたんだねぇ」
「そうだそれだ。なぁ簪、どうして俺は入部届けも出してないマンガ研究会に入ってるんだ?」
「? 私の分と一緒に出しておいたよ?」
「うぉぉぉぉい!」
そんな『どうしてそんなこと聞くの?』みたいに首を傾げるな!
「っていうかいつからだ? 俺は一体いつからマンガ研究会に入ってたんだ!?」
「二人で○○レンジャーの上映会した時」
「あん時から!?」
それって簪とパイセンが決闘する前の話じゃねぇかよ! え? 俺入学して1ヵ月も経たずにマンガ研究会だったのか?
「かんちゃん、独占欲強すぎるよ~……」
のほほんすら引いてるじゃねぇかよ……。嫁の愛が重い。
ーーーーーーーーー
晩飯食って、部屋に戻って、やることはゴーグルの作成。あれ? 昨日と何も変わって無くね?
「それで、何個必要なんだっけ?」
「とりあえず10個、かな? あと故障した時の予備がいくつか欲しい」
「了解。その間、IS体験のプログラム作成は任せるぞ」
「うん。そっちは任せて」
俺がゴーグル、簪がプログラムと、役割分担して学園祭の出し物に必要なものを作っていく。
「正直、俺達二人だけが作業してるのって、どうよ?」
「でもその分、当日は接客を免除してもらってる」
「……本音は?」
「当日は目一杯陸と見て回りたい!(ふんすっ)」
ホント、欲望に忠実になりやがって……。
「ゴーグルと言えば……篠ノ之博士、大丈夫かな?」
簪の声のトーンが下がる。昨日のISコアへのダイブで、束と色々あったことを言ってるんだろう。
「大丈夫だろ」
それに対して、俺も努めてあっさり口調で答える。
ダイブから1時間が経って自動で仮想世界から戻ってきた時、束は目元を袖で拭っているところだった。
「今日はもう帰る」
少し不貞腐れたような顔でそう言うと、あいつは行きと同じように寮の廊下に繋がるドアから帰っていった。すれ違いざまに「ありがと」と一言呟いて。
だから、あいつは『大丈夫』だ。きっといつかまた、俺達の前に現れるだろう。まるで子供のような、好奇心を隠そうともしない顔で。
「ねぇ陸」
「ん?」
「どうして、博士とISコアを会わせたの? 正直昨日のあれは、陸のメリットが見当たらない」
「かもな」
簪の言うように、束とISコアを和解させたところで俺に直接のメリットはない。下手すりゃ束と仲違いしたままだったかもしれねぇからな。むしろリスクしか無いわな。
「単純に俺のエゴだよ。不幸ぶって、勝手に周りに失望してる奴が気に入らなかったから何とかしようとしただけだ」
「そっか」
「そうだ」
そこで会話が途切れ、あとは黙々と機械を弄る音と、キーボードを叩く音だけが部屋の中を支配していた。
――2時間後
「あ゛~やっと終わった……」
やってやったぞゴーグル作成。予備も含めて13個。タイマーも、現実10分仮想1時間に設定済みだ。
「陸ぅ……」
「ほ?」
簪が半べそかいてるんだが、どういうこと?
「IS体験のプログラム、飛行部分が難しすぎ……」
どうやら、ISの動作部分をエミュレートするのに四苦八苦していたらしい。けどそれって……
「打鉄弐式の稼働データを流用すれば、あとは形式を合わせたり微調整すればいいだけでは……?」
「あっ……」
簪、椅子から崩れ落ちる。というか、俺に言われるまで気付かなかったのかよ。
とりあえず、俺の陰流から飛行時の稼働データを抽出するか。
データの加工作業はすんなり終わり、IS体験プログラムも完成した。一応試用してみたが、仮想世界の打鉄は現実と比べてさほど違和感もなく、ISに乗ったことが無い人なら満足してもらえるんじゃないだろうか。
「ぐぬぬ……!」
ヾ(・ω・)なでなで
「うぅ~……!」
ヾ(・ω・;)なでなで
「うぅ~……」
ヾ(=ω=;)なでなで
「~♪」
崩れ落ちた後の簪の機嫌が直るまで、かなり長い時間頭を撫ぜ続けたことを伝えておく。
本作を最初から読み返してみると、簪のキャラが変わり過ぎててヤヴァイ……。
もうこれ、オリ斑ってレベルじゃねぇぞ。