俺と契約して、ブリュンヒルデになってよ!   作:シシカバブP

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学園祭編、いつもの2倍ぐらい掛かりそうとか以前書いたんですが、そこまで行かなそうな感じが……。


第55話 策動

亡国機業の隠れ家で、実働部隊の全員が集まっていた。いや、レインだけは潜入先にいるから、私達3人が正しいか。

 

「それで、作戦は決まったのか?」

 

「ええ、荷物を受け取って戻って来たところ悪いけど、エム、貴女にも働いてもらうわよ」

 

「構わん。『サイレント・ゼフィルス』の動作テストにちょうどいい」

 

けっ! スコールも、なんでこんないけ好かないチビを使うんだか。私に任せておけば問題ないってのによぉ。

 

「不貞腐れないのオータム」

 

「不貞腐れてなんかねぇよ」

 

「はっ、今回の作戦、私一人で十分だ。お家でスコールとオネンネしていろ」

 

「何をぉ!」

 

「はいはい! 作戦を説明するわよ」

 

「……ふん」「ちっ!」

 

やっぱいけ好かねぇ。この、新参者のくせに態度だけはでけぇクソガキが!

 

「まったく……今回の目標はIS学園、"1人目"のIS奪取。これはオータムに担当してもらうわ」

 

「ああ! ガキ一人が相手なんざ、楽勝だ」

 

「それともう一つ、"2人目"の拉致。これはエムにやってもらうわ」

 

「拉致だと? あの男にそんな価値があるのか?」

 

聞いた話じゃ、渡された専用機も第2世代の訓練機をカスタムした物で、本人の実力も大したことないんだろ?

 

「"2人目"、宮下陸は粗製とはいえ、ISコアを作った実績があるわ。拉致してコアを作らせれば、組織の戦力強化に使えるというのが幹部会の判断よ」

 

「なるほど。下っ端共には粗製品、私達のような連中には今まで奪って来た正規品を、ってことか」

 

「そういうことよ」

 

「いいだろう。適当に片足を吹き飛ばしてから回収するとしよう。頭と腕さえ残っていれば、コア作成に影響はないだろう?」

 

「それも含めて任せるわ。けどエム、やり過ぎて殺さないようにだけ気をつけなさい」

 

「分かっている」

 

ニヤリと気持ち悪い笑みを見せて、エムが部屋を出て行く。

 

「ったく、ホント気持ち悪ぃガキだ」

 

「まだ言ってるの? 貴女にも仕事があるんだから、シャキッとしなさい」

 

「分かってるって」

 

見てろよクソガキ。次の任務で、お前よりこのオータム様の方が有能だってことを分からせてやる。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

学園祭に向けた準備が各クラスで行われている中、俺達1年4組は比較的平穏な日々を送っていた。

なにせ『仮想世界でIS体験』で使うゴーグルと仮想プログラムが揃っているわけで、あとはクラスメイト達に使い方をレクチャーするぐらいしかすることがない。

 

「ぷはー」

 

「どうだった? 仮想世界のISは」

 

「これすごい。この前授業でラファールに乗った時の感じまんまだった」

 

実際にISに乗っている生徒達からも、評価は上々のようだ。

 

「宮下君、これって仮想世界で操縦ミスっても大丈夫なんだよね?」

 

「おう。飛行中に落っこちてもセーフティが働くはずだ。だよな簪?」

 

「うん。地上5cmで一旦停止してから落ちるようにしてある。それならさほど痛くないはず」

 

そこは簪と二人、デバッグも含めて頑張ったところだ。あくまで『ISを体験してもらう』がコンセプトだからな。怖い思いや痛い思いをさせて、IS自体のイメージダウンになるのは避けたい。

 

「ねぇこれ、学園祭終わっても使いたいんだけど。訓練機の予約が出来なかった時とかに」

 

「それいいかも! エドワース先生、どう思います?」

 

「そうね~。宮下君、どうかしら?」

 

いや先生、生徒からの問いを、そのままスルーパスせんで下さいよ……。

 

「全部はあれだが……5,6個ぐらいならクラスに寄付してもいいか」

 

「やったー!」

 

「宮下君、話がわっかるぅ!」

 

「これで訓練機を予約するために、毎日織斑先生に怒られないギリギリで廊下を走らなくていいわ!」

 

おい最後、毎日そんなことしてたんかよ。

 

『1年1組の織斑一夏君、1年4組の宮下陸君。生徒会室まで来てください。繰り返します――』

 

おう、校内放送で呼び出されるなんて、学年別トーナメント後に織斑先生のワイルド放送以来だな。

 

「なんか呼ばれたから、ちょっくら行ってくるわ。1回使った奴は、初めての奴に使い方教えてやってくれ」

 

「「「行ってらっしゃーい」」」

 

クラスメイト達に見送られる形で、教室を出て生徒会室へ。簪? 俺の左腕にしがみ付いて初期装備状態ですがなにか?

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

「「秘密結社?」」

 

生徒会室に呼び出された一夏と俺(+簪)は、勧められたソファに座った状態で、正面に座るパイセンの説明に首を傾げていた。

 

「そう、亡国機業(ファントム・タスク)という名前で、その規模も目的も不明っていう謎の組織なのよ。ただ最近では、IS関連施設を襲撃、ISを奪っているとの情報もあるわ」

 

バッと開かれた扇子には『複雑怪奇』の文字。

 

「ファントム、タスク……」

 

「それで? その謎の組織が俺達と、どう関係してくるんです?」

 

「ハッキリ言うわ。宮下君と織斑君、二人ともその亡国機業に狙われる可能性がある」

 

「お、俺達が!?」

 

「いや一夏。お前のネームバリューからしたら、狙われて当然だからな?」

 

ブリュンヒルデの弟で、篠ノ之博士と縁があり、さらに重婚許可で複数の専用機持ちとも繋がりがある。攫いたくもなるだろう。

 

「いや陸。お前も大概だからな? 第3世代機の設計図売ったり、劣化版とはいえISコア作ったり。むしろお前の方が狙われて当然だからな?」

 

「……OMG」

 

見渡すと、パイセンも虚先輩も首を縦に振っていた。

 

「織斑君の言う通りよ。むしろ組織の戦力強化という面では、宮下君の方が狙われる可能性が高いわ」

 

「裏の組織には、アラスカ条約など何の効力もありませんからね」

 

「そうか、陸に劣化版ISを作らせれば……」

 

「低性能とはいえ、ISで物量戦が出来るようになる」

 

確かに、数の暴力は馬鹿に出来ない。いくら最新鋭のISだろうが、乗っているのが一人の人間である以上、絶え間なく攻め立てられれば機体より先に中の人間が参っちまうからな。

あれ? 劣化版ISコアをボーデヴィッヒにやったの、マジで失敗だったんじゃ? 完全に自分の首締まってきてるよな、これ。

 

「そういうわけで二人とも、今後一人でいる時は十分気を付けてね」

 

「了解です」

 

「分かりました」

 

「ところで一夏、お前の今のルームメイトって誰なんだ?」

 

篠ノ之からデュノアに変わって、その後デュノアがボーデヴィッヒと同室になったところまでは知ってるんだが、そうしたら一夏は?

 

「今はまた箒とだな。一度は同室になったことがあるし、他の女子よりは気心が知れてるからな」

 

「そうなんだ。織斑杯は篠ノ之さんと凰さんが一歩リード、と

 

「更識さん? 何か今変なこと言わなかったか?」

 

「簪ちゃん、私にもあとで詳しく」

 

「ちょっとぉ!?」

 

なーんか更識姉妹と一夏で賑やかになってきたな。

篠ノ之が一夏と同室らしいし、少なくとも奴が部屋で一人だけになるリスクは減ったってことだ。俺? だから簪が(以下略)。

 

「ところでりったんは、誰にチケットあげるの~?」

 

今の今まで話に参加してなかったのほほんが、俺の袖をくいくい引っ張る。ホントいきなりだなお前は。

学園祭は一般人の参加は基本不可だが、生徒一人につき一枚配られる入場チケットを使えば入ることが出来る。俺も一枚、クラス代表の簪経由で渡されている。とはいえ

 

「渡す相手がいないんだよなぁ……」

 

中学校時代のクラスメイトとは(俺の記憶がほとんどない所為もあって)疎遠で、親類もいない。施設の連中ってのもアリだが、一枚だけじゃなぁ……。

 

「一夏辺りにくれてやるか。あいつなら中学時代のダチとかそこそこいるだろ」

 

「りったん、それ、自分には友達いないって言ってるようなものだよ~……」

 

「うっせ! そんなこと言うのほほんはこうだ!」

 

俺がちょっと気にしてたことを失言したのほほんの頭を、指を立ててわしゃわしゃとかき乱す。

 

「やめて~! せっかく直した寝癖が~!」

 

あぁ^~のほほんの髪の毛がぴょんぴょんするんじゃぁ^~

 

――チョンチョン

 

「ん?」

 

「宮下君、一体何してるのかしらぁ?」

 

「失言したのほほんの髪の毛をぴょんぴょんさせてるんですが、何か?」

 

生徒会長殿の問いに対して真っ正直に答えたところ、

 

「あのねぇ……」

 

呆れられたでゴザル。いや、パイセンだって簪や一夏と遊んでたやん。

 

「あ~あ、私も構ってほしかったな~」

 

パイセンが頬を膨らませて、めっちゃ拗ねたふりしてくるんですが。

何? 構ってやればええんか? 簪? 構ってやってくれって? 仕方ねぇなぁ……。

 

「そんじゃ、構ってあげましょう」

 

「へ?」

 

びっくりした顔のパイセンの頭を、いつも簪にしてやるように撫ぜる。

 

「み、宮下君?」

 

おまけとばかりに、動揺するパイセンの耳元に顔を近づけて

 

「楯無さん」

 

と囁く。

 

「……」

 

あれ? 俯いたまま反応がない?

 

「あ、あの、ああああ、あああああ……」

 

「お嬢様?」「お姉ちゃん?」

 

虚先輩と簪が顔を顔を覗き込もうとした瞬間

 

 

「うにゃああああああああああああ!!」

 

 

顔を真っ赤にしたパイセンが、奇声を上げて生徒会室を飛び出していった。

 

「……なぁ、簪」

 

「何……?」

 

「パイセンって、自分から相手にズンズン踏み込んでいくけど、逆に踏み込まれると途端に弱くなるタイプか?」

 

「私も初めて知ったかも……」

 

 

 

 

最低限必要な注意喚起はできたこともあり、会長不在のまま俺達は解散となった。

亡国機業ねぇ……来るなら来いってんだ。

 

俺は簪と幸せになるって誓ってんだ。だから、それを壊そうってんなら……容赦はしねぇぞ。




たっちゃんは初心、異論は認める。
そして亡国機業が本格的に動き出します。果たして彼女たちは、オリ主と簪の理不尽にどう立ち向かうのでしょうか?(なんかおかしくね?)
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